魔法少女リリカルなのは バカの参戦Ⅱ   作:セイイチ

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感想でなのは達に何があったか、今回明かす予定と言ったな。
あれは嘘だ。

……はい。すみません。完全に自分のミスです……。
いやね? 最初は明かす予定だったんですよ? けど、時間を空けてしまったせいで順番が変わったと言いますか、何と言いますか……。
その……結論だけ言うと、なのは達に起こった出来事は後で書こうかな~。と思いまして……

と言うわけで、今回の話ではなのは達に何が起こったかは書かれていませんので、ご了承くださいm(__)m

それと、久しぶりに書いたんで、まやもや文章が所々変になっているかもしれませんので、それと重ねてお詫びいたします……

とまぁ、言い訳はこれくらいにして、そろそろ本編をどうぞ!



第五話 

 目の前には黒い空間が広がっていた。

 

 「ここはいったい何なの……?」

 

 答えが返ってくるなんて思ってなかったけど、僕はそう口に出さずに入られなかった。

 だってそりゃ、事前に何の説明もされずに「転移させてやる」と言われ、気がついたら自らをクロウと名のった男が水晶で見せてくれた景色ではなく、何も見えない暗い場所に放り出されたのだから、僕がこんな事を言いたくなるのも仕方がないと思う。

 と言うか

 

 「ヴィヴィオ~、レオ~見えないけど、ちゃんと近くにいる~?」

 

 本当に何も見えないけど、二人はちゃんと僕の近くにいるんだろうな?

 なんて思って、僕は結構大きな声で叫んでみたのだが

 

 「いるよ~」

 

 「…………」

 

 「あれ?」

 

 僕の耳にはヴィヴィオの声しか聞こえず、レオの声は全く聞こえなかった。

 

 「ちょ、レオ!? もしかしてレオは近くに居ないの!?」

 

 レオの声が聞こえない事で、さっきはレオの事を今は狙わないとか言っておきながら本当はレオの事を誘拐するつもりで、実際に行動に移したんじゃないか?

 なんて嫌な考えが僕の頭をよぎったのだが

 

 「レオ~。近くにいるなら返事して~」

 

 「いるよ~。ヴィヴィオ姉ちゃん~」

 

 ヴィヴィオが大声でレオを呼んだ瞬間、レオも大声でヴィヴィオの呼びかけに応じてきた。

 まさか緊急時にまで無視されるとは……。そんなに僕が嫌いなんだろうか?

 なんて僕がレオのあまりの言動に心を痛めていると

 

 『あー、あー。聞こえてるか? 雷炎龍?』

 

 どこからか、クロウの声が聞こえてきた。

 

 「聞こえてるよ……。何なの、ここは? 僕等をなのは達の所まで連れて行ってくれるんじゃなかったの?」

 

 『だから、今連れて行ってやってるだろう?』

 

 「今は何も見えない暗い場所にいるんだけど? 僕達……」

 

 なのは達の所に連れて行ってくれると言っておきながら、僕等3人は謎の暗い場所に連れて来られている。

 それがどうして、そんな発言になるのか?

 僕は嫌味のつもりでクロウにそう言ったんだけど

 

 『それでいいんだよ。俺は闇と光の龍、両方の力を持ってるって言ったろ? 俺は光の速さで移動できる力も持ってんだよ』

 

 クロウは顔を見ずとも、面倒くさがっていると分かるような口調で言い返してきた。

 

 『けど、普通の人間は光の速さで移動する事はできないだろう? だから、それを中和って言ったら変な言い方になるが、ようは光の速さを闇で中和してんだよ』

 

 「……僕にも分かる言葉で話してくれないかな?」

 

 僕は今の言葉が人語とは到底思えなかった。

 

 『あー……。やっぱりバカなんだな、お前……』

 

 「バカってなんだよ! バカって言う方がバカなんだぞ!」

 

 『お前は小学生か……』

 

 失敬な! ちゃんと高校は卒業してる。

 

 『……まぁ、今のは俺の説明も悪かったな。……ようは光の速さに耐えられるようにお前等の体を闇に包んで、その闇ごと光の速さで移動させてんだよ。俺はそんな必要ないがな……』

 

 「つまり、この闇の空間? に包まれてないと、君は自由に光の速度で移動できるけど、僕達を移動させる事は出来ないって事?」

 

