確かに俺はいっぱい食べる女が好きだと言ったがそれそのものになりたいとは言って無えんだが〜暴食龍娘のダクファン世界放浪記   作:誤字報告マジでありがとうございます

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第14話

 法国から馬車で2時間ほどのところにある迷宮前にて、俺はゴブリンを【爆槍】の柄で突き刺しながら、ついさっきあったことを思い出していた。

 

 

 *

 

「よし。この話はこれで終わり! アレックス、マリア、レン、エディ、レナ、マチス、アルマル、ミシェラン。エリシア。ナバール。オグマ。シーダ。帰るよ」

 

 何人かは何か言いたげな顔をしていたがそれでも素直に奴らは帰っていった。

 

 少なくとも、視界の上では。

 

 奴らの群れが帰って2分後、俺は店の端の何も無い空間に話しかけた。

 

「あの、なんでそこいるの? ヴィジター」

 

 

「……バレた? 気を張ってないパラディンが相手でも騙せるレベルの幻覚なんだけどよくわかったね。【反響定位】でも持ってた?」

 

 幻影が解かれ、ヴィジター他3名の聖騎士が現れた。そして口を開いた。

 

「まずはちょっと言わなくてはいけない事があるんだ」

 

 そして法国の王は、聖騎士を伴って寄ってきた。そして、頭を下げた。

 

「すみませんでしたあああ!」

 

 は? 

 

「協力を頼む側なのにクソみたいな態度してすみませんでしたあ! ああでもしないと、アレックスとかアレックスとかに“龍如きに下手に出るとかもしかして俺の主君は龍の洗脳系スキルで洗脳されているのでは? 龍をぶっ殺して主君をお助けしなければ! ”みたいな流れになりそうでああするしかありませんでしたああ!」

 

 ヴィジターは続ける

 

「さっきも何人かに理知的な聖騎士には、”そんな高圧的に接しても無駄に喧嘩売って怒りを買うだけやんけ頭悪いんけ“みたいな顔で見られていたけど、うちの聖騎士共はアレックスみたいな斜め上の解釈するタイプが大多数だからさあああ! 彼らを説得するためにしなきゃだめでしたああ!」

 

「ま、待って、頭を上げて! ええとそのアレックスとやらの言ってた事も分かるわ。冷静に考えたら、龍なんて殺す一択だわ」

 

「…それを自分で言うのかい…まあ、それでも君は生きていたほうが良いタイプの龍だよ。君はなんとか、かろうじて、ギリギリで食欲よりも良心が勝たないこともなさそうだしな。これでも人を見る目はあるんだ」

 

 ドヤ顔でヴィジターは言った。

 

「前世で人を見る目が無かったせいで弟子に裏切られて磔にされたあなたが言うと説得力が凄いわね……」

 

「え? は? なんで知って?! ………………………………いやいやこの僕がそんなアホみたいなヘマするわけないだろ」

 

 こいつこれがガチ目のコンプレックスになっているらしいのでガチでダメージが入るのウケるんだよな。こっちを二度見してきたりと、パターン色々あって草なんだな。

 

「まあぶっちゃけ龍様を怒らせても世界終わるのが1年早まるだけですしね」

 

 残ったヴィジターの側近。確かレナだったか? がヤケクソ気味の目で言った。

 

「奴らの言う事も正しいんですけど協力を頼む以上最低限の礼儀は必要ですよね」

「ああ。アレックスも悪いやつではないんだけど、あの態度は無駄に敵増やすだけだ」

 

 残り2名のパラディンも言った。

 

「まあ、この通り。実は君はそこまで嫌われてないんだ。最悪終焉龍を仕留めた君を餌の豊富な場所に、【次元渡りの腕輪】で吹っ飛ばすとかも考えたけれどそんな結末クソッタレだね。俺は世界を救う救世主にはちゃんとそれに見合った報酬が渡されるべきだと考えているんだ」

 

何か思う事があるようにヴィジターが言う

 

「…それはなんで? あなたが前世で救世主をやっても報われる事が無かったから?」

 

 インポには、これ歴史上の人間モチーフだなって奴が何人かいるが、こいつほどに正体がはっきりしているやつも珍しい。

 

 こいつは前世では、普遍的な価値観では救われない、娼婦病人障害者と言った弱者の為に戦った。

 

 弱者に救いと天の存在を説き、存在を肯定し、一大宗教を作り上げた。

 

