精神共鳴装置で操られる傀儡闘士   作:里奈使徒

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第十五話「不器用な強がり」

 医療室を出て廊下を歩いていると、石造りの床に自分の足音が響く。いつもなら他の闘士候補生たちとすれ違う時間帯だが、今日は誰とも出会わない。皆、自分を避けているのだろうか。それとも、意図的に道を空けてくれているのだろうか。

 

 薄暗い廊下を歩きながら、Dr.ゼイドとの会話を反芻していた。自分の記憶喪失にも、周囲の変化にも、全て理由があったのだ。Dr.ゼイドとエリシアが、命をかけて自分を守ってくれていた。そして今度は、自分が彼らを守る番なのだ。

 

 強者の演技。それが、恩人たちを守る唯一の方法。

 

 でも、どうやって演技をすればいいのだろう。僕は今まで、人を騙したことも、嘘をついたことも、ほとんどない。商人の息子として育てられた僕は、正直であることを何より大切にしてきた。それなのに今、大きな嘘をつき続けなければならない。

 

 廊下の向こうから、小さな影がこちらに向かってくるのが見えた。部屋の前でネズが待っていたのだ。

 

 足音を聞きつけたネズが顔を上げ、安堵の表情を見せた。

 

「お疲れ様でした、兄貴!」

 

 ネズが小さな体で勢いよく駆け寄ってくる。その表情には、朝と変わらない純粋な忠誠心が宿っている。まるで子犬のように嬉しそうだった。

 

 この純粋な信頼を見ていると、胸が痛む。彼は僕を本当に慕ってくれている。でも、その慕っている相手は実在しない「強いティリオ」なのだ。僕はただの弱い人間でしかない。

 

「ああ、ただいま」

 

 できるだけ自然に答える。Dr.ゼイドとの重要な会話の後で、まだ心が落ち着かない。でも、ネズの前では普通に振る舞わなければ。

 

「健康診断はどうでしたか? 体調に問題はありませんでした?」

 

 ネズの心配そうな表情を見ていると、申し訳ない気持ちになる。こんなに心配してくれているのに、僕は嘘をついている。

 

「問題なかったよ。Dr.ゼイドが丁寧に診てくれた」

「それなら良かった! 兄貴の体が心配だったんです」

 

 ネズがほっと安堵の息をつく。まるで本当に家族を心配するような、純粋な安堵の表情だった。

 

 その純粋さが、僕の胸を締め付ける。こんなに自分を心配してくれているのに、僕は嘘をついている。この優しい人を騙している。

 

「心配?」

「だって、昨夜あれだけの激戦でしたからね。どっか痛めてないかとか……普通なら動けなくなってもおかしくないっす」

 

 確かに、朝起きた時は全身に痛みがあった。今思えば、あれはDr.ゼイドが言っていた薬の副作用だったのだろう。でも、ネズにはそんなことは言えない。

 

「大丈夫だった。もう痛みも引いてる」

「さすがは兄貴だ。回復力も違いますね」

 

 ネズの目が尊敬の光に満ちている。その純粋な信頼の眼差しが、胸に刺さる。僕はその信頼に応えられているのだろうか。いや、応えられるはずがない。僕は弱い人間なのだから。

 

「ところで兄貴、ちょっと報告があるんです」

「報告?」

 

 ネズの表情が少し真剣になった。情報屋としての本領発揮といったところだろう。

 

「はい。兄貴が健康診断を受けている間に、いろいろと情報を集めてきました」

「どんな情報?」

「まず、昨夜の件についてですが……皆、完全に兄貴を恐れています」

「恐れてる?」

 

 恐れている。その言葉が重く心に響く。人から恐れられるなんて、今まで経験したことがない。

 

「はい。『ティリオに逆らったら死ぬ。化け物だ』って、F級の間では大騒ぎになってます」

 

 ネズが声を低めて続ける。情報屋らしく、周囲に聞こえないよう気を配っている。

 

