魔法少女リリカルなのは バカの参戦Ⅱ   作:セイイチ

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第三話 

 僕がレオを保護してから一週間たったある日の平日。

 僕は大いに困っていた。

 その理由は

 

 「おーい、レオ~」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 「レオってば~」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 「無視は良くないと思うんだけどな~」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 このように、レオと一切コミュニケーションが取れないのだ。

 

 「今日の夕飯は何が食べたい?」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 何を言っても無視。

 常に僕と一定の距離を保ち、常に警戒されていた。

 おかげで僕はいつも独り言を言ってるような気分にされる。

 これは正直つらい。

 レオが反応する事と言えば

 

 「今日はヴィヴィオ帰って来ないんだって(ボソッ)」

 

 「っ!? ‥‥‥‥‥‥」

 

 「嘘だよ」

 

 ヴィヴィオに関する事だけだ。

 それも言葉は発さずに、一定の距離をあけたまま、さめざめと泣きだすだけだ。

 昔から子どもには好かれる方だったから、子ども相手にこんな状況に陥るのは生まれて初めての事だ。

 そんな僕に取っては、レオがいるからと、店を開けずに家で待機してるのは非常に辛い時間だった。

 

 「‥‥‥‥‥‥ねぇ、レオ?」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 ダメだ。いくら話しかけても反応してくれない‥‥‥‥‥

 と、僕が困っていると

 

 「ただいま~」

 

 「「お邪魔しまーす」」

 

 ヴィヴィオがコロナちゃんとリオちゃんを連れて帰って来た。

 おお、ヴィヴィオ! ようやく帰って来たか!

 僕はようやく辛い時間が終わると、喜んだのだが

 

 「おかえり! ヴィヴィオ姉ちゃん!」

 

 レオは僕よりも喜びが大きいようで、帰ってきたばかりのヴィヴィオにすぐさま抱き着いた。

 

 「わっ! もうー、いきなり飛びついてきたら危ないっていつも言ってるでしょ?」 

 

 「うん! ごめんなさい!」

 

 「全然分かってないし‥‥‥‥」

 

 レオはあれから、僕にはちっとも心を開かないのにヴィヴィオの事はどんどん慕っていき、今ではヴィヴィオの事をお姉ちゃんと呼び、ヴィヴィオが学校から帰って来ると直ぐに抱き着くのが日常になっていた。

 

 「あはは。相変わらず、レオはヴィヴィオにべったりだね~」

 

 「もう本当の姉弟みたいだよね~」

 

 ヴィヴィオがレオの事を紹介したから、コロナちゃんとリオちゃんもレオの事は知っている。

 しかも

 

 「ほら、レオ? 二人にちゃんと挨拶は?」

 

 「うん。‥‥‥‥‥コロナさん、リオさん、こんにちは」

 

 「「こんにちは」」

 

 二人ともヴィヴィオ程ではないが懐かれていたりする。

 僕には全然心を開いてくれないのに‥‥‥‥‥

 とまぁ、こうして落ち込んでも仕方がないので

 

 「二人ともいらっしゃい」

 

 僕は明るく、コロナちゃんとリオちゃんに挨拶する。

 

 「あ、明久さん。お邪魔します」

 

 「今日もレオの子守ですか?」

 

 言葉のキャッチボール。

 普段は何気なく行っている行為だけど、ちゃんと会話が成立するって素晴らしいな‥‥‥‥‥‥‥

 感動で涙が出そうだ。

 

 「うん。でも、相変わらずレオは口を利いてくれないんだけどね?」

 

 「あー、レオは相変わらずなんですね‥‥‥‥‥‥」

 

 「私達とはお話ししてくれるのに、なんででしょうか?」

 

 それは僕が教えてほしいくらいだ。

 昔から子どもには問答無用で好かれてたのに、何故かレオからだけ避けられてるんだよね‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 「パパが何かしたからじゃない? ママ達とは少しずつだけど喋るようになってきたじゃん」