 しかしその末路は、救おうとした弱者達に裏切られて磔にされるというものだった。

 

 そしてインポ原作でのこいつは無神論者だった。笑っちゃうだろ。神を名乗り、神の存在を説く癖して、本人は神など全く信じていなかった。

 

 本当にこの世界に神がいるなら、弱い者、虐げられるもの等この世にいないと言っていた。

 

 そして、神が弱者を救わないなら、俺が救うしか無いとも。

 

 こいつはその信念に基づき、弱者を徹底的に虐げていた法国の前王を、ペテンと幻影で失脚させ、王の位置につき、今のそれなりにいい国に変えていた。

 

 皆様方からすれば、ヴィジターはよく分からん奴だろう。

 

 そうだ。その通りだ。魅力的に見せられなかった書き手に感想欄で文句言ってやれ。

 

 ただ俺はこいつを信用している。原作で結構な付き合いがあったから。

 

 キリスト・ヴィジターはちょっと驚いたような顔をしてこういった。

 

「ああ……そこまで知ってるのか……前世の事は関係ない。善行には報いがあって欲しい、良いやつには幸せになって欲しいってだけの単純な話だよ」

 

「……そう」

 

 ついでに聞きたかった事を聞いてみる。インポほんへでは聞きたくてもシステム上聞けなかった事だ。

 

「前から聞きたかったんだけど、前世であなたは弱者を救おうとした。それでも裏切られて死んだ。これに間違いは無い?」

 

「そんな大した事してないよ。弱い者達に嘘っぱちの宗教ばら撒いた結果しばかれたってだけの話だ」

 

「それについて後悔はしてないの? 言っちゃ悪いけど都合の良い時だけ信仰して、都合が悪くなれば相手をあっさり裏切るような奴らを救う価値あった? 救う意味は無かったと思うんだけど」

 

「ああ全くもってその通り。弱者というのは恩を仇で返すような助ける価値もない連中の集まりだ。当たり前だ。例え弱くても、マシな性格してれば、結構誰かが手を差し伸べてくれるもんだ。そう言う手も差し出す気が起きないからこそ弱者と呼ばれる。そんな奴らに手を差し伸べるなど、不合理の極みだ」

 

「だったら」

 

「ただ、みんながみんなそういう事言って合理的に行動すると誰も彼も弱者を救わないだろ。なら一人くらいは不合理に行動してもいいだろうって事だ。前世でやった事に一片の後悔も無い。ただ俺の、話術が全員を騙し切れるほどに無かったからって話だ。誰も悪くない」

 

「そう……ありがとう。前から聞きたかった事は聞けたわ。じゃあね」

 

 レストランの扉を開ける。

 

 ドカ食いしたりパラディン乱入させたりと俺のせいで結構迷惑かけてしまった。後でお詫びに来よう

 

「あ、あの、エフィさん」

 レストランの外に一歩踏み出した所でレナと言う聖騎士から声がかかった。

 

「うん? なあに?」

 

「うちであなたの為に食事補助も出しますよ、エフィさんの法国での食事は全部うちが費用を持ちます。協力者としてそれくらいはしますよ。良いですよね。ヴィジター様」

 

「……! それ本当! やったー! ヴィジターくん大好き! えっとね! まずはね!」

 

「うおっ」

 

 抱きついて耳元でリクエストを詠唱しようとするが手で押し返された

 

「レナ! ちょっと待って! 勝手に決めないでくれ! ごめんエフィちゃん。それ無理」

 

「……あ? お前はあ、何言ってやがってんですかあ」

 

「なんか……俺の勘が、それは最悪手だとビンビンに警鐘を鳴らすから……」

 

「……。やだああああああああ! やだぁあああああああああ! やだぁああああああああああああああ! 期待したおかげで胃袋が法国グルメ用になったの! ごはんちょーだい! ちょーだい! ぢょーだい! ぢょーだい! こんな純粋無垢で可憐なレディが春をひさいで糊口をしのぐ事になっても良いの?」

 

 じたばたと地面に寝転がり暴れる。手足をぶんぶんと振り暴れる。怒りと欲求を声にして叫ぶ! 

