その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する 作:時長凜祢@二次創作主力垢
こちらの物語は予め流れを決めた上で執筆しております。
過度な考察などをするための物語ではなく、私が読みたいと思った話を少しずつまとめて書いているものですので、展開の考察、もしくは考察サイトや動画などで語られた非公式考察等の引用などは控えていただけると助かります。
あくまでこれは、一人の女の子が鬼側や人にこんな影響をもたらしてくれたらと言う思いのままに書いている二次創作でありIFの物語です。
考察をしてもらうための話ではなく、鬼側にも穏やかな日々があったらと言う願いを主軸にしているため、深く考えることなく閲覧してください。
なお、そのようなコメントは見つけ次第、非表示欄に移動していますが、あまりにも何度も書かれるようであれば、こちらの物語自体閲覧不可にすることも辞さないため、よろしくお願いします。
今日も今日とて雨模様。またか・・・・・・と軽い苛立ちを見せ、屋敷の外を睨め付ける無惨様を宥めながらも、無限城に戻ったはずの私だが、現在困ったことなっていた。
「一先ずの謁見はこれで終わりかな?」
「はい。午前中のお勤め、お疲れ様でございます、教祖様。」
「良い良い。みんなをまとめて導くと決めたのだからね。」
「ありがとうございます。では、私めはこれで。」
「はーい。」
なぜなら今日、私がいるのは万世極楽教の寺院・・・・・・さらに言うと、そこでお仕事をしていた童磨の膝の上に座って過ごしている状態なのである。
どうしてこうなった?と思われるだろう。私が一番それを聞きたい。
「・・・・・・なぜ私はここに連れてこられたのでしょう?」
「城の中で随分と退屈そうにしていたからね。あの方からも許可をもらったし、とりあえず連れて帰っちゃった。」
万世極楽教の信者さんがいなくなったのを確認した私は、いつもの調子で言葉を紡ぐ。
すると、童磨はすぐに私の疑問に対しての答えを出しては、貼り付けたような笑みからいつもの感情の機微を感じ取りにくい表情に戻し、そのまま言葉を紡いだ。
・・・・・・無惨様から許可もらったからってお持ち帰りしないでいただきたい・・・・・・。
「許可をもらったからって連れて帰らないでください。しかも、何で私は教祖様のお膝の上に抱っこされてるんですか。」
「うさぎちゃんが温かいからかな?」
「私は温石か何かですか。教祖様は寒さとか感じないでしょうに。」
「まぁ、確かに、寒くはないけど、あの方や彼がよく君を抱えてるし、俺もちょっと抱えてみたかったんだよね。」
「・・・・・・教祖様、好奇心なんてありましたっけ?」
“今まではなかったかなぁ”・・・・・・なんて呟きながらも、お膝の上に座ってる私に視線を向ける童磨。
相変わらず感情の起伏はかなり少ないけど、わずかながらに緑とオレンジが混ざった光がゆらゆらと揺れている。
「にしても、話を聞いていて思いましたが、本当にここにいる方々は、何というか、じめっとした温かさが多い方々ですね。
温かさはあるけど、全体的に暗い感情ばかりを持ち合わせていると言いますか・・・・・・。」
「あはは。やっぱりうさぎちゃんもそんな風に思ってるんだ。みんな、暗い感情ばかりだったかい?」
「ええ。穏やかに笑っているようで、基本的に悲しみや苦しみを抱えてばかり。
む・・・・・・コホンッ・・・・・・彼らや彼女は、明確に穏やかな優しさや、温かい感情を多く感じ取れるけど、ここにいる人達は、穏やかさはあれど、悲しみや苦しみから抜け出すことができていませんね。」