「特にF級をまとめてる裏ボスが警戒してるみたいです。『新入りの分際で』って、かなり機嫌が悪いって話です」

 

 僕が化け物……。複雑な気持ちになる。化け物と呼ばれる存在になってしまった。でも、それが僕を守り、そしてDr.ゼイドとエリシアを守ることにつながるのなら、受け入れなければならない。

 

「それと、職員の反応ですが」

「職員の?」

「皆、兄貴の名前を聞くだけで震え上がってました。『あのティリオが』『まさか本物の魔狼殺しだったとは』って、みんなひそひそ話してましたよ」

 

 ネズが得意げに続ける。自分の兄貴が有名になったことが、本当に嬉しそうだ。

 

「おかげで俺の株も上がりました。『兄貴の舎弟』って言うだけで、皆がペコペコ頭を下げるんです」

「そう……」

 

 複雑な気持ちだ。ネズが喜んでいるのを見ると嬉しい反面、全てが嘘の上に成り立っていることが辛い。

 

「これも全部兄貴のおかげです」

 

 ネズの感謝の言葉が、ますます胸を重くする。彼は本当に自分を慕ってくれている。でも、その慕っている相手は実在しない「強いティリオ」なのだ。僕はただの弱い人間でしかない。

 

「兄貴、大丈夫ですか? なんか疲れてるみたいですが」

 

 ネズが心配そうに顔を覗き込む。きっと表情に出てしまったのだろう。

 

「ちょっと考え事をしてただけだよ」

「そうですか。まあ、昨夜は大変でしたからね。ゆっくり休んでください」

「ありがとう、ネズ」

「いえいえ! 兄貴のためですから」

 

 ネズが嬉しそうに微笑む。その笑顔を見ていると、この嘘を続けることが本当に辛くなってくる。純粋すぎる忠誠心が、逆に胸を締め付けた。

 

 ネズがふと思い出したような顔をした。

 

「そういえば兄貴、朝食の時に何か言いかけてませんでしたか?『実は僕……』って」

 

 体が一瞬強張った。Dr.ゼイドの警告が頭をよぎる。記憶がないなんて言えない。弱いなんて言えない。強者として振る舞わなければ。

 

 でも、どうやって? 僕は演技なんてしたことがない。嘘をつくのも苦手だ。商人の息子として、正直であることを教えられてきた。それなのに、こんな大きな嘘をつかなければならない。

 

 しばらく沈黙が続いた。ネズが心配そうに顔を覗き込んでくる。何か答えなければ。でも、何と言えばいいのだろう。

 

「兄貴?」

 

 ネズの声に促されて、慌てて答える。

 

「ああ、あれか」

 

 できるだけ余裕を装って、腕を組んでみる。でも慣れない仕草で、なんだかぎこちない。腕の位置がしっくりこない。どう組むのが自然なのか、わからない。

 

「実は僕…昨夜の戦いなんて、朝飯前だったんだ。だから、もっと強い奴と戦いたいなって思ってたんだよ」

 

 言いながら片手で髪をかき上げようとしたが、緊張で手が震えてしまう。慌てて手を下ろした。なんて不自然な動作だろう。ネズに見られてしまった。こんなことで強者の演技ができるのだろうか。

 

「俺の実力はあんなもんじゃない。まだ…まだ5分の1も出してないぞ」

 

 胸を張って威勢を示そうとするが、声が上ずってしまう。必死に低い声を出そうとして、かえって不自然になった。喉に力を入れすぎて、かすれた声になってしまう。普段の自分の声と全然違う。これじゃあ演技しているのがバレてしまう。

 

「ま, まあな。でも、この施設にそんな強い奴はいないだろうから、当分は手加減してやるよ」

 

 腰に手を当てて偉そうなポーズを取ろうとしたが、バランスを崩してよろけそうになり、慌てて壁に手をついた。心臓がドキドキと激しく鼓動している。手のひらに汗が浮かんでいる。

 

 こんな不自然な演技で、本当に騙せるのだろうか。ネズは気づいているのではないだろうか。でも、Dr.ゼイドとエリシアを守るためには、この演技を続けなければならない。

 

 ネズがしばらくティリオの顔を見つめていた。何かを読み取ろうとするように、じっと観察している。

 

 やがて感心したような表情になった。

 

「兄貴…すげえっす」

「え?」

 

 困惑の声を上げる。予想外の反応に戸惑っていた。騙せたのだろうか? それとも、やはり見破られてしまったのだろうか?