 『そう言う事だ。因みに、お前等を闇で包んでるって言うのは、闇龍の力でお前等を水晶に吸い込んで、俺が水晶ごとお前等を持って移動してるって事だ』

 

 んー……。何となく分かったような、分からないような……。

 

 「あ。それと、お前等の持ってる水晶を手放すと、せっかく吸い込んだお前等の体が外に出てきて、目的地まで運べなくなるぞ」

 

 「えーっと……。つまり、僕等は水晶に吸い込まれてないと、なのは達の所まで行けないって事?」

 

 『そういう事だ。俺が運んでるのはあくまで水晶に入ったお前達だ。水晶から出たら光の速さで運べなくなり、俺が移動するのに通った道のどこかに放り出される事になるってわけだな』

 

 よし。何となく分かった

 要は、なのは達の下に行くまで手の中にある水晶を離さなければ、光龍の力と闇龍の力で移動できるって事だな。

 

 「まあ、初めから水晶を使わなかったら何の問題もなかったんだがな」

 

 「だったら最初から使わなければ良かったじゃない……」

 

 どうして、そんな面倒な事をしたんだろうか?

 僕はそう思わずにはいられなかったのだが

 

 「そうすると、酷い乗り物酔いをしたような感じになる可能性があるが、それでも良かったのか?」

 

 「色々と準備をするのは大切な事だよね!」

 

 僕は一瞬で考えを改めていた。

 

 「都合のいい野郎だな……」

 

 そりゃそうだ。

 僕は自分から苦痛を味わいたがるようなドMじゃないんだから。

 

 「まぁ、別に良いんだけどな……。けど、これだけは言っておく。今お前等の声が互いに聞こえているのは水晶が近くにあるからだ。お前等は全員、別々の水晶に入ってるんだ。当然の事だが、水晶を離したら声は聞こえなくなるんだからな? そう言う意味でも少しは俺に感謝しろよ、雷炎龍?」

 

 「……そりゃどうも。けど、どうして僕に自分の力の事を教えてくれたの? 前会った時は名前も名乗らなかったくせに……」

 

 なんだか、凄くイラッとくる言い方だったけど、ヴィヴィオとレオの声が聞こえて少し安心したし、少し位なら感謝してやらない事もない。

 そう思って僕は軽く礼を述べた後、少し疑問に思った事を聞いてみた。

 

 「別に? ただ、ここまでしてやったんだから俺との約束は守れって事が言いたいだけだ。それに、もしお前と戦う事になっても、お前が俺の力を知っていようが、いまいが関係ないからな。どうせお前は軽くしか理解してないだろう?」

 

 何も言い返せないのが辛い。

 

 「っと。そんな事を言ってる間に目的地に到着だ。水晶から手を離せ」

 

 クロウがそう言って直ぐ、僕は言われた通りに手の中に握っていた水晶を離した。

 すると

 

 「わっ!」

 

 水晶に吸い込まれた時とは正反対に、今度は勢いよく水晶から放り出されて、僕が気づいた時には地面と濃厚なキスをしていた。

 僕とほぼ同じタイミングで水晶から出てきたヴィヴィオとレオは普通に足を地面につけてるのに……。

 

 「あれ? どうしたの、パパ?」

 

 「凄く痛い……」

 

 心配してくれたヴィヴィオに今の感想を述べてみた。

 と言うか、なんで僕だけこんな目に……?

 

 「お前に嫌がらせをしようとした、俺からのプレゼントだ。ありがたく受け取れ」

 

 こんなにありがたくないプレゼントは生まれて初めて……いや、嬉しくないプレゼントは数えきれないくらい貰ってきたな。

 今思えば、姫路さんや姉さんの料理も、バレタインのチョコ感覚でプレゼントされたような物だったし……。

 って、今はそんな事を考えてる場合じゃなかった!

