願望転生〜無職転生の世界に転生したかったんです!!〜 作:大戦士
龍神と相対する数分前。
俺がアスラ王国の首都を離れて一日が経った。
流石に一日歩いただけでは北方大地のほの字も見えない。ただ、すでにドナーティ領まで来たためもうすぐ見えるかなとは思っている。
ここまで早く進めている理由は俺が歩くときに風魔術で少し加速しているからだ。
だが、こうやって歩いているとやることがなくつまらないのもまた事実。
この歩いている時間も無駄にしないために俺は頭の中でこれからの事を考える。
正直なところ剣神流の技自体は『光の太刀』を除いて、バーナさんに粗方教わってはいたから目下の目標は『光の太刀』の洗練だ。
その次に目標とするなら、ヒトガミが言っていた俺の『無効の神子』のオンオフの切り替えの習得かな。
加護を授かってから四年。未だにこの加護が役立った試しがない。折角あるなら使いたいよね。やっぱり。
そしたらあとは、、、そう。
三日前、俺は夢で前世の出来事を思い出した。
その夢で俺は『無職転生』の、ある三人のキャラと結婚したいと考えていた。
結婚したい理由はそれぞれだが、三人とも俺の男の本能が六割の理由ではある。
奇しくもその内の一人だった、『レイダ・リィア』とは結婚を約束した。
懐かしいものだ。かつて『無職転生』を知っている友達に『レイダが好き』と言ったら本気で頭を心配された。
それはそうと、他の二人もハーレムに加えたいのだが、残念なことにどちらも今から二十年以上も先に生まれる。
そう考えたときに若さを保ちたいと思うのは自然なことだろう。
加えて、自分の肉体を全盛期にとどめておけば龍神との対決を出来る限り先伸ばせられる。
決して互いに若い体のままハッスルしたいのが本来の目的ではない。決して。
それらを踏まえて俺は老化を止めたいのだ。
そんなこんなで歩いていると段々と肌寒くなってきた。
試しに風魔術で上に跳び周囲を確認すれば視界の先の方に北方大地への通り道『赤龍の上顎』が見える。
地面に着地しここからどれくらいかかるかを考える。
予想だがあと二日もあれば『赤龍の上顎』には到着するだろう。
俺は再び歩を進める。
すると奥からこちらに歩いてくる人影を見かける。
そこそこ離れているためあまり明確な姿形は見えないなと思いながら俺は気にすることなく足を動かし続ける。
瞬間、その場の空気が一変した。
俺は躊躇うことなく腰の剣を振り抜く。本来、空振りに終わるはずだった俺の剣はガキンと金属に当たるような音を出した。
そして、俺はその音とともに後ろへと吹き飛んでいた。
そのまま地面に強打させないように俺は受身の態勢になり着地をする。
「ほう、今のを防御するか。なるほど、厄介だ」
俺がいた場所を見ればそこには男がいた。
そう、
そして現在。
「俺の名はオルステッド。貴様とヒトガミを殺す者だ」
足が震える。恐怖が体を強張らせる。
俺はヤツをみて嫌悪してはいない。つまり、オルステッドの呪いは俺には効いてはいない。
これが俺の『無効の神子』の力によるものなのか、それとも俺が転生者であるからなのかは分からないが、全て些細なことだ。
成る程。ルーデウスの感覚が今初めて真に分かった気がする。
これは呪い以前の問題だろ。漏らしてしまいそうになるね。
呼吸を落ち着かせる。恐怖を無理やりしまい込む。
本当はもっと後でしっかりと準備したあとに戦いたかったが、出会ってしまったものはしょうがない。
俺は手にある剣をしっかりと握りしめ、眼の前にいる
「名乗ったほうがいいかい?」
恐怖で声が震えるのを無理やり抑える。
「そうだな、、、いいだろう。名乗ってみろ。貴様は何者だ?」
きっと、今までの周回に居なかったこととこれからの周回のために活かすために話すことを良しとしたな。好都合だ。
「じゃあ、遠慮なく。 、、、、、、俺の名前は、アルデウス・レイブランド。お前の首を、取る者の名前だ!!!」
瞬間、俺は《
この魔術は俺が創り出したもの。つまり、オルステッドにとっては初見の技になる。
原作でガル・ファリオンが初見の技を観察する癖があり、弱点になり得ると言ってた。なら、すぐ殺されることはなくなる。このまま殺せるのが万々歳なんだが。
真後ろに転移した俺は技を繰り出す。
(―――水神流奥義『
止められないために今の自分にできる最高速度で剣を振り抜く―――
―――が、俺の剣はヤツの首に届く前に
「チッ、何で止められんだよ」
何故と思う前に俺はすぐさま思考を切り替える。
そして、オルステッドに向けて初級水魔術《
俺が初めて《
仮に《
結果、俺が放った《
オルステッドが一瞬驚いた瞬間、オルステッドの手で止められていた剣を足技で手放させる。
そしてすぐさま俺は後ろへと跳び距離をとる。
オルステッドの口から気泡が出る。酸欠で意識さえ落ちてくれさえすればいいと思いその光景を見守る。
だが、やはりと言うべきだろう。次の瞬間、俺の《
(《
魔術を無効化する魔術。俺が剣術もしっかりと身につけようと思った原因の一つ。
いやぁ、絶望感半端ないね。
「超高速の移動か?いや、先程の場所から消えたとき何も音がしなかった。つまり、、、転移か。まさか無詠唱だけでなく禁術も身につけるとはな。ヒトガミから与えられたか」
うわぁ、一発で当てられたよ。
もうチートだろ、こいつ。
「いや、先程の《
ゾワッと全身の産毛が湧き立つ。手が恐怖で震える。
体が明確な死を感じ取っているのがわかる。
その恐れを抑えようとしているうちにオルステッドは見れば、
(不味い!