 

 確かにヴィヴィオの言う通り、なのはとフェイトは少しずつレオと話せるようになってきてるから、僕だけがレオと話して貰えないわけだから、何かしたと言う可能性も大いにあるだろう。

 けど

 

 「何かしたかな‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 僕には何かした記憶が一切ない。

 むしろ襲撃者から助けたはずなんだけどな‥‥‥‥‥

 

 「ってパパは言ってるけど、レオは何かさられた記憶はある?」

 

 「ない。‥‥‥‥‥‥‥‥でも、あの人は怖い‥‥‥‥‥」

 

 何もしてないのに怖がられる僕って、いったい‥‥‥‥‥‥‥

 

 「あ、明久さん、大丈夫ですよ!」

 

 「私達は怖いとは思ってませんから! むしろ優しくて良い人だと思ってますよ?」

 

 落ち込む僕を励ましてくれる二人。

 なんて良い子達なんだ。

 少しはレオにも見習って欲しいものだ‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 「ヴィヴィオ姉ちゃん、遊ぼう」

 

 言ってるそばからこれだ。

 僕を無視して、ヴィヴィオの事しか見ていない。

 誰のせいでコロナちゃんとリオちゃんが、気を遣ってくれたのか分かってるんだろうか?

 と、僕がレオの事で頭を悩ませていると

 

 『マスター、メッセージを受託しました』

 

 ドラグーンからメッセージが届いたと声を掛けられる。

 

 「メッセージ? なのはかフェイトから?」

 

 今、なのはとフェイトの二人は元機動六課のメンバー召集に応えて、新生機動六課が職場となっている。

 そのため、事件が解決するまでの、しばらくの間は24時間勤務となっており、この家には帰って来ず六課の宿舎に住んでいる。

 だから、今送られてきたメッセージは二人の内、どちらかが近況報告などで送ってくれたものだと思ったんだけど

 

 『いえ。差出人不明です』

 

 どうやら違うかったようだ。

 差出人不明って事は僕の知らない人だろうか?

 でも、それだと何で僕の端末にメッセージなんて送って来るのか分からない。

 差出人不明のメッセージ。なんとも不気味だ‥‥‥‥‥‥

 

 『マスター開きますか? このまま開かなくては、誰が何の目的で送って来たのか分かりませんよ?』

 

 「‥‥‥‥‥そうだね。誰が送ってきたのかは知っときたいしね」

 

 それで迷惑メールとかなら、無視すればいい事だしね。

 

 『では開きますので、ご自分でご確認ください』

 

 そう言って、ドラグーンは送られてきたメッセージを映し出した。

 えーっと?

 

 

 『この度は突然の連絡ですみません。

  今回、連絡させてもらったのは他でもありません。

  アナタが何故、機動六課メンバーの召集を拒否したのか知りたいからです。

  一度直接会って、お話しをさせてもらいたいので、今からアナタの家の近くの公園に来てください。

  尚、拒否された場合は後日、ご自宅の方にお伺いする事になりますので、そのつもりで

 

                   新生・最高評議会秘書、エレン・ミシェル』

 

 

 ‥‥‥‥‥‥‥これはいったい、何の冗談だろうか? 

 そもそも僕は管理局の人間じゃないんだから、こんな事を言われる筋合いはないんだけどな‥‥‥‥‥‥‥

 と言うか、エレン・ミシェルって誰? 新生・最高評議会って何?

 

 『その秘書とやらは知りませんが、新生・最高評議会と言うのは、管理局のトップの事だと思いますが?』

 

 「そうなの? じゃあ、なんで新生? 前の最高評議会はどうなったの?」

 

 『‥‥‥‥‥‥‥知らないんですか? 三年前に起きたJS事件で、前最高評議会のお三方が亡くなられて、今では管理局の実質的なトップの役職として、新生・最高評議会ができたんです』

 

 ‥‥‥‥‥‥‥どういう事?

