確かに俺はいっぱい食べる女が好きだと言ったがそれそのものになりたいとは言って無えんだが〜暴食龍娘のダクファン世界放浪記 作:誤字報告マジでありがとうございます
氷結熊討伐後、月夜の中法国に帰った俺は、宿屋を探した。正直治安の良い法国内なら、野宿も問題ないとは思ったが、今の俺様はかわいいかわいいエフィちゃんだ。万が一の事があると不味いと思い、なけなしの金で宿を借り、全身に飛び散ってこびりついた返り血を洗い流し、最低限の洗濯を済ませ、空きっ腹を抱え、ぐうぐうぐうぐう腹を鳴らしながら眠りに着いた。
次の日。俺は朝起きるなりすぐにギルドに向かった。
「ゲェ!またあなたですか。で、どうでした? 氷結熊討伐はできましたか? どうせたどり着きすらしてないでしょうけど」
ニヤリと意地悪そうに笑ってトバリちゃんは言った。
「うん、出来たわ」
「は?」
「討伐証明はこれね」
そう言って出したのは氷結熊の毛皮。
要は俺に肉も骨も内臓も貪り尽くされた大熊の残骸を出すと、トバリちゃんの目がひん剥かれた。
「はぁああああああああああ!?」
*
「…今だからぶっちゃけるんですけどE級にはC級の依頼受けさせちゃいけないんですよね。申し訳ありませんでした。昨日は頭に血が登って酷い事しました」
冒険者はE〜Sまでのランクに分けられる。そしてE級がレベル1〜10、D級が11〜20、と言うように、レベル10上がる毎にランクは一つ上がっていく。
俺の場合昨日ギルドきた時はEランク冒険者であり、今はDランク冒険者だ。そして基本、冒険者は同ランク以下の依頼しか受けられない。当たり前だ。
いくらでも美味しい仕事のある法国内でわざわざ冒険者とか言うゴミみたいな仕事やってる貴重な奴が減るのは普通に損失だ。
えっ。わざわざ自分の実力以上の依頼受けて死ぬ奴がいるのかって? いるんだな、それが。
とりあえずゲームで例えよう。まず、ボスを推奨レベルの範囲でクリアするのってなんかムカつくだろう。開発の想定内のプレイテクしか無いと言われてるようでよ。
それと同じだ。自分と同ランクのクエストクリアしても、冒険者ギルドの想定内の動きしかできてないと考え、自分は冒険者ギルドの想定をぶっちぎる優秀な冒険者なんだとアピールするため、自分のランクよりも上のクエスト受ける馬鹿いんだよ。当然死ぬが。
「森にたどり着いて、氷結熊に嬲り殺しにされる事がないようにたどり着けないようなクソ怠惰なクソ駄馬とクソ御者の馬車あてがったんですが……なんでたどり着いちゃってるんですかね……それ以上に、なんで倒しているんですかね……」
氷結熊はその残虐性も加味してC級以上の冒険者しか受けられないクエストなのだが、それを受けさせた事をひたすら謝っていた。
「私を煽りやがった時点で、クエスト現場にたどり着かせないくらいの嫌がらせは受けて当然ですが、2ランクのモンスターと戦わされて死んでしまうのは流石に……」
とのことだ。
その後ろで
「氷結熊殺すぞ!」「新米冒険者の訓練場も兼ねてるあそこに残虐性特化のモンスターがいるのはやべえしよ。お前ら、気合い入れろ」「そうだ!あいつを殺して俺等が新米の光になるんだ!」「えいえいおー!」
と言う声が聞こえた。
*
一つの世界
二つの大陸
三つの国家
四つの英雄
五つの神器
六つの迷宮
七つの魔王
それらで構成されたのがインポの舞台となる世界、ユースティアだ。
その世界の三大国家の一つ。
天光法国の王。神の一族にして、神の代弁者。神人キリスト・ヴィジター。
そして原作の大体のプレイで俺の協力者となった男
皆様方は俺が前回に引き続きなんでここまでヴィジターヴィジター言ってるのか疑問に思っていられるだろう。
それは単純に、こいつと手を組むのが、魔王討伐への最適解だからだ。
奴と組む利点はまず奴の財力と権力が挙げられる。
世界TOP3の大国で独裁者やってる奴の懐なんてそりゃあったかいし、権力だってそれ以上にある。なんせ奴の一声で三大国家以外の国家は焦土と化すのだから
その財力と権力は原作でも大変お世話になったのだ。もはや一番の仲間と言っても良いだろう。
そして名前がヤバいのは知ってのことだが、大工の息子だっただの、12人の弟子がいるだの、アウトな設定が大量にあるが、その中でもっともアウトでもっとも目を引くのは、別の世界から来たという一文だ。
要は同郷の人間の確率が高い。
この世界の人間に、原作がどうのこうの言っても通じない可能性は高いが、奴には信用される可能性が高い
魔王を一刻も早くぶっ殺さなければいけないこの状況下では、それ相応の協力者を一刻も早く作る必要がある。
そしてこの世界がヤバいと伝えたら、必ず奴は協力してくれる。
奴は大嘘つきのペテン師でこそあれど、善人ではあるからだ。
*
天光法国の街並みは、一見テンプレファンタジー建築に見えるものの、そこかしこに白を基調にしつつ、やや下品寄りに宝石をあしらった彫像、純金で描かれた、羽とパンのロゴがつけられた建物がある。
天光法国の宗教であるオクラン教の教会だ。そして街の入り口真正面には、それらとは比較にならないほど巨大で贅の限りを尽くされた、まるで城のような教会がある。
金が余りすぎて狂った金持ちと、白色に欲情する変態がタッグを組んで作った様な、白と贅にまみれたそれは、下品であるもののどこか高貴さを感じさせる。
それこそがヴィジターの居城だった。
そこでヴィジターを待っているのだが……
「お腹が空いて死にそうだわ……」
もう四時間も何も食べてない……
地鳴りの様な空腹音が空気を震わせるたびに、辺りの人間が避けていく。
ぐうぐうぐうぐう鳴る腹をさすったり、服をかじったりして空腹を必死でごまかしているとついに待ちに待った声が耳に入った。
「ヴィジター様がお帰りになられたぞ!」