咄嗟に守りの態勢を取ろうとするが、今回ばかりはオルステッドのほうが速かった。
「―――奥義、『光の太刀』」
眼の前に閃光が走る。
そして次の瞬間感じたのは、痛み。
いや、痛みと表現するには言葉が足りない。
ボトリ、と傍らで何かが落ちる音がする。
見てみればそこには腕が落ちていた。俺の左腕が。
「ア、ア、ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
痛い。痛い。痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
痛みが酷すぎて思考が止まってしまう。
すぐさま、上級治癒魔術で出血を止め痛みを和らげようとする。
最早、左腕は諦めるしか無いか。
「成る程。完全に殺したと思ったが、咄嗟のところで『
そりゃそうだろうよ。こちとら十歳の頃から四年間修行で死にかけてるからな危機感知は得意よ。
だが、今ので確信した。
俺は、まだ龍神オルステッドを殺せない。
こいつはまだ俺に使ってない技がいくつもある。
『前龍門』とかももちろん警戒すべきだが俺が一番に警戒してるのは『神刀』。
これが引き抜かれてしまえばモードがHELLから3、いや10ぐらい変わる。
だが、今の現状はどうだ。
『光の太刀』で限界寸前まで追い詰められている。
レベルが違いすぎる。
ここは、逃げて生き延びるのが正解だ。
けれど、、、、、、
「逃がしてくれる雰囲気じゃないよな」
転移魔術で逃げるか?いや、オルステッドなら追いついてくるという確信がある。
遠方には逃げられない。明確な光景が想像できないから。
よって逃げ切るには―――オルステッドに手傷を負わせる必要がる。
我ながらに不可能すぎて笑えてくる。
けれど、それしか方法がない。
ならば―――
「―――右手に剣を」
「―――左手に剣を」
片手で剣をしっかりと握り振り上げる。片腕だから不完全ではあるがそれでも相当な威力は出るはずだ。
今の俺ができる最高火力をぶつける。
「両の腕で齎さん、有りと有る命を失わせ、一意の死を齎さん」
この一撃が俺の集大成。
「喰らってみろ
そして俺は剣を振り下ろした。
大地が抉れる。そう錯覚させるほどの風圧が、威力が出ている。
空気が震える。二年間の修練で俺の『破断』は最初に放ったものと比べて大幅に威力が上昇している。
流石にアレックス並とは口が裂けても言えないが、それでも一度だけだがアレックスとの試合で
これなら、絶対に―――
「まさか、不治瑕北神流を習得しているとはな。―――ここまでの傷を受けたのは久方ぶりだ」
振り下ろした剣の先にいたのは、右腕を失っただけの
はぁ、ここまでか。
俺の全力でも右腕を吹き飛ばすだけ。仮に万全の状態でも両腕を吹き飛ばすぐらいの威力しかなかっただろう。逃げるのは不可能。
『北帝』となり『水帝』となり、まだまだこれからだと思っていたが。二度目の人生は思ったよりも呆気なく終わるのか。
「アルデウス・レイブランド、貴様がまだ幼いときに殺せて本当に良かった。あの世でヒトガミに伝えろ。龍神オルステッドは何があっても貴様を殺すと」
いつの間にか治ることのない不治瑕北神流で失ったはずの右腕を再生させたオルステッドは俺に近づきそう告げると左腕を振り上げる。
その光景を見たときふと、アレックスとの会話が思い出されていく。
「アルデウス。君はきっと剣術の三大流派のうち『剣神流』が一番適しているでしょう」
『破断』の鍛錬をしていると唐突にアレックスが俺に告げる。
「え?急にどうしたんですか師匠」
まさか破門?と俺が不安げに聞くと、それは無いとアレックスはバッサリ切り捨てた。
「君は確かにものすごい才能を持っている。剣術然り魔術然り。でもそれらの中で突出して君の才能が適しているのは『剣神流』だと私は思っています」
「理由は君の『光の太刀』です」
「俺の『光の太刀』がなんです?普通のものじゃありませんか」
俺がそう言うとアレックスはクスクスと笑い出す。
少し小馬鹿にされてる気がして苛つく。
「君は以前私に
あぁ、そうだ。確かに今でもあまり魔力と闘気の違いが良くわからない。あの時壁を壊すとは思ったがこれだけは変わらない。
