願望転生〜無職転生の世界に転生したかったんです!!〜   作:大戦士

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質問への回答


質問:今って信用される呪い発動できてるんでしたっけ?

回答:設定上一応発動『は』しています。アルデウス君が『無効の神子』という存在で『呪い』を無効化しているの『も』発動しています。

質問:初めから流って剥奪剣界に入ってたっけ?

回答:紛らわしくてすいません。一応、『この三つの中から掛け合わせるなら『絶界』と『剥奪剣』だ。』と作中で書いています。




12話 また、いつか

「おい、こっちの仕事も頼む」

 

会社のオフィスで定時間近にも関わらず上司から言われる。

 

このとき「今ですか?」なんて言った暁には昇進への道は狭まっていくのがわかるため俺の答えは一つだけ。

 

「かしこまりました。引き受けさせていただきます」

 

満面の笑顔での肯定。それが俺に許されたたった一つの答え。

 

「いやぁ、すまん。実は今日は娘の誕生日でな。これがもの凄く………」

 

上司は長々と娘について語ってくる。このときも俺は満面の笑顔を崩さない。崩せない。

一通り喋り終えると上司は満足な笑みを浮かべて自分の席に戻っていく。

その笑みが憎くて仕方がないが、俺は黙って仕事に戻る。

 

「先輩、この仕事分かんないんですけどどうすればいいですか?」

 

上司と入れ替わるように次は後輩が来た。

 

「そこは………」

 

これまた満面の笑みで丁寧にゆっくり教える。

 

「…………というわけだ。理解できたか?」

 

「はい!!ありがとうございます!!!」

 

もはや、全て教えたようになってしまったが後輩だからと納得する。

そうして後輩も自分の席へと戻っていく。

 

後輩が席に戻って少しすると俺のスマホにメールが来た。

 

 

【合コン行けそう!!!】

 

 

すると慌てた様子で後輩がすっ飛んできた。

 

「すみません先輩!間違えて送ってしまいました」

 

先輩に手伝っていただいたにも関わらずすいませんと、冷や汗を流しながら頭を下げている。

 

俺はそんな後輩に向けて口を開く。

 

「合コン、楽しんでこいよ」

 

上司と同じだ。ここで声を荒げ怒ったのではデメリットのほうが大きい。

例え怒りに心が満ちていても表情は穏やかでなくてはいけない。

 

俺の反応を聞いて後輩はパァと顔を明るくさせ元気よく、はい!と答えて去っていった。

 

そうして俺はまた仕事に戻った。

 

……………………………………。

 

気づけばオフィスには俺しかいなかった。

薄暗いオフィスの中でひたすら上司に押し付けられた仕事に取り組む。

 

いつも、定時には帰れるようにしているが今日は珍しく残業している。

辛くはあるが楽して昇進して行くための必要な犠牲だと思えばこれくらいは耐えられる。

 

先程までの会話が頭の中で繰り返される。

 

『娘の誕生日で』『合コンがあって』

 

恋愛や家族。どちらも自分とは縁が無いもの。

興味がないわけではない。むしろ大アリだとも。

 

ただ、どうしてもその気が起きない。

それに、それに費やす時間があれば『無職転生』について考えていたいのだ。

 

こんな事を考えている時点で俺にはそういうものとは永遠に関わりがないだろう。

 

そんなこんなを考えていると仕事が終わった。

時計を見てみると十一時を超えている。

 

俺はパソコンの電源を落とし資料などをカバンに入れて立ち上がる。

 

ピロン、と机においてあったスマホに通知が入る。

スマホを手に取りその通知の内容を確認する。

 

内容は好きな『無職転生』二次創作者の最新話が投稿されたことを伝える旨のものだった。

 

ふと、考える。

 

仮に『無職転生』のキャラクターと結婚できるなら誰がいいかと。

 

シルフィエット、ロキシー、エリス等を筆頭に『無職転生』には魅力的なキャラクターが多数いる。

そんなキャラクターの中で結婚できるなら誰がいいのか。

 

「そうだな、、、、、、、」

 

思わず口に出てしまうが、オフィスには俺しかいないため問題ないだろうとして喋り続ける。

 

「俺が結婚したいと思うのは、うん。あの三人だな」

 

