青き春の物語(ブルーアーカイブ) ガンヴォルト   作:コーヒーこめ

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約20日ぶりの投稿
オフが忙しすぎて本当に投稿できずに申し訳ありません!!
これからも亀投稿になると思いますが暖かい目で見守ってくださいませ。


便利屋68

「...それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。」

 

セリカと打ち解けた次の日、僕は対策委員会の定例会議に参加していた。

 

「本日は先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが...。」

 

「はーい☆」

 

「もちろん。」

 

「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない...。」

 

「うへ、よろしくね〜、先生。」

 

「ああ、よろしく。」

 

軽く挨拶を済ませ終えると、アヤネが仕切り始める。

 

「早速議題に入ります。本日は私たちにとって非常に重要な問題...「学校の負債をどう返済するか」について、具体的な方法を議論します。」

「ご意見のある方は、挙手をお願いします!」

 

「はい!はい!」

 

早速手が挙がる、発言者はセリカのようだ。

確かにしっかり者のセリカなら何かいい案を出してくれるに違いない。

 

「はい、一年の黒見セリカさん。」

 

名前を呼ばれたセリカは、勢いよく席から立って発言を始めた。

 

「対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわっ!このままだと廃校よ!みんなわかってる?」

 

「うん、まあね〜。」

 

セリカの言葉にホシノは軽い相槌をうつ。

 

「毎月の返済額は利息だけで788万円!私たちも頑張って稼いではいるけど、正直利息の返済も追いつかない。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ。」

「このままじゃ、埒が明かないってこと!何かこう、でっかく1発狙わないと!」

 

「でっかく...て、例えば?」

 

アヤネの質問にセリカは自信ありげ表情をして、鞄から1枚のチラシを取り出した。

 

「これ!街で配ってたチラシ!」

「これでガッポガッポ稼ごうよ!!」

 

セリカが取りだしたのは、如何にも胡散臭いマルチ商法のチラシだった。

 

「却下ー。」

 

「え!?な、なんで...」

 

セリカは説明をしようとした瞬間に、ホシノのNGをくらってしまった。

僕は固まっているセリカに説明する。

 

「セリカ、それはマルチ商法だよ。第一、そんな美味しい話があるわけないからね。」

 

「ガーン...そんな...私2つも買ったのに...。」

 

「ふふ、騙されちゃったセリカちゃん可愛いです♡」

 

ノノミは落ち込むセリカを揶揄う、こんな子が会計で大丈夫なのだろうか?

 

「ええと、他になにかご意見がある方は...」

 

「はい!」

 

アヤネは気を取り直し、話を進める。

次に手を挙げたのはホシノだった。

 

「はい、3年の小鳥遊ホシノさん。」

 

「我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。」

「生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー。」

 

なるほど、確かに生徒数を増やして借金返済を目指す方が効率がいい...

それに生徒数が増えれば連邦生徒会への発言権も譲渡される。

委員長である彼女らしい考案だ。

 

「確かに現実的ですが、一体どうやって...」

 

アヤネがホシノに質問する。

 

「簡単だよ〜、他校のスクールバスを拉致すればオッケー!」

 

「はい!?」

 

...期待した僕がバカだった。

ホシノはアヤネの驚きようにも気をとめず、プレゼンを続ける。

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないとバスから出られないようにするよー。」

「うへ〜、これで生徒数がグンと増えること間違いなーし!」

 

「それ、興味深いね。ターゲットはトリニティ?それともゲヘナ?ミレニアム?」

 

酷い...やることがテロリストと同じだ。

シロコも便乗して、銃を構える。

幸先が不安になってきた。

 

「却下!却下です!!」

 

「うへ〜、やっぱそうだよね〜。」

 

アヤネの却下をNGを言い渡され、ホシノは机にうつ伏せる。

ふざけてるのか?