 

 「おい、クロウ! ここはどこで、なのはやフェイト達はどこにいるんだ!?」

 

 僕はようやく目的地に着いた事で急に焦りだしていた。

 さっきまでは、ぶっちゃけ良く分からない事態に陥っていて、そこまで気が回らなかったけど、今は少し落ち着いたおかげで皆の現状を思い出して、考える余裕まで出来たのだ。

 

 「ここは無人世界の1つで、お前のお仲間はあっちだ」

 

 そう言ってクロウは、真っ暗な空と雪も積もってないのに真っ白になっている地面が大半を占めている景色の中に、数十メートル先くらいにある遺跡のような建造物の方角を指さしていた。

 

 「因みに、あっちには俺の仲間もいる。約束通りここまでつれてきてやったんだから、お前も俺との約束通り、俺の仲間と戦えよ?」

 

 そう言ってクロウは指をパチンッ! と鳴らして空間に歪みを作り、その中へと消えて行った。

 おそらく、闇龍の力とやらで水晶なような空間を作って、光龍の力で光の速度で移動したのだろう。

 あれ? でもアイツだけなら闇龍の力を使わなくても光の速度で移動できるんじゃないの? アイツは光龍の子孫なんだし……。

 

 「……まぁ、良いか。そんな細かい事は……」

 

 多分、クロウは自分の力の全部を話したわけじゃないんだろう。

 いくら僕があいつの力を軽くしか理解してないと思われていても、わざわざ敵対している僕に自分の力の全てを話すとは考えにくい。

 だから、今はクロウの力の事なんて考えないようにした。と言うか、考えたってどうせ分からないだろうし、ぶっちゃっけ今はクロウの事なんてどうでも良かった。

 とにかく今は

 

 「なのは達を助けに行くよ、ヴィヴィオ、レオ!」

 

 「うん!」

 

 「ヴィヴィオ姉ちゃんのために僕も頑張るよ、ヴィヴィオ姉ちゃん!」

 

 皆を助ける事だけを考えて行動するだけだ!

 僕はそう強く思いながら、ヴィヴィオとレオを引きつれて遺跡のような建造物の方へと走り出したのだった。

 

 

               ☆

 

 

 「ふぅ……。やっぱ居心地を良くしながら人を運ぶのは疲れるな……」

 

 明久達3人をなのは達の下へ送り届けた後、クロウは真っ暗な空間の中で1人、そう呟いていた。

 

 「適当に運ぶだけなら別に疲れないんだが、快適に運んでやるには何か入れ物が必要になるのが、この力の良くない所だよな……」

 

 誰に聞かせるわけでもなく、ただ単にクロウは1人で愚痴を呟き続ける。

 別にクロウは誰かに愚痴を聞いて欲しいわけではないのだ。

 ただ、しんどい思いをしてまで明久達の事を運んだので、それを1人で解消するために愚痴っているのだ。

 

 「まぁ、これで邪魔しそうな奴等は全員こっちにいるわけだし、俺も仕事をしやすくなったから、別にいいか……」

 

 クロウはその言葉を最後に、自分の仕事を行うために移動を始めたのだった。

 

 

               ☆

 

 

 「なのはママ、フェイトママ!」

 

 僕等がクロウに言われた方角に走りだしてから数分もしない内に、ヴィヴィオが二人の名前を呼んだ声が響き渡った。

 僕達の目の前には体の至る所にケガを負い、血を流しながら倒れているなのは達機動六課の皆がいる。

 つまり、ようやく僕等はなのは達の下へとたどり着いたのだ。

 

 「大丈夫、ママ!?」

 

 なのは達の下へたどり着くと、ヴィヴィオは即座になのはの名前を呼びながら一生懸命に体を揺する。

 すると

 

 「うっ……」

 

 「ママ!」

 

 なのはは苦しそうではあるが、小さなうめき声を出した。

 僕が他の皆も確認したところ全員なのはと同じような反応を示したので、ケガはしているようだが死んではいなかったので、僕等は少し安心していた。

 

 「良かった。皆無事みたいだ……」

 

 もちろん早く治療をする必要はあるけど、誰もまだ死んでいない。

 その事実に、僕は安堵すると同時にここまで皆を傷つけた奴を憎くも思っていた。

 そして、僕は気づいてもいた。

 皆が倒れていたのは遺跡のような建造物の前。そして、皆を傷つけたであろう人物の姿はどこにも見当たらない。

 と言う事は、つまり――

 

 「ヴィヴィオ、レオ。二人は皆の側に居て。僕はちょっと遺跡の中を調べてくるから」

 

 ――つまり、皆を傷つけた奴が遺跡の中にいる可能性が極めて高いと言う事だ。

 ヴィヴィオもその事に気づいたのだろう。

 僕が遺跡の中へ入ると言うと、すぐに

 

