願望転生〜無職転生の世界に転生したかったんです!!〜 作:大戦士
楽しんでいただけたら幸いです!では、どうぞ!!
俺は一介の読者に過ぎない。
"無職転生"という作品に心惹かれたどこにでもいるただの一般人。
その世界観、登場人物の魅力。惹かれた理由など上げればきりがない。それほどまでにこの作品を愛している一介の読者、それがこの俺だ。
ただ、そんな俺も傍から見たらちょっとした、、、、いや相当な変人なのだと自分でも理解できる。
いったい何故かって?
実に単純な理由さ。だって俺は――――――
―――あの世界こそが自分のいるべき場所なんだって、確信があったんだから。
✱ ✱ ✱ ✱ ✱
――――――あぁ、痛い。
薄暗い視界の中で唯一感じた感覚を心のなかで声に出す。
なぜ自分はこんな感覚を感じているのか。
なぜ自分の視界は薄暗いのか。
なぜ自分の体は起き上がれないのか。
痛みで忘れていた他の感覚が徐々に鋭くなっていくのがわかる。先程まで感じていた痛みが、他の感覚が戻ってくるのに比例して薄くなり、麻酔がかかっているかのように消えていく。
――――――あぁ、冷たい。
次に感じたのは冷たいコンクリートの感触。ゴツゴツとしていて人が寝転ぶにはふさわしくないだろうと、当然のことを考えてしまう。
ひんやりとした感触からそういえば、今は真冬だったと思い出す。
段々と記憶が鮮明に思い出せてきているのがわかる。
――――――あぁ、そうだった。俺は仕事からの帰路についていた途中だった。
今日もいつも通りの日々を過ごしていた。
少し早めに家を出て、乗った電車に座り眠ることで毎朝の苦しみである満員電車を回避する。心のなかで自分は勝ち組だと余裕な気持ちで会社に向かう。
会社ではクライアントの無茶苦茶な要望にも笑顔で対応して、妄想の中ではぎっちょんぎっちょんに叩き潰す。昼には後輩からの相談を受け、これまた笑顔で対応することで"接しやすいいい先輩"を演じる。
定時には間に合うように仕事を終わらせ追加の仕事を押し付けられないよう気配をなくして会社を出る。そして、颯爽と電車に乗り込みこれまた朝と同様に席を確保する。
席についたら無職転生の二次創作小説を読み出す。色んな人が書いた小説を読み、自分があの世界にいたらと想像にふける。
そして、最寄りについたらそのまま真っすぐに家へと帰る。
そう、そんな変わらないいつも通りの日々を過ごしていた俺は何故、コンクリートに寝ているのか。
あぁ、そうだった。今日は一つ違うことをしたんだった。
帰り道で女の子を助けた。車に轢かれそうだった女の子。
サラッとした黒髪で、どこか無職転生のナナホシを想起させるような姿で視線が釘付けになっていた。
だから、気付いた。居眠り運転をしたトラックが猛スピードでこちらに迫ってきていることに。
そんな状態でも"あ、ここ無職転生の冒頭だ!"と、思った俺は結構毒されているのだろう。
まぁ、その後猛ダッシュで女の子にタックルして代わりに轢かれたけど。この点は褒めるべき我が人生の誇りだったなと、しみじみ思う。
――――――あ、そうか。死ぬんだ、俺。
全てを思い出した途端、果てしない恐怖が襲ってくる。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
――――――嫌だ、死にたくない。
死が間近に迫っていたからか今までのことが走馬灯として目に浮かぶ。
自分の一生を振り返り、激しく思う。
――――――楽しくない人生だった。
他者の視線を気にしながらひっそりと生きた。
どうして周りばかり成功するのか。そんな疑問を抱きつつも声はあげずただ見ていた。
本当にやりたいことも親に反対されたから諦めた。
後悔なんて上げればきりがない。
そんな後悔だらけの走馬灯の中で、輝かしいものを見た。
それは空想のもので、誰かが作り上げたフィクション。結構な人気を誇っていて俺がファンだったもの。その、主人公。
―――ルーデウス・グレイラット―――
作中で様々な困難に出会い、前世のトラウマすら乗り越え世界にその名を刻みつけた男。
その生き様は、読んでいた俺に最高だったと思わせるほどのものだった。特に、嫁を三人も娶っているところなど羨ましいことこのうえなかった。
そう、羨ましかったのだ。彼の人生が。
一度しかない人生でした過ちを、二度目で回避した。あまつさえ、日本では認められていない重婚すら果たした。
実に、理想的な人生。自分もそうなれたらと何度思ったことか。
だけど、現実は違う。異世界転生など空想のものである。決して叶わない。
そんな事を考えていると声が聞こえてきた。
未だに視界は薄暗いままだが辺りの声だろうか、それははっきりと聞こえてきた。
―――大丈夫ですか?!今救急車が来ますので!だから、しっかり!!