俺は誰もいないオフィスで彼女たちの名前は呟いた。

 

「やっぱり、――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開ける。

 

ここ二年で見慣れた天井が視界に広がっている。

 

体を起こせば全身に包帯が巻かれているのが見える。

 

にしても、懐かしい夢を見た。原作に関係ない前世の記憶などアルデウスになってからの十四年であまり思い出せなくなっていたのに。

 

「目が覚めたか?」

 

声のする方に目を向ければ、レイダルが包帯片手に俺の部屋へと入ってきていた。

 

「レイダル師匠、「いい、そのまま寝てろ」」

 

俺がベッドから出ようとするとレイダルがそれを静止する。

そして、ベッドの傍らにおいてある椅子に彼は腰掛けた。

 

「さて、自分がどうして寝ていたのか覚えているか?アルデウス」

 

そう問われた瞬間、倒れた瞬間の記憶が戻った。

 

彼女が、フィアナが、『剥奪剣界』を使った記憶を。

 

「今、思い出しました」

 

「そうか。では改めて、、、アルデウス・レイブランド。今日から『水帝』を名乗ることを許す」

 

よく頑張ったなと、肩に手を置かれる。

 

そうだ。俺は勝ったのだ、フィアナに。

 

彼女の『剥奪剣界』は寸出のところで俺に届かなかった。

俺の剣と打ち合う瞬間に彼女はそれまでのダメージが影響したのか意識を失ったからだ。

まぁ、かく言う俺もその後に安心して緊張の糸が切れて意識を失ったが。

 

「フィアナは、大丈夫ですか?」

 

とはいえだ。彼女の蓄積していたダメージは相当なものであったことは間違いない。

最後の命の奪い合いはなくとも重症なのは変わらないだろう。

 

レイダルは顔を暗くさせ口を開く。

 

「重症だ。出血が止まらずこのままでは命に関わる。何とか出血量を抑えてはいるがな。今、近くの冒険者ギルドから治癒魔術を使えるものを探しているが、上級でなくては彼女を癒せなくてな」

 

使えるものを探すのに難航している、と言葉をこぼす。

 

「でしたら、上級治癒魔術なら俺、使えますよ」

 

「アルデウス、冗談を言っている場合じゃ「ほら」」

 

そう言うと俺は自分の体にあったそこそこ深い傷を癒やす。

 

その光景を見たレイダルは呆けた顔をして驚きを隠せておらず、ブツブツと喋っている。

 

「これは間違いなく上級治癒魔術だ、、、それも無詠唱、、、アルデウス、お前一体、、、」

 

少しまずかったかと一瞬考えるが、すぐにその考えを捨てる。今は、フィアナが優先だ。

 

「ほら、使えるでしょう?ですから今はフィアナのもとに行きましょう」

 

俺がそう諭すとレイダルは顔を引き締め、お前の言う通りだと言って立ち上がった。

 

 

 

――――――――――――

―――――――――

――――――

―――

 

 

 

自分の傷を治癒魔術で癒やした俺はレイダルとともにフィアナがいる部屋に来ていた。

 

フィアナは未だ目を覚ましておらず、苦しみに唸っていた。

そして、彼女の体に巻かれた包帯は真っ赤に染まっており普通なら助からないと思われるほどに血を流していた。

 

(あれ?俺こんな深い傷入れたっけ?)

 

彼女の傷の状態を確認した俺が真っ先に思ったのは自分がこの傷を入れたかどうかだった。

たしかに同じ箇所に斬りつけた記憶はある。だが、ここまで深い傷にはならないはずだ。精々がその時の立会は続行が難しくなる程度のもの。このような死の淵を彷徨うようなものではない。

 

何故だろうと考えを巡らせる。

だが、答えに至るにはあまり時間はかからなかった。

 

『剥奪剣界』

 

彼女が最後に俺に向けて放った技。その後に彼女は倒れた。

今思えば、手負いの彼女の体が『剥奪剣界』の技を放つ際の負荷に耐えきれず傷が悪化したと考えられる。

 

「どうだ?治せるか?」

 

レイダルが俺に問いかける。

少し考えに耽り過ぎたか。

 

さっき傷を確認したところ、十分上級治癒魔術なら治せる範囲のものだ。

 

「できます」

 