 「……気を付けてね、パパ」

 

 心配しそうな目で僕を見つめながら、そう呟いていた。

 

 「大丈夫。この遺跡がどんな物か知らないけど、壊すぐらいの勢いで暴れまくってくるから」

 

 全力全開。ドラゴンドライブを使うのは確定としても、必要ならドラゴンユニゾンを使って暴れてやる。

 僕はそう決意して、遺跡の中へと入ろうとしたのだが

 

 「レオ……?」

 

 突然レオが僕の前を歩きだし、遺跡の入り口の前に立ちつくしたレオを見て、僕はレオに視線を向けたまま足を止めていた。

 

 「どうしたの、レオ? ここは危ないから、レオは遺跡から離れて皆の側にいてあげてよ」

 

 「……ここ、知ってる……」

 

 さっきも突然の緊急事態にも関わらず、レオは僕のと問いに関して何も返事をしなかったから、今回も返事なんて返ってこないと思いながら、僕はレオに声を掛けたんだけど、レオは静かにポツリとそう呟いていた。

 

 「え……? 知ってるって、この遺跡の事を?」

 

 「…………」

 

 さっきポツリとだが、声を出していたから今なら僕が何か聞いても返事をしてくれるかな~。

 なんて思いながら、僕はレオに声を掛けたのだが

 

 「…………」

 

 「え!? ちょ、レオ!? どこに行くつもり!?」

 

 レオは僕の問いには答えず、ゆっくりと無言で遺跡の中へと入っていた。

 

 「どうしたの、パパ? ……って、レオ!? なにしてるの!?」

 

 そこでようやく、なのは達の応急手当をしていたヴィヴィオもレオの行動に気が付いて、すぐさまレオを呼び止めたのだが

 

 「…………」

 

 「ちょ、レオ!?」

 

 レオはヴィヴィオに声を掛けられているにも関わらず、何も答えないまま無言で遺跡の中へと入っていた。

 こんな事は僕の知る限りでは初めてだ。

 レオは出会ってから今まで、ずっとヴィヴィオの後ろを付いて行くような子だった。

 それが急にこんな態度を取られれば、いくら僕でも簡単に予想する事ができた。

 この遺跡はレオに関係のある遺跡なんだと。

 

 「ごめん、ヴィヴィオ。レオは僕がどうにかするから、ヴィヴィオは皆の事を――」

 

 ――お願い。

 僕がそう言おうとした瞬間だった。

 

 「伏せて、ヴィヴィオ!! ドラグーン、セットアップ!」

 

 僕は黒い空から何かがヴィヴィオに向かって落ちてくるのを目撃して、一瞬でBJを纏い、落ちて来た何かを真っ二つにするつもりで、思いっきり斬りかかっていた。

 けど

 

 ドコッ!

 

 「なっ!?」

 

 剣で斬ろうとしたはずの何かを斬る事はできず、鈍器で殴ったかのような鈍い音がなり、斬りかかった左手が思いっきり痺れていた。

 

 「ごぁぎゃあぁぁ――――!!」

 

 ただ、落ちて来た何かもヴィヴィオに向かって落下していくのではなく、何やら悲鳴のような声を出しながら、空に向かって上昇して行ったので、ヴィヴィオに直撃するような事態には陥らなかった。

 

 …………、

 ………………?

 ……………………!?

 

 「鳴き声!? 上昇して行った!? と言うか、空から何か落ちて来たってどういう事!?」

 

 今起きた事が不自然である事を、僕は数秒遅れてから気が付いた。

 

 「なんか普通に斬れなかった事にもビックリだけど、なに今の!? もしかして生物なの!?」

 

 いや、なんか声を出してたし、急上昇までしたんだから生物である事は間違いないだろう。

 問題はあれが、凄い固いせいでドラグーンでも斬る事ができない生物なら、どうやって倒すかだ。

 

 「普通に斬れないって言うのは厄介だな……。なんか斬りやすそうな所ってないかな?」

 

 僕は今度こそ謎の生物を斬るため、生物に全神経を集中させた。

 そのおかげで僕は、急上昇し続けていた謎の生物から目を放す事なく、ずっと追いかけていると、謎の生物はようやく動くのを止めて、一度完全に停止する。

 そしてその生物を見た瞬間

 

 「……嘘、でしょ……?」

 