 

「普通の強い奴なら、勝った後はふんぞり返って威張り散らすもんなのに」

 

 ネズが目を輝かせる。

 

「兄貴は、あえてしゃばぞうがいきがったみたいなセリフを言うんですね」

「しゃば…ぞう?」

 

 しゃばぞう? 何それ?

 

「はい! 素人が強がって言いそうなセリフをわざと使って、相手を油断させるんだ!」

 

 ネズが興奮し始めた。全く違う解釈をしている。

 

 完全に逆の解釈をされてしまった。でも、これはこれでいいのかもしれない。結果的に、強者としての演技が成功したことになる。

 

「敵が『なんだ、口だけのガキか』って油断した瞬間に…バッサリ!これが兄貴の戦法なんだ!」

 

 ネズが自分で納得している。僕の下手な演技を、高等戦術として解釈してくれた。

 

「それにしても昨夜の戦いは本当にすごかったっす!」

 

 ネズの目が興奮に輝いた。まるで英雄譚を語る吟遊詩人のように、身を乗り出してくる。

 

「特にヴァルクをやった時、両手で後頭部を掴んで、床の石に何度も何度も叩きつけて…ゴツン、ゴツンって鈍い音がして!」

 

 ネズが打ち付けるような仕草を繰り返す。まるで実演でもしているかのようだった。

 

 ティリオの顔が青ざめた。そんな残酷なことが本当に起こっていたのか。急に吐き気がこみ上げてきた。胃の中がねじれるような感覚だった。そんな激しい戦いが行われていたなんて。

 

「血だまりが床に広がっても、兄貴は全然表情を変えなくて…あの冷静さ!」

 

 僕が冷静? 僕はそんな光景を見たら、きっと吐いてしまうだろう。でも、Dr.ゼイドの話では、僕は薬で意識を失っていたはずだ。

 

「そ、そうだったかな…」

 

 震え声で答える。内心では恐怖で体が震えていた。冷や汗が額に浮かび、手のひらもじっとりと湿ってきた。

 

「それにガーロの時も。膝を踏み抜いてから、フォークを左目に…グサッって! 脳まで達したんでしょうね」

 

 ネズが刺すような仕草をする。人差し指を立てて、実際に何かを突き刺すかのような動作だった。

 

 胃がむかついてきた。そんな光景を想像するだけで気分が悪くなる。口の中に苦い液体がこみ上げてきて、必死に飲み込む。

 

「あの時のガーロの絶叫!『ぎゃああああっ!』って…でも兄貴は全然動じないで、次の敵に向かって」

 

 もう限界だった。気分が悪すぎて、今にも倒れそうだ。こんな残酷な話を聞いていられない。

 

「それに部屋長への仕置き。耳、鼻…五感を潰していって…『容赦はせぬ』って言った時の兄貴の声、ゾクゾクしました!」

 

 五感を潰す? そんな恐ろしいことが行われていたのか。あんな激しい戦いだったなんて。

 

「当然だよ」

 

 必死に強者らしく振る舞おうとするが、声が完全に震えている。もう演技どころではない。気分が悪すぎて、立っているのもやっとだ。

 

「敵に情けを…」

 

 言いかけて、言葉を飲み込んだ。続けるのが辛くなっていた。こんな残酷な話について、強者らしく語るなんて無理だ。

 

「…かけるほど甘くないからな」

 