 

「はぁ、皆さんもっと真面目に会議に取り組んでください..」

 

アヤネは頭を抱えため息を着く。

次はシロコが挙手をした。

何故だろう、嫌な予感しかしない。

 

「いい考えがある。」

 

「はい...2年の砂狼シロコさん...」

 

「ん、銀行を襲うの。」

 

「はいっ!?」

 

最悪にも僕の予感は当たってしまった。

「確実かつ簡単な方法。ターゲートも確定済み。市街地にある第一中央銀行。」

「金庫の位置、警備員の動線、銀行輸送車のルートは事前に把握しておいたから。」

 

「さっきから一生懸命見てたのは、それですか!?」

 

「5分で1億は稼げる。はい、覆面も用意しておいた。」

 

シロコは紙袋から1~5の数字が書かれた覆面を取りだした。

 

「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」

 

「わあ、見てください!レスラーみたいです!」

 

「いやー、いいねぇ、人生一発キメとかないとねー、ねえセリカちゃん。」

 

「そんなわけあるかー!却下!却下!」

 

「そ、そうです!犯罪は行けません!」

 

「……」

 

シロコは覆面を脱ぎ、顔を膨らませる。

 

「そんな顔してもダメなものはダメだよ、シロコ。」

 

「はぁ……皆さんもっとまともな提案をしていただかないと……。」

 

アヤネはその場にへたり込む。

 

「あのー!はい!次は私が!」

 

次の提案者はノノミのようだ。

「はい……2年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺抜きでご意見をお願いします……。」

 

「はい!犯罪でもマルチ商法でもない。とってもクリーンかつ確実な方法があります!」

「それはですね……アイドルです!スクールアイドル!」

 

アイドル…確かに確実かついい方法だ、皇神が表向きでは企業の広告塔としていた【モルフォ】と同じように、上手くプロデュースすれば今よりも多く収益が得られるはず。

 

「アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私たちがアイドルとしてデビューすれば、借金返済も、希望の歌姫ことRoRoちゃんと一緒に肩を並べたりすることも……。」

 

「却下。」

 

プレゼンの途中にホシノのNGが言い渡される。

 

「あら……これも駄目なんですか?」

 

「なんで?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに。」

 

セリカがホシノに問いかける。

 

「うへーこんな貧相な身体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー、ないわー、ないない。」

「それにおじさんはRoRoちゃんと肩を並べたとしても、かわいくなれないし、あんな綺麗な歌声は出せないよ〜。」

 

「決めポーズも考えていたのに……」

「水着少女団のクリスティーナで〜す♣︎」

 

「いい案だけど、その名前はどうかと思う。」

 

「えー、GVも厳しいですね、徹夜で考えたのに……」

 

「あのう…議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を……。」

 

アヤネの言葉にホシノは返す。

 

「それはGVに任せちゃおうー。GV、これまでの意見で、やるならどれがいい?」

 

「え!?もっとまともな意見を出してからじゃ!」

 

「大丈夫だよー。GVが選んだものなら、間違いないって。」

 

「……なんでそう言い切れるの?」

 

みんなの圧に押されて僕は一つの案を選んだ。

「アイドルがいいと思う。今出た案の中では一番かな。」

 

「やったー!決まりです!」

 

「ほ、ほんとにやるの?」

 

「いいんじゃない〜?じゃあそういうことでー。」

 

全員が僕の意見に同意をする形で会議は終わりそうになっていた。ただ一人僕の隣で震えてる彼女を除いて…

 

「…いいわけないじゃないですか!!」

 

堪忍袋の緒が切れたのか、室内にアヤネの怒号が響いた。

怒るのも無理はないだろう…

借金返済に関しては暫くの間、僕が連邦生徒会経由で依頼を探して、彼女たちに引き受けてもらうことにした。

 

──────

 

 

「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」

 

「怒ってません……。」

 

