確かに俺はいっぱい食べる女が好きだと言ったがそれそのものになりたいとは言って無えんだが〜暴食龍娘のダクファン世界放浪記   作:誤字報告マジでありがとうございます

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第1話

 皆様方はインフィニットポゼッション(通称インポ)と言うゲームをご存知だろうか。

 

【電子機器で遊ぶTRPG】をコンセプトに作られた1人用RPGだ。

 

 人類の宿敵たる7匹の魔王を討伐し、世界を平和にすると言う目標のありきたりなゲームだが、まるでTRPGの様な自由度と、版権キャラ大体作れるとも言われるほど充実したキャラメイクに加え、やり込みで自キャラをとことんまで強くできるゲームだった。要はロールプレイ好きにはたまらない代物だった。

 

 種族と職を選び、レベルアップのたびに得られるSPとステータスポイントを振って育てていくと言うシンプルなシステムだが、スキルと職業の数が異常に多かったり、デメリットスキルを習得する時は逆にSPが増える特殊仕様があったりと、シンプルながらパズルじみたキャラ作成の楽しさがあり、周回ごとにキャラを変えながら遊ぶのは中々に中毒性があった。

 

 んでもって、いわゆる知識ゲーの側面があったので、周回を繰り返すごとに効率の良い稼ぎ方、イベントの進め方が分かるようになるのでやればやるほど気持ちよく暴れられるシステムをしていた。

 

 具体的に言うと、ラスボスポジの魔王すら蹂躙できる程に。

 

 いや、育ちきったあいつは基本無理だったか

 

【7大魔王:暴食担当:終焉龍(シュバルデウス)】 は

 

 他に類を見ない凶暴性と異常なまでの食欲を持つ事で知られる中型の竜種。西洋ベースの竜にクソでかい口と大きく太い尻尾を持ち、ぬらぬらした緑色の鱗で全身を覆われた龍。

 

 この龍の特徴を挙げろと言われたら、まずはその異常な食欲が挙げられる。

 

 自らの生命活動を維持するために他のあらゆる生命を糧とする特級の危険生物であり、生きるために喰うというより喰うために喰うと言った、生物の範疇から逸脱した暴食性を持ち、その捕食対象は文字通り「ありとあらゆる生物」

 

 小型モンスターから地域に君臨するボスまで、目に映る者全てを喰らい尽くそうとする。

 

 その武力、食欲、無限の胃袋によりテリトリーの主を含めた地域一帯の生命を喰らい尽くすことで生態系、果ては世界を崩壊させてしまう等、暴食そのもの、災厄そのものと言える化け物だ。

 

 喰らったあらゆる物を一瞬で消化する底なしの胃袋、 

 文字通りいくら食べても満たされない食欲、同じ龍種、果ては自分自身まで一切の躊躇無く喰らうその精神。

 

 全てが喰う事に特化した最悪の化け物だったがこれだけならまだマシだった。

 

 

 こいつの最悪な所は、喰らったものの能力を己のものとする、ゲーム中最強最悪のスキル【存在捕食】を持っているところだ。

 

 効果は至ってシンプル。喰らった対象の、戦闘能力、特殊能力を自身に加算する。以上だ。

 

 プレイヤーキャラがステータスを2倍にしようとするのは大変だと言うのはゲーマーの皆様には分かってもらえると思う。そうだよな、そんなポンポンパワーアップ出来たらゲーム壊れちゃうからな。

 

 ただ敵キャラにはそんなの関係ない。同格を1体倒して食うだけで、戦闘能力が2倍になる。奪ったスキルにシナジーが生まれる事も考慮すればそれ以上か。

 

 うん、ぶっ壊れてる。

 

 これを利用した敵側じゃなければ許されない成長速度によって、際限無く成長し続けるこいつは、一度ある程度まで強くなれれば、加速度的に強くなり、他の魔王も含めた全てを食らい尽くし、世界を喰らい、プレイヤーに牙を剥くのだ。

 

 俺も1周目でこいつと戦った時は、レベル530000とか表示されてるのは頭おかしいんじゃねえかと思った。やり込み考慮しなければレベル100でカンストするゲームなんだぜ、インフィニットポゼッションは。

 

 そして「おで、くう! ぜんぶ! くう!」とか言いそうなその生態に反し、こいつは頭がキレ狡猾だ。

 

 不意打ち逃走と言った卑怯な手に躊躇いが無いとかそう言うレベルではない。文字通り、獲物を喰らうためにはどんな手も使ってくる。

 

