CINDERELLA GIRLS,ASSEMBLE!! 作:グレイソン
性格や行動は、公式の堅苦しい品行方正な感じよりちょっとやんちゃになってます。増長する子供ってこんな感じでなかったっけかなぁとか幼き日の事を思い出しながらやってたんで、ちょっと男っぽいかも。
ナイトウィングの話。
最初に投稿した当時はまだNEW52全盛期でした。でもナイトウィングと言えば赤より青だろって思って青にしてました。
今も青だなと思ってます。
橘ありすは、昔で言う所の鍵っ子と言う奴だった。一人っ子で、共働きの両親を持ち、趣味も友達とどこかへ遊びに行くよりも、読書やゲームと言った主に一人で屋内で行うようなものばかり。典型的と言うべきか――しかし時には夕食すらも一人で摂り、誰もいない家で眠りに就くと言う事すらあるので、少しばかり外れているかもしれない。それも悪い方向に。
ただ、ありすにとってはそれが普通だったので、特に寂しいだのおかしいだのと感じる事は無かった。むしろ、早く大人になりたいと常日頃から考えている彼女にしてみれば、この環境は自分一人の力で生活する為の予行演習に思えて、実に都合が良かった。
そしてその毎日において、これまでなんのトラブルにも見舞われなかった事が、彼女に妙な自信を付けさせてしまっていた。
※
ある日、ありすは自らの行動範囲拡大の為と称して、少しだけ冒険心と挑戦心を燃やして、いつもより遅い時間まで外出してみる事にした。とは言え、夜回りの警察や教師に咎められるのは癪なのと、せわしなく騒がしい雰囲気は得意ではない事もあって、ゲームセンターだとかの娯楽施設を目指すのではなく、市内の、しかし少し遠くに離れている大きめの図書館を目的地に据えてと言う、どこかやんちゃなようで、大人しく生真面目な感の残った計画ではあったが。
両親からは前もって夜遅くまで帰ってこないと教えられており、夕食も一人だと分かっていた為、ありすは普段気が咎めてやらないような買い食いにも挑戦した。その結果、彼女はまるで、自分が一人前に社会に溶け込んでいるような気分になっていた。
図書館に到着し、ありすは本の世界に全身余す所無く浸かり込み、閉館時間の直前までその至福の時を堪能した。家にも学校の図書室にも置いてない、古い時代に記された大長編の推理小説は、彼女の増せた知的好奇心を掴んで離さなかったのだ。なので、帰る頃には時刻はもう夜の八時を過ぎており、日の落ちきった世界はすっかりと暗い闇に包まれていた。
それは、街の明かりがなければ、そして通りの喧騒がなければ、きっとその深さに恐れを抱いてしまうほどに濃く、重い黒色をしていた。
ありすはふとその事に気付いて、少しだけ戸惑いを抱き、身震いしながら帰路に就いた。だが、歩いている内に、やがてそれ以上のおかしな興奮も胸の内に湧き始めていた。自分一人だけで夜の街を闊歩している事が、無性に誇らしく思えたのだ。例えブラックコーヒーが飲めなくても、夜の街を我が物顔で歩けるならば、一人前に大きく近付いたと言えるのではないか、と。
この、早く大人になりたいと必死に近付こうとする余りに無謀な背伸びをしがちな少女が考える程、夜の街というのは優しい存在ではない。そして何より、年齢がもたらすものと言うのは、多少の行い程度で容易く振り払えるものではない。いくら自分で大人ぶったとしても、傍から見れば齢十と少しの、未だ幼い子供に過ぎないのだ。その事に、ありすは目を向けていなかった。
無防備に夜を出歩く子供に目を付けるのは、何も警官や夜回りの教師だけではない。そして今宵の彼女には、運が無かった。警官や教師に呼び止められて説教を受けていたほうが、遥かにマシだっただろう。
ありすが気付いた時には既に、その人影は彼女の直ぐ近く、背後にまで迫っていた。
※
その大柄な男は、主に年若い女性を略取・誘拐しては、人質にして家族から金を脅し取る、いわば身代金目的の誘拐を生業としていた。
