鎮守府アナウンス   作:蒙古の尖兵

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第4話

「なんか、悪かったな…」

 

「いいよいいよ、若気の至りってやつさ」

 

長波さまは無事説き伏せあらせられた。今は俺から離れて数歩のところに体育座りしている。ようやく解放されたか。

(´・_・`)←ショボンと肩を落とす彼女を尻目に思案。とりあえず食べるというのがカニバリズムではなく性的な意味で食べるということと分かり一安心…。いや、安心は全然出来ないわけだが。

 

いや、そもそもなんで性的に食べようとしてくるんry…

 

「なぁ、さっきのことって本当なんだよな?」

 

 

「いや、だからぁ、そのセ、ックスは好きな人とやった方が気持ちいいってのは…」モゴモゴ

 

え?なんだって?そんなこと言ったか?(すっとぼけ)

 

「その…処女だからなおさら大切にした方がいいんだよな?別に処女は恥ずかしいことじゃないんだよな?」

 

「あ、うんそうだよ」

 

「…そっか~」

 

はぁ、と深いため息をついて顔を伏せる長波さま。正直この場を乗りきる為にあることないこと捲し立てた気もするが。俺が無事ならOKです笑

 

相も変わらず上半身ブラだけでいるので投げ捨てられていた上着を長波さまの元へ。

 

「ありがと…」

 

恥ずかしそうにそれを受け取ると長波さまは再び深いため息をついた。

 

そうだよ(便乗)。これが、この恥じらいこそが男を狂わせるのです。ヤリマンもいいが、やっぱり清楚系だよな!

 

冗談はさておき、わたくしめはそろそろこの場を離れたい所存でござry…

 

「悔しかったんだ…」

 

ファッ!?

 

「今まで肩を並べてた連中が…その、一足先に大人の階段をのぼっていっちまって…。昔は任務がどうとか、今の流行りのお菓子はとかそんなこと話してたのに、最近の話題は誰が何人とやったとか処女は恥ずかしいとか…それで焦っちまったんだよ」ウツムキ

 

「ごめん、ごめんな…」ウッウッウ

 

突然の自分語り、それから号泣。みなさん、自分の身は自分で守らなあきませんよ(syamu)。

 

「…!」

 

とは言え、泣いてる中学生をそのまま放置するほど俺は人間捨ててない。俺は声を押し殺して泣く彼女の側にそっと座った。あんまりやり過ぎるとセクハラで訴えられるから頭をポンポンと数回撫でるくらいに留めておくとして。

 

「ありがとぉ…」ポロポロ

 

そのまま長波さまはしばらく肩を震わせていた。しばらく俺も肩を貸してやることとする。そしてこの後どうすっかなぁ、なんて考えていると。

 

「よし!長波さま復活~!!」

 

え?

 

突然立ち上がる長波さま。

 

「なんか一頻り泣いたらスッキリしたわ」ゲンキハツラツ

 

「復活早いなぁ」

 

「エヘヘ///」

 

天真爛漫っていうのだろう。少しドキッとしてしまった。まぁ、相手は中学生(笑)なんでさすがに恋愛対象には出来ないが。

 

「…お前、これからどうするんだ?」

 

あ、そうそう!それなんだよ。俺、早く逃げなきゃ。

 

「今日のところは見逃してやる、本当は侵入者は取っ捕まえなきゃダメなんだけど」

 

「本当か!」

 

願ってもない大チャンス。いや、復活した瞬間に捕縛されることも覚悟してたからそれ聞いて安心。

 

「あれだったら…逃げ出す手引きしてやろうか」テレテレ

 

女神か…。ここがどこかも分からない以上、こんなに嬉しい申し出はない。罠だったら、とも思うけど。

 

「…どーする?」カオマッカ

 

こんな初心な娘が実は演技でしたーだったらもう死んでもいい。というかもうすでに見つかってる以上、詰みなわけで。ここは一か八か賭けるしかねえ。

 

「頼むよ、ここには穴から入ってきたんだ」

 

「あ、穴ァ!?////」ボフン

 

いや、その穴じゃねえよ。多感なお年頃ねぇ~。

 

とにもかくにも。俺は強い仲間を一人味方にすることが出来たらしい。

 

ーーー

 

「とりあえずその穴ってのがどこにあるかは分からないけど…」

 

腹が減ってはなんとやらだ、と言い残して長波さまは何処かへ。え、そんな悠長なことしてられないですよ?

