青き春の物語(ブルーアーカイブ) ガンヴォルト   作:コーヒーこめ

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毎度毎度更新が遅くてすみません!
少しずつプライベートの時間空けつつ執筆していきます。


差し迫る暗雲

その誇りは風紀の名のもとに

――アビドス高校 対策委員会・会議室

 

「何これ!?一体どういうことなのっ!?」

 

僕たちはヒフミと共にアビドスに戻り、集金記録の確認を行っていた。

 

「現金輸送車の集金記録にはアビドスで788万円集金したと記されてる。」

「でも、そのあとすぐにカタカタヘルメット団に対して「任務補助金500万円提供」って記録がある。」

 

シロコの言葉にノノミは察したように反応する。

 

「ということは…それって…。」

 

「私たちのお金を受けった後に、ヘルメット団に任務補助金を渡したってこと!?」

 

セリカは苦虫をかみつぶした表情をを見せる。

 

「まさか…ヘルメット団の背後にいるのは、カイザーローン?」

 

「銀行単独ではこんな行動はできない、おそらくカイザーコーポ-レーション本社が関わってる可能性がありそうだね。」

 

とはいえ、あくまで可能性の一つ安易に行動できるわけではなさそうだ…。

 

――――

 

「みなさん、色々とありがとうございました。」

 

空が夕焼けで紅く染まっていたころ、僕たちはトリニティに戻るヒフミを見送っていた。

 

「まだ詳しいことは明らかになっていませんが…これはカイザーコーポレーションが、犯罪者と何かしら関連があるという事実上の証拠になり得ます。」

「戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します!」

 

「いや、ティーパーティーはもう知ってると思うよ。」

 

ヒフミの言葉をホシノが遮る。

 

「ティーパーティーだけじゃない、ゲヘナもミレニアムも知ってると思う。」

 

ヒフミは困り顔で質問する。

 

「そんな…知っていたならどうして?」

 

「きっとわかった上で放っておいてるんじゃないかな?」

「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところで、打開策が出るわけじゃないしかえって私たちがパニ来ることになりそうなんだよねー?」

 

「どういうこと?」

 

シロコがホシノに尋ねる。

 

「ほら、今のアビドスって廃坑寸前じゃん?トリニティとかゲヘナみたいなマンモス校からのアクションもコントロールできる力がないんだよー。言ってる意味わかるよね?」

 

かつてマンモス校といわれていたアビドスの全校生徒は現在五人、戦力差が明確に出てくるくらいだ。

 

「サポートの名目で攻撃されても、対処のしようがないってことですね…。」

 

ヒフミの答えにホシノは静かにうなずく。そんな様子にノノミは焦りながら声をかける。

 

「でも…ホシノ先輩、悲観的に考えすぎなのでは?本当に助けてくれるかもしれませんし…。」

 

「私は他人の行為を素直に受け取れない、そんな汚れたおじさんになっちゃってねー。」

「「万が一」ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよ。」

 

万が一…ぼくはふと昔のことを思い出す、電子の謡精を解き放った時も、僕は目先のことしか見えていなかった。

結果として僕は多くの犠牲者を出す羽目になってしまった…。

 

「ヒフミ、気に病む必要はないよ。」

 

「え?」

 

「今はカイザーの現状だけ連絡してほしい、むしろそれが最優先だ。カイザーについては僕も調べる必要がありそうだからね。」

 

「は、はい!わかりました。」

 

「ありがとうヒフミ、今日は楽しかった。」

 

「楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」

 

「今度遊びに行くからまたよろしく~。」

 

「はい!みなさんも大変だとは思いますが、がんばってください!!」

 

ヒフミは一礼し、夕日のほうに姿を消していった。

そのまま僕たちも解散という形で別れることにした。

 

―――

便利屋68・事務所

 

事務所にいたムツキとカヨコは普段の仕事のために必要な、自分たちの愛用している武器の整備をしていた。

 

「…おはよう。」

 

突然、事務所の扉が開く。まるで生気の感じられない声、その声の正体は死んだ目をしながらトボトボ歩くアルだった。

ムツキはそんなアルを見て困惑しつつも声をかける。

 

「アルちゃん、徹夜でもした?」

 

「ちゃんと寝たわ…。」

 

アルは重い身体を動かしながら自分の椅子に座る。

そんなアルを見かねて、ムツキとカヨコは次のアビドス襲撃作戦の説明をする。

 

「あらかじめ爆弾を数十か所埋設して、そこに来たアビドスの子たちをコテンパンにする。ハルカが今その準備を…社長、聞いてる?」

 

「ハッ!?え、ええ聞いているわ。」

 

カヨコに説明をされた、当の本人は先ほどまで夢の中だった。

どうやら今後の作戦に使う資金繰りでずっと悩んでいたようだ。

ムツキはため息をつき、とある方向を指さす。

 