普段は活動時間との兼ね合いから、年齢層がもっと上の人間を見繕うのだが、今回はタイミング良く目の前を通りかかった幼い少女に照準を定めたのだ。
身なりのいい子供が一人で歩いている。正に最高の獲物だ。体格も小柄で軽い子供相手なら、わざわざ知恵を絞らずとも力尽くで押し通せる。非常に楽な仕事だ。逃がすものか。
追跡して機を図り、ひと気のない路地に差し掛かった所で一気に引き摺り込む。筋肉質な腕と手で動きを押さえ込んで口を塞ぎ、後は全速力でアジトにまで向かって走り抜ける。
余りにも呆気無く、男の企みは順調に流れていった。
※
数秒と掛からずに、ありすは電飾の明るさに照らされた大通りから、陰湿な空気の漂う裏路地に連れ込まれていた。不意を突かれた所為か、ありすには全く抵抗する暇が無かった。身動ぎして呻き声を上げたりはしたが、それは全て男の腕の内に抑えこまれてからで、まるで手遅れだった。
一応の所、ありすは学校教育と自身の向上心の賜物で、防犯用の道具を所持し、その使い方も熟知していた。例えば、片時も離さず身に付けている防犯ブザーは、いつでもスイッチを入れられるように手を伸ばしやすい位置のポケットに仕舞ってある。撃退用の催涙スプレーも同じだ。違う点があるとするなら、それらの位置が上着のポケットかスカートのポケットかと言う所か。
だがしかしである。こうして使う隙すら与えられなければ全く持って無意味な事で、ありすはその未使用に終わった二つの護身用具の存在によって、より一層自らの惨めさを再確認させられた。
男が愉悦に顔を歪めるのを、ありすは小脇に抱え上げられている最中にふと目にした。そして彼女は初めて、真に悪意を持つ大人を知った。物語の世界に存在する悪人ではなく、現実に存在する悪人と言う奴を目の当たりにした時、ありすの胸の内は大いなる恐れに支配された。
人に対して害を成そうとする者――犯罪者。大の大人ですら、普通は太刀打ちの出来ない危険な相手だ。ましてや自分は? どうしようもなく子供だ。足掻いても藻掻いても通用しないだろう。
では、どうなる? どうにもならない、自分の意志では。なすがままだろう、悪意の赴くがまま。
自分でも気付かぬ内に、ありすは涙を流していた。苦しさから漏らす呻き声がすすり泣く声に変わり、路地裏の空気の中に消えた。
やがて、ありすは涙の中で後悔した。自分の愚かしい行いに。一人前を気取って身の危険も顧みず、無謀な行動に出てしまったのだ。両親や教師が毎日告げる注意の言葉を、決して聞き流していた訳じゃあない。だがいつしか軽視していたのも確かだ。自分なら上手くやれると。その結果は、見るも惨めなこのザマだ。どこも一人前なんかじゃない。
心の中でひとしきり悔み、反省したありすは、次に強く祈った。誰か、救いの手を差し伸べてくれまいかと。意味はなくとも全身を強張らせ、目を閉じて、必死な思いで祈り続けた。情けなさに打ち拉がれながら。
その祈りの時間は、ありすにとっては酷く長く感じられた。まるで一晩が過ぎてしまいそうな程に。
だが実際は――路地の角を二つ曲がる内に、距離にしても百メートルも行かない内に、答えが現れた。
「親子で夜の散歩かい? それにしちゃあ顔立ちは似てないし、随分と荒っぽい扱いだね」
声が響いた。若い男の声だ。ボイスチェンジャーか何かだろうか、妙な響きを纏っている。
ありすを抱える男の歩みが、急に止まる。ありすもハッとして、目を見開いて辺りを見回した。
そして間を置かず、彼女らの頭上から、ヒラリと何かの影が踊り出た。
影は柔軟な体捌きで身を翻して二人の目の前に着地すると、立ち塞がるように身構える。
「やぁ、キッドナッパー。お仕事ご苦労様。その子は僕が引き継ぐからさ、君は早く行きなよ」
スマートな体躯の青年だった。黒地に青い鳥のようなマークを描いたスーツに身を包み、マスクで目元を隠している。ありすはどこかで彼を見たような覚えがあった。だが、どこだっただろう?
