Side メイプル
メイプルは『かつての夢』により、機械神が目を覚まし、戦闘をおこなっていた。
「シロップ【大自然】!」
メイプルの声に応えたシロップによって蔓が地面から伸び、大地が盛り上がる。突如現れた障害物によって弾丸がメイプルに届かなくなる。その瞬間にメイプルは出来る限りの速度で機械神へと向かう。
「【身捧ぐ慈愛】!【捕食者】!【イージス】!」
装備を変え、【身捧ぐ慈愛】を発動し、【捕食者】のダメージを全て受け持つ。そして、【身捧ぐ慈愛】内の一つのスキル【イージス】により、HPを消費し、10秒間全ての攻撃を無効化する。
「この光が悪いんだねっ!」
【カバームーブ】の連続使用によりメイプルは機械神に近づき、抱きつくようにして奥底まで手を入れる。出来る限りその体を破壊することなく、正気に戻すために。
「【滲み出る混沌】!」
メイプルの手から飛び出した化物が胸を貫いて抜けていく。
「グ……カハッ……我ハ消エル……ダガ……」
メイプルは話し始めた機械神の声を一音も聞き逃さないように耳をすませる。
「……僅カニ意識ノ戻ッタ今……託ス…勇敢ナ…者……」
そう言う機械神の胸の穴には青い光が溜まり始めていた。
「……我ノ…チカラデ……我ダッタ…コイツ…ヲ……倒…セ…」
そう言う機械神はメイプルに向けて古びた歯車を投げつけた。それはメイプルの体に吸い込まれて消えていった。
「……眠ラセテクレ……ハ…ハ…ヨ」
それと共に機械神の様子が変わる。全身が青白い光に包まれ、パーツの存在しない【二代目】の装備を身に纏い空へと舞い上がり青い弾丸で攻撃してきた。メイプルは先程と同じように壁に向かって弾かれるしかなかった。
「チカラヲ託ス…無駄ナコトダ…原初ノチカラデスラナイトハ」
無機質な声が上空から聞こえる。それは二代目の声。一代目の体は二代目に乗り移られて無理やりに動かされている。
「……【機械神】…」
メイプルに託されたスキル。それはかつての神の力。それは単純で、不思議なことなど何もない力だった。メイプルは装備を変更し、短刀を元に戻す。
「【機械神】!」
メイプルがそう叫ぶと頭の中にイメージが浮かび上がる。メイプルは鎧と大盾と短刀を選択した。
【二代目】がどこからか機械を創り出すことが出来るのに対し、【一代目】は材料が必要だった。
即ち、、装備を破壊し、武器を生み出す力。当然、材料が良質であればあるほど出来る武装は強力になる。
「【全武装展開】」
静かに呟いたメイプル、その身に纏う再生する黒い装備。
それらから、夜空を切り取ったような黒い武装が次々と展開される。大盾を持つ腕の部分から音を立てて銃が現れ、背中からも次々とメイプルの体と比較するには大きすぎる砲身が空に向けられる。短刀を持つ方の腕は同様の黒い刃が伸ばされ、それらを支える足腰は機械を纏い強靭になった。胸から腹部にかけては大小様々な歯車が回転しており、顔の右半分から首にかけては歯車や配線が複雑に覆っていた。
「わ、わわっ!?な、なにこれっ!?」
驚いて全身を覆う武装を眺めていたメイプルだったが、やらなければいけないことを思い出す。それと同時に空から流星が落ちる。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォン
「うわぁっ!?今度は一体、、、」
「!?ナンダ……ナゼ…コノチカラガ!?」
「ふぅーー、なんとか間に合ったのか?」
ここに一代目の力を継承した機械神と二代目の機械神。そして、機械の創設者にして、原初の力を託された存在が集まった。
Side out
Side セツナ
「さーて、あんたが機械の王だって言われてる奴か?」
「え!?セツナさん!どうしたんですかそれ」
「いや、こいつのお母さんからクエスト?みたいなの頼まれてなー、、」
「な、なるほど、、」
セツナとメイプルがこの状況を共有しようとすると、、
「アリエン……ナゼ…貴様ガ…母ノ権能ヲ」
「?あー、これ?あんたの母親からお前のこと頼まれたんだよ」
「イマニナッテ……ナゼダ…ナゼ邪魔ヲ!!!」キィィィィィン
そう言って全身が青い光に包まれる二代目が更に武装を新しくする。
「モハヤ出シ惜シミハ……不要!!」
二代目は全ての武装を使い、メイプルとセツナに青い光線を一斉掃射をする。全てが防御貫通であり、高火力。たとえセツナとメイプルであっても当たればダメージを受け、いずれHPを0にするほどの光線の嵐。