 僕の思考は完全に止まってしまっていた。

 僕の目に映っている物。それは

 

 「黒いドラゴン……?」

 

 キャロと常に一緒にいるフリードと形はよく似ているけど、表面は黒い鱗のようなもので覆われ、目つきもフリードとは比べ物にならない鋭い目をしたドラゴンだった。

 

 「もしかして、クロウの言ってた僕が戦わないといけない相手って、このドラゴンの事なの……?」

 

 だとしたら、コイツがクロウの言っていた巨大戦力なのか、その他の百に値するのかが気になってくる。

 もしコイツが巨大戦力ならば、レオの入っていた遺跡の中には敵はいない事になる。

 けど、コイツがその他の方なら真面に斬れない奴よりも強い奴が遺跡の中にいると言う事だ。

 どちらにせよ、さっさとこのドラゴンを倒すに越した事はないのだが、出来ることならレオの安全のためにもコイツが巨大戦力であって欲しい。

 僕はそう思いながら、黒いドラゴンを睨みつけていたのだが

 

 「……ちっ! やっぱり、そんなに甘くなかったか」

 

 僕が睨みつけていてドラゴンとは別に、黒い空から又もや黒いドラゴンがもう1匹現れたのを見て、僕は舌打ちしていた。

 と言うか、黒い空から黒いドラゴンが出てきたという事は

 

 「パパ、気をつけて! あの黒い空は全部、黒いドラゴンみたい!」

 

 「みたいだね」

 

 ヴィヴィオの言う通り、黒い空は全て黒いドラゴンなのだろう。

 現に、黒いドラゴンが現れた場所は白い空になっている。

 つまり、僕等が最初にここに辿り着いてからずっと、黒いドラゴンが白い空を覆っていたという事であり、今現在見えている黒い空は全て敵だという事だ。

 

 「はぁ……。真面に斬れない奴が敵が約100体か……」

 

 これに加えて、クロウの言う巨大戦力が後1人。

 なのは達がボロボロになってる事から、とんでもない強さの敵がいるのは予想してたけど、まさかここまでとは思いもしなかった。

 

 「と言うか、空が白いって言うのもおかしな話だよね……。普通は青じゃん」

 

 地面も真っ白で空も真っ白。雪が降ってるわけでもないのに真っ白な世界って、なんだか変な感じだ。

 なんて事を考えて、僕は少しばかり現状の面倒臭さに現実逃避をしていたのだが

 

 「まぁ、今はそんな事はどうでもいいか……。今はコイツを一刻も早く倒す事だけを考えないとね……」

 

 僕はなのは達を早く安全な場所に運び、手当てをするため。そして、敵がいるであろう遺跡の中に一人で入ってしまったレオを早く助けに行くために、気合を入れ直して真面目に戦う事にした。

 

 「とりあえず……ドラゴンドライブ!」

 

 僕は体に炎と雷を纏い、ドラゴンドライブを発動する。

 さっきは黒いドラゴンを斬る事はできなかった。けど何故かは分からないが、ドラゴンドライブを使えば黒いドラゴンは倒せる。

 そう思ったのだ。

 

 「それじゃちょっと本気で暴れて来るね、ヴィヴィオ」

 

 「う、うん……。頑張ってね、パパ」

 

 僕はヴィヴィオのその言葉を聞いた後、小さくうなずき黒い空へ向かって飛び出して行く。

 ドラゴンドライブを使ってるおかげで、僕が黒いドラゴン達の目の前へは一瞬で辿り着いた。

 

 「さて、一応確認するけど、君達は僕の言葉を理解できるのかな?」

 

 僕がコイツ等をイキナリ斬らず、一度目の前で止まったのは言葉が理解できるなら、なのは達を襲ったのがコイツ等で間違いないかの確認と、あの遺跡について少し教えて欲しいと思ったからだ。

 それに、コイツ等に戦う意思がないなら、ヴィヴィオ達に手を出さないと誓わせて、僕自身は急いでレオの事を追いかけたかった。

 けど

 

 「ごぁぎゃあぁぁ――――!!」

 

 この黒いドラゴン達は声ををあげ、僕を襲おうと突撃してきた。

 

 「くっ! やっぱり、僕の言葉は理解できてないのかっ!」

 

