遅くなって申し訳ない。
グレイフィアは驚愕した。
わずか1週間会わなかっただけでここまで変わるのかと。
強者故に成長を正しく把握してしまったグレイフィアは本当にリアスかと一瞬疑ってしまった。
それよりも驚愕したのは美味しそうにガトーショコラをパクついてるイッセーだ。
会ったのはたった1度だがその時感じた荒ぶる龍の気配を全く感じない。
更に問題と言えばレーティングゲームのトップがイッセーが参戦するのを聞いたのか急遽見学しに来ている。
まさかとは思うが眷属候補として見ているのだろうか?
そんな疑問が思い浮かぶ。
だが、それは考えても答えが出ない事だ。
今は勝ちだけを……
『なぁ、相棒……あれを使うのは止めないか?あれで負けたら多分再帰出来ないぞ』
「やだ」
『いや、本当に……純粋な戦闘で』
「人を物のように見てるのも気に食わないし戦いたくは無いけど勝たなきゃ行けないからなりふり構ってられない」
あちらではイッセーと赤龍帝がなにか揉めてる。
聞こえてくる会話からして何か予想外のやり方で戦うのかもしれない。
戦いの心構えが無いなら多分単純な戦法になると思うがそれにしても情報が少なすぎる。
どちらかへ肩入れするのは厳禁だが多くの貴族が見守る中では出来ない。
それゆえに赤龍帝であるイッセーに何をするかは聞けない。
審判として中立に立ち魔王であるサーゼクスに泥を塗らぬように行動する。
「それではゲームを開始します」
だからこそ一手で勝負が決まったこの状況にも冷静に対応しなければならない。
「禁手」
かつて見た歴代の赤龍帝より龍の波動が強いイッセーにグレイフィアは“ここまでとは……”と内心で評価した。
だが、フェニックスの不死性を超えるほどではない為に一瞬油断した。
15回の倍加を無差別に敵味方関係なく譲渡するまでは。
リアスとその眷属は全力でその譲渡を拒否した為に違和感を覚えるがライザー陣営はそれどころではなかった。
五感を強制的に強化され太陽光を直接見ずとも網膜が焼けそうになり衣服が擦れるだけで激痛が走り香水の香りが目眩を引き起こし痛みによって漏れた声が耳を突き刺しのたうち回るしか出来ない。
1分が過ぎて行動が出来ない以上審判として決着は着いたと判断するしかなかった。
「このゲーム、ライザー様及び眷属の方々は戦闘不能と判断し勝者リアス・グレモリー様になります」
確かにこの方法は知性があればあるほど対応が出来ない。
目を抉ったり耳を潰せば不死性と回復量からして対応出来るがその時に来る痛みは強化された触覚により無視できないダメージと言うより受けてはいけないダメージである。
それを受け入れるのは難しい。
命がかかってない状況でショック死と言う命懸けを強制させる。
無茶苦茶なデメリットを負わせる戦術。
これは貴族同士のゲームである以上品位に欠けると言われても仕方ない。
なので真似は出来ない。
だが、リアスはハンデをすでに持っていて家同士の非公認のレーティング・ゲームだからこそ許された禁じ手。
その前にリアスがイッセーに怒ってる時点で赤龍帝の独断である。
多くの貴族はしかめ面をしているがフェニックス家長男を含めレーティング・ゲーム上位勢は眷属と対策を話し合っている。
強化を逆手に取った即死級のトラップは中々目にかかれない為に実際に戦ってる上位勢はインスピレーションを得たのだろう。
ベリアル卿は獰猛な笑みを浮かべながら赤龍帝を見ている。
これは婚約破棄は完了しても暫くは慌ただしくなるだろう。
戻ってきたリアス達はサーゼクスと話し始める。
「申し訳ないが腹減ったんで厨房借りていい?」
「あぁ、許可しよう。それにしても対戦相手を強化して勝つとは予想外だね」
「いや、戦うの嫌いだからこんな方法しか思いつかないし」
魔王様に対してなんと無礼な……などと見当違いな陰口が聞こえてきてため息が漏れそうになる。
この子は人間であり悪魔になることすらまだ考えて居ないのだ。
異種属の王であっても同族の王に対する態度と同じを求めても無理があるのにわからないのか?
ライザー様達は手加減されて倒された事をまるで理解してない。
「私がご案内します」
「うん、そうだ。この後パーティーがあるんだが何品か作ってみないかい?」
「いや、貴族様が食うような料理作れないっすけど……」
「構わない。私が食べたいのだから」
「わかりました。なんでも良いんですよね?」
その後移動し用意した食材を見て確かに貴族向けでは無いなと苦笑してしまったが高校生である彼が満足し早く作るならこの料理は合理的だ。
時間は流れライザー陣営は全員回復しパーティーに参加を強制された。
婚約破棄パーティーなど出たくは無かったが魔王命令なら従うしか無い。
故にライザーは荒れていた。
「くそッ、恥の上塗りじゃねぇか」
ライザーは酒を煽りながら悪態を吐く。
そこにイッセーが皿を持って近づいてくる。
「どもっす。食ってますか?」
ちなみに大皿を両手持ちである。
それを見て不機嫌さを隠さずにライザーは吐き捨てる。
「貴様に邪魔をされて食えるわけあるか」
「そう言わず食っとけよ。だからイライラしちまうんだよ」
「貴様、俺が空腹でイライラしてると思ってるのか!?」
「当たり前だろ。あんたの所作とか見てれば満足してればきちんとした対応出来ると信じてるんだから」
大皿にはたっぷりの麻婆豆腐と餃子が山になって積まれていた。
芳醇な香りと絶対に酒に合う肴である事が確信出来る見た目に一瞬手を伸ばし掛けるが自制する。
「俺は種族の為を思って……」
「それで誰かが不幸に感じるなら俺はまた立ち塞がるよ。あんたがどんな思いとかは今は関係ない。それを言いたいならまずはきちんと話し合うべきだった」
「くっ……」
「とりあえず食って落ち着いてよく考えろよ」
従うのは癪だったが敗者の務めとして麻婆豆腐を口にする。
山椒の香り。
豆板醤の辛味。
ひき肉の旨み。
ネギの食感。
豆腐がそれらを優しく包み込む。
悔しいが美味い。
次に餃子に手を伸ばす。
つけだれは醤油と市販の塩ダレを混ぜたもので意外とさっぱりしている。
春雨も入ってるのか食感も面白い。
最初は義務感で口にしたが一口また一口とどんどん進む。
いつの間にかライザーは泣いていた。
「俺にはまだ好き嫌いとかわかんないけどまずは話す事から始めるんじゃないか?」
「あぁ、そうだな……」
「とりあえず食って呑んで休んでからまた話そうぜ」
ライザーは初めて友にするならこう言う男がいいと思った。
多くを語らず愚直に進言してくれるこう言う男が……
そんな2人を魔王とトップランカーと若手最強が見ていた。
魔王は語り合いたいと思いトップランカーは欲しいと思い若手最強は高め合いたいと思いながら2人の友情を温かく見守っていた。
短編だと5話までしか投稿できないんだけどもう少し続けた方がいい?
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もう少し
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まだまだ行ける
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どっちでも
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満足したから大丈夫