ホシノたちはアヤネの説教を受けた後、彼女の機嫌を治すために、柴関ラーメンに来ていた。

ノノミはアヤネの口を拭く。

 

「お口拭いて、はい、よく出来ましたねー♪」

 

「赤ちゃんじゃありませんからっ」

 

「なんでもいいんだけどさ、なんでまたうちに来たの?」

 

「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」

 

「ふぁい。」

 

アヤネはシロコに渡されたチャーシューを頬張る。

 

(ガタッ、ガララッ)

 

「あ…あのう……。」

 

突然店内に弱々しい声が聞こえた。

 

一同は声の方に目を向けると、そこには少女が扉から顔をのぞかせていた。

セリカは少女の対応をする。

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

「…こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

 

「1番安いのは…580円の柴関ラーメンです!看板メニューなんで美味しいですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

セリカの言葉を聞いた少女は礼を言い颯爽と戸を閉めた。

セリカが首を傾げていると先程の少女が、3人の少女を引き連れて入ってきた。

 

「やっと見つけた!600円以下のメニュー!」

 

「フフフッ、何事にも解決策はあるものよ、全て想定内だわ。」

 

「そ、そうでしたか、さすがは社長、なんでもご存知ですね……。」

 

「はぁ…」

小柄な少女の言葉にコートを羽織った少女は、誇らしげに笑う。

先程の気弱な少女はコートの少女に尊敬の念を示す。

そんなコントのようなやり取りを見ていたパーカーの少女はため息を漏らした。

 

「4名様ですか?席にご案内しますね!」

 

「いやいや、どうせ1杯しか頼まないんだし、テイクアウトでいいよー」

 

「1杯だけ……?どうせならごゆっくりどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし。」

 

「親切な店員さんだね。それじゃ、お言葉に甘えて」

 

セリカに案内され4人の少女は席に着く。

席に着いた小柄な少女がセリカに注文をする。

 

「あ、わがままのついでに箸は4膳で宜しく。」

 

「まさか1杯を4人で分けるつもり?」

 

「ご、ごめんなさいっ!貧乏ですみません!お金が無くてすみません!」

 

「あ、いや別にそんな謝らなくても……」

 

気弱そうな少女は謝りだす、セリカは慰めようとするが彼女は留まることなく喋り出す。

 

「いいえ!お金が無いのは首がないのも同じ生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません……!」

 

「ちょっとハルカ。周りに迷惑……」

 

パーカーの少女がハルカを止めにかかろうとするが…

 

「そんな!お金が無いのは罪じゃないよ!胸を張って!」

 

「え……!?はい!」

 

セリカはハルカの手を握り励まし続ける。

 

「お金は天下の回りもの、ってね。そもそも学生だし!小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!」

「もう少し待っててね、すぐ持ってくるから!」

そういうとセリカは厨房の方へ向かっていった。

そんな沈黙の中、パーカーの少女が口を開く。

 

───

 

「…なんか妙な勘違いをされてるみたいだけど?」

 

「まあ、私たちはいつもそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。強いていえば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし。」

 

「うっ…」

 

ムツキはアルの方に目を向ける。

アルは気まずそうな声を出す。

 

「さっきの依頼が一銭にもならなかった上に、次の依頼の人員確保にほとんどの資金を使っちゃったし。」

 

「でもこうしてラーメンは口にできるわけでしょう?それくらいは想定内よ。」

 

カヨコの言葉にアルは開き直ったかのように返す。

 

「でも社長、そんなに警戒しないといけないほど次のターゲットは危険な相手なの?」

 

「そ、それは…」

 

「多分アルちゃんもよくわかってないと思うよ。だからビビって多く雇ってるんだよ。」

 

ムツキに煽られアルは声を荒らげる。

 

「誰がビビってるですって!?失敗は許されない!あらゆるリソースを総動員して臨むわ!それが便利屋68のモットーよ!」

 

「…初耳だね、そんなモットー。」

 