青年は口の端に穏やかな笑みを浮かべながら、しかしその実、威圧的な色を醸した口調で、ありすを抱える男へと迫った。
「……警察署に、さ」
※
クライムファイター・ナイトウィングことリチャード――ディック――グレイソンは、犯罪狩りにおける師であるバットマンこと養父のブルース・ウェインからの依頼を受けて、二ヶ月程前から日本に滞在していた。その内容は、ウェイン産業が業務提携を結んだスタークインダストリーズ日本支社の実態を、出向社員と言う形で潜入して探り、彼らの広報部が新たに立ち上げたと言うアイドル事業課の真意を確かめると言うものだった。
来日から数日が経った頃、ディックはこの国が、故郷のゴッサムシティや自身の狩場であるブルードヘイブン程では無いにしろ、闇の中で蠢く犯罪に蝕まれている事に気付いた。そして、その悪意との戦いに奔走し、それでもいわれ無き批難の雨に晒され続ける、自らの同僚となった英雄達の姿にも。
ディックは企画の望む理想の形――市民の中にあるヒーローやクライムファイターへの不信感を払拭し、親しみを与え、共に希望を抱いて未来を目指す――と必要性を理解し、そしてその追求に全面的に力を貸す事を決めた。そして同時に、自らもまた彼らと同じように、この国でのクライムファイトを行う事を決意したのだった。幸いな事に、表の顔たるディック・グレイソンと裏の顔たるナイトウィングを使い分ける二重生活を始めてから、既にもう幾年もの――ロビン期も含めるとするなら、それこそ二十年以上にもなる――経験を積んでいるので、この新たな狩場での活動にも、慣れるのは早かった。
この日、アイドル事業課に所属するアイドルの地方巡業に同行していたディックは、勤務終わりにいつものようにナイトウィングとしての夜の見回りを行っていた。
数日に渡る滞在を経てナイトウィングが理解したのは、この街はブルードヘイブンやゴッサムに比べると、景色も市民性も遥かに穏やかで静かではあるが、しかしその中にも、どことも変わらぬ悪意が潜んでいると言う事であった。それは、毎朝の新聞で必ず悲劇の報せが――それも人の手によって引き起こされた悲しみが飛び込んでくる程度には、残酷で無慈悲に存在している。その事実を知り得た今、眼前や眼下に広がる、田舎の島国らしい控えめな街並みや、人々の雰囲気を目の当たりにしていても、ナイトウィングには決して油断する事など出来なかった。
もしも自分の気の緩みの所為で、防げるはずの出来事が防げなかったとしたら? その時は、決して自分の愚かさを許せなくなるだろう。そしてそれはきっと、命燃え尽きる瞬間まで延々と心を苛み続けるのだ。
ナイトウィングは普段よりも一層気を引き締めて、周囲に細心の注意を払いながら、夜の闇を裂いて走り、黒い空を舞った。
並び立つビルの上を、グラップネルガンを駆使して跳ね飛んでいる時だった。彼の自らに対するプレッシャーが功を奏した。繁華街の騒音に混じって掻き消えてしまいそうな中から、一つの事件を見つけ出したのだ。
隆々とした大の男が、子供の口を塞ぎながら小脇に抱えて走る様が目に入った。普通ならば滅多と目にする事の無い光景だろう。それが人気の無い裏路地の、更に奥まりの方へと向かっているのなら尚更である。
ただし、ナイトウィングにとっては見慣れた様であった。力押しの犯罪者を、数え切れぬ程その手で叩き伏せてきた、彼には。
「やらせないぞ」
ナイトウィングは素早くビルの壁面を蹴って身を翻し、児童誘拐の現行犯へと、対峙するように舞い降りた。
※
――あれはナイトウィングだ!
ありすは思い出した。彼は世界最高の探偵バットマンの一番弟子で相棒だった男だ。以前、実在する探偵について調べていた時に見た記事にそう纏められていた。ナイトウィングもまたクライムファイターとして悪と戦うヒーローだ。
――助けて、ナイトウィング!
ありすは彼に向けて叫んだ……つもりだった。だが実際は、彼女の声は男の手によって遮られ、渾身の悲鳴もくぐもった唸り声のようになっていた。それでも、ナイトウィングには何を叫びたいのかが明確に理解出来ているようだった。
「大丈夫だよ、お嬢さん。すぐに助けるから」ナイトウィングが穏やかに笑顔浮かべて答えた。まるで勇気付けようとしてくれているようだった。
その言葉の終わり際に、彼ら二人の遣り取りをかき消す怒号が響いた。
「ふざけんなこの変態コスプレ野郎! 誰がてめぇなんかの言う事聞くかってんだ!」ありすを抱えた男は、頭上から躍り出た闖入者に一瞬呆気にとられていたのだろうが、ハタと意識を引き戻すと、口を荒げてナイトウィングを威嚇した。その恐ろしい野太い声に、小脇に抱えられたありすは思わず身を竦ませる。
しかし、堂々と立ち構える青い鳥の男には、全く臆した様子は無かった。彼は、悠然と歩み寄りながら口を開いた。
「じゃあ真面目に言おうか、悪党さん。その子を解放してお縄に付け。そうすれば、手荒な真似はしないでおくよ」
ナイトウィングが怪しく煌めくレンズ越しに、真っ直ぐ男を睨み付けた。視線を隠す為のソレだろうが、そこに秘められた感情までは抑えきれないようだった。ありすにも、激しく燃える義憤の焔を感じられた。
気圧されて、男は一歩二歩と後退った。
「ち、近寄んじゃねぇ!」冷や汗と焦りを顔に浮かべた男は、ありすを盾にするように左腕で抱え直すと、右手でポケットから折りたたみ式のナイフを取り出して、彼女に突き付けた。「それ以上近寄りゃ、このガキ刺すぞ!? 死ぬかも知れねぇなぁ!? さぁ、どうする!?」
死ぬ、と聞いて、またもやありすは悲鳴を漏らした。口は、押さえていたゴツい掌から開放されたので、その声は路地の壁面に酷く響いた。
「そう来るなら仕方ない」ナイトウィングが溜息混じりに言った。「その腕をへし折るだけだ」
そして言うが早いか、彼は腰のポーチから素早く何かを取り出すと、男目掛けて投げ付けた。風切り音と共に、その何かは男のナイフを持つ手に激突し、鈍い破砕音を響かせる。
ぎゃあ、と男が痛々しい悲鳴を上げた。ナイフが地面に落ちて、軽い金属音がする。ありすは反射的に男の右手を見やった。手は異様な形に変形しており、彼女はハッと息を呑んだ。肉が裂かれ、骨が砕かれているのだ。そこに光る金属質な何かが目を引いた。鳥を模したような形の手裏剣とも言うべき物が、拳に突き刺さっていたのだ。
――バッタラン?