 

「まあ、ちょっと落ち着いてくれ」

 

「落ち着くですって? 今のこの状況が落ち着いて見える? 私のお腹が今どれだけグーグー鳴ってるか聞いてみる?」

 

「いやもう散々聞いたから良いです」

 

「やだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛私はお腹いっぱい食べるんだああああ!」

 

「……あの、ヴィジター様。本当にこんなのに世界を任せて良いんですか?」

 

 マチスとか言う聖騎士が呆れたように言う

 

「かわいそうな欠食児童のレディを支援しないとかあ゛あ゛あ゛あ゛! お゛お゛お゛前゛達゛は正気かあ゛あ゛あ゛! 特別に腹八分で我慢するからごはんよこせえええええ! ごはん! ごはんんん! お腹ペコペコ! ごはん! ごはん! ごはん! ごはん! お腹ペコペコ!」

 

「ええと、どうしますか。つまみ出しますか?」

「頼む」

 

 足をもって引きずられる。床に爪を立てて引きずられないように抵抗するけど今の俺と聖騎士の間には、悲しいほどに膂力の差があるため抵抗できない。

 

「……こいつさっき殺されかけた時より抵抗してないっすか」 

 

「お前らあ覚えてろお。終焉龍喰い殺したら法国の食料すっからかんにしてやるからなあ」

 

 捨てゼリフを残すのがやっとだった。

 

 *

 

「クチャクチャ。クッチャクッチャ。クソがッ。あのクソペテン師。男に二言は無いと言う言葉を、知らんのかしら。クソッタレだわ。名前をチンカスとかマンカスに改名すれば良いのに。

 ねえ、あなたもそう思わない?」

 

 上半身がもうなくなってしまったゴブリンに話しかける。

 

「ボクモソウオモウヨー! エフィチャン!」

 

 裏声でお返事をするとボトリと片足が落ちた。

 

 ああもったいない。もったいない。内臓がみっちり詰まった上半身も美味しかったけれど、太もものある下半身も美味しいのだから。そう思いながらちんこもろとも太ももを食いちぎって口の中でミンチに変え嚥下する。

 

 正直絵面的にも、中身が男って事的にも、色々とアウトな事していると言う自覚があるが、腹が減りすぎてそんな事に配慮する余裕もない。

 

 それにしてもヴィジターの野郎。

 

「ああ、思い出したら腹たったし腹も減ってきたわ。もうヤケ食いよ」

 

バクバクッバクバクッ!

 

【ゴブリン完食! 経験値3習得!】

 

「さてさーてこのステータスで行けるかしら、ダンジョン攻略」

 

 

 

 〈エフィノア・シュバルデウスLV16

 

 種族:終焉龍 職業:大喰らい

 

 ステータス

 

 腕力:E

 体力:D

 速さ:D

 器用:D

 魔力:D

 耐性:E

 

 スキル

 

【存在捕食】……喰らった相手の能力を模倣

【お肉大好き】……肉を喰らうと一時的にステータス上昇

【如何物食い】……あらゆる物を一瞬で消化吸収する。

【グルメ】……食べたエネルギーを使って自己回復、強化

【早食い】……飲食速度にボーナス

【底なし胃袋】……満腹中枢が完全に壊れる

【魔矢】……魔力の矢を打ち出す魔法

【暗視】……暗闇を見通せる様になる

【反響定位】……広範囲高精度の音のソナー

【暗殺無効】……自身が認識してない相手からの攻撃無効

【移動加速】……速度にボーナス

【身体能力強化】……あらゆる身体能力にボーナス

【蜘蛛糸操作】……蜘蛛糸の生成、操作が可能に。

【毒牙】……牙から毒物を生成出来る様に

【亀の守り】……防御能力にボーナス

【熊の膂力】……膂力にボーナス

【冷気放出】……冷気を体から放出可能

【氷結氷舌】……超低温の舌を発射できる

【冷気無効】……冷気攻撃を無効化する。

【転移無効】……対転移攻撃を無効化する

【飛行】……空を飛べる〉

 

 

 うんうん結構強いけど一発で最終階層まで行くのはキツそうだ。

 

 ああ、そういや言い忘れていた。ダンジョン、その正体は、巨大な貝のような人食いの生物、【ダンジョンクロウラー】だ。

 

 こいつは年齢を重ねる事に空気中の人間のフケや髪の毛を吸収して際限なくデカくなる。

 

 しかし、成長するにつれ、エネルギーはより多く必要になり空気中のごくごく僅かな人間の老廃物だけでは足りなくなる。

 

