魔法少女リリカルなのは バカの参戦Ⅱ   作:セイイチ

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待ってくれていた方(いるか分からない)すみません!
ご無沙汰ぶりです!
色々あって約3ぶりの投稿となってしまいました(汗)

周期は分かりませんが、これから執筆を再開したいと思いますので、まだ読んでくれるって人は読んで頂けると幸いです(汗)

※久しぶりに書いたので、書き方が違ったりして読みづらかったらすみません…


第七話

 「ヴィヴィオ姉ちゃん!?」

 

 いかにもな魔法の杖を持った女とレオの目の前にヴィヴィオが姿を見せた瞬間、レオは心底驚いたような声を上げていた。

 

 「その様子だと、あなたは気づいてなかったみたいだし、どうやら少しはご褒美になったみたいね。あ、因みにこの子、ずっと私達の事を見てたわよ?」

 

 女の何気ない言葉に冷や汗を流すヴィヴィオ。

 それは、焦りと恐怖から来るものだった。

 

 「い、いつから気づいてたんですか?」

 

 「最初からに決まってるでしょ?」

 

 「さ、最初って言うのは……」

 

 「あなたが私達の事を見つけて、隠れながら私達の様子を窺い始めた時。つまり、この子が石板を読み始めた時からね」

 

 「…………」

 

 女の返答にヴィヴィオは言葉を失っていた。

 この質問は女の実力がイマイチ把握しきれていないヴィヴィオが、少しでも情報を得ようと思って聞いた言葉だったのだが、女の答えはあまりにも予想外過ぎたのだ。

 正直、女がヴィヴィオの気配に気づいていた時点で、この女が強い事は分かっていた。

 しかし、さすがに本当に最初から気づかれていたとは思いもしなかったのだ。

 

 「どうしたの? もしかして、少しくらいなら気づかれてない瞬間があるとでも思ってたの? だとしたら大人を舐め過ぎじゃないかしら?」

 

 「そ、そんな事は……」

 

 ない。とヴィヴィオは言いきれなかった。

 なぜなら、女の言った事は少なからず本当の事なのだ。

 遺跡に入った時に、敵がいた場合は無理に戦わず隙を見てレオを連れ戻せば良い。なんて考えは、相手に気づかれないのが前提の考えだ。

 そもそもの話、自分より相手の方が強いなら、普通に隠れている事ですら難しい事であるはずなのに、ヴィヴィオは完全に隠れていられるつもりでいた。

 それはつまり、無意識の内にヴィヴィオが自信過剰になっていたのと同時に、相手の事を舐めていた事にもなるのだ。

 

 「まぁ、目的はもう果たしたし、あなたには大して興味もないから今回は見逃してあげる……。と、言ってあげても別に良いんだけど――」

 

 女はそこで言葉を止め、自分の口に人差し指を当てた。

 すると

 

 『ヴィヴィオ――! レオ――! 2人ともどこにいるの――!?』

 

 いなくなった2人を探す、明久の声が遺跡の最深部まで響いてきた。

 

 「……っ!」

 

 「パパ……」

 

 それに対してレオは少し複雑そうにしながらも、明久が助けに来てくれた事で少し安心した表情になる。

 しかしヴィヴィオは自分の行動の結果、明久に余計な迷惑を掛けてしまったので申し訳なさそう表情を浮かべた。

 

 「――今ここで、あなた達を見逃してあげても、扇と同様にドラゴンユニゾンを使う事ができる雷炎龍に私が殺されそうじゃない? けれど、雷炎龍の1人娘がいれば何とかなると思うの」

 

 女は申し訳なそうな表情を浮かべるヴィヴィオに、更に追い打ちをかける言葉を言い放った。

 

 「さすがに外にいるドラゴン全部を余裕で倒せはしなかったと思うけど、もしドラゴンユニゾンを使うだけの余力を残していたら、私なんて瞬殺されるわ。だから、あなたには雷炎龍が本気を出さないように人質になってもらうわ」

 

 「そ、そんなの断るに決まって……」

 

 「嫌なら別に良いけど、あなたの代わりにこの子が人質になるだけよ?」

 

 女がヴィヴィオの言葉を遮って、そう言った瞬間。

 

 「痛っ!」

 

 女はレオの少し上空に魔法陣を展開し、そこから出したバインドでレオの両手の自由を奪って無理やり上に引っ張り、レオの足が地面スレスレの位置になるまで持ち上げた。

 

 「レオっ!」

 

