その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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稀血のうさぎ、聞き込みをする

 無惨様による採血が終わったあと、私は、彼が教えてくれた村の方へ向かってみることにした。

 教えてもらった話によると、どうやら、その村には小規模な神社があるようで、まずはそこを目指してみろとのことだ。

 無惨様の調べによると、村の大半が老人のため、知識を蓄えている人間がいるかもしれないと教えられた。

 小さな村ならば、診療所などもある。漢方などを扱う人間も紛れ込んでいる可能性があるため、話を聞くだけ聞いておけと言われた。

 

 私の容姿はかなり珍しいため、正直、村の人がビビらないといいけど・・・・・・と、少しだけ思いながらも、山の中を歩き続ける。

 すると、確かに山の麓の方に小さな村が存在していた。

 

「確か・・・・・・夜だと老人共は基本寝ているため情報を集めることなどできん・・・・・・鬼にする実験にも使えぬ生き物でしかないため、あまり近づきたくはない・・・・・・だったかな。

 昼間に動ける状態ならまだしも、夜にしか動けぬ状態だと、時間の無駄以外の何物でもない・・・・・・とも言っていたな。」

 

 だったらもっと早く人間を雇えば良かったのに・・・・・・と思わず無惨様に呆れてしまう。

 ああ、でも、こんな小さな村に近づくなんて、それこそ流離の行商人とか、何かしらピンポイントの目的を持ち合わせている人間くらいか。

 あれ?でも、それだったら余計に私浮かない?

 

「・・・・・・まぁ、適当に嘘をついて騙しとけばいいか。父親が薬に精通してる人で、その材料を探してるんだとか、令和じゃイタイ奴と思われそうなことでも言って、臨機応変にしますかね。」

 

 かなり不安になってしまったが、そこはなんとか前世の知識を利用した嘘などを考えて対応するしかないと思いながら、私は村の方へと足を運ぶ。

 すると、わずかに遠くの方からパキッと枝を踏み鳴らすような音が聞こえて来たため、その場で足を止めた。

 

 視線を音の方へと向けてみれば、そこには一人の老人がおり、変わった和傘を指している私の姿を見て、固まっているようだった。

 

「な、なんじゃあお前さんは・・・・・・?」

 

 目を白黒させながら、混乱したように言葉を紡ぐ老人。

 そんな老人を見つめた私は、何度か瞬きを繰り返したのち、うっすらと自身の目と髪が見えるように、少しだけ和傘に取り付けられているベールを持ち上げた。

 

「・・・・・・驚かせてしまって申し訳ありません。少し、探し物をしているうちに道に迷ってしまいまして。どうしたものかと思いながら、歩き回っていたところなんです。」

 

 自身の視界が光で潰されない程度の位置にベールを調節し、迷子になってしまったことを老人に伝える。

 老人は、私の容姿を見るなり、驚いたように目を丸くした。

 

 流石に警戒されるだろうか・・・・・・と困惑しながら、念の為にと教えられた無惨様直伝の困り顔を見せる。

 

 ─────・・・・・・お前の見目は確かに異質だが、顔立ちは人間の中でも一際整っている方だ。それは、力を持たぬお前にとって、何よりの武器となるだろう。

 

 ─────・・・・・・人間の中に紛れ込む上で、私も使っている人身掌握の技術を教えてやろう。女人として過ごすことも度々あったのでな。振る舞い方ならば、ある程度把握している。

 

 そう言って無惨様は、私に人によって対応する表情や仕草を変える方法を教えてくれた。

 老人の前では、年相応の幼子として、もしくは、それよりも幼い子供を演じ、同情を誘えばいい・・・・・・とのことらしいが、これでいいのだろうか?

 

「探し物・・・・・・?何を探しておったんじゃ?」

 

 ・・・・・・あれ?普通に話を聞いてくれたんだけどこのお爺さん。

 まぁ、いいや。とりあえず、一つの嘘をでっち上げなくては・・・・・・。

 

「実は、体の弱い祖母のために、噂に聞いたお花を探していたんです。最初は、家から近い、この山の反対側の方で探していたのですが見つからず、奥へ奥へと探しているうちに、夢中になり過ぎてしまったみたいで・・・・・・」

 

「それは大変じゃったのう・・・・・・。反対側から歩き続けて疲れたじゃろう?荒屋に違いが、ワシの家が近くにある。少し休んでけ。」

 

「!それは・・・・・・ありがたい申し出ですが、よろしいのですか?」

 

「構わんさ。どうせ、ワシと婆さんくらいしか暮らしとらんからな。」

 

 朗らかに笑いながら、うちで休んで行けと言ってくるお爺さんに、もう一度、ありがとうございますと口にして、手にしていた傘のベールを下げる。

 視界に映り込む彼の周りには、私と言う幼子を気にかけている優しさの光のみが揺らいでいた。

 

 

 

 

 

          ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 あれから、お爺さんの案内の元、たどり着いたお家。

 最初、お爺さんが珍妙な小娘を連れていることに、村の人々は驚いていたり、訝しんだりしていたが、ベールを軽く上げて、笑顔で会釈をして行く度に、その眼差しは驚きへと変わって行った。

