その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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稀血うさぎの無限城生活
稀血のうさぎは鬼を知る


 無惨様に買い取られ、無限城へとお持ち帰りされた私は、真っ先に無惨様がら知能テストを行われてしまった。

 内容は、どれくらいの勉学ができているかを調べるもので、文字の読み書きや、そろばんを使った計算と言った簡単なものだった。

 

 クソ親父の様子から、寺子屋には行ったことがないと思っていたらしい無惨様は、最初に軽くやり方だけを教えてくれたが、すぐに自分で解くパートになってしまった。

 まぁ、抵抗するだけ無駄だとは思ってるし、とりあえず、言われた通りのことをやってみる。

 

 読み書きに関しては、すぐにマスターすることができた。

 と言うものの、基本的にやることは前世の学校とほとんど変わらなかったのだ。

 そろばんだけちょっと難しかったけど、ある程度やり方を把握すれば、解けないまでもないため、簡単な基本的な計算式から、少し複雑な応用まで、すべてこなすことができた。

 

 そうそう。一応、読み書きに関しては、「言海」と呼ばれる辞典のようなものを併用することでなんとかなった。

 ・・・・・・辞典が「言海」と呼ばれるものだと言うことは、現在の時代は明治時代の可能性が出てきたな。

 日本で本格的な辞典が作られた時代だったはずだから。

 

 辞典の概念に関しては、平安時代からあったが、確か、明治時代の辞書である「言海」は、かなりの数の言葉と意味が記されていたんじゃなかったかな?

 何にせよ、読めない文字を調べることに関しては苦ではなかった。

 

「・・・・・・これ程までとはな。」

 

 そんなことを思いながら、今回出された出題をこなしていけば、無惨様が困惑を露わにする。

 視線を静かに彼に向けてみれば、そこには軽くポカンとした表情をしている無惨様がいて、灰色の不規則な揺らぎの光をまとっていた。

 

「寺子屋にでも行っていたのか?」

 

「いいえ。そのような場所に通っていた記憶はございません。無惨様が簡易的にやり方を教えてくださったおかげです。」

 

「ふむ・・・・・・どうやら、地頭はいいようだな・・・・・・。それならば、その言語の使い方も頷ける。

 親周りの状況を観察していたか、近隣の村などで学んだかのどちらかか。」

 

 私の頭脳に関して考え込む無惨様。

 その姿を少しだけ見つめた私は、その場で軽く思案に耽る。

 

「・・・・・・一応、近隣の村へ、買い物に行ったことはあります。見た目が見た目なので、気味悪がられると思っていたのですが、その村では白蛇の信仰等がありましたから、白い毛並みと赤い瞳で、白蛇様の遣いだと思われていたことがありましたね。」

 

「ほう?ならば、そこで言葉の使い方を学んできたか。どうやら、頭脳面で優れているところがあるようだな、うさぎ。」

 

 クソ親父と出会したことにより、少しだけ戻ったこの世界の私の記憶から、自分自身がどのような状況下で過ごしていたのかを無惨様に伝えれば、人との接触により言動を学んだのだと考えた無惨様からお褒めの言葉を与かる。

 まぁ、正直言って目上の人に対する言動に関しては、前世のOL時代で学んだものではあるけど、前世など頭がおかしいことなんて言えるはずもないので、その通りであると肯定するように頷いた。

 

「知能が高く、なおかつ従順・・・・・・お前ならば、私に忠実で誰よりも役に立つ鬼になりそうだ。」

 

「鬼・・・・・・ですか・・・・・・?そう言えば、お会いした際、人間ではない。人間だった時もあるが今は違うとおっしゃっていましたね。」

 

「そうだ。よく覚えていたな。お前にはこれから先、私の目的のために一役買ってもらうとしよう。」

 

 そう言って、無惨様は私に自分や鳴女さんがどんな存在であるかを教えてくれた。

 自身が鬼であること。鬼は人を喰らい生きていること。人を食らうことにより力をつけること。

 そして、私のように、血液に特異性がある稀血の人間は、最も栄養価が高く、食らうだけで何十人、何百人と言った人間を食らった時と同義の力を身につける事ができることを。

 