ありすはバットマンのガジェットを思い出した。実際の所、それはバーダラン・ウィングディングスと呼ばれる、ナイトウィングの扱う投擲武器だった。
直後、浮遊感がありすと襲った。男が痛みに悶えて手を押さえた時に、抱えていた彼女を落としたのだ。ありすは肩口から地面へと落ちた。来たるべき痛みに身を固め、歯を食い縛った。
だが、予想に反して彼女の身を包むのは柔らかな感触であった。彼女の小さな体は、地面に転がされたゴミ袋によって、硬いアスファルトから守られていたのである。その偶然に、ありすはホッと胸を撫で下ろした。だがそれは偶然ではなかった。彼女は知る由もなかったが、それはナイトウィングが武器の投擲の直後に、足元にあったそれらを緩衝材代わりにすべく蹴り転がしたお陰であった。
「まだ腕はへし折ってないからね?」ナイトウィングはそう告げると、素早い身のこなしで駆け出した。
ありすは、ゴミの放つ鼻を突く不快な臭いと感触すら忘れて、彼の動きをジッと見詰めた。彼は見入る程に華麗且つ俊敏な体捌きで、あっと言う間に男との間合いを詰めた。
ナイトウィングは右足で鳩尾に一撃蹴り込んで、男を後退らせる。二人の男達は徐々にありすから離れ始めた。彼女は姿勢を変えて、視線で追う。
怯む男に対し、ナイトウィングは続け様に左のフックを放った。拳は真横から頬を捉えて、男は酷く呻く。
男が獣のような唸り声を上げながら、反撃に左拳でパンチを放った。
大振りのそれを、ナイトウィングは身を屈めて躱し、それから顎へのアッパーカットで返す。
男がフラフラと無防備に後退った所で、ナイトウィングは懐に入り込み、未だ無事である左の腕を脇に抱えるようにして肘関節を捻り上げた。それから、顎に手を添えるようにして押し遣りつつ、左足を使って男の足を払う。
驚愕するありすの目の前で、男はくるりと回されるようにして、地面に引き倒された。
「これで約束通りだ!」抱えていた肘関節に蹴りを打ち込み、真逆にへし折って、ナイトウィングは言った。
両腕を破壊されて、男はこの世のものとは思えないような声を上げてのた打ち回った。どう見ても立ち上がり、反撃できる様子ではない。それどころか、後遺症が残るのではないかと思わず不安になるくらいに叩きのめされている。
ありすは唖然として、彼らの様を見詰めた。先程までは恐怖を覚えていた悪人の姿に、今や哀れだとすら感じるようになっていた。だが同時に、当然の報いだとも感じていたが。
男は泣き声混じりの悲鳴を上げ続ける。その声を断ち切るかのように、ナイトウィングはトドメとして男の頭を拳で打ち抜き、その意識を刈り取った。
「三流犯罪者なんてどこも同じだな」失神した男の面に向けて、ナイトウィングが無情な声で吐き捨てた。「違うのは人種だけか」
※
「さて、立てるかいお嬢さん?」ナイトウィングはそう言って、ゴミの上にへたり込んだまま彼を見やる、哀れな姿の少女に手を差し伸べた。少女は呆然としていたが、何とか差し出された手をとり、彼の力を借りて立ち上がった。「どこか痛い所はある?」
「だ……大丈夫、です……」少女はつっかえながらもようやっとと言った様子で答えた。
その小さな声に、ナイトウィングは不安になった。痛みを堪えるものだとしたら大変だ。彼はマスク越しに怪訝な表情を浮かべて、彼女を見やった。続けて、気遣うような口調で言葉を返す。
「本当に? こう言う時、人って我慢しちゃうものだからね」
「いえ……本当に、大丈夫です……別にどこも痛くありませんから……」
「うーん、でも一応病院で診てもらおうか。君はまだ幼い子供だから、何かあっても困るし……」
その言葉を遮るように、突然少女が大声を出した。
「いいんです、平気ですから!」
「おぉっと……?」これには、対峙するナイトウィングも面食らって、思わず間の抜けた声を漏らしていた。
「あ……」だが誰よりも驚いていたのは、当の少女自身のようだった。遅れて、涙が彼女の目から零れた。涙は怒りや悔しさを滲ませた表情を濡らして伝い、次々と地面に落ちる。
「あぁ、ごめんね。怖い目に遭ったってのに、色々言い過ぎたよね」ナイトウィングは努めて穏やかな声色で謝罪した。これでどうにかなると言う訳では無いだろうが、やらないよりはマシだろう。
「いえ、そうじゃないんです……」しかし少女は矢張り悔しげに声を震わせて、答えた。「そうじゃ……ない」
「え、違うの?」ナイトウィングは問い返したが、少女は答える事も無く俯いてしまっていた。