 そのため人間本体を仕留めて血肉を吸収しようとするがここで一つ問題が出てくる。

 

成長したダンジョンクロウラーはデカくなりすぎて、移動能力を全く持たない事だ。

 

 なのでダンジョンクロウラーは考えた。自分が人間の元へ行けないのなら、人間を自分のところへ呼び寄せれば良いと。

 

 自身の身を鉱石宝石アーティファクトに変換して人間を呼び寄せ、フェロモンで呼び寄せ凶暴化させた魔物を使い殺す。

 

 ダンジョンで、こちらを餌にするわけでもない魔物が襲いかかってくるのはこのためだ。

 

 リスクとリターンを調整し、人間が訪れるリターンを与え、人間が訪れなくならない程度の死亡率に留め、それでいてきっちり一定量の人間は殺す。

 

 そんな怖ろしいダンジョンも今の俺には正直食べ放題レストランにしか見えない。

 

 そう、目の前に、冒険者パーティの遺品と死体の残骸が転がっていても。

 

 そこに残っていたのは血痕と僅かな肉片だけ、下手人、もしくはダンジョンはこの持ち主を喰ったようだ。

 

 羨ま……もとい許せない。

 

「見つけたら仇は取りますよー」   

 

 そう言いながら余った物品を物色する。なんか連合国から来たみたいだなコイツラは。数は3人と言ったところか。

 

 結構気合を入れて漁ったがめぼしいものは礼拝服しか無かった。

 

 どうやら下手人にあらかた持っていかれたらしい。

 

 ただ、それはそれとして良いアイテムもあった。

 

【乙女のローブ】だ。

 

 自動修復機能、魔法へのレジスト効果ありとそれなりに有用なアイテムだがクソカスみたいな装備条件あるんだよな。

 

 まあ着れるけど。

 

「エフィちゃん修道女Verばくたんっ!」

 

 そうやってポーズを決めてみると早速前菜が頭上から落下してきた。

 

 もちろん【反響定位】で位置も種族も降りてくるタイミングも分かっていたのでタイミングよくキャッチしオヤツにした。

 

「ギィイイイイイイイ!」

 

 うんうん、このむちむちとした食感は正直かなり好きかも。

 

 現在進行系で貪り食われている魔物の名前は【パラライズリーチ】

 

 凶悪な麻痺毒を持つ凶悪な魔物だ。と言っても単体で現れた場合はは大した事ない。

 

 噛みつかれた時点でC級以下の麻痺耐性系を持たない冒険者は5分程度動けなくなる。

 

 がこいつは、ただ食欲のまま動いている。ついでに少食だ。更に血が主食だ。

 

 これらが合わさったおかげでこいつは麻痺させて無力化された相手に対してもちょっと血を啜って帰る。という、平和極まりない生態をしている。

 

 ただこれは単体での話。集団で出てきた場合は別だ。パラライズリーチさんが帰っても、そこには他の獰猛なモンスターさんが残る。その為実質的な即死攻撃として作用する。

 

 そんな凶悪なモンスターなのにあら不思議。何ということでしょう! 美味しそうな活きのいい大暴れする蛭さんが嚥下と咀嚼を10回ばかりするだけで、美味しそうで食べやすい痙攣するだけの蛭さんに大変身☆

 

「あらあらそんなにそんなにご飯としての自覚をもっているのなら、美味しく食べてあげないと失礼にあたるわね。あーむ」

 

 旨味で口の中を幸せにしてやるといつものメッセージが流れた。

 

【パラライズリーチ完食! 経験値5習得! 【麻痺攻撃】【麻痺耐性】習得!】

 

「あなたもとっても美味しかったわ。ごちそうさまでした」

 

 さてと。現在【反響定位】によってダンジョンの内部構造を解析しているのだが、とりあえず入り口のあたりに落とし穴があるのは分かった。

 

 そして俺は躊躇うことなく踏み込み、落とし穴に乗った。

 

 当然の如く床が外れ重力によって俺は落下する

 

 ダンジョンの落とし穴の底には、大抵何か仕込まれている。ちょっとやそっとの落下ダメージでは致命傷を受けない冒険者にトドメを刺すことを想定しているためだ。

 

 基本は毒塗った槍等が使われるのだが、今回そのトドメとして用意されたのは、タンパク質。もとい蛇の群れだった。

 

