その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 こちらの物語は予め流れを決めた上で執筆しております。
 過度な考察などをするための物語ではなく、私が読みたいと思った話を少しずつまとめて書いているものですので、展開の考察、もしくは考察サイトや動画などで語られた非公式考察等の引用などは控えていただけると助かります。
 あくまでこれは、こんな存在がいたら、鬼側や人にこんな影響をもたらしてくれるのではと言う思いのままに書いている二次創作でありIFの物語です。
 考察をしてもらうための話ではなく、鬼側にも穏やかな日々があったらと言う願いを主軸にしているため、深く考えることなく閲覧してください。

 なお、そのようなコメントは見つけ次第、非表示欄に移動していますが、あまりにも何度も書かれるようであれば、こちらの物語自体閲覧不可にすることも辞さないため、よろしくお願いします。



仔蜘蛛は白うさぎと話したい

 

【side RUI.】

 

 

 無惨様が引き取ったと言う人間の娘。

 無惨様の義理の娘として、あらゆる知識を学び、同時に、いずれは無惨様のお役に立てるようにと、積極的に行動を取っているうさぎと言う女児は、いつも誰かと一緒にいる。

 

「あ、累。こんにちは。」

 

「うん。一人でいるなんて珍しいね。」

 

 無惨様が主人を務める無限城の中。

 普段ならば、ここには上弦の鬼と共に、あの人間の娘が一緒に過ごしている。

 だけど、今日は珍しいことに、彼女は一人で過ごしていた。とは言え、この城の中で、彼女は常に、無惨様の側によくいる琵琶弾きの女鬼の目があるため、一人で過ごしていると言うには、少しだけ違うような気がする。

 まぁ、あの女鬼と話したりしてる様子はないし、一人で過ごしていると言うのも間違いではないような気もするけど。

 

「上弦のみんながいつも一緒にいるわけじゃないからね。もちろん、私が一人で過ごしてることもあるよ。」

 

「ふぅん?僕の記憶だと、いつも上弦の陸か参、弐か壱がいるような気がするけど。」

 

「確かにねぇ・・・・・・。堕姫も、妓夫太郎も、猗窩座も、童磨も、黒死牟も、かなりの頻度で城にいるね。

 私のお世話をするためだったり、ただただ構いたいだけだったり、さまざまな理由で側にいてくれる。」

 

 へにゃんと、警戒心など一切ないような崩れたような笑顔を見せながら、言葉を紡ぐうさぎと言う人間に、僕は思わず脱力する。

 ここは鬼の根城だ。珍しい容姿と、珍しい血を持ち合わせていたからこそ生かされているだけで、いつ殺されてもおかしくないような状況であるにも関わらず、この人間は、警戒心など抱くことなく、無限城の中で過ごしている。

 変わっていると同時に、頭は大丈夫なのかと問いたくなる。だけど、このうさぎと言う人間は、きっと大丈夫としか言わないのだろう。

 

 ・・・・・・実年齢からして、自分より幼いのは当たり前。だけど、これまで会ったことがある存在の中で、最も幼いと言っても過言ではない人間の娘。

 無惨様を父と慕い、上弦の鬼すらも兄や姉として慕っている娘。

 

 家族の定義は人それぞれ。だからこそ自分の意見は個人的なものであり、決して正しい答えと言うわけではないけれど、自分にとっての家族の定義は、心地良さと安心感を感じることができる温もりがあることだと言っていた。

 僕にはそれがわからない。人間だった頃の記憶はないし、今もどこか、ぽっかりと穴が空いているような、そんな感覚が続いている。

 

「・・・・・・無防備にも程があるんじゃない?いつ殺されてもおかしくないのに。」

 

「そうだねぇ・・・・・・まぁ、累の指摘は間違いないよ。でも、私は無惨様の義理の娘だし、何より、無惨様がいずれは私を鬼にするとまで言ってるくらいだから、無惨様に殺されるかもって考えはあまりないかな?

 それにほら、何もしらない鬼が私を殺そうなんてしたら、間違いなく堕姫達がすっ飛んでくるし。人間の私に、こんなに優しくしてくれるとは思いもよらなかったけど、彼らや彼女達に関しても、確信することはできるんだよねぇ。」

 

 “嫌いな鬼がいたら、アタシとお兄ちゃんで潰してあげるわって言われたしね〜”・・・・・・なんて、へらへらと笑いながら言葉を紡ぐうさぎ。

 そんな彼女を見て、僕は羨ましいと思った。

 

 僕の家族は、僕を守ってくれない。僕が強いから守れない。

 対するうさぎは守られる。誰よりも弱くて、誰よりも脆くて、誰よりも柔らかくですぐに壊れてしまうから。

 僕もそんな家族が欲しかった。守ってくれる家族が欲しかった。守ってくれる家族がいるうさぎが、ただただ羨ましかった。

 

「いいな。僕は誰も守ってくれないから、うさぎがただただ羨ましいよ。」

 

「ん?累は誰かに守られたいの?」

 

「だって、家族ってそう言うものだろう?子供が危険に晒された時、命を賭して守ってくれる。」

 

「ん〜・・・・・・守ってくれない家族もいるからなぁ・・・・・・。」

 

 その思いをぶつけるように口にした言葉。だけど、うさぎから帰ってきたのは、僕が思ってもいなかった答えだった。

 

「守ってくれない・・・・・・家族もいる・・・・・・?」

 

 そんなもの、いるはずがないと否定する。

 だって家族は、我が子を守る者のはずなのに・・・・・・。

 