 言いながら、壁にもたれかかった。立っているのがやっとだった。足に力が入らない。

 

「さすがは兄貴! あの非情さ、あの冷酷さ…『容赦はせぬ』って言った時は鳥肌が立ちました!」

 

 ネズが感動したように呟く。まるで神を崇拝する信者のような恍惚とした表情を浮かべていた。

 

「数十人相手でも全然動じないで、まるで別人みたいに…いや、あれが兄貴の本当の姿だったんですね」

 

 その純粋すぎる憧れが、逆に恐ろしく感じられる。ネズは僕を英雄だと思っている。でも、実際に起こったのは、こんなに残酷な虐殺だったのだ。

 

「ま, まあ…やるときは…」

 

 声が震えている。もう限界だ。

 

「…やるからな」

 

 震える声でそう答えるのが精一杯だった。

 

 ネズが満足そうに頷く。

 

「そうですね。兄貴の本気を見てみたい奴らがいたら、きっと後悔することになるでしょう」

 

 その後、ネズは他の情報も報告してくれた。F級内での僕の評判、裏ボスの動向、施設職員の反応。全て、僕が恐ろしい強者だという前提で話が進んでいる。

 

「では、俺はまた情報収集に行ってきます。兄貴に危険が及ばないよう、常に状況を把握しておきますから」

 

 ネズが敬礼のような仕草をして去っていく。その背中を見送りながら、僕は深いため息をついた。

 

 その小さな足音が廊下に響き、やがて遠ざかっていった。静寂が戻った廊下で、一人取り残される。

 

 ネズが出て行った瞬間、ティリオは膝から崩れ落ちた。

 

「はあ…はあ…」

 

 激しい動悸が収まらない。ネズが語った光景が頭から離れない。何度も床に打ち付ける。フォークで刺す。命乞いを無視する。血だまりになるまで五感を潰す。

 

「Dr.ゼイドの協力者の方…あんなことができるなんて…」

 

 一瞬、恐怖が頭をよぎった。そんな残酷なことを平然とやってのけるなんて、一体どんな人なのだろう。

 

 でも、すぐに首を振った。

 

「いや、違う。僕の命を救ってくれた恩人だ」

 

 自分の考えを恥じた。協力者の方は、僕を守るために仕方なく、あんな辛いことをしてくれたのだ。きっと本当はしたくなかったはずなのに。

 

 自分を守るためとはいえ、あんな辛いことをしてくれた人物。それも、Dr.ゼイドの指示で動いているのだ。

 

「僕のために…あんなことを…」

 

 Dr.ゼイドとエリシアには心から感謝している。命をかけて守ってくれた。重罪を犯すリスクを背負ってまで。そして協力者の方も同じだ。僕のために危険を冒してくれた。

 

「本当に感謝してる。Dr.ゼイドもエリシアさんも、協力者の方も、僕の命を救ってくれた」

 

 心から感謝している。三人とも、僕のために危険を冒してくれた。一瞬でも恐怖を感じた自分が情けない。

 

「協力者の人も…きっと僕を守るために仕方なく…」

 

 あの残酷な行為も、僕を救うために必要だったのだろう。きっと協力者の方も、本当はそんなことはしたくなかったはずだ。でも、僕を守るためには他に方法がなかった。

 

「僕のために、あんな辛いことを…本当に申し訳ない」

 

 むしろ申し訳ない気持ちの方が強かった。自分のせいで、他の人にそんな重い負担をかけてしまった。そして一瞬でも恐怖を感じてしまった自分を深く恥じた。

 

「いつか必ず、三人ともにお礼をしないと…」

 

「Dr.ゼイドもエリシアさんも、きっと僕を守るために必要だと思ったから…あんな方法しかなかったんだ…」

 

 温厚な医師と美しい助手。そして、彼らが信頼する協力者。三人とも、僕のために最善を尽くしてくれたのだ。

 

「でも…もう後戻りはできない」

 