「そんなに悩んでるなら、そのバッグのお金使って、資金に充てちゃえばいいじゃん。」

 

ムツキ指した方向には、大金が詰まった現金バッグがおかれていた。

これは先日、ブラックマーケットに行った時にアビドスの生徒が[覆面水着団]を名乗り、銀行強盗をしたときに回収したバッグだった。

それを見ていたアル本人は、その真実を聞かされた際、雷が落ちた驚き方をしていた。

 

「そ、それはダメ。何せお金はあの子たちの忘れ物…。それを使うなんてかっこよくないわ…、アウトローとしての名折れよ。」

 

アウトローを目指そうとはしているものの、元の根が優しいアルは他人の金の使うのにためらいがあった。

ムツキはアルに返す。

 

「じゃあ、例のクライアントに手付金をもらえば?」

 

「手付金はもらわない。それがうちの鉄則よ、前にも言ったでしょう?」

 

「手付金をもらったクライアントの命令に従わざるを得なくなるから…って理由だっけ?」

 

「その通りよ、依頼料は成功報酬…そうでないと、私たちの追求するビジョンは達成できないの。」

 

「ビジョン?そんなのあったっけ?」

 

「あるわよ!!法律と規律に縛られない、ハードボイルドなアウトロー!」

「それが便利屋68のビジョンでしょう!?」

 

ムツキの返しにアルは怒鳴る、しかし言動に焦りがあることを察したのかカヨコは口を開く。

 

「強がってないで、ゲヘナに変えるのも手だよ。社長。」

 

「でもさぁ、今更帰っても風紀委員会の連中が黙ってないんじゃない?」

 

「ぐっ…」

 

アルは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。

便利屋68はゲヘナでは指名手配犯となっており、そこを治安維持している風紀委員会は彼女たちにとっては目の上のたんこぶのような存在だった。

その中でもひときわ目立つ存在が、風紀委員長の【空崎ヒナ】。

キヴォトス最強とうたわれる彼女は、風紀委員の戦力はほぼ彼女だけで成り立っているといわれるほど、多くの犯罪者、テロリストからも恐れられる存在なのだ。

 

「逆に裏を返せば、ヒナ以外の風紀委員は大したことないってこと。計画さえキチンと練れば十分に勝機はあるよ。」

 

「言うねー、カヨコちゃん。」

 

ムツキとカヨコの会話に、アルは口をはさむ。

 

「今更ゲヘナに変える選択肢は無いわ。法律と規律に縛られないハードボイルドなアウトロー」

 

「それが便利屋68のビジョン…ってこと?」

 

「ふふっ、その通りよ。」

 

「ただいま戻りました。」

 

事務所の扉がが開く、どうやらハルカが爆弾の設置を終えたようだ。

ハルカはアルに近づき、目を輝かせながら口を開く。

 

「アル様、いつでも行ってください。私がすべて吹っ飛ばしてやりますから…この手で…。」

 

ハルカの顔は正気には見えなかった、アルは動揺しながらも同意する。

 

「え、ええ、わかったわ…」

 

「じゃあハルカちゃんも戻ったしご飯を食べに行こうか!紫関ラーメンで!!」

 

「また?」

 

「いいじゃんいいじゃん!さあ行こー!!」

 

「まったく、しょうがないわね。」

 

そうして便利屋68は、紫関ラーメンへと向かった。

 

――――

 

翌日・対策委員会・会議室

 

GVは身支度をして会議室に入る。

 

「おはよー、GV」

 

「おはようございますGV!」

 

「おはよう、二人とも。」

 

部屋からはノノミとホシノが出迎えてくれた。

「ん?膝枕?」

 

「ああこれ?ノノミちゃんの膝枕は最高なんだよー。おじさんの特等席なんだー。」

 

「先生もいかがですかー?」

 

「ノノミ、それはさすがに…。」

 

「ダメダメ~。ここは私の特等席なんだら~。」

 

ホシノは駄々をこねるように返答する。ノノミはそれを見て苦笑いをする。

 

「私の膝は先輩専用ではないですよー。」

 

「むー、よいしょっと。」

 

ホシノは頬を膨らませたのち、立ち上がり部屋から出ようとする。

 

「先輩?どちらへ?」

 

「今日はおじさんはオフだからねー、なんかあったら連絡ちょーだい。」

 

そういって部屋から出ていった。

GVはやれやれといった様子で、額に手を当てながら、口を開く。

 

「あの様子だと、昼寝かな?」

 

「そうですね、フフッ。」

「ホシノ先輩、本当に変わりました。」

 

「え?」

 