 そんなレオを見て、すぐさまレオに駆け寄ろうとしたヴィヴィオ。

 だが、女はヴィヴィオからレオを隠すように立ちふさがり、ヴィヴィオは一歩前に進んだだけで再び足を止めざる負えなかった。

 

 「ほら、どうするの? あなたが人質になる? それともこの子を見捨てる? あなたに決めさせてあげるから早く決めなさい?」

 

 「そ、そんなの選べるわけ……」

 

 女の言葉に表情を歪めるヴィヴィオ。

 当然だ。明久の負担を少しでも減らそうと思ってここまでレオを助けに来たのに、こんな所で自分が人質にされれば明久に余計な負担を掛けさせる事になる。

 しかし、だからと言って目の前で苦しんでいるのレオを無視する事もできない。

 故にヴィヴィオはどちらも選ぶ事ができないのだ。

 

 「ふーん……。なら、選びやすいようにもう少し具体的な条件を出して上げるわ」

 

 「……条件?」

 

 「ええ。あなたにとっては良い話しよ? あなたが人質になる場合は拘束するだけで、この子のように苦しむような事はしないと約束してあげるってだけの、私に取っては何のメリットもない条件を付けてあげる」

 

 それはつまり、レオが人質になった場合は容赦ない扱いをすると言う事であり、レオの代わりにヴィヴィオが人質になれば、本当に女が明久に瞬殺されないようにするための人質にしかしないと言う事だった。

 

 「ほら早く。のんびりしてたら雷炎龍が来ちゃうでしょ?」

 

 そう言って女は魔法の杖をレオに向け、レオの手を拘束しているバインドを更に強く締め付けさせた。

 

 「うっ……! いっ、痛いっ……!」

 

 腕を引っ張られるような痛みと、腕を強く締め付けられる痛み。

 そんな二つの痛みを与えられ、レオの目からはついに涙が零れ始めていた。

 

 「レ、レオっ! わ、分かった! わたしがレオの代わりになるから、もうこれ以上レオを傷つけないでっ!」

 

 そして、そんなレオの姿を見てヴィヴィオが黙っていられるはずもなく、ヴィヴィオは気づいた時にはそう口を動かしていた。

 

 「そう。じゃあ、あなたにはバインドを掛けさせてもらうわね」

 

 そう言って女はヴィヴィオに杖を向け一瞬でバインドを掛け、次いでレオを拘束していたバインドを外して、レオの両手を自由にしていた。

 

 「人質を二人も取って雷炎龍にガチギレでもされたら私が困るから、約束通りあなたは解放してあげるわ。ほら、あなたは早く雷炎龍の所に行きなさい」

 

 レオから離れ、ヴィヴィオの近くまで歩いてから、女はレオに向かって言い放っていた。

 

 「で、でも……。ヴィヴィオ姉ちゃんを置いてなんて……」

 

 「私は大丈夫だから心配しないで、レオ。それとパパがどんなに嫌いでも、今だけは絶対にパパの言う事を聞いてね? 絶対にパパが守ってくれるから……」

 

 「で、でも……」

 

 「お願い、レオ……」

 

 レオは一瞬、ヴィヴィオを置いて一人で明久の下へ向かうのを拒もうとしたが、ヴィヴィオがそれを望んでいない事に気づき、レオは力なくヴィヴィオの言葉に頷いていた。

 

 「ヴィヴィオ姉ちゃん、絶対に助けを呼んでくるから……」

 

 そう言って、レオは拘束されているヴィヴィオに背を向けて走りだし、この最深部に一つしかない出入り口に辿り着いた、その瞬間。

 

 「その呼んでくる助けって、もしかして僕の事かな、レオ?」

 

 「あっ……」

 

 「パパっ!」

 

 レオとヴィヴィオの目の前に、この場にいる人物で女が唯一警戒していたであろう人物。雷炎龍こと、吉井明久と言う名の希望が二人の目に映ったのだった。

 

 

               ☆

 

 

 「ちっ……! もう来ちゃったのね、雷炎龍……」

 

 僕が遺跡の最深部へ辿り着き、ヴィヴィオはバインドで拘束されているものの、ぱっと見た感じ二人にケガ等がない事を確認して一安心していると、いかにもな魔法の杖のデバイスを持った女が舌打ちと共に、僕に向かって毒を吐いているのが聞こえてきた。

 他には誰の姿も見当たらない所を見ると、クロウの言っていた今回の僕の敵って奴は、この女の事で間違いないようだ。

 