俺はただ一言、そう告げた。

そして、彼女に手をかざし治癒魔術魔術を使う。

 

俺の手から緑の光が溢れ出る。

そして先程まで苦痛に顔を歪めていた彼女の顔は次第に落ち着いていき、彼女の体にあった傷はかすり傷の一つすらなく綺麗さっぱり癒えた。

すると、彼女の瞼がピクピクと動き目を開ける。

 

「、、、、、、う〜ん

 

「目が覚めたかい?フィアナ」

 

俺は目覚めたばかりの彼女に優しく声を掛ける。

まぁ、結局彼女の怪我の要因は紛れもなく俺に大きな責任があるので優しくしとかないと後が怖いという打算もあります。はい。

 

「、、、、、、アル?、、、、、あぁ、そうか。私は負けたのか」

 

俺の顔を見て名前を呼ぶと、先程の立会の結果を口にした。俺とは違ってしっかり覚えているみたいだ。

 

「、、、、、、少し一人にさせてくれ」

 

彼女はただ一言そう告げると、布団にくるまった。

 

レイダルも俺も、彼女に対して何を言うべきかもわからず「分かった」と口にしてその場をあとにした。

 

 

フィアナの部屋を出て暫くレイダルと互いに黙って歩いていると彼が重い口を開いた。

 

「アルデウス、お前が何で魔術を使えるのかはこの際聞かん。お前が規格外なのは二年間でよく分かったからな。そういうことだと納得する」

 

それはありがたい。正直、どう弁明したものか考えていたので。

 

「俺が聞きたいのはな、アルデウス。これからどうするか、ということだ。お前のことだ、どうせ『水神』の座には興味はないのだろう?」

 

これから、か。

 

俺は考える。この二年間、ヒトガミからはなんの接触もない。二年前にアスラ王族に取り入るように助言をしてそれっきりだ。ていうか、あいつ頻繁に連絡するかもとか言いながら一切無かったな。まぁ、連絡がないのは上手くいってる証って言うし取り敢えず考えないで良さそうかな。

 

ならば次の目標は、、、まぁ一つだけか。

 

「剣の聖地に行き、『剣神流』を学びに行こうと思います」

 

オルステッドを殺すには少なくとも全流派は取得しないとだしな。それに、俺はまだ十四。まだ時間がある。

 

それにやっぱり、、、ハーレム。忘れちゃだめだよね。こっちも頑張んないと。

 

「お前ならそう言うと思ったよ。なら、出発は早いほうがいい。もう少しすれば北方大地の本格的な冬が来るからな」

 

おぉ。北方大地の冬!原作で見たときそこそこ気になってたんだよね。楽しみだな。

 

「でしたら、いつぐらいに出発するべきですかね?」

 

「そうだな、、、、明日だな」

 

「分かりました。では早速明日、、、、え?明日?

 

この人明日って言った?俺、フィアナとまだ話したいんだけど。

 

「急すぎやしません?」

 

「安心しろ。お前が剣の聖地に行くと思って荷物は俺の方で準備した」

 

いい師匠だろ?と目で言ってくる。

えぇ、いい師匠ですよ。この状況でなければ、ですが。

 

「フィアナの事なら気にすんな。俺の方でなんとかする」

 

違ぇよ。お前の何とかするは俺の何とかしたいとは意味が大きく違うんだよ。

 

「さぁ、行って来い剣の聖地へ」

 

そうして俺は流れに逆らえないまま明日を迎えた。流石、『水神』だ。

 

 

 

――――――――――――

―――――――――

――――――

―――

 

 

 

翌朝、俺はまだ日も昇らない時間に北門にいた。

まだ出発しない理由はレイダルが土産があると言って俺を待たせているからだ。

 

いや、冬ではないとはいえ早朝は肌寒いんで早く来てほしいがな。

 

時間があったので俺は今の自分の装備を確認する。

まず背負っているカバン。これはレイダルが用意してくれたものだ。着替えや当分の食料が入っている。

そして、十歳の頃父が俺に遺した剣。背丈が大きくなったことで実戦で使ってはいないが今も少し大きめのナイフとして使っている。

服はザ・旅人みたいなローブ。防寒機能が優れていてこれからの季節にもってこいだ。

最後に、腰に差している剣。これは立会の直前にフィアナが俺に贈ってくれたもの。これまた特注のもので王都にいる最高の鍛冶師が打ったという。

 