GV はきょとんとした顔をしてノノミの言葉に耳を傾ける。

そういうノノミはどこか悲しげな表情を浮かべ話を続ける

 

「今はいつも寝ぼけてるような感じですが…初めて会った頃のホシノ先輩は、常に何かに追われているような感じでした。」

 

「何かに?」

 

「ん、ありとあらゆること、とでも言いましょうか。聞いた話ですが、ホシノ先輩が入学したとき、とある先輩がいたそうで。アビドス最後の生徒会長だったらしいんですがとても頼りない人で、その人がここを去ってからはすべて先輩が引き受けることになった、と…。」

「でも今は、GVもいますし、他の学園の生徒たちとも交流できますし…。以前だったら、他の学園とかかわること自体に嫌がってたはずが…かなり丸くなりましたね。」

 

ノノミは椅子から立ち上がり、GV に微笑みながらこう言う。

 

「きっと、GVのおかげですね☆」

 

「…そうか。」

 

GVは微笑みながらコートを羽織る。

それを見たノノミはGVに問いかける。

「GV?どこかに行かれるのですか?」

 

「少し、アビドスの郊外まで行ってくる。緊急の時は連絡して。」

 

「はい、わかりました!いってらっしゃい。」

 

ノノミは微笑みながらGVを見送るが、彼女の瞳に映った彼はどこか悲しく見えた。

 

―――――

 

アビドス郊外・リサイクル工場

 

アビドス高校から数十キロから離れたリサイクル工場、入り口にはバリケードテープが張られており、ヴァルキューレの生徒が実況見分をしていた。

 

「あのニュースが本当なら、おそらく…」

 

数日前に放送されたニュース、リサイクル工場に廃棄されていたオートマタの暴走、オートマタから見えた糸のようなもの…。

おそらく第七波動能力者の仕業と考えて間違いないだろう。

だが…僕以外の能力者がいるなんてのは考えづらい…、僕は真実を確かめるため現場に向かうことにした。

 

「すいません!ここから先は立ち入り禁止です!」

 

僕が現場に近寄ろうとしたらヴァルキューレの生徒が飛び出してきた。

 

「ああ、ごめんね。実は…」

 

僕は身分証を見せる。

 

「連邦捜査部シャーレ?ということは連邦生徒会の!?これは失礼しました!!」

「ですがどうしてそんな方が、ここに?」

 

僕は生徒に事情を話した。

 

「なるほど、情報提供感謝します。ここだけじゃなくブラックマーケットの廃メカも暴走したという噂もあります。ですがそちらは最近出没したフェザーというテロリストが率いる覆面水着団というやつらの仕業ではと…先生?どうしたんですか?」

 

「…いや、何でもないよ。少し、暴走したオートマタを見せてくれないかな?」

 

「それは…いや、でも連邦生徒会の人だし見せていいのかな?」

「わかりました。こちらへどうぞ。」

 

僕はオートマタのもとまで案内される。

オートマタは、すべてブルーシートの上にパーツごとに並べられていた。

 

「パーツ自体はどれも無事なんですが、それを起動するためのメインコアがすべて抜き取られているんです。」

 

「メインコアが?」

 

「はい、このオートマタのエネルギーはなようでして、とあるオーディオを聞くことによって一定時間能力が底上げされるそうなんです。といってもあまり実用できずに廃棄に至ったそうですね。」

 

オーディオ?底上げ…

 

「それって…。」

 

[ピロロロロ]

 

突然携帯に通信が入る、アヤネからだった。

 

『先生!緊急です!紫関ラーメン付近まで来てください!!』

 

「アヤネ?わかったすぐに向かうよ!」

 

僕は全速力でアビドス自治区へと戻っていった。

 

 

―――――

 

 

アビドス自治区・紫関ラーメン前

 

「…この程度か?」

 

瓦礫の山のとなった紫関ラーメンの前で、シロコ達は二つ結びの生徒と戦闘を繰り広げていた。

状況は劣勢、四対一の現状であってもまるで歯が立っていない。

たとえ目の前の生徒に勝利しても後方の集団が控えているといった絶望的な状況だった。

 

「まあいい、これでとどめだ!」

 

生徒が引き金を引く、放たれた銃弾はシロコに向かって飛んで行った。

 

「…くっ!!」

 

しかし、その銃弾がシロコにあたることはなかった。

雷撃のバリア…突然現れた影か彼女を守ったのだ。

シロコ達はその正体をすぐに理解できた。

 

「GV…。」

 

彼の姿を見て彼女たちは安堵の表情を見せる。

GVは少し振り向き彼女たちに微笑みかけた後、二つ結びの生徒を見る。

 

「なんだお前は?」

 

二つ結びの生徒の問いを聞くもGVは返答しない。

GVは静かに怒りをあらわにするのだった。

 




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