 Dr.ゼイドとエリシアを守るため。ネズの信頼に応えるため。この嘘を続けなければならない。

 

 重いため息をついて立ち上がる。部屋への歩みが、足音が妙に大きく響く。

 

 部屋の扉を開けると、深い静寂が迎えた。昨夜まで数十人がひしめき合っていた部屋は、今は一人のためだけの空間となっている。

 

 壁際に置かれた豪華なベッドが、薄暗い部屋の中でぽつんと浮かび上がって見えた。いつもなら雑魚寝していた他の者たちの寝具はもうない。床の血痕も、全て綺麗に拭き取られている。

 

 まるで、あの惨劇が嘘だったかのように。でも、この静寂こそが現実を物語っていた。自分以外、誰もいない。皆、死んでしまったのだ。

 

 僕は彼らと仲が良かったわけではない。むしろ、いじめられていた。でも、それでも一緒に生活していた人たちだった。彼らには家族もいたかもしれない。夢もあったかもしれない。それが一夜にして奪われてしまった。

 

 僕を守るために。

 

 その事実が、重く心に圧し掛かる。

 

 壁際にある小さな鏡の前に立った。映る自分の顔は、ひどく疲れて見える。

 

「強者の演技…どうすればいいんだ」

 

 鏡に向かって、威厳のある表情を作ろうとしてみる。眉間にしわを寄せ、目を鋭くして、口元を引き締める。

 

 だが、映る顔は滑稽なほどぎこちなかった。まるで便秘に苦しんでいる人のような顔になってしまう。

 

「うーん…これじゃだめだ」

 

 今度は腕を組んで、偉そうなポーズを取ってみる。でも肩の力が入りすぎて、とても自然には見えない。まるでロボットのような動きになってしまう。

 

「『俺がやった』…『俺がやった』…」

 

 低い声で練習してみるが、声が裏返ったり、かすれたりしてしまう。普段の自分の声と違いすぎて、不自然この上ない。

 

「だめだ…全然うまくいかない」

 

 鏡から目を逸らし、ベッドに腰を下ろした。

 

 ふかふかのマットレスの感触が、皮肉にも心を落ち着かせる。これも、血で購われた贅沢なのだろうか。

 

 部屋の静寂が、耳に痛いほど重い。時折、遠くから聞こえてくる足音や声が、この孤独を際立たせる。

 

 昨日まで、この部屋には確かに「生活」があった。いびき、寝返りの音、時折聞こえる寝言。嫌なことも多かったが、それでも人の気配があった。

 

 今は、何もない。

 

 僕一人だけの、静寂の空間。

 

 この贅沢な環境も、皆が死んだからこそ手に入ったものだ。血の代償として。

 

「僕は…僕は一体何をしているんだろう」

 

 善良でありたいと思う自分と、嘘をつき続けなければならない現実。感謝すべき恩人たちと、恐れるべき協力者。慕ってくれるネズと、その信頼を裏切る自分。

 

 全てが複雑に絡み合って、どうすればいいのかわからない。

 

 ベッドに横になりながら、天井を見つめた。石造りの天井に、小さなひび割れが走っている。まるで僕の心のひび割れのようだ。

 

 演技を続けなければならない。Dr.ゼイドとエリシアを守るために。ネズの信頼に応えるために。そして、自分自身を守るために。

 

 でも、この嘘がいつまで続くのだろう。そして、この嘘を背負い続ける自分が、どこへ向かうのだろう。

 

 夜が深まるにつれて、部屋の静寂はさらに重くなっていく。月明かりが窓から差し込み、一人用のベッドを照らしている。

 

 この新しい生活が、いつまで続くのだろうか。そして、この嘘を背負い続ける自分が、どこへ向かうのだろうか。

 

 答えの見えない問いを抱えたまま、僕は深い孤独の中で眠りについた。明日もまた、強者の演技を続けなければならない。Dr.ゼイドとエリシアのために。そして、自分を信頼してくれるネズのために。

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