ここは駒王学園
そこに一般ピーポーを自称する少年
名を兵藤一誠は居た
昼休みある者は購買に行き、ある者は母親の作った弁当を広げ食事を始める
だが、異質な空間があった
同級生達はある意味イベント行事より楽しみにしている時間だ
一部の女子からは人を殺せるような視線を向けられているが気にせず手製の弁当を取り出す一誠
五合の白米が入りそうな2段重ねの弁当が姿を現す
柔道部や相撲部などのウエイトが必要な男子達でさえ声を揃えて真似をするのは無理と言う一誠の弁当
1段目は海苔、鰹節、醤油で作られたのりご飯
2段目は唐揚げ、卵焼き(キャベツとしらすが入った醤油味)、シューマイが敷き詰められたおかずの段
カロリー、塩分、コレステロール全てを健康度外視で作られたまさにデブ活に相応しい弁当
だが、ここに例外が存在する
兵藤一誠体脂肪率8%を切る筋肉質
運動らしい運動は体育のみと言う化け物
1つ100gは超えそうな唐揚げを口いっぱいに頬張る
その様子を見ていた桐生藍華は語る
「あれを見て思うのは毎日がチートデイってやつ?憎しみだけで人が殺せるなら女子の人数だけ奴は死んでるわ」
当たり前だ
1番スタイルなどを気にする年頃の女子高生
カロリー計算なんて当たり前
ましてや顔面偏差値が高いと話題が持ち切りの学校だ
身だしなみにも気を使うがそれ以上に毎日の積み重ねはそれ以上だ
別の意見としては彼の食事を見るだけで満腹になると言う意見もある
もちろん満足はしないから殺意は据え置きだが
咀嚼の後にふぅ……と1呼吸置きのり弁に箸を突き立てフードファイターの一口より気持ち少なめの量を口に頬張る
無言だがその表情はまさに至福
誰もが見惚れる
その表情を見る為だけに他のクラスからもたまに食事を一緒に来るくらいわかりやすい幸せの表情である
だが、しかし
ここで一誠痛恨のミスを犯した
口の中をリセットする味噌汁を出すのを忘れていた
保温ポットに入れてある油揚げと玉ねぎの味噌汁を……
すぐさまリセットしたいのに保温ポットはカバンの中
親友の元浜は語る
「絶望ってさ……日常に潜んでるのあん時しみじみと理解したよ」
だが、慌てない
何故ならば今日の漬物はキャベツとしその実の浅漬けだったのだ
薄味ながらも風味が良く油っこい料理と相性が抜群なのである
浅漬けなのでキャベツのシャキシャキとした食感は残っており口の中の油分がリセットされていく
シャクシャクと食べ進めながらゆっくりと味噌汁を準備する
今日の味噌汁は少し高い油揚げを使った
しっかりと湯通しを行いしつこさを減らし良い赤味噌を使い鰹節からきちんと出汁を取った逸品だ
作りたてには及ばないがまだ湯気の出る味噌汁に口をつけ一口
「あぁ……これだけでこの弁当の米が食い尽くせる」
口から思わず零れる本心
だが、実行するつもりはまったくない
主役のおかず達はまだまだ残っているんだ
勿体ないとまでは言わないまでもそれはしたくない
何事も比率が大事なのだ
食欲が狂ったこいつだけには周りも言われたくないだろうが
次は卵焼きだ
分厚く作られた軽く焦げ目の着いた卵焼き
味覇を基本ベースに塩味で纏められた少し濃い味の卵焼きは唐揚げと言う王道のおかずに負けぬポテンシャルを秘めている
口に放り込み噛めばじゅわっと広がる中華の風味
後からガツンと来る塩っ気
それが米の消費を加速させる
のり弁は当然うまいがおかずと合わせればどんどん消えていく
親友の松田は語る
「アイツと飯を食うと限界超えて食っちまうから悩みどころなんだよな……馬鹿話しながら飯を食いたいがもしやるならいつもの3倍の量の弁当用意しないと物足りないんだよ」
男子からの羨望の眼差しと女子からの嫉妬の眼差し(いくら食っても太らないため)を気にせず弁当は佳境に入る
シューマイの攻略に入る……!
心の中で1人ごちるが周りからしたら見たら見ただけ腹減るからさっさと食い終えろという気持ちといつまでもその幸せな顔してろという気持ちがミックスされ軽くカオス空間が生まれる
しっかりと臭み消しの生姜と下味を効かせたおかげで醤油要らずで素材本来の味を楽しめる
そうして弁当は終わりを迎える
ご飯1口と唐揚げ1つが残るのみ(ちなみに両方軽く100g)
一誠は終わりが悲しくなり軽く涙目である
だが、作った身として終わらせる覚悟を決め口に入れる
「あぁ、終わってしまった」
空になった弁当を見て少し泣きそうになる一誠
次の瞬間
「じゃあデザートだ」
出されたのは業務用徳用チョコレート
続く幸せそうな表情
クラスメートは思う
この表情見るだけで全て許せる
こうしてまた兵藤の幸せな表情を見隊の新たな人材が生まれる
短編だと5話までしか投稿できないんだけどもう少し続けた方がいい?
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もう少し
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まだまだ行ける
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どっちでも
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満足したから大丈夫