 

 『マスターにも分かるように言うと、最高評議会と言うのは陸と海の全部隊のトップだと言う事です』

 

 「いやいやいや。ちょっと待って。そう言う事じゃなくて、最高評議会の人が死んでたってどういう事?」

 

 『ああ、それは超機密事項でしたね。忘れてました』

 

 「待て。さらに待て。なんでドラグーンはそんなこと知ってるの?」

 

 僕でも知らない超機密事項をなんでドラグーンが知ってるんだ?

 僕がその事を知らないんだから、ドラグーンだって知る手段はないはずなんだけど‥‥‥‥‥‥‥

 

 『ハッキングしました。ザボルグさんの力を借りれば楽でしたよ?』

 

 おい! さらっと恐ろしい事を言うな!

 それバレたら僕が怒られる奴でしょ!?

 主の許可も無しにコイツはなんて事をしてるんだ!?

 

 『それと、念のために言っておきますが、JS事件後、地上本部の事実上のトップだったレジアス中将が事件に絡んでいた事が、レジアス中将の死後に発覚して、それから今後はそう言う事が起こらないように、最高評議会が管理局全体のトップの役職になったそうです。これは普通に公式に発表されてますね』

 

 「僕に取っては二個目はどうでも良いよ! どう言う経緯で、最高評議会が管理局全体のトップになったのかなんて、微塵も興味がないよ! それよりも、ハッキングってどう言う事なのさ!?」

 

 『そのまんまの意味ですが? ザボルグさんに雷の力を利用すれば、ハッキング等も楽にできるかな? と言う好奇心でやってみたら、とんでもない事実を偶々知っただけですから』

 

 偶々で管理局の超機密事項を知る事になった僕っていったい‥‥‥‥‥‥

 多分これ、なのは達も知らないと思うんですけど‥‥‥‥‥‥?

 

 『まぁ、ハッキングは仕方ないですよね? 秘密にされたら余計に知りたくなるのが人情ってものですよね』

 

 「前から言おうと思ってたけど、随分自由なデバイスだな! それと、君はデバイスであって人じゃないでしょ!!」

 

 『じゃあ、AI魂ですかね?』

 

 「お前以外で、そんな勝手な事をする奴はいないよ!!」

 

 他の皆のデバイスは、ちゃんと主の言う事を聞くんだから、ドラグーンだけが変わってるのは間違いない。

 そして他のデバイスは好奇心のためにそんな事はしない。

 

 『頼もしいでしょ?』

 

 ハッキングまでできるとか、優秀なデバイスなんて物じゃない。もはや兵器だ。

 頼もしいとかじゃなくて、純粋に怖い。

 

 『まぁ、一度やったら好奇心は満たされたので、もうしませんから安心して下さい』

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ホントに」

 

 『はい。案外簡単でしたので』

 

 やらない理由が一々怖い。

 ホント、とんでもない奴だ‥‥‥‥‥‥

 

 「‥‥‥‥‥‥‥お願いだから、僕を巻き込まないでね? 嫌だよ? デバイスが暴走して捕まるとか絶対嫌だからね?」

 

 『その辺は大丈夫です。マスターが喋らなければ、誰にもバレるような事はありませんから』

 

 なんて自信なんだ‥‥‥‥‥‥‥‥

 管理局の超機密事項を調べられるだけでも驚きなのに、絶対にバレないと言い切れるなんて‥‥‥‥‥‥

 

 『と、大分話が逸れましたが、マスターはその秘書とやらに会いに行くんですか?』

 

 「‥‥‥‥‥‥‥行くよ。とりあえずは」

 

 僕が行かなくて、なのはやフェイトに迷惑が掛かったら困るしね。

 二人とも管理局で、あんなに頑張ってるのに、僕が二人の迷惑になるような事をするわけにはいかない。

 と言うわけで

 