一瞬だけ、無惨様の名前を口にしかけたところ、目の前で童磨が人差し指を一本立てて、自身の口元に寄せた。
それは、内緒のポーズであり、人間が沢山いる中で、無惨様の名前を呼んだらいけないことを思い出しては、すぐに言い直す。
私が言い直したことを確認した童磨は、“よく我慢できたね”と優しく私の頭を撫でてきた。
「ちなみに、俺の感情はどうだった?」
「うーん・・・・・・」
「うん、その反応でどうだったかよくわかったよ・・・・・・」
説明が難しいと言うように小さく唸り声を漏らせば、童磨は苦笑いをこぼした。
“やっぱり駄目だったかぁ”・・・・・・なんて呑気に言ってはいるけど、残念に思っている様子はない。
これが彼のデフォルトだから、仕方ないのかもしれないけど。
「・・・・・・うさぎちゃんはさ。極楽とか神様は存在していると思う?」
なんてことを考えていると、童磨は、一つの疑問を口にした。
それは、彼が信じていない二つの見えないものの話だった。
私は少しだけ考える。極楽や神様は存在していると思うか・・・・・・私自身が思っていること・・・・・・
「さぁ?どうなんでしょうね。捨てる神あれば拾う神あり、なんて言葉が世の中にありますけど、そもそも神様なんてものは見たことありませんし、信じるか信じないかと言われたら、見てないからわからないとしか。
世の中には、神様は人間を救ったりはしない。ただただ見守るだけであり、干渉もしないと言う人もいれば、神様は人間が作り出した偶像に過ぎないとも語られていたりもしますからね。考えるだけ無駄であると思っています。
あるかないかわからないことを考えるくらいならば、別のことを考えたいタチですしね。」
素直に思ったことを口にすれば、童磨は小さく口元に笑みを浮かべる。
そして、静かに口を開いた。
「そっか。うさぎちゃんは見てないものは信じないんだね。俺はさ。神様も極楽も地獄もないと思ってるよ。
君の言ってる通り、見たことないのにいるだ何だと言われても、偶像としか思えない。
だけど、ここにいる子達は、基本的にそれを信じて足を運んでる。俺は彼らが可哀想で仕方ないよ。
頭が悪いから、そんな偶像に縋って信じるしかないのだから。」
“だから、俺が救ってあげないといけないんだ”・・・・・・そう口にする童磨は相変わらず無機質で、私は少しだけ無言になる。
彼が言う救済は、彼が食らうことにより永遠とすると言う考えのもの。ただ、時には死が救済となってしまうのも事実で、彼の救済を否定することはできなかった。
もちろん、悪いことではある。だけど、あくまで彼は善意のままこうした方がいいと考えて動いているため、それが間違いであると否定することは、童磨と言う存在のこれまでの全てを否定することを意味することだから、違うと言って、ただしてやろうなんて気持ちは抱けない。
「頭が悪いか否かを口にするつもりはありませんが、不定形なものを信じなくては過ごせない人は沢山いますからね。それを否定する気にはなりません。
きっと、信じる人、信じない人、どちらも正しくてどちらも違うと言うのが答えなのでしょう。
まぁ、私は今のところ、不定形なものに縋りたくなる程の絶望を感じたことはありませんが。」
「相変わらずうさぎちゃんってさっぱりしてるよねぇ。嫌いじゃないぜ、そう言う子。」
「はぁ、そうですか。まぁ、どうでもいいですが。」
「う〜ん・・・・・・そこら辺のしょっぱさも相変わらずだなぁ・・・・・・」
“好かれたら嬉しいものじゃないの?”と、苦笑いをされながら問われる中、私は童磨の膝の上から降りようと動く。
しかし、彼の手は相変わらず私の腰付近をガッツリと抱え込んでおり、降りることはできなかった。