 

しかしながら腹が減ったのは事実。ガッツリとはいかなくても少しくらい腹を満たしておきたい。

長波さまに説法する最中何度も腹の音が鳴ったのも気にしてくれているようだ。ええこやん、長波さま。

 

そして待つこと数分。長波さまはどこからかおむすびを幾つか持ってきてくれた。お水もある。沢庵まで。それと艦娘を一人、連れてきてくれたのか。

 

ん?

 

は?

 

「へぇーこれが今みんなが探してるやつねぇ」

 

ちょ、ちょ、ちょっ!?長波さまぁ!?

 

「紹介する、こいつは私の姉妹艦で風雲っていうんだ」

 

「よろしく」

 

これはこれはご丁寧に。俺はバロキンチャンネルの…。いや、なにしてくれとんねん!!!

 

思わず身構える。初々しいと思って油断した。目の前に艦娘が二人、万事休すか。それとも全力疾走するか?

 

なんて頭をフル回転させていると。

 

「安心しな!風雲も処女だから!」ドン

 

「ブッ!!!」

 

胸を張って宣言する長波さま。その横で思わず二度見したくなるくらいにキレイに吹き出す風雲という艦娘。

 

「何が大丈夫なんじゃい!!」

 

思わず俺も突っ込んだ。

 

そして長波さまの話を聞くにこういうことらしい。どうやら長波さまは食糧をここに運ぶ過程でコソコソしていたことを風雲に怪しまれたようだ。当然、風雲は問い質す。最初こそ言い淀む長波さまだったが、最後は観念して白状したらしかった。そのまま俺は確保、と普通はなるはずだが。風雲は意外な反応を見せたらしい。

 

「そいつに会わせてよ。事情は道すがら聞くから」

 

風雲が処女な理由。それは彼女が現在の鎮守府の惨状をよく思っていないことに起因するらしい。

 

「普通に考えていろんな人とするなんてあり得ないでしょ」

 

風雲の言うことはごもっともだ。そしてここに至るまでの道中で俺が長波さまに説いた内容は風雲の信頼を得るのに充分なものだったらしい。

 

「私も協力するわ、脱走の手助けをするなんて艦娘になる時に思いもしなかったけど」

 

渋々ではあるものの。どうやら俺は二人味方に引き入れることが出来たのか…?

 

「それに…」

 

途端に神妙な顔つきになった風雲。

 

「提督を無理やり手篭めにする方がよっぽど悪よ」

 

一種の反乱じゃない、と風雲は呟いた。うん、激しく同意。というかここの提督さん、大丈夫なのか?

 

「………」

 

提督の安否について尋ねると二人は顔を見合わせる。そして押し黙ってしまった。聞いてはいけない内容だったのかもしれない。

 

「早く逃げましょ」

 

重い沈黙は風雲により破られる。そうだ。まずはこの窮地を脱しなければ。

 

「何も入ってきたところからわざわざ出る必要はないわ。鎮守府の裏手に資材の搬入入り口がある。そこからならバレずに逃げられるでしょう」

 

ついてきて、と風雲は先導をかってでる。俺と長波さまはおにぎりを頬張りながら彼女の後をついていく。

 

確かに別の出口があるならそこから逃げてもいいわけで。何も穴(意味深)にこだわる必要はない。

 

「ここから少し遠いのが気がかりだけど…」

 

ミシミシ。三人は雑木林の中をただひたすらに突き進む。最初こそ周りへの警戒、まだ知り合ったばかりの気まずさから言葉数少なかったが。

 

「あんたもバカね。鎮守府に侵入するなんて。殺されても文句言えないわよ?」

 

次第に打ち解ける。おそらくギリギリの状況で運命を共にしているということがそうさせたのだろう。今ではここへと来るに至った経緯を吐露し、それを風雲に軽く叱責されつつ受け流す余裕も出てきたほどに。長波さまは快活で、俺と風雲のやり取りを聞いては笑っている。

 

このまま何事なく逃げられるんじゃないかと思った頃。

 

「…まずいわね」

 

風雲が突然立ち止まった。俺と長波さまは頭に?を浮かべる。

 

「囲まれたわ」

 

え!