「なるほど。だから、無惨様は私を稀血と呼んだんですね。その上で、私は見ての通り白子と言う別の特異性を持ち合わせていた。

 それが、私があなたの興味を引いてしまった原因である・・・・・・と、認識していればよろしいでしょうか?」

 

「その通りだ。やはりお前は頭がいいな、うさぎ。」

 

 説明の手間が軽度で楽だと告げてくる無惨様。

 まぁ、世の中には理解力に乏しい人もいたりするわけだし、鬼の中にもそんな連中がいたのだろう。

 原作では、向上心があり、強さを貪欲に求める者や、過去に辛い事が重なり、性格が捻くれてしまった者、便利な血鬼術を持ち合わせている者を気にいる傾向があるとされていたが、物語の中で描かれていた部分がそれであっただけで、実際は他にも不快にならない基準があって、不快感の無い者はある程度許容するのかもしれない。

 

 まぁ、この仮説が本当であるならば、彼の機嫌を損なわないようにしながら、立ち回ることさえできれば、多少なりとも過ごしやすいかもしれないな・・・・・・。

 

 そんなことを思いながら、私は目の前にいる鬼の始祖へと視線を戻す。

 光の揺らぎは相変わらず穏やかで、色は黄色。思っていた以上に頭がいい人間だったことに対する困惑はわずかながらにあるのか、不規則な灰色も混ざっているが、感情としては穏やかで落ち着いている状態と言えるだろう。

 

「鬼に関して、教えてくださりありがとうございます。ところで、御教示ついでに一つだけ教えていただきたいのですが、構いませんか?」

 

 それならばと、私は無惨様に質問したいことがあることを伝え、その質問をしても構わないかと可否を問う。

 本当は、すぐにでも質問してしまいたいところではあるが、この人の性格上、許可を取らなくてはすぐにデッドエンド直行の可能性の方が高いため、上手く立ち回るためにも、許可はもらったほうがいい。

 

「何だ?言ってみろ。」

 

「私が稀血で、鬼に対してかなりの恩恵をもたらす存在であることはよくわかりましたが、やはり、稀血とはそれだけの恩恵をもたらすだけあって、文字の如くかなり希少な存在なんですか?」

 

 これは、私の稀血が、ただの稀血なのか、それとも、風柱こと不死川実弥と同様の特異性のある稀血であるのかを確認する質問だった。

 本来ならば、稀血はすぐに鬼が自らの糧にするべく食らう可能性の方が高く、無惨様も例外にもれないはず・・・・・・。

 白子と言う特異性があるからこそ、食らうのは後回しにして、まずは研究と考えられた可能性ももちろんあるが、何らかの効能がある血であれば、使えないかと思ってしまったのである。

 

「そうだな・・・・・・私がいる場所の近くにうさぎの部屋を用意させたため、特に気にする必要はないが、この部屋から出られないようにするには、念のため知識を入れておいた方がいいか・・・・・・」

 

 私の問いかけに、無惨様は静かに考え込むような様子を見せた後、稀血に関して教えてくれた。

 稀血を持つ人間は、私が考えている通り、かなり希少性のある存在であること。

 中には、その稀血の中でさらに特異な稀血も存在していることがあり、独特な匂いを発していることがあることを教えてくれた。

 

「中には酩酊する稀血を持ち合わせているものもいる。お前の場合は、稀血の中でもかなり特異な稀血である可能性が高いとも言えるな。」

 

「え?私が・・・・・・特異な稀血・・・・・・?稀血の白子と言うだけでなく・・・・・・?」

 

 通常の稀血ではなく、さらに特別な稀血だったらと試しに口にした問いかけだったが、本当にその可能性があると言う返答をもらうとは思わず、無意識のうちに確認するための言葉を紡ぐ。

 

「そうだ。先程からお前を見ても食らおうと言う気にはならない。本来ならば、稀血は鬼からすれば馳走であるはずなのだが、その感覚がない。」

 