押し殺すような泣き声の中、涙を拭いながら、少女は立ち尽くす。ナイトウィングはいたたまれなくなったが、同時にこのまま見捨ててはおけない気持ちになっていた。長らく義弟や歳若い面子で揃ったチームを率いてきた彼の中には、父性と母性を併せ持ったような慈悲の心が備わっている。それが今、放っておくべきではないと告げているようだった。
やや間を置いて、彼は宥めるように優しい声で、少女に向けて言った。
「何か、事情がありそうだね。落ち着くまで一緒にいよう。まぁ、どうせ警察を呼んで、君やコイツの事を頼まないといけないしね」
※
ありすは、へたり込むように壁にもたれ掛かって、地面に座り込んでいた。
「……あぁ、そうだ。じゃあ、頼むよ」少し距離をとって通報をしていたナイトウィングが戻ってくる。それから彼女の隣にやって来て、やおらと腰を下ろした。
少しの間の後、ありすは顔を強く乱暴に拭った。その涙は既に止まり、彼女の頬には痕を残すのみとなっている。しかし激情は消えぬまま、彼女の胸を支配し、険しい表情を形作っていた。小さな拳を強く握り込みながら、ありすは沈黙のままにそれを睨み付けた。こんなに小さな体と愚かな真似で、一体何を一人前に近付けただのと思っていたのだろう。悔しくて悲しくて恥ずかしくて怒りに震えていた。
「女の子のするべき顔じゃあないな。可愛いのに台無しだよ」ナイトウィングが穏やかに言った。「ねぇ、もし良ければ、その胸に抱えているものを聞かせてくれないか? 話して楽になる事もあるからさ」
ありすはそれすらも悔しくて恥ずかしかった。自分一人で解決する事すらも出来ないだなんて、子供であると見せ付けられているようで、嫌だった。
ナイトウィングは少し間をおいて、再び口を開いた。
「実はね、僕も昔そうだったからさ」
ありすはふと、彼を見やる。ナイトウィングは先程から変わらず穏やかに微笑んだままに続けた。
「昔、胸に色々と愛憎抱え込んでいた時……話す事で、全部じゃあないけれど、少しは救われた所があったんだ。だから、ね?」
ありすからすると、その白く輝くレンズを嵌めこんだドミノマスクの所為で、ナイトウィングの本当の目を見る事は出来ない。だが、どこでもなく真っ直ぐに瞳を見詰め返してくるような眼差しを感じ取る事は出来た。ありすは彼の視線を受けて、いつしか、険しく顰められていた眉と強く握り締められていた拳を、僅かにだがゆっくりと緩ませていった。そしておもむろに口を開き、言葉を紡ぎ始めた。
「私は……早く、一人前に……大人になりたいんです」
「一人前の、大人?」
「このままじゃ……子供のままじゃ駄目なんです」
「それは、どうしてだい?」
「だってそうすれば、誰にも頼る事無く生きていける……」ありすは呟くような声で告げる。「独りきりで」
その言葉を受けて、ナイトウィングがふむと唸るように声を漏らし、問い掛けた。
「独りきり、って……君、家族は? ご両親は?」
「……いますよ」
「そうか。一緒には住んでる?」
「えぇ……」
「じゃあ、どうして?」
「それは……」ありすは俯いた。言うべきか迷った。どうして一人でも生きていけるようになりたいのか。言えば馬鹿にされそうだと少し怖くなった。
「嫌いなのかい? 仲が悪いとか?」
「いえ、違います……むしろ大好きですよ」
「ふむ……」とナイトウィングは腕を組んで考えを巡らせるように声を漏らした。それから、ふと問い掛けた。「もしかして、寂しかったから? 家族が傍にいないから、無茶な事して振り向いてほしかったって事だったりしない?」
「……いえ……そうじゃなくて……」ややあって、ありすはポツリと言葉を返した。そうではないのだ、そんな子供じみたわがままではないのだ。分かってもらうには言うしかない。恐れもあったが、彼女はナイトウィングに向けて答えた。「父も母も、私の事を愛してくれているのは分かります。私の為に一生懸命働いて、不自由なく暮らせるように努力しているから、あまり家にいないのだと……だから別に、寂しいとかは思ったことはありません。私にとっては、それが普通な事でもあるし……」
「そうか」
「でも、心苦しく感じるんです」
「心苦しい?」
「だって、きっと二人とも、負い目を感じてるはずなんです。二人は私の為に自分の時間を割いてくれている。……自分を犠牲にしている。でも、私と一緒にいる訳ではない。どれだけ頑張っても、私を置き去りにしてるって。そうでなければ、いつも帰ってくるなり私を抱きしめて、謝ってくる事なんてしないはずです……」