 僕はギリギリの所で、黒いドラゴンの突撃を回避する。

 と、同時にカウンター気味に炎と雷を纏った剣で、黒いドラゴンの翼を切り裂いた。

 すると

 

 「ごぁあぁぁ――――!!」

 

 「斬れた……」

 

 僕が斬った黒いドラゴンの翼からは赤い血が吹き出し、ドラゴンにダメージを与えることに成功していた。

 何故かは相変わらず分からないけど、ドライゴンドライブを使えばコイツ等を倒せると思った僕の勘はやはり正しかったようだ。

 

 「……これなら勝てるっ!」

 

 僕はそう確信すると、両手の剣をしっかりと握りなおして黒いドラゴンを睨みつける。

 動きもさほど速くないし、ちゃんと攻撃が通るなら、問題なく一瞬で倒す事が出来る。

 僕はそう思って、一気に目の前の黒いドラゴンを斬り伏せるつもりだったのだが

 

 「「「ごぁぎゃああぁぁぁ――――!!」」」

 

 僕は自分の頭の上から、どこかで聞いた事があるような声を複数耳にした途端、動きを止めて声の聞こえた方角、つまり上を見上げた。

 そこで僕の目に映ったものは

 

 「な、なんじゃこりゃ!?」

 

 黒い塊、つまり黒いドラゴンが雨のように僕に降り注いでくる光景だった。

 

 「こ、こんなのどうやって対処しろって――くっ!」

 

 僕は言葉を言い終わらない内に、僕の真上から突撃した黒いドラゴンを両手の剣をクロスして、受け止める。

 だが、元々この黒いドラゴン達の図体はデカく、見るからに重そうなのに加えて、重力まで利用して上から降ってきたものだから、僕の腕では完全に黒いドラゴンを支える事が出来ず、勢い負けて地面まで一直線に落下させられてしまった。

 

 「パパ、大丈夫!?」

 

 近くからヴィヴィオの心配する声が聞こえてくる。

 声の調子から、幸い今のに巻き込まれたりはしていないようだけど、近くにはいるようだ。

 そして、近くにヴィヴィオがいるという事は、この近くにケガで意識を失っているなのは達もいると言う事だ。

 

 「この、クソドラゴンがっ……! こんな所で好き放題に暴れるんじゃない!」

 

 珍しくその事にすぐ気が付いた僕は、ありったけの雷炎を上空に向けてぶっ放す。

 それは僕の怒りを発散させるためでもあり、僕の攻撃に殺られた黒いドラゴンがなのは達の上に落ちて来ないように消し炭にする為でもある。

 そして、その僕の思惑は上手くいき

 

 「はぁ……はぁ……はぁ……。ど、どんなもんだ……」

 

 僕は一気に魔力を使い過ぎたせいで少々息を切らしながらも、僕の攻撃を直撃した黒いドラゴンは見事に姿形もなく全滅していた。

 

 「す、凄い……。パパってこんなに強かったんだ……」

 

 ヴィヴィオのぼそっと呟いたような小さな声が耳に届き、ちょっと嬉しくなる。

 けど、そう喜んでばかりもいられない。

 さっきので消滅したのは、僕の半径5メートル内の上空をを飛んでいた奴等だけで、ほとんどは無傷で残っている。

 それはつまり、今くらい本気の攻撃でないと黒いドラゴンを完全に消滅させる事ができるかは怪しいと言う事なのだが

 

 「……どうしよう? 何発もあんなの撃てないんだけど……」

 

 生憎と僕は無尽蔵に魔力があるわけではないので、あんな魔力を消耗する攻撃は連続で撃つ事なんて不可能だ。

 となると、今みたいに大雑把な攻撃をせず、且つ皆に被害が出ないように戦う必要があるわけだけど

 

 「よくよく考えたら僕って、FFF団以外とは集団を相手にした事ないんだよね……」

 

 初めて魔法が使えるようになってから3年。この期間中に僕は一人で複数の相手をした記憶がまるでない。いや、正確には初めての訓練の時にガジェットを破壊する時は一人で戦ったけど、あれは大して強くなかったからノーカウントと言っても良いだろう。

 次に思い出すのは、六課が強襲された時だが、あれも敗北したとはいえザフィーラとシャマルがいたから一人で戦ったわけじゃない。

 つまり、こんなハッキリと一人で複数の敵を相手にすると言うのは、高校時代に何度も襲われたFFF団以来なのだ。

 

 「多対一の場合、どうやって戦えば周りに被害が出ないように戦えるんだろう……?」

 

 FFF団を撃退する時のように普通に戦えば良いんだろうか?