「【通行規制】」
放たれて当たるはずだった光線たちは無理矢理歪曲させられ逸らされた。
【通行規制】
HPを消費し、兵器を典開。触れた対象の攻撃軌道を逸らす。
「オノレ!!!」
「おぉー、すごい!!」
「メイプル!あいつの動きを止めてくれ。ちょっとでかいの撃つから」
「わかりました!【攻撃開始】!」
メイプルの武装した兵器の砲門がすべて開放され、無数の青い光線を赤い光線で撃ち落としてゆく。
「さぁて、【読込】No.044…変則起動」
本来の【機械君主】はNo.000からNo.108までの109の武装を展開するスキルだけであり、メイプルの【機械神】のように応用が一切効かないデメリットがあったのだが、、
「原始骨格…解明。全砲門…並列変換。さらに、、【王国】」
【王国】
物質的な創造と物理的な存在を象徴し、無限の可能性を内包している。対象のスキルを一つ模倣し、即座に使用することが出来る。 (クールタイム 10時間)
【万機ノ祖】によりそのデメリットを軽減し、【王国】の力で【黒き竜王•継承】の【原初回帰】を模倣。実質二回使える状態にし、【機械君主】と【機凱種】の力の制限を完全解除した。
「其は全てを無に帰す万物を貫く至高の槍」
銃火器だった兵器は目まぐるしい勢いでその姿を変えていく。回復していくHPを消費し続け、機械を創造してはその技を完成に近づかせていく。
「我が槍は避けること叶わず」
その姿は槍。全長は約8mを超える超巨大な大槍。
「我が槍は防ぐこと叶わず」
詠唱とも言えるその宣言は、スキルにより形作られていく。本来のNo.044『影魔女ノ投擲』も槍を形作った武装だが、ここまでの変容を遂げることは本来はほぼ不可能。
「この一撃をもって終極を為さん」
しかし、セツナはボスモンスターを軽く凌駕するHPを消費し続けたことでこの技を完成させてみせた。
「その槍の名は」
戦争を終わらす槍であり、絶死にして究極の技
「
放たれた槍は二代目に向かって真っ直ぐ向かう。
「ナ!?」
「なにあの大っきな槍!?」
「メイプル離れろ!!」
メイプルはセツナの忠告を聞き、即座に後退。二代目は己の全ての武装を盾にして防ごうとする。しかし、
「ナゼダ…ナゼトマラン!!?!?」ギィィィィィィィ
二代目がその一撃を逸らそうと、防ごうとしようが止まらない。その槍は確実に対象を射殺す技。必中と防御無視、そして即死効果がついた究極の一撃。
キィィィィィィィィィィィン
「オノレェェェェェェェェ!?!?!?」ザシュゥゥゥゥゥゥ
役目を終えた神槍は自壊を始めた。機械神からは青い光が消えていった。
「ア…ア…カンシャ……スル」
一代目に戻った機械神はその言葉を最後に長き眠りにつく。
「「……………」」
機械神の小さな赤い光は消えて完全に機能を停止した。セツナは彼と彼が作り出した機械を集め始めた。
「セツナさん……」
「メイプル、こいつらを母親の墓に運びに行こうと思ってな。手伝ってくれ」
メイプルにそう言うと、集めるのを手伝ってくれた。数はそこまで多くなかったので時間は掛からなかった。
「よし、これで全部か。メイプルはギルドに戻りな。サリーたちに報告しないといけないだろ?」
「…………はい」
「…ちゃんと後で場所教えるよ」
「…パァァ…はい!!!」
メイプルがそう言ってシロップに乗ってギルドに向かった。俺は機械を持ってあの場所に向かう。
「【一方通行】」
【機凱種】の一つのスキルである転移能力を使用する。
Side out
Side ???
一方とあるギルドの一室で四人のプレイヤーが話していた。
一人は【聖剣】ペイン
一人は【神速】ドレッド
一人はフレデリカ
一人は第一回イベント6位
【地割り】ドラグ
彼らは話し合っていた。引き入れることが出来なかった十位以内の者達について。また気掛かりなとあるギルド、【楓の木】について話し合っていたのだった。
どうも作者です。いろんなスキルが出てきましたね。スキルの名前はほとんど元ネタを参考にさせていただきました。一応読み方を載せておきます。
【通行規制】→アイン•ヴィーク
【一方通行】→ウィン•ヴィーク
【制速違反】→オーヴァ•ブースト
【王国】→マルクト
『影魔女ノ投擲』→ゲイ•ボルク