薄れゆく意識の中、俺は最後に考える。
――――――よかった、生きていたのか、、、、、、俺の心配が出来るなら大きな怪我もなさそうだな。
――――――でもハハハ、女の子に心配されたのなんていつぶりだろうか。下手したら小学校以来なんじゃないかな。
――――――最後に聞こえた言葉が女の子の言葉ってのも悪くないかぁ。
そして俺は最後に、頭では無駄だと知りながらもかねてより願っていたことを言葉として絞り出した。
「かなう、、、こと、、、、、なら、、、、、あの、、、、ゆめのせかいに、、、、いけます、、、、ように、、、」
そうして、俺の人生は幕を閉じた。俺の意識は暗い暗い闇へと落ちていったのだった―――
✱ ✱ ✱ ✱ ✱
――――――ん?思考ができる。
先程まで意識が暗闇へと落ちていたような気がするが、気づけば俺の意識ははっきりとし思考ができていた。
加えて先程までなかなっていたはずの五感が今ははっきりと分かる。
――――――あぁーなるほど。一命をとりとめたなこれは。
この状態から俺はそう結論づけた。だがしかし、あの状態からよく生き延びれたものだ。日本の医療の素晴らしさを感じる。
――――――さて、助かったことだ。とっとと目を開けるとしよう。
そう思い、俺はまぶたを開ける。そして、目の前に広がる光景に声をあげた。
「あぅあ?!」
俺の目の前にいたのは白衣を纏った医者ではなかった。それどころか看護師でもない。
そこには―――
「―――・・――・・・・」
「―――・・・・・・――――」
とっても美人な外国人の夫婦がいた。
――――――ちょっと待てーーーい!!
いや、完全に異世界転生してるじゃないか。と、驚きのあまり心のなかで叫ぶ。
恐る恐る体を見れば、そこにあったのは可愛らしい赤ん坊の肉体。うん、もちもちしてそうでいいな。
「・・―――・・・・―――?」
自分の体を観察していると多分、今世の母と思われる人が心配そうに顔を覗き込みながら喋りかけてきた。
まぁ、何を言っているのかはわからないのだが。しかし、この顔を見れば俺を心配しているのは理解できる。
ならばと俺は、微笑みを今世の母に返す。
「キャッハハ!!」
うん、自分でやったとはいえ結構屈辱的だな、これ。
だが、おかげで二人も笑ってくれたのだ、良しとしよう。
――――――ん?あれ?ちょっと、眠く、、、なってきた、、、
眠気が急に襲ってきた。抗おうとすると母が自分を急に抱きかかえ歌い始めた。
「・・―――・・・――――――・・・♪」
ゆったりとしたリズムのその歌声がとても心地よくて、俺は微睡んでいった―――
いかがだったでしょうか?
誤字・脱字報告、感想をお待ちしています。
これからも良ければ本作をご贔屓にしてください。
また、後日投稿する予定のFateの二次創作も見ていただければ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございました!
(次回以降からちょくちょく設定や背景についてあとがきに書こうかとは思ってます。)