 人間に化けての扇動、洗脳から色仕掛けまで何でもだ。

 

 インポは設定上人間国家……と言うか人間【種】が強いゲームだ。

 

 そんな世界で人間と言う強大な餌をどう喰らうか。

 

 龍は色々と考え、そして一つの結論に至った。

 

【種】として強い生物なら、その社会性を断ち切り、【個】に戻せば良いと。

 

 そのために、孤立した人間を喰らい、記憶を奪い、人の心について学んだ結果、先導者としても煽動者としても超一流の会話能力を得た。

 

 こいつの頭には飯の事しか存在せず、愛や悪意や勇気と言った人間らしい感情を一切持たないくせに、誰よりも人の心を操るのに長けている。

 

 演説をすれば国家を沸かせ、煽動をすれば国家を滅ぼし、宗教家になれば世界に残る一大宗教を作り上げる。

 

 

 人の心を持ってない癖してもっとも人の心を操るのに長けているのは皮肉としか言いようが無い。

 

 以上二つの武器、最強の固有スキルと人心掌握術によって、こいつは最悪最強のボスとしてプレイヤーに認識されている。かくいう俺も一周目のプレイでは手がつけられなくなったこいつにやられた。

 

 ただ、対策は簡単だ。最強の敵ではあるがそれは育ちきったらだ。

 

 最悪の敵ではあるが、それは人間に擬態できる様になってからだ。

 

 なら簡単だ。

 

 そうなる前に殺せば良い。

 

 初期状態のこいつは単なるトカゲともいうべき最弱の敵であり、【種族:カタツムリ 職業:ピアニスト】とか言う舐めた構成のレベル一キャラでも瞬殺可能だ。

 

 なので出待ちして封印解除直後に喧嘩を挑む事で最弱の敵にもなるのだ。

 

 世界観的には世界の宿敵としか言いようがないが、プレイヤーとしては、プレイスタイル次第で最弱にも最強にも強さをいじる事が出来るラスボスのため、ライト層にもやり込み派のニーズにも応えられる良いボスだと評判だった。

 

 人によっては、封印解除直後のこいつに特定ボスの死骸を食わせることで、お好みの性能のボスを作ったり、サキュバス系を大量に食わせエロい外見にしたりとしたりと完全におもちゃになっていた。

 

 

 

 

 そして話は変わるが俺は大食いの女が好きだった。なんでと言われても説明はできない。これを見ている皆様方はどうせおっぱい星人だろうが、なぜおっぱいが好きなのか聞かれたら説明できるか? できないだろ、そういうこった。俺はペ◯リーヌも好きだったし桂木弥子とかジュエリー・ボニーも好きだった。なんだったらスライムとか蛇の捕食シーンとかでもちょっとシコれた。

 

 その性癖、及びにインポの豊富なキャラメイクの結果生まれたのが、終焉龍の娘、暴食の権化、エフィノア・シュバルデウスという俺の操作キャラクターだ

 

 シュバルデウスの体色みたいな緑の長髪、身長175センチと言う高身長、なかなか立派な胸部装甲を持った女。白衣が似合いそうなクールな研究員と言ったところか

 

 落ち着いた口調と外見に反し、親から受け継いだ異常なまでの食欲と底なしの胃袋を持ち、シュバルデウスの食欲と戦闘能力、狡猾さと社会性を併せ持った、究極の捕食性人間。

 

 料理を社会性で得ては喰らい、モンスターを武力で殺して喰らい、魔王種ですら喰いかねない、自分以外の全てを餌だと思っている化け物。それがこいつの設定だった。

 

 そして終焉龍の能力も大幅にナーフされたとは言え、引き継いているので喰えば喰うほど強くなる

 

 本来ならプレイヤーキャラとして許されて良い性能をしていないが、インポは周回ボーナスがやたら豪華なゲームとして知られている。

 

 本来レベルアップでしか手に入らないステータスボーナスポイントやスキルポイントを得られるドーピングアイテムで、キャラビルドの限界をぶっ壊したり、敵専用のチート級の種族、職業の選択権利を得られたりもした。

 

 そう、【終焉龍】の様な。

 

 それが解放されたのは確か100周ほどした時だったか。あふれる知識と周回ボーナスドーピングアイテ厶で底上げしまくったステータスで【嫉妬の魔王】をボコボコにしてクリアした時だ。ラブコメキャラをブロリーがボコボコにするような快感に酔いしれてたおれにの目に飛び込んできたのは一文【種族:終焉龍が解放されました】