 「早く病院に運ばないといけないケガ人も大勢いるし、人が保護してる子どもを怖がらせて、挙句の果てには人の娘をバインドで拘束してる奴がいたからね。急いで黒いドラゴン達を倒してきたんだよ」

 

 「……雰囲気と口調が一致してないわよ」

 

 「心外だな……。これでも、今すぐにでも斬りつけたい衝動を我慢して、凄く穏やかな雰囲気を出そうとしてるんだよ?」

 

 じゃないと、今すぐこの遺跡をぶっ壊してしまいそうだから。

 

 「……言っておくけど、あなたの娘は拘束してるだけで私は何もしてないわよ? その子だって、一度拘束したくらいで、特にケガなんて負ってないはずだけど……?」

 

 「拘束してるのは事実でしょ?」

 

 「敵側の子どもと一緒にいて、殺さずに済ませよと思ったら拘束くらいは必要でしょ? 殺すどころか外の人達と違ってケガすらさせてないんだから、それくらいは許して欲しいわね」

 

 なるほど。確かに相手を殺したり、ケガを負わせないようにしたりするには、バインドで拘束するのは理に適っているだろう。

 だけど

 

 「それでもレオとヴィヴィオの二人を怖がらせた事に変わりはないよ。それに、六課の皆を傷つけたのも君なんでしょ? だったら、僕が戦う理由はそれだけで充分だよ……」

 

 僕はそう言って、女に両手に持っている剣を構えた。

 けれど

 

 「ちょ、ちょっとタイム! 自分の娘が拘束されてるのが目に見えないの!? それと、あなたのお仲間を傷つけたの私がメインじゃなくて、あなたが倒した黒いドラゴン達なのよ!? それなのに、いきなり戦闘態勢って言うのは、さすがに考えが性急過ぎるんじゃないかしら!?」

 

 僕が構えているのにもかかわらず、女はデバイスを構えたりしないで、まるで子どもが言い訳している時のように、慌てて僕が攻撃しようとするのを止めてきた。

 

 「……だったら、とりあえずヴィヴィオを解放してくる? そしたら、話しくらいは聞いてあげても……」 

 

 正直、いくら相手が憎くても戦意のない相手に攻撃するのは気が引ける。

 仕方がないので僕は一度戦闘態勢を解き、女に向かって僕がそう言った瞬間

 

 「わ、分かったわ……。なんて言うわけないでょうがっ!」

 

 「なっ!?」

 

 女は何の予備動作もなしでデバイスを振るい、一瞬で僕とレオの周りに魔法陣を複数個展開していた。

 

 「さて、形成逆転ね、雷炎龍? あなた一人ならこの状況でもどうにかなったんでしょうけど、さすがに子どもを連れた状態じゃ、どうしようもないでしょ?」

 

 いつ構えたのか、そう言った女はいつの間にか僕らに向けてデバイスを構えていた。最悪な事に冗談ではなく、本気で今すぐに僕らを攻撃しようと思ったらできる状況だ。

 女の言う通り、僕一人なら魔法陣に囲まれていても強行突破してヴィヴィオを助ける事はできただろう。けど、レオも巻き込まれるとなると話は別だ。

 僕が守らないといけないのはヴィヴィオだけじゃない。レオもだ。その守るべき対象であるレオが危険にさらされたんじゃ本末転倒だ。

 

 「……何が目的なの?」

 

 いつ魔法陣から魔法が放たれるか分からないので、僕は直ぐにレオを庇えるように足腰に力を入れたまま口を開いた。

 

 「簡単な話よ。私を見逃しなさい。正直、あなたと真面に戦って勝てる気がしないの。だから、あなたが私を見逃がしてくれるなら、二人とも無傷で返してあげるわ」

 

 それはつまり、なのは達を傷つけた奴を目の前にして、僕に見逃せって言ってるのか。

 しかも、なのは達の敵って事は、この女はきっと犯罪者なんだろう。そんな奴を見逃すなんて事、普通だったら絶対にあり得ない選択肢だっただろう。

 けど、今はそんな事を言ってる場合じゃない。レオとヴィヴィオの二人を確実安全に守れるなら、今回だけは見逃す事も仕方ないだろう。

 

 「……分かった。二人を無傷で解放してくれるなら、その条件を呑むよ。ただし、二人の解放が先だ。そうじゃなきゃ、君に嘘をつかれる可能性もあるからね」

 

 

 「……賢明な判断ね。でも、それなら私の身の安全はどうやって保障してくれるのかしら? あなたの言い分は私にも当てはまるわよね?」

 

 「そこは僕を信用してもらうしかないないね」

 