 「ヴィヴィオ」

 

 「はーい。‥‥‥‥‥どうしたの? パパ」

 

 「ちょっとだけ外行ってくるから、少しの間だけレオの事頼める?」

 

 僕は詳しい事情は話さず、出かける用ができた事をヴィヴィオに伝えた。

 

 「頼めるも何も、パパが家に居たって、レオはヴィヴィオの所に来るんですが?」

 

 うん。言われてみれば、その通りだ。

 僕はレオの面倒はほとんど見てなかったね。

 避けられてるから‥‥‥‥‥‥‥

 

 「まぁでも、一応了解。パパが帰って来るまではヴィヴィオが責任を持って、レオの面倒を見ておきます♪」

 

 ヴィヴィオはウィンクをしながら、任せておけと言ってくる。

 ホント、我が娘ながらしっかりした子だ。

 

 「なので、パパは安心してお出かけしてきてください」

 

 「ごめんね? 直ぐ近くにいるから、何かあれば直ぐに戻って来れると思う。何かあれば連絡してね?」

 

 一応レオは変な組織から脱走してきてる身だ。

 奴らの目的が何であれ、レオをもう一度襲ってくる可能性は大いにあるだろう。

 

 「平気だよ。ママ達のおかげで、レオの護衛のために管理局の人達が近くで待機してくれてるんでしょ? なら、パパが居なくても大丈夫だって」

 

 「それでもだよ。何が起こるか分からないんだから、僕が戻ってくるまでの間は注意しといて」

 

 「うーん。大丈夫だと思うんだけどな‥‥‥‥‥。まぁ、パパを心配させたくはないし、注意はしておくよ」

 

 「うん。ありがとう。なるべく早く戻ってくるから、それまでよろしく」

 

 「はーい。いってらっしゃい♪」 

 

 僕はヴィヴィオに見送られて、家を出る。

 レオを保護した翌日から、なのはとフェイトの二人が管理局にレオの護衛を要請してくれていた。

 そのおかげで現在、この近辺には管理局の魔導師が数人配置されている。

 

 「まぁ、もしレオが襲われても、局の人が守ってくれるよね?」

 

 もし無理でも足止めくらいはしてくれるだろうし。

 

 『まぁ、直ぐに連絡をくれれば、マスターもレオさんの護衛ができるでしょう。‥‥‥‥‥ですが』

 

 「分かってるよ。あんまり時間は掛けないよ。それこそ何が起こるか分からないからね」

 

 僕はドラグーンと会話しながら、急いで家から徒歩3分の目的地へと向かったのだった。

 

 

           ☆

 

 

 僕が公園に着くと

 

 「失礼。間違っていたらすみません‥‥‥‥‥‥‥アナタが吉井明久さんですか?」

 

 メガネを掛けていて、隊服を着ている、頭の良さそうな一人の女性に声を掛けられた。

 

 「は、はい。そうですけど‥‥‥‥‥‥」

 

 「申し遅れました。先程連絡させていただいた、エレン・ミシェルです。エレンと呼んでいただければ」

 

 どうやら、この頭の良さそうな人が僕を呼び出した人のようだ。

 

 「はぁ、どうも‥‥‥‥‥」

 

 とりあえず頭を軽く下げる僕。

 一応、管理局でも偉い人の秘書をしてるみたいだから、これくらいは当然だろう。

 本来、僕は管理局とは関係ないはずだけど‥‥‥‥‥‥‥

 

 「来ていただいて早々申し訳ないんですが、これでも忙しい身なので、早速本題に入らせてもらっても構いませんか?」

 

 忙しいのなら、最初から来なければいいのに‥‥‥‥‥‥

 まぁでも、早く終わらせたいのは僕も一緒だ。

 ここは黙っておこう。

 

 「‥‥‥‥‥ありがとうございます」

 

