確かに俺はいっぱい食べる女が好きだと言ったがそれそのものになりたいとは言って無えんだが〜暴食龍娘のダクファン世界放浪記   作:誤字報告マジでありがとうございます

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第8話

 〈エフィノア・シュバルデウスLV13

 

 種族:終焉龍 職業:大喰らい

 

 ステータス

 腕力:E

 体力:E

 速さ:D

 器用:D

 魔力:D

 耐性:E

 

 スキル

【存在捕食】……喰らった相手の能力を模倣

【お肉大好き】……肉を喰らうと一時的にステータス上昇

【如何物食い】……あらゆる物を一瞬で消化吸収する。

【グルメ】……食べたエネルギーを使って自己回復、強化

【早食い】……飲食速度にボーナス

【底なし胃袋】……満腹中枢が完全に壊れる

【魔矢】……魔力の矢を打ち出す魔法

【暗視】……暗闇を見通せる様になる

【反響定位】……広範囲高精度の音のソナー

【暗殺無効】……自身が認識してない相手からの攻撃無効

【移動加速】……移動速度にボーナス

【身体能力強化】……あらゆる身体能力にボーナス

【蜘蛛糸操作】……蜘蛛糸の生成、操作が可能に。

【毒牙】……牙から毒物を生成出来る様に

【亀の守り】……防御能力にボーナス〉

 

 うんうん、なかなか悪くないステータスだ。

 

 特に【身体能力強化】は素晴らしい。他のステータス上昇系、【移動加速】や【亀の守り】と倍率は一緒なのだが一つのステータスにしか補正のかからないそれと違って、これはあらゆるステータスに補正がかかる。

 

 

 

 3時間ずっと追っては戦って喰ってた甲斐があった。ちなみに疲労は【グルメ】で癒して喰らって喰らってた。

 

 そしてソナーでこちらを認識すらしていない氷結熊をきっちり認識できてるのもデカい。

 

 奴がもう寝静まった事も。奴の嫁らしき大熊がいる事も、奴のガキが一匹いると言う事も。全て手に取るように分かる。

 

 闇世の中、襲撃の為に俺は歩く。変な感覚だった。暗闇月明かりしか無い森の中を、暗く感じるのにも関わらずまるで昼間のように障害なく先を見落とせるのだ。

 

 午前中ジュリアンを抱えてダイブした壁、そこを俺は【爆槍】を咥え、よじよじと壁に張り付いて登って行った。

 

 崖の上、そこから500メートル程離れた洞窟の中。そこが奴の住処だ。

 

 しっかし本当便利だなこれ。生物無生物問わず、まるで触っているかのように情報が分かる。きっとこのソナーの前では迷路系のダンジョンも意味をなさないだろう。

 

 何とか登り、洞窟に急ぐ。奴は相当深い睡眠を取る生物のはずだが慎重になるに越したことはない。

 

 黒曜石のように真っ黒な洞窟に爆槍を構えて入る。

 

 そこにいたのは、午前中俺に傷をつけちゃってくれた大熊、それに体格の大幅に劣る二匹。

 

 肉が一つ、二つ、三つ! 

 

「うっ美味そうね…あ」

 

 ぎゅううぅううううぐるるるる

 

 重低音が響き渡った。

 

「あっやばっ」

 

 轟音を耳にした大熊がもそりと動く。

 

「まあ、いいわ。殺せれば問題ないもの。うふふ、いただきます」

 

 そこに俺は【爆槍】を叩きつけた。

 

 さっきの通常熊に叩きつけた所、半径30センチ程の球状の空洞が出来たその一撃は、氷結熊の頑強な肉体には右耳を中心とした10センチ程の空洞を作ることしかできなかった

 

「ギャアアアア!」

 

「おおっなかなかやるわね。じゃあもう一撃」

 

【身体能力強化】起動。

 

 威力のより上がった一撃を左耳に立ち上がる前にもう一発叩き込んだ。

 

 それに耐えて立ち上がった大熊に、更に3発目を振るう。

 

「避けても良いけどぉ……どうなるかは分かるわね」

 

 あえてゆっくり爆槍を振るう。

 ガキをきっちり巻き込む軌道で。

 

 咄嗟に奴は家族をかばうように身を投げ出す

 

「グォオオオオ!」

 

 身を乗り出し、もろに脇腹に爆槍がねじ込まれる。爆発。焼け焦げるような香ばしい匂いが広がる。やばっ涎が。

 