「・・・・・・足痛くなりますよ?」
「大丈夫だよ。俺は人間程やわじゃないからね。」
いや、離せよ・・・・・・と呆れの表情を浮かべてしまったが、童磨は気にしていないのか、膝の上に座る私を抱え直した。
そんな中、襖を数回叩くような音が聞こえてくる。童磨が入室の許可を出せば、複数の若い信者が部屋の中へと入ってきた。
「やぁやぁ、信者君達。もしかして、そろそろ時間かな?」
「はい。本日の天候は雨ですが、教祖様が仰られた霊草の探索と、人に害を及ぼす害獣や、人間がいないか見回りに行って参ります。」
「うん。頼んだよ。特に、彼岸花によく似た青い霊草探しは入念にしておいてね。」
「「「「承知しました。」」」」
「では、我々はこれで。行って参ります。」
「うん、行ってらっしゃい。」
彼の部屋に足を運んだ信者達は、童磨としばらくの間会話をこなし、彼に見送らせる形で部屋を出ていった。
襖を静かに閉められ、童磨と一緒に部屋に残された私は、何度か瞬きを繰り返したのち、童磨の方へと視線を向けた。
「例の彼岸花探し、霊草探しと人に害をもたらす存在がいないかの見回りと称してお願いしているんですね。」
「そうだよ。とてもわかりやすい内容だと思わない?」
「そうですね。確かに、違和感はあまりありませんでした。まぁ、なんのための霊草?と思わなくもないですが。」
「そこら辺はいくらでも提示できるよ。儀式のためとか、修行のためとか、それを見つければ極楽に行けるとか口にしちゃえばいいだけだからね。
時には嘘八百も役に立つものだよ。ほら、よく言うだろう?嘘も方便だとね。
ここにいる子達は、俺が口にすることを全て信じる。だからこそ、動かしやすくもあるのだよ。」
そりゃ、絶望の淵に叩き落とされた人間がこぞってやってくるからだよ・・・・・・と少しだけ遠い目をしてしまう。
人は誰しも、精神がコテンパンにやられてしまったら、向けられた優しさに縋りたくなるもの。
そこに付け入るからこそ、新たな宗教なるものは生まれ、次第に肥大化してしまう。
悪徳宗教の手口と同じだ。最底辺にまで精神がボロボロに崩されてしまっていたり、沈み込んでいたりすると、差し伸べられた光に手を伸ばし、救いを求めてしまうようになる・・・・・・。
「まるで、蜘蛛の糸のようですね。苦しみと絶望に苛まれる中、一筋の光を見つけた瞬間、それに手を伸ばして登ろうとする。
例え、それがただの罠であり、自身が蜘蛛の餌となるだけであっても、底の底から抜け出したくて、なんとか登り切ろうとして、結果的に蜘蛛の巣に磔にされ、がんじがらめに動けなくなるのですから。」
「だから、みんなは可哀想な子達なんだよ。ね?誰かが助けてあげないといけないだろう?」
「まぁ・・・・・・あなたの思うようにすればよろしいかと。こればかりは、私でもどうにもできないので。」
童磨から、同意を求めるような言葉をかけられようとも、私はそれを否定することも、肯定することもしない。
ただ、こんな世界を幼い頃から見せられ続けている童磨は、本当に気の毒な人だと言う感想だけを思い浮かべた。
「・・・・・・うさぎちゃん?」
私は、無意識のうちに童磨が頭に乗せていた帽子をそっと外し、露わになった白橡の髪をゆるゆると撫でていた。
無惨様が時折見せている、ビビビッと電撃が走ったかのような黄色の光がその場で揺らぎ、困惑を意味する灰色のモヤモヤな光が彼を包み込むようにふわふわとその姿を現した。
「いつもお疲れ様です、童磨。私自身はあなたが掲げる救済に関して、なんと答えたらいいかはわかりませんが、こんなにも閉鎖的な世界で、あなたが頑張っていたことはわかりました。