 エレンさんは僕の無言を肯定と受け取り、本題とやらを話し始めた。

 

 「吉井さん、率直に言います。六課に入ってください」

 

 どうやら本題と言うのは、メッセージでもあったように六課に関する事のようだ。

 

 「今回の召集は吉井さん以外、全員の方が承諾しています。あなたは何が気にらなくて拒否するのですか?」

 

 「いや、何が気に入らないとかじゃなくて、僕は民間人なんですが?」

 

 そもそも六課が担当する事件は、次元世界全体に関する事件だ。

 管理局の人間じゃない僕が、入って何かの役に立つとは思えない。

 

 「それは存じております。ですが、アナタは三年前のJS事件の際には、機動六課に所属していて”ゆりかご”の撃墜に大きく貢献したではありませんか」

 

 「そう言われても、あの時は色々と事情がありまして‥‥‥‥‥‥」

 

 あの時は急にミッドチルダに転移させられて、帰る方法が分からなかったから六課に入っただけだし、その後戦ったのもヴィヴィオを助けたかったからだ。

 それに”ゆりかご”の撃墜を成し遂げたのは、なのはとヴィータの二人だし‥‥‥‥‥

 

 「今回も相応の理由があると思いますが? それとも、次元世界が消滅してる事件を解決するのに、自身が動くには値しないと?」

 

 「そう言うわけじゃないですよ? あ、いや。でも、逆に僕程度の力じゃ役に立たないと思いますよ? 何度も言いますが、僕は民間人ですから‥‥‥‥‥‥」

 

 「元龍の力を扱えるアナタは普通の民間人とは違うでしょ?」

 

 「そう言われても、実際に僕には何の力も‥‥‥‥‥‥‥ん?」

 

 あれ? 今、この人なんて言った?

 

 「すみません、エレンさん。さっき何とおっしゃいましたか?」

 

 僕の耳が聞き間違いをしていなければ、この人、元龍って言わなかった‥‥‥‥‥‥? 

 

 「元龍の力を使えるアナタは普通の民間人ではない。ですか?」

 

 どうやら僕の耳はちゃんと機能していたようだ

 って、暢気にしてる場合じゃない!

 

 「な、なんで知ってるんですか!?」

 

 僕が元龍の子孫で元龍の力を使えると言う事は、JS事件に関わった六課のメンバーとスカリエッティ一味、あとは娘であるヴィヴィオだけで、この人が知っているはずはないと思っていたのだが

 

 「JS事件を少し調べれば分かります。風の元龍の力を完全に操っていた、扇風月を単独で止められるのは、同じ元龍の力を持つ者だけです。そして扇を止めたのはアナタだと、記録に残っています。なので、管理局の上層部ならその気になれば全員知る事ができます」

 

 僕の個人情報は管理局には筒抜けだった。

 うぅ‥‥‥‥‥。

 平和な生活をこよなく愛する僕に取って、その情報は不必要なんだけどな‥‥‥‥‥‥‥

 

 「今回の事件は世界が消滅すると言う、極めて規模の大きな事件です。この事から、何らかのロストロギアが、それも”ゆりかご”よりも強力なロストロギアが関係していると思われます。そんな事件だからこそ、今回の事件は”ゆりかご”を撃墜させた機動六課に担当させると言うのが最高評議会の決定なんです」

 

 「え? この事件って自然災害とかじゃないんですか?」

 

 「今までで、合計12個の――いえ、先日また一つ消えたそうなので13個ですね。合計13個の世界が全て、偶然起きた自然災害で消滅したと本気で思ってるんですか?」

 

 ‥‥‥‥‥‥言われてみれば、その通りだ。

 僕はてっきり何らかの自然災害が原因で、その原因を調べるのが六課の仕事だと思ってたけど、この事件が自然災害なら偶然13個も世界が消えた事になる。

 偶然にしては数が多すぎるな‥‥‥‥‥

 