 けど、それなら罠を仕掛ける必要があるが、今はそんな時間はない。

 ホント、いったいどうやって戦うのが正解なんだ?

 なんて事を僕が暢気に考えていると

 

 「「「ごぁぎゃあぁぁ――――!!」」」

 

 「うおっ!? もう攻めてきた!?」

 

 僕が一度黒いドラゴン達を蹴散らした後、僕の様子を窺うように全く襲ってこなくなった黒いドラゴン達が再び僕に向かって突撃を仕掛けてきた。

 

 「くそっ! さっきより数が増えてないか!?」

 

 僕はそう言いながらも黒いドラゴン達を迎撃するために空へと上がる。

 けど、このまま普通に斬り倒したんじゃ、この黒いドラゴン達がどこに落下するか分かった物じゃないので、下に動けない皆がいる以上、僕は迂闊にコイツ等を攻撃する事ができずにいた。

 

 「ちくしょうっ! レオの事も心配だから、こんなのに時間を掛けてる場合じゃないのにっ!」

 

 僕にできるのは、倒したら少しでも皆に被害出そうな黒いドラゴンには一切決定打を与えず、動けない皆が確実に被害を受けないであろう、かなり離れた相手にだけ砲撃をぶつけて撃墜する。そんな事だけだ。

 一人で遺跡の中に入っていたレオの事も心配だし、皆を庇いながら戦い続けるのも限度がある。

 こうなったら無茶であろうが、なんであろうが全魔力をぶつけて、一撃で全ての黒いドラゴンを消してやろうか?

 僕がそう思った瞬間だった

 

 「パパ! 皆を遺跡の中に避難させたから、思いっきり戦っても大丈夫だよ!」

 

 「え?」

 

 声のした方を見ると、そこには遺跡の入り口から自分の存在をアピールするように両手を大きく振っているヴィヴィオの姿が目に映る。

 そして、ついさっきヴィヴィオに言われた事を思い出した瞬間

 

 「ありがとう、ヴィヴィオ!」

 

 僕は大声でヴィヴィオに感謝の言葉を告げて、僕に向かって突撃してきた黒いドラゴンをギリギリの所で躱して、雷と炎を纏った剣で黒いドラゴンを斬り伏せた。

 

 「さて。こっから先は皆の心配もしないで良いし、時間もないから一切手加減しないよ? もし言葉が通じてるなら逃げる事を僕は進めるよ?」

 

 最終警告。

 僕はそのつもりで、目の前のドラゴン達にその言葉を告げた。

 できる事なら、無駄にドラゴンの相手をしたくなかったし、戦わずに済むならそれに越した事はないと思ったのだが

 

 「「「ごぁぎゃあぁぁ――――!!」」」

 

 このドラゴン達に僕の言葉は届かないようで、一斉に襲い掛かってきた。

 けど、今までのほとんどを回避に徹してきた僕の目には、このドラゴン達の動きは止まっているに等しい。

 こっちが手を出さないのなら、いずれ攻撃を受けてしまう可能性は非常に高かったが、今の僕はヴィヴィオのおかげでそんな制限は一切ない。

 まぁ、何が言いたいのかと言うと

 

 「悪いけど、君達に勝ち目はないよ」

 

 こういう事だ。

 けれど、それでもやはり僕の言葉は通じてないようで

 

 「「「ごぁぎゃあぁぁ――――!!」」」

 

 黒いドラゴン達は一切攻撃を止める気はないようで、スピードを落とす事無く僕に向かって突っ込んできた。

 それに対して

 

 「僕はちゃんと警告したからね?」

 

 僕はドラゴンにそう言い放って、最も僕に肉薄していた5匹のドラゴンを一瞬で斬り倒したのだった。

 

 




と言うわけで今回はここまでです。

実は今回の話は既に1万字超えてるにもかかわらず、もう少し長かったんですが、ちょっと長すぎたため、中途半端ですがここでいったん切りました。
なので次回の話も少し、と言うか結構な量を書き進めてるので、次回の話は今月中に投稿できると思います。

と言うわけで、今回はこの辺りで
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