「今思いついたに決まってるよ。」

 

「う、うるさい!」

 

「お待たせいたしましたー!」

 

カヨコとムツキに図星を突かれたアルは顔を赤くし、声を上げるがその声は店員の声によってかき消された。

 

「看板メニューの柴関ラーメンです!」

 

「な、なにこれ!?」

 

「ラーメン超大盛りじゃん!」

 

「ざっと10人前はあるね!」

 

「こ、これはオーダーミスなのでは!?こんなの食べるお金ありませんよ!」

 

各々が目の前のラーメンに様々な反応を見せる。

ハルカが質問すると店員は落ち着かせるように返す。

 

「いやいやこれで合ってますって!580円の柴関ラーメン並!ですよね大将?」

 

店員がそういうと奥にいた大将が続ける。

 

「ちょっと手元が狂っちまってなぁ。せっかくだから食べてってくれ!」

 

自分たちを気遣ってくれたのだろうか、一同は喜び目の前のラーメンを口にした。

 

「「「「美味しい!」」」」

 

「でしょう?でしょう?ここのラーメン最高なんです!」

 

彼女達の声を聞き、隣の席からアルたちとそんな変わらない見た目少女たちが顔を出してきた。

アルは少女の話に乗るように会話を進める。

 

「わかるわ、今まで色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの。」

 

「その制服、ゲヘナの…遠くから来たの?」

 

「は、はい。」

 

狼の少女に質問にハルカは頷く。

続いて桃髪の少女が話しかけてくる。

 

「うへへ〜私達ここの常連なんだー。」

 

「そうなの?」

 

少女の言葉にアルは反応する。

そんな会話を横目にカヨコとムツキは周りに聞こえない声で会話をしていた。

 

「ねぇカヨコちゃん…あれって…。」

 

「あぁ…例のターゲット…社長気づいてないみたいだけど?」

 

「面白いから放っておこ!」

 

───

 

「それじゃ気をつけて!」

 

「お仕事上手くいくといいですね〜」

 

「貴方達も学校の復興上手くいくといいわね!私も応援してるから!じゃあね!」

 

「ふふ、いい人たちだったわね。」

 

アルは嬉々として先程の生徒達に別れを告げた。

先程の威圧感はどこへ行ったのか、アルの顔は晴れやかな笑顔が浮かんでいた。

そんなアルにカヨコは声をかける

 

「ねえ社長。」

「何?カヨコ課長。」

 

「あの子たちの制服気づいた?」

 

「え?制服?」

 

察しが悪いアルにムツキは小悪魔な笑顔を見せながら答えを出す。

 

「アビドスの生徒だよ、あの子たち。」

 

「へ?」

 

その言葉にアルは思考を巡らせた。

アビドス、今回の依頼で受けたターゲットの高校…

つまり自分は目の前にターゲットがいるというのにそれを見逃す大失態を犯してしまったということだ。

それに気づいたアルは絶叫をした!

 

「な、ななな、なんですってー!?」

 

「あはは!その反応ウケるー!」

 

「そ、それって次のターゲットですよね!?私が始末してきましょうか?」

 

「遅い遅い!どうせもうちょっとしたら攻撃を仕掛けるんだし、その時仕掛けよ?ハルカちゃん。」

 

そんな会話も聞こえないくらいアルは動揺を隠せずにいた。

 

「う、嘘でしょ?あの子たちがアビドス…ターゲットだなんて…」

 

動揺しているアルにムツキは煽りを入れる

 

「情け無用、金さえ貰えば何でもやります。というのがうちのモットーでしょ?今更何を悩んでるの?」

 

「そ、それは…」

 

「心優しい社長にはちょっときついかもね…。」

 

カヨコの呆れたような言葉にアルは意を決する。

 

(このままじゃダメよアル!一企業の社長として!いくわよ!)

 

そう心に決めてアルは社員と共に夕日と共に向かって歩いていった。




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