 

風雲がそう言うが早いか、草むら、物陰からガサガサと黒い影が現れる。

 

「ちょっと騒ぎすぎたわね」

 

身構える風雲。それを見て長波さまも食べかけていたおにぎりを口に放り込み、戦闘態勢。俺は見かけ倒しでも鉄パイプを…。

 

あ、そういや鉄パイプ置いてきちゃったッピ!

 

「んふ、ふうふ」モガモガ

 

長波さまがモゴモゴしながら懐から取り出した何かを俺へと手渡す。これは、スパナ?

 

「何もないよりマシだろ!」

 

た、確かに…。とは言え。

 

「…………」

 

少なくとも四人。四人の艦娘に囲まれている。背丈からして長波さまや風雲とそう変わらないから、いわゆる駆逐艦ってやつか?

 

「風雲さん、なにしてるんですか~?侵入者を捕まえたら所定の場所に連れてくって話になってましたよね~?」

 

「あら、そのつもりよ?だからこっちに連れて…」

 

「逆ですよ!逆!こっちに連れてくる必要はありませんよ~?」

 

弱い光とは言え、四方からライトを浴びせかけられる。俺は思わず目を伏せかけるがぐっと堪えた。一方で長波さまも風雲もしっかり対峙しているところを見るにやはり軍人なのだろう。

 

「もしかして善からぬこと考えちゃってます~?」

 

「なんのことかしら?」

 

問答が続く。心なしか四人の艦娘の包囲網が狭まってきているような。

 

「抜けがけはよくないと思うぜ!」

 

そーだ、そーだと囃し立てる声がこだまする。これ、絶対絶命なんじゃ。

 

「いやー、ごめんごめん!そうよね」

 

!?

 

「でも見て?この人、なかなかイケメンじゃない?だけどこの暗闇をしっちゃかめっちゃかに走り回ったみたいなの。だから泥や土で汚れちゃってて」

 

「あら、せっかくのカッコいい顔が台無しですね」

 

「でしょう?」

 

もしかして風雲、ここにきて裏切るんか!?

しかし相対する艦娘たちと俺の合間に入って身構えてるところを見るに…これは。それに最終的にこうすることが狙いだったならもっと早くに引き渡されていたはず…。

 

何かあるんだな、風雲さんよぉ!

 

「ほら、私も長波も面食いじゃない?だからすぐそこの仮設シャワーでキレイに洗ってからしようと思って」

 

風雲が指差した方向、確かに何かある。間髪入れず長波さまが首をブンブンと縦に振る。

 

「そうそう!私ら面食いだから!イケメンとしかしないから!」カオマッカ

 

長波さまぁ…俺の為にそこまで(感涙)

 

処女二人に頑張らせて何が男や!ここでやらなきゃ男が廃るってもんよ!

 

「こんなかわいい娘たちと出来るんなら本望ってやつさ。早くシャワー浴びさせて俺と遊んでくれ」

 

風雲と長波さまをわざとらしく大袈裟に抱き寄せて見せた。昔映画かアニメで見たTHE・カッコいい男像を思い出し、精一杯強がってみせたのだ。少しキザな感じになったが果たして。風雲と長波さまが息をのんだような気もしたがもうそっちは知らん。

 

「なるほど」カオアカラメ

 

いーな、いーなと囃し立てる声が再びこだまする。

 

ん?というかなんだこの既視感。

 

「い、いいでしょう!その代わり!」

 

「い、いいのかよ萩ィ!」

 

どうやら風雲の作戦はうまくいきそうだ。敵の動揺を誘っている。このままいけりゃあ…!

 

その代わり約束して、と風雲の前に詰めよった艦娘はチラリとこちらを見た。

 

「わ、私たちにも貸しなさい///!!」カオマッカ

 

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