 

 喜び勇んで使ってみたが、敵だから許されていたのを自分で使うとこうなるのかと言う、変な感動があった。

 

 強い、強すぎる。

 

 基本種族スキルは20個ほどあるのだが、

 終焉龍の取れるスキルはたった一つ。

 

 そう、それこそが最強最悪のスキル

 

【存在捕食】

 

 オリジナルの比にならない程弱体化こそしているがその凶悪さも据え置きだった。

 

 なんせ終焉龍のやっていた暴虐の真似事を自分側でできるのだ。

 

食った対象の強さ応じた経験値を習得し、非捕食者の卓越したステータスとスキルの一部を奪い、同じスキル持ちを喰えば喰うほどスキルも強化される。

 

 要は喰らうことで全てのスキルを習得できるようになり、全ステータスをカンストまで持っていけるのだ。

 

 

 流石に、魔王、龍、勇者と言った上澄みには対処する必要があるし、序盤はきついが、それでもゲーム中最強の種族だとプレイヤーは口をそろえて言っていた。

 

 当然エフィノアの種族はこれだ

 

 使っていてクッソ楽しい上に、大食いキャラのロールプレイができてめっちゃ捗った

 

 あと職業の【大喰らい】方面で、大食いキャラと言う設定を補強するために覚えさせた発動スキルも結構有用だったな。

 

 肉を喰った時にボーナスのつく【お肉大好き】

 

 本来食えない物を食えるようになる【如何物食い】

 

 飲食を高速化できる【早食い】

 

 喰らったもののカロリーを自身の再生、強化に使える【グルメ】

 

 となかなかだった。全部発動するとスキルポイントが足りなくなりそうだったので、足りないポイントを補うため、追加発動させた、燃費が悪くなる純然たるデメリットスキル【底なし胃袋】もあったが、それでもそこそこ強かった。

 

 

 

 んでここからが本題だ。俺は現世で死んで、そのエフィノア・シュバルデウスになっちまったってわけだ。

 

 なんで俺が死んだかはあんまり思い出したくないし皆様も興味ないだろうから省略する。

 

 ただ二つ言えることは、悪く無い人生だったということ。顔を涙でくしゃくしゃにしながら今際の際の俺の手を握って看取る両親の顔を見て泣きそうになった事。

 

 そして俺は死に、気がついたらいつの間にかエフィノア……長えからエフィで良いか。エフィになっていた。

 

 本来ならこうなった事への困惑とか、現世への未練とか色々あるのだろう。しかし、それすら一旦脇に置かないといけない問題が出てきた。設定の為か、単に何も食えていなかったからか、俺は今までに感じた事の無い空腹に襲われている。

 

 それこそ、飽食の国日本では決して味わえない、臓腑が弱り切る様な魂が削れるような空腹が。

 

 ヤバい、腹減った……死にそう……そう声に出そうとしたが、俺の口から飛び出したのは、別の言葉だった。

 

「ヤバいわね、お腹が空いたわ……死にそう……」

 

 妙に憂いを帯びた、思慮深さと神秘性を感じさせる声が、響き渡った。

 

 ………………それにしてもまずは状況を把握しないとここはどこだ、森林みてえだが

 

「まずは情報収集ね、で、どこなのかしら、ここ。森みたいだけれど……」

 

 ……あ──────────────……はいはいそういう系ね。

 

 これ、俺の設定集のエフィの喋り方と同じだ。何、これ。こういう系で、精神が体に引っ張られる事はお約束だから覚悟していたが、発言だけ引っ張られるパターンか。俺の言葉が自動で変換される様になってやがる。

 

 なんかネカマやってるみたいな変な気分だ。無駄に立派なお山さんが追加されたとは言え、精神的に俺はれっきとした男だ。

 

 結構きついぞこれ。

 

 ぐううううううううううううううう……

 

 そう思って軽く落ち込んでいると、腹から地鳴りの様な切ない音が聞こえてきた。

 

 

「はぁ……どうしろって言うの……見た所一面木、木、木、で食べものなんてありゃしない。私に餓死しろって言うわけ? ふざけんなっての!」

 

 そう言って俺は駆け出した。

 

 何でも良い、肉でも野菜でも魚でも魔物でも、とにかく何かにかぶりつかないと死んじまう! 

 

 餌を探して3分ほど経つと、何者かの戦闘音が聞こえてきた。獲物!

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