 もちろん、中には怪しむ人もいたが、無惨様直伝の困り顔と、でっち上げた自身の境遇により同情の方を上回らせることができたため、あっさりと村に入り込むことができた。

 

 無惨様直伝の世渡り術すげぇ・・・・・・と少しだけ遠い目をしたくなりながらも、案内されたお家に足を運べば、そこに暮らしていたお爺さんの奥様であるお婆さんが驚いたような様子を見せた。

 しかし、すぐにお爺さんから私の話を聞き、同情してくれたようで、温かく私を迎え入れてくれた。

 

「申し訳ありません。急に押しかけてしまって・・・・・・」

 

「いいんだよ。確かに、爺さんがお嬢ちゃんを連れて来たことは驚いたけどねぇ。あの山は、獣もかなり彷徨いている場所だったから、疲れ切ってしまう前に、休める場所を用意できてよかったよ。」

 

 和傘をたたみ、お家の中にお邪魔した私は、礼儀としておばあさんさんに謝罪の声をかける。

 申し訳なさを口にする私に対し、お婆さんは穏やかな笑みを浮かべながら、気にしなくていいと口にして、湯呑みにお茶を淹れてくれた。

 

「お茶までいただいてしまって・・・・・・すみません。それを飲んだら、すぐに出ていきます。」

 

「気にしなくていいよ、お嬢ちゃん。それに、もう直外は暗くなるからねぇ。

 畑で採れた野菜や、田んぼで採れたお米もあるから、夕飯もゆっくり食べて、今日は泊まっていきなさい。」

 

「そ、そんな!そこまでしていただくわけには・・・・・・!!」

 

「こればかりは、ワシも婆さんと同じじゃ。この山は、暗くなればなる程、獣達が歩き回るようになる。

 その上、鬼とでとくるようになるんじゃ。人を食らう鬼がな・・・・・・」

 

「!」

 

 お爺さんの言葉に、私は一瞬目を見開く。しかし、すぐに無惨様が口にした、鬼がいない洞窟に向かわせると言う言葉を思い出し、少しだけ無言になる。

 そうだった・・・・・・無惨様は鬼がいない洞窟に移動させるは言っていたが、鬼を配置していないとは言ってない。

 となると、無惨様が私を呼び戻すまで、この家に身を置くしかない・・・・・・のか。

 

「獣はまだしも、人を食らう鬼がいることは知りませんでした。私が暮らしている場所では、そのような話を聞いていなかったので・・・・・・」

 

「そうだったのね・・・・・・。こっちの村では、夜中に鬼が出る話が根付いているのよ。だから、夜は藤の花の香りを焚き、就寝する風習があってね。」

 

 ・・・・・・まさか、ここで藤の花と鬼に関連する話を聞くことになるとは思いもよらなかった、と思わずキョトンとしてしまう。

 しかし、老夫婦が真剣な話をしているのはわかっているため、おとなしく話に耳を傾けた。

 

「鬼は、藤の花が苦手なんですか?」

 

「詳しいことは分からんが、昔から藤の花は鬼を寄せ付けんとされておってな。長らく続いておる話じゃから、ずっと、ここでは藤の花の香を焚いておる。」

 

「そうだったんですね・・・・・・」

 

 彼らの話を聞きながら相槌を打つ。

 だが、内心では知ってる話だし、早くスキップして“青い彼岸花”の話を聞きたいと考えていた。

 

「そう言えば、お嬢ちゃんは花を探しておったの。どんな花を探しておったんじゃ?」

 

 すると、なんとも良いタイミングでこちらが考えていた話をお爺さんが聞いて来た。

 待ってましたと言わんばかりに、私は静かに口を開く。

 

「実は、物珍しい見た目をしているのは動物や私のような人間以外にも、植物に存在している話を聞きまして。

 鮮やかな青が特徴的な彼岸花を探していたんです。ずっと、祖母は寝たきりで、ぼーっとしてることが多いから、空のような“青い彼岸花”を見つけたら、元気になるのではと思って・・・・・・」

 

 すぐに自分が何を探していたのかを老夫婦に伝えれば、二人は顔を見合わせる。

 まぁ、彼岸花は赤い花としか認識されてないし、その反応は仕方ないだろう。

 これは、あまり期待できる返事はいただけないかな?

 

「なるほどねぇ・・・・・・。真っ青な彼岸花があるなんて、初めて聞いたよ。」

 

「確かに、それなら病人に見せたいと思ってしまうのう。」

 

 二人の話を聞いて、やっぱりか・・・・・・と考える。

 この様子だと、この地域に“青い彼岸花”はなさそうだ。

 やっぱり、竈門家がある場所じゃないと見つからないのかな・・・・・・。

 

「そうじゃ。村には腕のいい医者が一人おってな。ワシらはよく、腰の痛みや腕の痛みがある時、そこで薬をもらっておる。

 漢方も扱っておったからなぁ。もしかしたら、植物に詳しいかもしれん。」

 

「それは言えてるわねぇ。今はまだ、香を炊く時間でもないし、すぐ近くに住んでいるから、話を聞いてみるのもありかもしれませんよ?」

 