 その毒毒しい赤と黒のまだら模様は、毒を持つということを警告している。

 

 怖すぎて口から涙が溢れ出すのを止められない。

 

「いただきまーす」

 

 落下しながら、あらゆるステータスを1.3倍にする【身体能力強化】✕力を1.3倍にする【熊の膂力】を同時起動

 

 1.69倍になった膂力に更に落下速度を乗せて踏みつけるように着地。プチプチプチッと気持ちのいい感触が足の裏から伝わり、穴の底にて獲物を待っていたタンパク質共の、3割はこれだけで死亡した。

 

 何が起きたのかも理解できずに硬直している蛇を捕まえ早速いただいた。

 

 その瞬間。脳裏に走ったのは衝撃。

 

 これまでの経験上、獲物の味は強さに依存すると言うのは何となく分かっていた。のだが、こいつはあまり強くないくせに、かなり上質な鶏肉のような味がする。

 

「うんまぁ!」

 

 バクバク! バクンッ! バクバクッ! 

 

 もちろん蛇達も、同胞が喰われるのを指を咥えてみているわけではない。不意打ちを仕掛けてきた襲撃者に対し、全身に回ればしっかり毒を持った牙で次々に噛つくものの、襲撃者は噛みつかれた端から毒を【グルメ】によって解毒していき、経口摂取した毒は【如何物食い】で本体ごと消化し尽くす。

 

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値3習得! 【毒物生成】【毒物耐性】習得!】

 

「うんまぁ! うんまあぁ! うんまああぁ!」

 

 一匹目を平らげた勢いのまま、新たな餌共に手を伸ばす。

 

 バクン! バクバクバクンッ! ムグゴクンッ! バクンッバクバクバクンッ

 

 必死で逃げ出そうとする蛇を次々にキャッチしズルズル尻尾から飲み込んでいく。

 

 何匹かはなお勇敢に立ち向かうものの、俺を殺せる唯一の手段の毒は、今奪ったばかりの【毒物耐性】に弾かれ、かろうじて通った毒も片っ端から【グルメ】によって分解されていく。

 

「要は詰みって事だわ、うふふ」

 

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値8習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値3習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値5習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値5習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値5習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値5習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値3習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値4習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値4習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値2習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値4習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値3習得!LVUP!】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値4習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値4習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値2習得】

【ヴェノマス・スネーク完食! 経験値3習得】

 

【存在捕食】は同じスキル持ちを喰えば喰うほどスキルも強化される。そのため、こうやって同種の餌が大量にいるとスキル習得数は抑えられるが、その分スキルレベルが上がった凶悪なスキルを得られるのだ。

 

 穴の中には血痕のみが広がり、これ以上の用が無くなったので、【飛行】を起動。

 

 この能力は羽根を生やし飛行すると言うだけのシンプルなスキルだが、現代戦でも制空権取ったほうが大体勝つように、空を飛べる、空から攻撃できるというのは強いのだ。

 

 ちなみに生える羽根のデザインは種族によって変わっている。鳥系、人系のキャラなら羽毛タイプ。

 

 悪魔、吸血鬼系なら蝙蝠の羽根が生えるという寸法だ。

 

 しかし俺の背中から生えた羽根はそのどちらでも無かった。蝙蝠に似ているが更に爬虫類の荒々しさと力強さを感じさせる翼。そう。竜の翼だ。

 

 それの使い方は直感で分かる。俺は、本能に従い、羽ばたき飛んだ。落とし穴を抜けるために。

 

「とうちゃこ」

 

 ついたついた。地上に。

 

 このスキルは相変わらずかなり便利で強力なスキルだ。

 

 ただ一つ問題があるとすれば

 

 ぎゅるるるぐうううううううぎゅるるる

 

「お腹空いたわ……」

 

 エネルギーをアホみたいに使う事だ。お腹をさするが飢餓感が薄れる気配は微塵もない。

 

 まあ。目の前に栄養源がいる以上。それは大した問題ではないだろう

 

 落とし穴から這い出てきた俺を待ち構えていたのはコボルト。

 

 龍に憧れ龍を気取り龍にならんとする、小型の爬虫類型亜人。

 

 龍どころかリザードマンより明確に下等な生物ではあるが、偶に突然変異とも言える凶悪な個体が現れる。

 

 それがこいつだ。

 

「guruaaaaaaaaaa!」

 