 「じゃあ、六課の仕事内容って、何のロストロギアなのかを調べて、それを確保する事なんですか?」

 

 なのはとフェイトから詳しい話は聞いてないけど、もしそうなら、この事件は簡単には終わらないだろうし、かなり危険な物になるだろう。

 

 「機動六課の見解では、今回の事件は元龍が絡んでる可能性が高いと言うものでしたので、その場合は元龍の逮捕が仕事ですね」

 

 「元龍!? そんな話、聞いてないんですけど!?」

 

 もし相手が元龍の子孫なら、ロストロギアよりも性質が悪い。

 ロストロギアの場合は原因のロストロギアを発見次第、封印すれば終わる。

 けど、元龍が相手なら今回の事件は人為的な物で、元龍を力尽くで逮捕しないといけない。

 危険度は倍増では済まないだろう。

 

 「元龍の事に気づいたのは、吉井戦技教導官と吉井執務官らしいですよ? なんでも、世界を消滅させる力を持ってるのはロストロギアだけではない。むしろ、”ゆりかご”よりも強力で、未だに何のロストロギアなのか分からないなら、元龍の方が一瞬で世界を消滅させられる力を持つ分、可能性が高いと言う事です」 

 

 吉井って事は、なのはとフェイトの二人の事だろう。

 二人ともそんな事は一言も言ってなかったのに‥‥‥‥‥‥‥‥

 いつから気づいてたんだろう‥‥‥‥‥‥‥?

 

 「ですので、ちょうど一週間前から元龍が犯人と言う線で捜査を進めているようですね」

 

 「一週間前‥‥‥‥‥‥‥ちょうどレオを保護した日だな。と言う事は、あの日に二人は何かが原因で、その事に気づいたって事になるんだろうけど、何か変わった事は‥‥‥‥‥‥」

 

 僕は、あの日の事を真剣に思い出そうと頭を捻る。

 あの二人が”元龍”関連で何かに気づくとしたら、僕を見てだろう。

 なら、僕は絶対にその時の事を知ってるはずなのだ。

 と、僕が必死に過去の記憶を呼び戻し始めて、数分。

 僕はようやく気づいた。

 

 「朝食の時か!!」

 

 二人が”元龍”に気づいたのは朝食の時だと。

 二人はあの時、同時に何か気づくと慌てて出て行った。

 あれが”元龍”に気づいた時だったようだ。

 

 「どうやら、お心辺りがあるようですね。‥‥‥‥ですが、今はその話ではありません。アナタの協力を得られるかどうかの話です」

 

 僕が一週間前のあの日に、その事に気づかなかった事を悔やんでいると、そんな事を言われる。

 確かに、今の話を聞いたら僕は六課に入るべきだろう。

 世界を消せる力を持ってるって事は、ソイツはユニゾンも使える可能性が高い。

 そんな危ない奴と、六課の皆を戦わせたくはない。

 けど

 

 「‥‥‥‥‥‥‥それでも、今の僕には協力できない」

 

 今の僕は自由ではない。

 六課に入ると言う事は、学校に通っている9歳の娘を家に置いて、僕も事件を解決するまでの間、家を空けないといけないと言う事になる。

 しかも

 

 「それは保護している子がいるからですから?」

 

 この人の言う通り、僕はレオを保護している。

 レオは変な組織に狙われている可能性が高い。

 これも立派な事件なわけだけど、そこまで重犯罪ではないので、配置されてる人員は普通の航空魔導師の人達で、エースやストライカーと呼ばれる人たちではない。

 レオを置いて行く事もできない。

 

 「それとSt.ヒルデ魔法学院に通っている娘さんの事もありましたね」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥何で知ってるの?」

 

 「交渉する際に、相手の事を事前に調べておく事は常識ですので」

 

 どうやら、この人は僕の事をかなり調べていたようだ。

 割と本気で、僕の個人情報がちゃんと守られてるのか心配になってくる。

 けどまぁ

 