「本当ですか?そのお医者様が住んでいる場所、教えていただいても?」

 

 そんなことを思っていると、老夫婦が村に医者がいることを教えてくれた。

 漢方なども扱っているため、話を聞いてみる価値があるようだ。

 

 一か八か、そのお医者様に話を聞いてみよう・・・・・・そう思って、老夫婦に話を聞き、お医者様の居場所を教えてもらう。

 老夫婦は快くお医者様の居場所を教えてくれたため、暗くなるまでに一度向かってみることにした。

 

 ・・・・・・まぁ、結局のところ、空回りで終わってしまったのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

           ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 ・・・・・・老夫婦に教えられ、情報収集も行ってみたが、結局初日は何一つとして進展することはなく、やっぱり、“青い彼岸花”ってレア中のレアなんだなと痛感する。

 一応、神社の神主さんにも話を聞いてみたが、そのような花は見たことがないと言われてしまったため、すぐに見つからないことに落胆してしまった。

 

 そんなこんなで夜。藤の花の香りが村中に広がる中、私はこっそりと老夫婦のお家から外に出る。

 そこには、すでに無惨様が立っており、端正なお顔に渋い表情を浮かべていた。

 

「・・・・・・無惨様でも藤の花の香りは駄目なんですね?」

 

「こればかりはな。他の鬼共のように、私が簡単に藤の花の毒でやられたりはせぬが、やはり不快感は拭えぬ。」

 

 どうやら、無惨様にとっても、藤の花はあまり良い気分がする物ではないらしい。

 

「それで?何かしら情報は集まったのか?」

 

「長く生き続けている方々に話を聞いてみたところ、ここら辺の地域では“青い彼岸花”は咲かないことがわかりました。

 私自身、山の中を歩き回りましたが、まばらに咲いている彼岸花の中には青は混じっておらず、見つかりませんでしたね。」

 

「そうか。やはり、簡単に見つかる物ではないようだな。次は彼岸花が多く密集して咲く地域を探すとしよう。」

 

「そうですね。土壌の状態や、環境なども地域によってかなり違いますし、しらみ潰しに探すしかなさそうです。」

 

 今回の収穫はなかったことを無惨様に話せば、彼はわたしの手を引き、この場から立ち去ろうとする。

 ここではない場所で、鳴女さんの力を利用するつもりなのだろう。

 

「あ・・・・・・ここのご夫婦に挨拶してない・・・・・・」

 

 そんなことを思いながら、ふと、私は老夫婦に何も言ってないことを口にする。

 すると、無惨様は自身の洋服のポケットから何かを取り出した。

 

「これに文字でも書いて置いておけ。」

 

「わかりました。えーっと・・・・・・“夕飯や寝床を用意してくださりありがとうございました。ゆっくり休めたので、私は帰ります”・・・と。」

 

「ん?夕餉はもう食っていたか。」

 

「あ、はい。ここのご夫婦が、村の中で採れたお野菜や、お米を用意してくださったんです。

 きっと、お二人が食べるはずだったであろうお魚まで頂いてしまって・・・・・・」

 

「そうか・・・・・・。」

 

 私の話を聞き、無惨様は少しだけ考え込むような様子を見せる。

 そして、すぐにお金が入っている袋を手に取り、そこから結構な金額を取り出して私に手渡して来た。

 

「紙と一緒にこれを置いてやれ。お前のことだ。世話になった分、何かしら感謝をせんと気が済まぬだろう?」

 

「ありゃ・・・・・・お見通しでしたか。」

 

「フン・・・・・・お前の言動を見ていれば、自ずとわかってくる。所詮は端金だが、そこの老人共にはかなりの金額になる。」

 

 手渡されたお金を受け取り、少しだけ老夫婦の家の中を物色する。

 あまりやって良いことではないけど、何かに入れることなくお金を置くことには抵抗があったため、仕方ないと考える。

 

「うん。これで良いかな。」

 

 見つけた空の巾着袋の中にお金を入れ、先程文字を書いていた紙に、これは、お世話になった分のお礼ですと言う文字を追加で書き記し、巾着袋を文鎮代わりにして置いておく。

 すると、すぐに無惨様に手を掴まれ、そのまま家の外に連れ出された。

 

 今回はハズレだったし、これからも何回もハズレに見舞われるだろうけど、諦めないで探し回ろう。

 お世話になっているだけの恩返しを、無惨様にするために。

 

 

 




 うさぎ
 青い彼岸花探索を本格的に行う稀血の白ウサギ。
 自分の性格を無惨様に把握されているため、お世話になった老夫婦のもとに、お世話になったからとお金を支払い、無惨様と共に無限城へと帰還した。

 鬼舞辻無惨
 うさぎと一緒に過ごしていることにより、彼女の律儀な性格をしっかり把握している鬼の始祖。
 うさぎと言う特異な子供を引き取った商人と言う立場を得てから、彼女を一目見ようとやってくる取引先や、鰻登りとなっている自身の信頼のおかげでお金がこれまでこれまで以上にお金を稼いでおり、その立場を確立したうさぎに度々お金を使うことが増えている。
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