【コボルトジェネラル】

 

 体長2メートルにもなる食いでのありそう、もとい巨大なコボルト。

 

 素でもモンスターとしての危険度は【氷結熊】に匹敵する。

 

 そして知能も人間と大差ない。それ故に武器を使う。

 

 奴の右手に握られた青い斧の名は【水斧ロッタ】

 

 振る度に、その速度と威力に比例した水の刃を発射する、シンプルながらも完成度の高いアーティファクト。

 

 連合国スタートの場合、まずは金をためてこいつを買うのが定石とされる程に優秀な武器ではある。

 

「ああ、さっきの遺体はコイツが下手人ね」

 

 

 俺は奴を睨めつけ、奴も俺に気づいた。

 

 戦闘が開始された。

 

 自身の持つあらゆる身体能力強化系スキルを起動し俺は迫る。

 

 

 迫りくる嵐のような水刃を

 

 跳ね上がった身体能力によって回避し、【冷気放出】で凍らせ、【爆槍】で粉砕し、俺は迫る、迫る、迫る。

 

 しかし地面に向かって放たれた水により泥化した地面に足を取られ、そこに狙い通りだとばかりの表情をしたコボルトの一撃が振られる。

 

 水の刃によって俺の上半身と下半身が泣き別れ両断された。そしてあっという間にまたくっつき直した。

 

 コボルトは信じられないようなものを見る目で俺をみた。と言っても【グルメ】使って傷を癒しただけだ

 

 再生能力持ちに、両断するような攻撃は効果が薄い。接合面をくっつけるだけで全快するからだ

 

 再生阻害系のスキルを持っているのでもない限り、再生持ち相手にはドリルのように、肉を本体から削り離しぐちゃぐちゃにする攻撃が有効なのだ。

 

 隙を晒したオオトカゲに大口を開けて齧り付いて肉を味見する。

 

 その、噛みつき咀嚼嚥下の流れで二つのスキルが発動する。

 

 片方は【毒牙】。もう片方は 【麻痺攻撃】

 

 レベル30以下なら一噛みで無力化するその凶悪さは、所持者が変わっても健在だった。

 

 自身の肉体をもって傷をつける事が麻痺の条件である以上、その攻撃は爪と牙にしか乗らないのが残念だが。

 

 まともに戦えば結構な強敵だったはずの【コボルトジェネラル】も、不意打ちと【麻痺攻撃】のおかげであっという間に物言わぬ肉となった。

 

「い・た・だ・き・ま・す」

 

【コボルトジェネラル完食! 経験値200習得!LVUP【尻尾】【器用な手先】【二刀流の極意】習得!】

 

 うめうめ。

 

「爬虫類うっま。このぶんだとパパのお味にも期待できそうだわ」

 

 そして俺は舌なめずりする。奴はこの世界で最強の種族だ。基本この世界において、生物は旨ければ旨いほど強く、強ければ強いほど旨い。

 

 それ故にあいつは世界で一番美味いはずだ。

 

 

 

 絶対絶対絶対絶対美味しく頂いてやる。

 

 そう思っていると冒険者パーティを見かけた。あ、この街来る前にあった盗賊少年のジュリアンもいる。

 

 声をかけようと近寄るが、奴らの進行方向に【反響定位】を向けると落とし穴が、それも下層に落とすタイプの一番タチの悪いやつがあるのが分かった。

 

 

「待って! 危ない!」

 

 そう声をかけるが、奴らは悲鳴をあげて下層に落とされていった。

 

「ヤバいわね。奴らこのままだと死ぬわ……はああああああ。ただ働き……」

 

 高位の冒険者ならともかく、新米のジュリアンを受け入れるような新米パーティではお礼も期待できない。

 

 

 ただ、見捨てるのも流石にどうかと思う。何よりジュリアンは好きなキャラだしな。そして俺も奴らを追って落とし穴に踏み込んだ。

 

 

 こうして俺は低階層へ落とされた。 

 

 




いつも閲覧、アンケート回答、お気に入り登録、評価、ここ好き、誤字修整、ありがとうございます。作品を書いた事の無い方の思う数百倍は、それら反応は励みになっています。この作品の脱落率(話数が進むごとに減る閲覧数、作品の出来を測る最大の指標)は並程度なのですが、閲覧数に対するお気に入り登録数と評価数がかなり多いのでとても助かっています。
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