 話は変わるが氷結熊は残虐な種族だ。獲物をとことんまで嬲って殺す事を好む。特に格下相手には冷気操作能力を解放することすらせず、爪牙をもっていたぶり尽くす。あえてトドメを刺さずにな。

 

 氷結熊は勇猛な種族だ。たとえ遥か格上の生物相手だろうと、一切怯むことは無い。格上相手には勝てずとも、その氷の舌をもって、最大限の後遺症が残るように戦う。

 

 この二つの特徴により、氷結熊は格上の生物からも、喧嘩を売るどころか近づいてもいけない狂った種族だと認識されている。

 

 そして氷結熊は、仲間思いの種族だ。特に家族に対して。

 

 氷結熊はその冷気が悪さをするためなのか、出産数がとにかく少ない。そのため子供をとにかく大事にし、守り育てる。残虐なのも勇猛なのも、子供を守るためだ。凶暴で凶悪極まりない種族であると印象付ける事で、種族への、ひいては子供への危害を防止する。

 

 早い話が、そういう生態の生物なのだ。

 

 

「お互い難儀な生き物に生まれたものね」

 

 子供を庇い重傷を負った大熊を見て、そうポロッと声がこぼれた。

 

 いくら残虐と言われようとも、俺はお前の生態を悪だとは言わない。それはそういうものだからだ。だから終焉龍()生態(暴食)も許して欲しい。

 

 俺は爆槍を振るった。狙うはその鼻。

 

 

 この暗闇の中、奴の目は俺を捉えられない。他に俺を捉えるための器官は耳と鼻。そのうち耳はぶっ壊した。残るは鼻。

 

 立て直す前に、耳を奪い、鼻を奪い、無力化して喰い殺す。

 

 不意打ちによるアドバンテージが消えれば、地力の差で、今度はこちらが追い詰められる。

 

 

 脇腹をえぐられ悶絶する大熊の鼻先に爆槍が迫る。

 

 とった。

 

 そう思った瞬間、何かが俺にぶつかり、そして吹き飛ばした。

 

 ??? 何が! 

 

 回転する視界の中、補足したのは2体の小熊! 奴のガキと嫁が体当たりを仕掛けて来ていた! 

 

「クソがっ!」

 

【蜘蛛糸操作】起動

 

 氷結熊の子供と雌は弱い。あっという間に糸で拘束し無効化してやった。

 

 吹き飛ばされたとは言え、【亀の守り】と【身体能力強化】で二重に防御能力が上がってる以上かすり傷にもならない。

 

 そして奴らの行動は僅かな時間稼ぎにしかならなかった。

 

 そして僅かな時間で氷結熊は体勢を立て直し発動した。

 

【氷結氷舌】を

 

 ムチの速度は音速に達すると言った話を聞いたことはあるだろうか。

 

 アレは投げ放たれた鞭の先端が後方から引っ張られた一瞬に限った話だそうだが、この熊の膂力と組み合わさった場合はそうでもないようだ。

 

 ムチのようにしなる舌が、全くもって認識できない速度で俺の腕に絡みついた。

 

「は?」

 

 そうしてあっという間に砕け散った。俺の右腕が。

 

「ちっ!」

 

 困ったな。イレギュラーによって大ピンチ。利き手を奪われ、五感を奪うのにも失敗し、不意打ちのアドバンテージも失われた。

 

「オオオオオオン!」

 

 熊が勝ち誇った様に雄叫びを開ける。

 

 そこで俺は舌舐めずりをした

 

「オア?!」

 

 熊公。俺が何で、負けようものなら地獄を見せてくるお前に喧嘩を売ったか分かるか。

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 最悪、こいつの子供を熊質にとって、そう簡単に氷結舌が振るえない状況にするのも考えたのだが、それは最後の手段だ。最後一歩手前の手段を取れる余地を与えてくれてありがとう。

 

 そして俺は油をかぶった。更に爆槍で着火した。

 

 もっとも苦しい死に方は焼死だと聞いたことがある。

 

 なるほど。

 

 その通りだ。

 

「熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 苦しい! でもでもでも!」

 

 満面の笑みを浮かべて

 

「それ以上にお腹が空いて苦しいわ!」

 

 暗闇から一気に極光を見たこと、俺の異常な行動に困惑したこと。それら2種のデバフがかかってるにも関わらず、火だるまとなった俺の左腕に鞭が絡み……そして燃えた。

 