まぁ、たまには息抜きに夜の散歩に出かけてみたりして、気分転換を行うことも必要ですから、時折自身の精神を労いながら過ごしてくださいね。」
「・・・・・・うん。ありがとう、うさぎちゃん。」
緩やかに童磨の頭を撫でながら、彼に労いの言葉をかけていると、虹色の光を宿す瞳が、丸々とその場で開かれる。
しかし、すぐに童磨は穏やかな笑みを浮かべて、彼の頭を撫でる私の手に、自ら擦り寄る様子を見せた。
「なんだろうね、この温かさ。ふわふわするような、どこか心地の良い温もりに包まれるような、不思議な感覚を覚えるよ。こんな感覚は初めてだ。どうしたんだろうね、俺。」
静かに紡がれた言葉に、私は少しだけ無言になる。
そして、静かに口を開いた。
「そうですね・・・・・・嬉しいのではないかと。まぁ、あなたにとって何が嬉しかったのかは、私にもわかりませんけど。」
ふわふわと心地の良い温かさに包まれているようだと口にした童磨に、嬉しいのではと返せば、童磨はキョトンとしたような表情を見せた後、小さく笑った。
その笑みは、これまで私が見てきた彼の表情の中で、一番穏やかで自然な、どこか少しだけ子供っぽい笑顔だった。
「そっかぁ。これが嬉しいって気持ちなんだ。嬉しいって温かいんだね。」
初めて気持ちを知ることができた童磨に、小さく微笑み返しながら、しばらくの間、彼の頭を優しく撫で続ける。
そして、ある程度時間が経った頃に、彼の頭から外していた帽子をそっと手に取り、その頭にポスっと乗せ直した。
「・・・・・・あれ、もうおしまい?」
「そうなりますね。今日のお仕事、まだ完全に終わっていないですし。」
「え〜・・・・・・?もう少し撫でてほしかったな・・・・・・」
「お仕事を終わらせた後なら良いですよ。」
「そう?じゃあ、もう少し頑張るよ・・・・・・」
明らかに落胆した様子の童磨に、苦笑いをこぼしたくなりながらも、私は姿勢を正す。
さて、次はどんな人がやってくるのやら・・・・・・。
「・・・・・・ところで、なんで誰も教祖様の膝の上に幼子が乗ってることにツッコまないんです?」
「ああ、それ?みんな俺が神様の声が聞こえるって信じきってるから、思い切ってうさぎちゃんは神様の使いなんだよ〜って言っちゃった。」
「それを信じちゃったんですか?信者の方々は・・・・・・」
「信じちゃったねぇ・・・・・・」
「ええ・・・・・・?」
「だから言っただろう?可哀想な子達が多く集まってるんだよ、ここにはね。まぁ、うさぎちゃんっていつも一緒にいるわけじゃないから、それくらいがちょうど良いと思うな。」
童磨の言葉に困惑しながら、彼が口にした可哀想な人達と言う言葉に少しだけ同意してしまう。
突如現れた怪しい幼女を神の使いと認識するんじゃない。
うさぎ
原作を見て知っていたけど、実際に現場に身を置いてみれば、これまで以上に童磨を気の毒な人だと認識をしてしまい、労いの言葉をかけていた稀血のうさぎ。
万世極楽教にいる間は、他の信者達のように童磨を教祖様と呼んでいるが、人がいなければ童磨と呼んでいる。
誰も教祖様の膝上幼女に言及しないと思ったら、あらぬ認識を広められていた。
道理でなんか怪訝じゃなくて慕われるような目を向けられたわけだよ!!
童磨
無惨様から許可を得たので、寺院に連れ帰っていつもの仕事をこなしていたら、うさぎから労われて嬉しいを知った上弦の弐。
ついでに寂しいもの知ることになったのだが、そっちにはまだ気づいていない。
うさぎが無惨様の名前を口にしそうになったから、注意するように内緒のポーズをして、言葉を訂正させた。
うさぎは神様の使いと口八丁に伝えたので、彼女が怪しまれることは無くなった。
これで、いつでも遊びに来れるよ、うさぎちゃん。