「ですが君はそんな状態で『光の太刀』を使えた。そしてその威力は通常の威力を遥かに凌ぐものです。そうまさに、『初代剣神』アル・ファリオンが使っていた今の『光の太刀』のオリジナルのような」
言われてみれば、確かに漫画でみた『光の太刀』は精々が木を真っ二つにするようなものだ。
けれど俺のものは周辺の木々を断ち切り多少の地形をも変えた。確かに大きく違う。
「これは私の持論ですが、あなたと初代剣神は同じように魔力と闘気の違いが分からない故に、技を放つ際に
その予想を聞いたとき何かがストンと俺の中にハマった気がする。
「私は別に剣神流のエキスパートではありませんから聞き流していただけると幸いです。ですが、そうですね。仮に君の『光の太刀』がオリジナルに近いものなら―――
―――『極光の太刀』とでも名付けましょうか」
「……まだ、転移できるか。」
俺は後方へと転移して、オルステッドと距離をとる。
「ならば、直ぐに殺そう。次は心臓を貫いて、確実に」
ジリジリとオルステッドが近づいてくる。
だが、俺はそれを無視して居合の構えをとる。
「……『光の太刀』か。つくづく厄介極まりない。成長した後だったら俺の首に届く可能性もあったかもな」
深呼吸をする。
鞘に入れた剣に闘気と魔力を込める。違いは分からない。だから、それっぽいのを全部込める。
落ち着いて、ゆっくりと、しっかりと込める。
正真正銘最後の一撃。
俺の全力の一撃。
「―――剣神流奥義、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、『極光の太刀』!!!!!!!!」
閃光。
次の瞬間、爆発音のようなものがあたりに響く。
ものすごい風圧が辺りを駆け巡り、おびただしいほどの砂埃が宙を舞う。
少しして砂埃が落ち着いて辺りを見回せば近くにあったはずの木々は姿を消し目の前の地形も舗装されたかのように真っ直ぐとした広々とした更地になっていた。
そして目の前にいたはずの龍神は跡形もなく消えていた。
「ゴフッ…!」
「さらばだ、アルデウス・レイブランド。貴様がヒトガミの使徒であったこと、心から残念に思う」
目の前から消えていたオルステッドは俺の後ろへとおり、その右腕は俺の心臓を背中から貫いていた。
そして、オルステッドは右腕を引き抜き、俺は前に倒れる。
体にあいた穴から、ドクドクと血が流れ続けている。
四年前に感じてそれきりだった死の気配が迫ってくるのがわかる。
オルステッドはそんな俺を一瞥し、去っていく。最早、時間の問題と思ったのだろう。
まぁ、実際そのとおりだとも。上級治癒魔術しか使えない。この傷は治せない。
あぁ、奇しくもルーデウスと似たような感じになってるな。俺の場合は助けてくれるナナホシは居ないが。
痛いなぁ。うん、痛い。
寒いなぁ。うん、寒い。
段々と眠くなってきた。あぁ、眠ってしまえば楽になれる。
楽に、、、、、、楽になれる。
認めない。
俺は認めない。
俺は俺自身がここで終りを迎えるのを認めない。
奇跡だ。折角手に入れた
俺はここで手放さない。
叫べ。
かすれてていい。小さな声でいい。
俺がこの世界で創った魔術を。奇跡の証明を。
はっきりと。
「……………………………………
瞬間、俺の視界は真っ白に染まった。
いかがだったでしょうか?
遂に願望転生も13話を迎えました。これからの物語がどうなっていくのか乞うご期待です!
また皆様のご協力のお陰でUAが2500を超えお気に入り件数が500へと到達いたしました!!皆様本当にありがとうございます!!!
そして高評価をつけてくださった
ユウ1026様、Niki4869様、3euren様、ししゃも333様、華々様、白神 紫音様
以上の皆様高評価をつけてくださり本当にありがとうございます!!!!
その他の読者の皆様も願望転生を読んでくださり本当にありがとうございます!!!
感想、誤字・脱字報告、評価、こちらの三点を気兼ねなくしていただけましたら幸いです。
これからも願望転生をよろしくお願いいたします!!!
※2025年11月23日 一部文章に矛盾があったため修正いたしました。内容に変更はございません。