ありすは目元をゴシゴシと拭うと、唸るように声を漏らした。また涙を流してしまいそうだったので、それを堪らえようとしたのだ。ナイトウィングが不安げに見やるのが分かる。ありすは息を整えて言葉を続けた。
「『一人にさせてゴメン』だとか言われる度に、私はまた両親に心配と迷惑を掛け、負い目を感じさせてしまっていると、そう思えて仕方ないんです。だから、早く二人が心配も負い目も抱かない程の大人に……迷惑をかけない一人前にならなきゃいけないんです。そして、私も両親を支えて、ともに立って歩いていけるようにならなくちゃ……」そこまで言って、ありすは思わず、再び悔しさに歯噛みするように顔を顰めた。「でも……私が考えるよりも世界は大きくて凶悪で……私はまだ一人で歩いて行ける程ではなくて……」
「あぁ、なるほど。なんで君がこんな時間に一人で歩いてたのか、その理由がなんとなく分かったよ」ナイトウィングが慰めるような微笑みを湛えて、ありすを見やった。それから彼女の頭を優しく撫でる。ガントレットの硬くゴツゴツとした感触だったが、不思議とありすには嫌悪感は無かった。
ナイトウィングは彼女を見詰めながら、穏やかな口調で続ける。
「街を……取り分け、夜の街を一人で歩けるなんて、なんだかまるで自分が一人前の大人に近付けた気がして、心地良かったんだね」
「……はい」ありすは頬を赤く染めた。図星を突かれて恥ずかしかったのだ。
「分かるよ、その気持ち」ナイトウィングは彼女に向けて返した。だが、その言い方はどうも自嘲しているように聞こえた。「あぁ、すっごく、ね」
「え……?」ありすは問い返す。ナイトウィングを見ると、彼は参ったように頬を掻いて続けた。
「僕も昔……そう、まだロビンだった頃にね、バットマンと別行動をする事があると、本当に嬉しく思えたんだ。単独行動をするってのは、まるで一人で世の中を渡り歩いている気になれたからね。でも、本当の一人前って言うのはそれだけで務まるものじゃあないんだって、その内気付かされたんだ」彼はやるせのない声で言った。ナイトウィングは悔やむような苦笑いを浮かべ、ありすの事をジッと見詰める。「そうさ、ただ一人で好き勝手しているのが一人前って言うんじゃあないよ。物事や己の力を見極めて、その結果を考えて行動出来る人……それをきっと、一人前って言うんだろうな。まぁ、僕もまだまだな所があるから、そんな偉そうな事は言えないんだろうけどさ。でも、そう言う事なんだろうなって思うんだ」
「物事や己の力を見極めて……結果を考えて行動出来る……」
「全く、君は本当に真面目で、優しい子なんだね。君くらいの歳で自分以外の誰かの事を案じられる子なんて、そうそういないよ。だけどその代わり、ちょっと物事が見えてなかったんだろうね。少し、無茶をし過ぎたね」
ありすは視線を険しくしながら押し黙った。そう言われてしまえばその通りなのだ。彼女には、少し考えすぎてしまうきらいがある。そしてその思考は、しばしば空回りをして、盲目的な行動に取らせてしまう事が多々あるのだ。それは、教師だとか友人だとかの周囲の人間達から、面倒な奴だと言われる程度には多い。
ナイトウィングが穏やかな口調で続けた。
「けど、いいかい? 君のご両親は家族だから……親だから、君の為に生きてその身を案じているんだ。それが彼らの義務で、責任なんだよ。確かに君が想像する通りに、彼らは自分の行いに対して負い目を抱いているかも知れないけれど、それで君が後ろめたさを感じる必要なんて全く無いんだよ。だって、我が子の為にその身を捧げるのが、親となった者の使命だからさ。どれだけ月日が経とうが変わらない、唯一無二の……絶対のね」
どこか重いものを感じる言葉だった。それは彼がバットマンに対して何かを抱いているからなのだろうか。それとも、実の両親に対してか。確証は無いが、ありすはそう思った。
「君が気に病んだり、気を急いたりするのはよく分かるよ。僕もそうだったからさ。だけど、そうやって焦って無茶な事をする必要なんて、全く無いんだよ。君はまだ、人生を歩き始めた、幼い子供なんだからさ……」
そうだ、分かっている。と、ありすは思うとともに、自らの内に激情が湧いてくるのを感じた。そう幼いだとか子供だとかと言われると嫌味のようにしか聞こえなくて、事実であると受け入れる気持ちよりも悔しさと憤りに駆られるのだ。ありすは顔をしかめ、視線を尖らせてナイトウィングを睨み付けた。それが八つ当たりである事も薄らと気付いていたが、そうせずにはいられなかったのだ。
ナイトウィングは僅かに表情を変えたが、再び穏やかに続けた。