 「無理ね。敵であるあなたの言う事を100%信用する事なんてできるわけないでしょ? 絶対にあなたが手を出してこないって確証が得られないと、二人を解放する事はできないわ」

 

 睨み合い。

 お互いに相手を信用しきれないので、話しは平行線のまま動かない。

 そりゃそうだ。僕も相手を信用できないから先に二人を解放するように条件を出したんだ。相手だって僕を完全に信用する事はないだろう。

 

 「……だったら、約束を守る気がある証明としてヴィヴィオを先に解放してよ。その後で君はここから離れれば良いし、僕やレオの周りの魔法陣を消すのは、君がこの部屋から出る直前にすれば逃げる時間も充分に確保できるんじゃない?」

 

 「……魔法陣を消すのは部屋を出てからよ」

 

 「分かった。それで呑むよ」

 

 よし! これで交渉成立だ。

 この条件なら、まずヴィヴィオの安全は確保できるし、もし裏切られても僕がレオを庇えばレオが大ケガをする事もないだろう。

 それに、こっちはあまり時間を掛けるわけにはいかない。

 僕等は早くなのは達を病院に連れて行かないといけないだ。こんな所でいつまでも睨み合ってる場合じゃない。

 早期に交渉成立できるなら、悪い条件じゃないはずだ。

 ……まぁ、おそらく追いかけても捕まえる事はできないだろうけど。

 

 「なら交渉成立ね」

 

 女はそう言って、杖を一振りしてヴィヴィオのバインドを解除した。

 

 「っ! ヴィヴィオ姉ちゃん!」

 

 「動くな!」

 

 ヴィヴィオが解放されるのと同時にレオがヴィヴィオに近寄ろうとした瞬間、女はレオに向かって怒鳴りつけ、それに驚いたレオはビクッと震えて体を硬直させた。

 

 「ガキが。勝手に動くんじゃないわよ。雷炎龍一人だと、こんなの拘束のうちに入らないんだから、そこで大人しく人質になってなさい」

 

 そう言って女はレオに杖を向けたまま部屋の出口へと近づいていった。

 

 ちっ。今の勢いでレオが魔法の射程外まで出られたら一気に形成逆転できたんだけどな……。

 どうやらあの女は、それに気づかないようなバカじゃなかったみたいだ。

 なんて考えてる内に、女は部屋の出口まで辿りついていた。

 

 「さて……。この扉を開けたら契約は終了ね、雷炎龍。なかなか緊張感のある時間だったわ」

 

 「僕はそんな緊張感味わいたくなかったけどね。と言うか、どうでも良いけど僕の事雷炎龍って呼ぶの止めてくれない? その事あんまり他の人に知られたくないんだよね」

 

 既に管理局では調べたら直ぐにバレる情報みたいだけど、それでも一応悪あがき位はしておきたい。

 

 「あら、そうなの? もったいないわね。せっかく元龍の力を持ってるっていうのに」

 

 「そんな良いもんでもないよ。扱いを間違ったら世界を滅ぶすなんて、できれば使いたくない怖い力だよ」

 

 「怖い力? 意見の相違ね。元龍の力があれば神にだってなれるのに」

 

 「神? 元龍の力で神になれるだって?」

 

 「そうよ。元龍の力があれば神になれる。……正確には神と同等の力を得る事ができる」

 

 「……本気で言ってるの?」

 

 もし本気で言ってるんだとしたら、この人は相当頭が悪いか、頭のネジが五、六十本抜けてるに違いない。

 

 「もちろん本気よ? 興味あるなら私達の仲間になる? 雷炎龍の力を持つあなたなら大歓迎よ?」

 

 どうやら本当にどっちかのようだ。

 

 「誰がなるもんか! そんな頭の悪そうな集団なんか!」

 

 「頭の悪そうな集団とは失礼ね……。私達はシルメディアンよ。私はシルメディアン幹部のハンナ。ハンナ・ルディよ。もし気が変わって私達の仲間になる気になったら、その時は歓迎してあげるわ。吉井明久君。…………もし五体満足だったらね」

 

 そういった瞬間、女……改めハンナは扉を開け、その瞬間に僕等の足元に展開していた魔法陣を起動させた。

 

 「なっ!? ……くそっ!」

 

 僕は魔法陣が光りだした瞬間、僕はレオを頭から抱え込み、バリアを張ってうつ伏せになった。そのわずか一秒後。

 

 

 ドッカーン!

 

 

 魔法陣が爆発し、その爆風が僕等を襲ってきたのだった。

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