一通り装備を確認し終えると背後に気配を感じる。

 

「やっと来たんですか。遅いですよ、レイダル師しょ―――

 

俺が振り返るとそこにはレイダルではなくフィアナが立っていた。

 

「―――フィアナ」

 

「―――アル」

 

驚きすぎて声が詰まりその場を静寂が包み込む。

 

少ししたあとこの静寂を破ったのはフィアナの方だった。

 

「剣の聖地に行くそうだな。師匠から聞いた」

 

「あ、あぁ。うん。そうだよ」

 

返答が上手くいかずぎこちなくなってしまう。

 

「あ〜その、フィアナ「お前が好きだ」……え?」

 

「お前が好きだ、アル。初めて出会った瞬間から私は恋に落ちた」

 

告白された。告白をされた。俺がフィアナに。あ、返事を。返事をしなくちゃ。

 

「俺も「返事はまだしないでくれ」……え?」

 

「私は弱い。強さを追い求めるお前とは比べようもないほど弱い。北神流を使わないお前に負けた。だから……だから……

 

彼女の目から涙が流れる。だが、次の瞬間俺の目をしっかりと見て声を出した。

 

「だから強くなる。お前の隣に胸を張って立てるように『水神』になる!そしてお前を探しに行く!!だから、そのときは私を妻にしてくれ!!!」

 

彼女の声が静かな早朝にこだまする。

色々込み上げているのか彼女は俯いて涙を流し続けている。

 

俺はそんな彼女を見て―――

 

「待ってる。君が俺を探すのを待ってるよ、()()()。また、いつか。必ず」

 

彼女はバッと顔を上げ言った。

 

「あぁ、あぁ!!!またいつか!!!アル!!!」

 

俺は彼女に背を向け歩き出す。次の目的地、剣の聖地に向けて。

 

未来の妻の声援を背にして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、せめて童貞卒業はやるべきだったかな。

 

俺はそんなことを考えながら目の前にいる宿()()を見つめる。

 

「どう思う?少々出るのが早すぎだと思うんだけど」

 

「何を言っているのかわからんが、興味はない」

 

そう言い放つ()()()()を俺はよく知っている。何度も見た。前世で、何度も、何度も。

 

男が羽織っているのは何かの皮でできた()()()()()()()()。そして最も目を引くのは男の()()()()

 

「貴様、俺を嫌悪していないな?呪が効かないのはヒトガミの使徒を長く続けているからか?いや、考察するには情報が少ないな」

 

男の冷ややかな声が俺を震え上げさせる。

 

「ともかくだ。そこまで、明確に()()()()()を纏っているのだ。ヒトガミの使徒で間違いはないだろう。弁明はあるか?」

 

「ないね。お察しの通り俺はヒトガミの使徒だ。それより俺の方からもあんたが人違いじゃないのを確認するために名前を聞いていいか?」

 

男の三白眼が俺を見つめ、口を開く。

 

「俺の名はオルステッド。貴様とヒトガミを殺す者だ」

 

これは俺がアスラ王国の首都を離れて剣の聖地に向かってから僅か一日目の出来事だ。




大変長らくお待たせいたしました!!!
いかがだったでしょうか?遂に水神流編終わりです。次は、剣神流へと行くはずがなんだか不穏な空気になってきました。アルデウスくんは一体どうなるのか。これからも乞う御期待です!!!

また、なんとUAが20000件を突破しお気に入り件数は400件へとなりました!!!
そして、調整平均が赤バーになりました!!!
皆様本当にありがとうございます!!!


そして、高評価をつけてくださった

神威の皇帝様、タイプ・ネプチューン様、てぃの様、魁魁魁魁様、TOT1015様

以上の皆様高評価をつけていただき本当にありがとうございます!!!!
その他の読者の皆様も願望転生を読んでくださり本当にありがとうございます!!!

そして、これから感想にて質問をしてくだされば本作の根幹やこれからに触れない範囲でお答えさせていただきますのでぜひ、これからも感想、誤字・脱字報告、評価、こちらの三点を気兼ねなくしていただけましたら幸いです。

これからも願望転生をよろしくお願いします!!!
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