「これから物事や、自分の力を見極めていく内に、自分なりの方法って言うものが必ず見付かるからさ」
ややあって、ありすはゆっくりと口を開いて、彼に問い掛けた。
「だとしたら、つまり、今の私が早く一人前になりたいって思うのは無駄な焦りで、時間が解決してくれるのをただ待つしか無いって事ですか?」
「そんな酷く捉えないでもいいのに」ナイトウィングは唖然とするように答えた。「でも、厳しい言い方が必要なら……身の丈を弁えない行いで、大切な人に余計な心配を掛けてしまえば、それはどう足掻いても無駄な焦りになってしまうんだろうね。だから今の君は、もっとゆったり構えてていいんだよ」
「そんなの、嫌です……!」ありすは立ち上がり、ナイトウィングを真っ直ぐに睨み付けて言った。「今すぐ解決したいんです、私は! もっと早く、一人前になりたいんです……!」
もうそれ以上に言葉は出なくなっていた。もっと上手く言えたはずだろうに、思いの丈を全てぶつけた後のように、何も思い浮かばなくなっていた。ありすはただ体を強張らせて、握り締めた拳を震わせて、ナイトウィングを見るだけとなっていた。
※
なんだか、懐かしい感じがする。と、ナイトウィングは少女の事を見て思った。子供染みた――実際子供だが――意固地さと怒りのままに睨み付ける姿は、まるで昔の自分のようではないか。昔の……両親の仇を討つべくすぐにでも力を欲していた、齢十かそこらのガキであった自分と。そして、バットマンのサイドキック・ロビンとして、彼を支えようと必死になっていた、あの頃と。
結果が欲しいと生き急いでいたのを覚えている。認められたいと無茶をしていたのが忘れられない。あの頃の自分はきっと、今の彼女のように逸る気持ちを抑えられないでいたのだろう。
だからこそ、ナイトウィングは彼女の心を無碍にはしたくはないとも思えた。今必死に奮い立とうとしている所を冷酷に切り捨てられた時、その胸に湧く気持ちや刻まれる傷跡を彼は知っているからだ。
だが、かと言って諸手離しで好きにやらせておけば、取り返しのつかない失敗となって、大きな代償を支払う事になる。最悪それは、金銭や物品なんかを遥かに飛び越えて、生命で賄う事にもなりかねない。そうして死んだ『ロビン』を彼は知っている。後に蘇ったとは言え、それは酷く辛い経験だった。
このまま放置すれば、この少女はいずれまた同じく気が急くままに無茶をして、何かに失敗するだろう。その時にすぐに手を伸ばして支えられる者――良く言えば導き、悪く言えば手綱を握る誰かが必要だ。それは本来なら両親が担うべき役目だが、彼女の傍に付きっきりにはなれないのだろうし、そもそも彼女が拒むのも目に見えている。別の誰かでなくてはならない。
となると、今取れる手で残るは……。
ふとナイトウィングは、かつての師に思いを馳せた。バットマンもロビンを作り出す前は、そして共に過ごしていた時も、こんな気分だったのだろうか。傍に置くと言う事で護り、制し、成長させ、より良い未来へと導く。そう思っていたのだろうか。ナイトウィングは、その中での彼の失敗を身を以て経験している。同じ轍は踏まずに、しかし彼の行いを倣う事も出来るはずだ。より良き方向で。
「そうだな……じゃあ、下手な無茶をしでかさなくとも、手段を探しに行ける術を教えよう」ナイトウィングは腰のポーチから紙片を取り出して彼女に差し出した。「本当にどうしても、一刻も早く一人前になりたいって気持ちが止まないのなら……ここに連絡してみて。勿論、ご両親ともしっかり話し合ってからだけどね」
それは所謂名刺と言う奴だった。ウェインエンタープライズからの出向社員として、スタークインダストリーズ日本支社広報部アイドル事業課の文字と共に、リチャード・グレイソンと言う名が刻まれている。
「彼は僕の友達だ。ちゃんと話を聞いてくれるから、心配はいらないよ。信じてほしい」
社会的に見れば、新入りの自分がいきなりこう言った行動に出るのは、少々と分をわきまえない増長した行いに見られかねないかも知れないが、今この導きを必要とする迷える幼子を放り出して、見て見ぬ振りをするくらいならば、叱られて白い目で見られるくらい安いものだ。ナイトウィングは小さく自嘲した。
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ありすはスターク社のアイドル事業課とその企画――通称はシンデレラガールズ――について、少しばかり知っていた。歌の仕事に興味を持っているので、いくつか簡単に調べた事があるのだ。シンデレラガールズは単なるスターク社製品の宣伝用アイドルユニットなどではなく、市民に根付いたヒーローへのマイナスイメージの払拭を主たる目的とした、少々特殊な企画であり、その舞台も、基本的には動画発信や日本国内でのイベント・メディアへの出演が主だが、本社や出資企業の関係で世界各国へと出向いて活動を行う事もあるのだと言う。