 そう言って無惨様は私に近寄り、そのまま体を抱き上げてくる。

 性格が大問題過ぎるが、美丈夫様であることには変わらないので、至近距離の整った顔立ちには、正直困惑しか出てこないんだけどな。

 

「おそらくだが、この匂いのせいであろうな。花・・・・・・強いて言うならば、金木犀か。

 その匂いを感じるたびにこちら側の本来の特性、人間を食らう食人衝動が発生しないのだ。

 正確な効能は調べてみなくてはわからんが、お前の稀血は稀有なものであることは間違いないだろう。

 本来、通常の稀血であれば、このような特徴的な匂いを発してはいないからな。」

 

 離れてくれないかなこの人・・・・・・と思っていると、無惨様は、私の血は稀血の中でもかなり稀有なものである可能性が高いと教えてくれた。

 彼自身も、私の体質にはかなり疑問を抱いているのか、薄い蒼色の霧のような光をまとっている様子がある。

 

「無惨様も不思議そうにしていますね・・・・・・?」

 

「当然だろう。お前のような珍妙な人間はこれまで見たこともないのだからな。何なんだお前は。」

 

「私自身もよくわかりません。」

 

 脳が複数ある無惨様でもわからないのであれば、私自身もわかるはずないじゃないですか・・・・・・と内心で思いながらも、いつまで抱っこされていればいいんだろうかと別のことを考える。

 すると、無惨様はようやく私を床・・・・・・と言うか、畳の上に下ろしてくれた。

 相変わらず不思議そうにしている様子ではあるが、それは後々調べて把握するつもりなのか、すでに頭を切り替えつつあるらしい。

 

「まぁ良い。お前の稀血のことを詳しく調べたのち、こちらの手駒として動いてもらうとしよう。」

 

「そう言えば、忠実な鬼になりそうだとおっしゃっていましたね。」

 

「ああ。だが、それは今はまだ必要ない。特異な体質に特異な稀血・・・・・・この両方を持ち合わせている人間など滅多にいないのでな。しばらくの間は人間のままでいさせてやろう。」

 

 どっちみち鬼化ルートは回避することできないんですがそれは・・・・・・と遠い目をしたくなりながらも、一先ずは「ありがとうございます」とだけ返しておく。

 人間のままでいさせてくれることに対する物ではあるが、余計な言葉を組み合わせることはせず、ただ、感謝の言葉を告げるだけなら、どのような意味合いでも捉えることができるために。

 鬼と言う存在にされていない今は、まだまだ内心で色々と考えることも沢山あるし、この状況なら、思案をしても許される。

 

「食事に関しては私が用意しておいてやろう。一部の鬼には、お前に手をつけないように命じておく。

 精々私のために長く役に立つことだ。もはや、お前が生きる道はそれしかないのだから。」

 

 ・・・・・・相変わらず上から目線でちょっと鬱陶しいな・・・・・・と、内心で文句を言いながらも、表向きでは承諾の言葉を紡ぎ、励むことを口にする。

 さて、難易度ぶっ壊れの世界と状況での生活は、どこまで上手く行けるかな?

 

 

 




 うさぎ
 前世の影響もあり、地頭がかなりいい上、飲み込みが早いアルビノ少女。
 酷過ぎる難易度の世界と環境に頭を抱えたくなっているが、一先ず無惨の機嫌を損なうことなく過ごすことを目標に、無限城での生活を始める。

 鬼舞辻無惨
 やけに落ち着きがあり、言葉遣いも丁寧で従順なうさぎを見て、試しに知能を確かめてみたところ、寺子屋に通っていたのではと思う程の頭脳持ちだったことに驚きと困惑を抱いた鬼の始祖。
 しかし、彼女の頭の良さや、従順さは評価しており、稀血の効能を調べ終えたら鬼へと変えるつもりでいる。
 うさぎは人間のため、心を読むことはできないが、不快感は感じないため、対応はかなり優しい。
 ・・・・・・が、もちろん、逃すつもりはないため監視をする。
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