【ガァアア!】

 

 当たり前だ、炎の温度1000度だぞ、-400度にもならない冷気ごときでどうにかなるかよ。 

 

 大量に喰らったエネルギーと【グルメ】で燃える端から肉体を再生しながら舌を掴み、爆槍を舌に叩きつけた。

 

「ガァアア!」

 

「ひひっ、私は」 

 

 爆槍を振りかぶる

 

「あなたを! 食べたい!」

 

 そして爆槍を振り、怯んだ熊の鼻っ柱に叩きつけた。

 

 *

「もっちゃもっちゃ……ごくん。思ったよりタフだったわ」

 

【ゴブリン完食! 経験値2】

 

 十分後。“ほぼ”決着は着いた。

 

 視覚、嗅覚、聴覚を奪った後、火だるまになった体を蜘蛛糸で包んで消火した(蜘蛛糸は基本燃えない)俺はひたすら距離を取り、【魔矢】をひたすらに撃った。

 

 超低燃費。長射程。その2つで究極の攻撃魔法である【火球】に並ぶ【魔法】となったそれは、素晴らしい働きをした。

 

 まず燃費。今の俺の魔力量はそこまで大した事ないのだが、百発撃ってやっと魔力が半分切ったかといった魔力消費量であった。

 

 続いて射程。俺の目でギリギリ補足できる程度に距離をとって撃ったものの、余裕で届き、かつ威力の減衰もほぼ発生しなかった。

 

 五感を奪った後、私はそれをひたすら連射していた。なんか途中で乱入してきたゴブリンを喰いながら

 

 魔力が尽きるまで放った数百発の【魔矢】を受けて、瀕死の大熊に爆槍を構えて近づく。

 

 自己燃焼でエネルギーを大量に消費して頭がどうにかなりそうな程に腹が減っているが、食料は目の前にあるので問題ない。

 

その食料は瀕死だ。もう動ける道理等ない

 

 それでもなお、立てるような出血量をしてないのに、戦う力等ないはずなのに、意識があるかも怪しいのに。嫁とガキを守るように両手を広げて立ち塞がってる。 

 

 それに俺が心を動かされることもない。こいつは餌。こいつの矜持や覚悟など、熊肉への期待で唸り声を上げてるこの腹を満たすことに比べれば何の価値もない

 

 それでも

 

「……漢じゃない、あなた。………はぁああああああああああ……」

 

 そして俺は爆槍を糸まみれで転がっているこいつのガキと嫁に振るった

 

 軽快な音を立てながら蜘蛛糸がちぎれた。

 

「マイクテストマイクテスト、ねぇ熊さん。言葉通じてるか分からないけど、あなたの家族は喰わないわよ。特別に我慢してあげる。ほんっとうにほんっとうに美味しそうで残念だし、思う存分味わいたいんだけれど、ね。優しいエフィちゃんに感謝してよね」

 

 その言葉が伝わったのか、安心するような光を目に讃えて、大熊は地に倒れ伏し、動かなくなった。

 

 失ったエネルギーを補給するためにも一刻も早くかぶりつきたいのだが、流石にガキ共の目の前で心臓を引きずり出してむしゃむしゃしてやるわけにもいかない。

 

 俺は蜘蛛糸でぐるぐる巻きにして、氷結熊を引きずっていった。

 

 しかしこいつ本当でかいな。胴体だけで俺よりも高え、手足なんて俺の胴よりも、よっぽど太いし、頭だけでも俺よりも重そうだ。

 

 こんだけ喰えば、流石に暴食の権化のエフィちゃんも少しは足りるだろ。

 

 *

【氷結熊完食! 経験値200習得! LVUP! 【熊の膂力】【冷気放出】【氷結氷舌】【冷気無効】習得!】

 

「全く足りなかったわ」

 * 

 きゅるるるるると腹を鳴らしながら、俺は街に向かっていた。

 

 今日は相当食った。

 

 喰って喰って喰いまくった。 

 

 俺のどんな推しよりも喰ったし。

 

 サイヤ人と大食い勝負しても一蹴できるだろう。

 

 それでも 

 

「まだまだ喰いたり無いわね……あー、仏心出さずにあいつら喰っとけば良かったわ」

 

 月夜に俺の声と腹の虫の鳴き声が切なく響いた。




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