「この業界なら、そしてこの場所なら、色んな所に連れて行ってくれるし、いろんな事を経験させてくれるだろうからさ。きっと、君の探し求める一人前に近付ける何かに、巡り会えるかも知れないね」ナイトウィングは穏やかにそう言った。ありすは仮面越しに彼の瞳をジッと見詰め返した。レンズによって見えるはずも無いのに、真摯な目を向けているように思えた。
確かに、とありすは妙に冷静な部分でそう思った。月並みな言葉で言えば幅広く活動しているこの企画ならば、自分が思いも付かないような可能性にだって巡り合い、挑戦出来るかもしれない。ありすは黙ってその名刺を見やった。
少しの間、推し量るような沈黙が続いた後、遠くから聞こえるパトカーのサイレンに気付いて、二人は同時に視線を巡らせた。段々と近付きつつあるそれは、間違いなくナイトウィングの呼んだ市警からの応援だった。
「もう間も無く着く頃かな。……さて、お嬢さん。警官が来たら、ちゃんと説明出来るかい?」
「え、あ、はい」問い掛けに気付いたありすはハッとして、コクリと頷いて返す。
「そうか。それじゃあ……」ナイトウィングがグラップネルガンを取り出しながら言った。「僕はそろそろ行かなくちゃあな」
「え、どこへ……?」
「いてほしくはないが、君のように困っている人が他にもいるかも知れないからね」
サイレンが間近に止まり、赤い明滅が暗がりの角に差し込む。二人程の足音と話し声が聞こえ、次第に大きく近くなる。
ナイトウィングはそのほうを一旦見やってから、グラップネルガンを頭上に構えた。ありすは今にも飛び去らんとする様子の彼に向けて声を掛けようとした。だがそれよりも早く、彼は上空へ向けてワイヤーを撃ち放ち、宙へと躍り出ていた。
「あ、そうだ」巻き取り機能で上昇する最中、ナイトウィングはふと一旦壁面に立つようにして留まる。それから、彼を見上げるありすに対して言葉を投げ掛けた。「誰の紹介かって聞かれたら、こう答えて。『ナイトウィングから』ってね。それできっと分かるはずだから」
ナイトウィングが気障ったらしく手で礼をしてからビルの屋上に姿を消すのと、路地に警官が二人雪崩れ込んでくるのは、正に同時であった。
ありすは警官達に保護される中、彼が去った夜空を見上げ、それから掌に残された一枚の名刺に目を落として呟いた。
「ナイト……ウィング」
彼女の中で、その存在は強く印象に残った。同時に、強い興味も惹かれた。警察署での事情聴取や、両親が泣き声で投げ掛ける説教と謝罪の中でも、常に心のどこかで、願わくばもう一度会ってみたいと思い浮かべている程に。
名刺にある名前は、確か友人だと言っていたな。ならばもしかすると、ここに行けばまた会える可能性があるかも知れない。
ありすは、自宅に戻って自室のベッドで眠りに落ちるまで、ずっと、その名刺を大切に握り締めていた。
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誘拐未遂事件から数日が経った頃。
ありすは両親から買い与えられた――恐らくは、不必要な外出を防ぐ為の措置なのだろう――タブレット端末を使い、スタークインダストリーズ日本支社アイドル事業課についてを調べていた。どうやら地方からスカウトされた人員向けの寮があり、仕事との兼ね合いでも融通が効く学校への転入もしっかりと支援してくれると言う。これなら一人で生きる予行演習にもなるかも知れない。ありすは勇気を振り絞って、己が胸中を両親に打ち明けてみる事にした。
当然、両親からは反対の声が上がった。ありすの身を、そして将来を案じるが故の反対だった。納得の行く内容でもあった。しかしありすにも譲れない想いはある。
一度では説得しきれず、幾度もの家族会議が開かれた。だが、その度に、ありすの心は堅く、強く、意思を高めていった。ある意味では、またもや盲目的になっているとも言えたが。
この優しい両親に身を案じられ、守られ続けるのではなく、こちらも二人を守り、共に立って歩めるような存在にならなくては。
信念と言うには執着の過ぎる想いの果てに両親を根負けさせて、ありすは、自分を責め立てる心苦しさと焦りを打ち払うべく、シンデレラガールズへの扉を叩くのであった。