 「知ってるなら話は早いですね。アナタの言った理由から、僕は六課に行く事はできないんです」

 

 この事を事前に知ってたら、なのはかフェイトのどちらかと変わるなり、両方と変わるなりできたんだけど、それは今さら言っても仕方がない。

 あの二人が”元龍”に気づいた時に僕も気づいていれば、こんな事にはならなかったのに‥‥‥‥‥‥

 

 「一応確認しますが、以前はどうであれ今現在、アナタが六課に入らない理由はそれだけですか? 今なら、その不安な要因さえ取り除けば、アナタは六課に入るんですか?」

 

 「それだけって‥‥‥‥‥‥‥それが一番の問題点なんですけど? 言っときますけど、僕は二人を置いて六課に入る事はありませんよ?」

 

 とは言え、それさえ解決すれば、この人の言う通り六課に入るけど‥‥‥‥‥‥‥

 

 「分かりました。では準備だけはしておいて下さい。この事は最高評議会に話しますので、おそらく何とかするでしょう。三人の最高評議会の内の一人、一番権力を持つ議長がアナタの六課入りを強く希望していますので」

 

 「‥‥‥‥‥‥は? なんで?」

 

 議長が僕の六課入りを強く希望? 

 一度も会った事がないのになんで?

 と、僕は不思議でいっぱいになるのだが

 

 「さあ? そこまでは知りません。ただ、議長は”元龍”がこの事件に関わりがあると聞く前から、アナタをこの事件に関わらせたがってましたね」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんで? ”元龍”関係ないなら、わざわざ僕を指名する必要はないと思うんだけど‥‥‥‥‥‥‥」

 

 僕はますます不思議な気持ちにさせられた。

 議長どころか、最高評議会とも接点がないんだけど、ホントになんでそんな事になってんの?

 

 「分かりません。それは他の議員と書記の方も不思議に思われてましたしね。まぁ、もしかしたら、議長は”元龍”の事に気づいていたのかもしれませんけど」

 

 エレンさんはそう言ったが、僕は何となく違う気がする。

 議長がそう思ってるなら、初めからそれを僕に言えば良い。

 そうすれば、こんな風にエレンさんを僕に寄越して、六課に入るように勧誘する必要はなかっただろう。

 と言う事は、他に理由があるはずだ。

 何か、この事件に僕を巻き込まないといけない、何か特別な理由が‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 「では準備だけはしておいて下さい。子ども達の件は何不自由ないよう、手配しますので‥‥‥‥‥‥‥」

 

 そう言って、エレンさんはこの場から去っていた。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥”元龍”か」

 

 この事件に”元龍”が関係していて、議長が何やら怪しく、別件でレオは変な組織におそらく狙われている。

 そして僕はその全てに関わる事となった。

 最近頻繁に思うのだが

 

 「僕って、事件に巻き込まれ過ぎじゃないかな?」 

 

 始めはJS事件。

 そのJS事件から三年後には、次々と湧き上がる謎の事件が今の所二つ。

 しかも、この三つのうち、二つが”元龍”が関係している事件だ。

 どう考えても、平和を好む、普通の民間人には無縁の出来事のはずなのに、全てに関わる僕っていったい‥‥‥‥‥‥

 

 「はあー」

 

 僕はこの呪いに掛かったかのような状況に、ため息を吐かずには入られなかった。

 そしてこの後、家に帰った僕は

 

 「女の人みたいな香水の匂いがする」

 

 と、レオがヴィヴィオに言った事が原因で、僕はヴィヴィオに浮気を疑われ、今の話を全てヴィヴィオに話す事となったのだった。

 いずれは話さないといけなかったにしても、今すぐにそんな状況に陥るとは思いもしなかった。

 どうやら、最近の僕はとことん不幸な目に合うようだ‥‥‥‥‥‥‥

 

 

 

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