「私の父親がそうだった。母親がいた頃は、確かに親をしていたけど、母親が死んだ瞬間、その目は一気に変わってしまった。

 容姿が物珍しいから育ててやっているんだ。美しい顔立ちをしているから育ててやってるんだ。そんな親だった。

 まぁ、育ててやってるんだから、いずれは体で金を稼いで来い。育ててやった恩を返せって感じだったんだよね、雰囲気からしてさ。

 そんな父親が気持ち悪くて、私は家を飛び出した。そこにやってきたのが無惨様で、彼は私の容姿の珍しさと、稀血と言う特徴から興味を持って、実親から私を買い取ったんだよ。」

 

 淡々と、だけど、全く嘘をついていない紅色の瞳で自身の実親のことを話すうさぎ。

 その言葉に、僕は固まってしまった。何だよそれと、衝撃を受けた。

 

 我が子を金を稼ぐための道具としてしか見ていない親・・・・・・そんなものがいるなんて・・・・・・。

 

「嘘だと思うだろうけど、これが事実。今頃、無惨様からもらった大金を使って、賭博や酒、女遊びでもしてるんじゃないかな?

 何も考えずにアホみたいにお金使って、またやさぐれているかもね。もはや野垂れ死をしてるかも?

 まぁ、私からしたらどうでもいいし、野垂れ死してるのならば、ザマァ見ろって感じだけどさ。」

 

 吐き捨てるように、苛立ちを隠すことなく紡がれた言葉に、頭を強く殴られたかのような感覚を覚える。

 家族は・・・・・・我が子を守る存在じゃないの・・・・・・?

 

「世の中にはいろんな親がいる。累が言ってるように、我が子を大切にする親がほとんどだろうけど、我が子に暴力を振るう親も、我が子を売り飛ばそうとする親も、我が子に劣情を抱いて暴行を加える親もいる。

 みんながみんな、愛されてるわけじゃないんだよ。まともな親元に生まれることができない子供もいるんだ。累が言う家族像は、全然間違いじゃないんだけどね。」

 

 どこか、幼さが消えたような、そんな表情をするうさぎに、思わず僕は無言になる。

 彼女はたまに、どこか幼子の割には達観しているような雰囲気を見せることがある。

 まるで、一度、大人だった存在が、子供になってしまったかのような、そんな雰囲気を纏うことがある。

 どうしてそんな雰囲気を纏うのか、僕にはさっぱりわからないけど、どこか消えてしまいそうな姿に、思わず手を伸ばしてまう。

 そうしなくては、目の前にいるうさぎが、うさぎでなくなってしまいそうだったから。

 

「うん?どしたの、累。私の頭を撫でてきて。」

 

「・・・・・・わからない。ただ、ちょっとだけうさぎが消えそうだったから。」

 

「ん?消えそう?私は消えないよ?そもそも城から出られないし。」

 

 不思議そうな表情を見せ、いつものような笑顔を見せるうさぎ。

 いつも通りの彼女のように見えるし、間違いなくいつも通りではあるのだが、先程までのどこか遠くに行きそうな雰囲気は、なんだか焼きつくように残っており、僕は思わず無言になる。

 

 彼女が言ってる言葉は正しい。無惨様が引き取り、今もなお育てているのだから、彼女が逃げられるはずもない。

 だけど、一瞬だけ見えた遠くにいるようなうさぎの姿は、なかなか消えてくれなかった。

 

 この子がいれば、家族とは何かを把握することができるかもしれない、そう思っていたけど、それとは別に、誰かが見ておかなくては、いつの間にか忽然と消えてしまいそうだと言う印象も抱く。

 

 一体、この子は何を内側に持っているのだろう?そんな疑問を浮かべながらも、きっと、話してはくれないのだろうと言う確信も抱いてしまう。

 多分、この子は無惨様にも話していない何かがあるし、無惨様もそれに気づいている。

 だけど、無惨様もそれに気づいていても、きっと知ろうとはしないのだろう。

 

 あの方にとって、きっとうさぎの出自はどうでもいい。

 太陽を克服する術を得ることができれば、それでいいのだろうし、それ以外の理由があるとしても、きっと、うさぎの出自は関係ないのだろう。

 そんなことを思いながら、昨夜、うさぎを連れてきた無惨様の姿を思い浮かべる。

 

 大事な物のように抱え上げ、うさぎと言葉を交わす無惨様。

 その時の無惨様は、穏やかな雰囲気を纏っていた。母さんも、姉さんも、兄さんも、父さんも、無惨様が目の前にいることや、無惨様と平然と話しているうさぎの姿に恐怖していて、無惨様の雰囲気が全く違うことに気づいている様子はなかった。

 だけど、僕は無惨様の変化に気づいていた。

 

 うさぎを抱え、話し込む無惨様は、時折うさぎを抱き直していた。

 少しだけずり落ちそうになっているのに気づくたびに、修正するようにして。

 言葉を交わしている間も、彼は口元に少しだけ笑みを浮かべていた。当たり前のように自身の変化を指摘してくるうさぎを見て、否定することなく、むしろ、自身でも自覚がある程に肯定していたし、自身は温石じゃないと返してきても、体温が高いのは間違いないだろうと、苛立ちを抱くことなく返していた。

 夜の山は冷えるから、人間のうさぎにしっかりと羽織を羽織らせて、それが落ちそうになるたびに、手早くそれを直していた。

 

 うさぎは無惨様がそのような行動を取っていることに気づいている様子はなかったけど、もしかしたら、いつもそんな風にされているから、違和感を覚えることが無くなる程に、当たり前の物となっていたのかもしれない。

 

 いつも抱えられていると言う言葉からしても、無惨様と過ごす時は、かなり距離が近いのだろう。

 それこそ、無惨様に抱き抱えられていることが当たり前だと思ってしまう程に。

 

 昨日のやり取りから、予測できることを思い浮かべながらも、僕はうさぎの頭から手を下ろす。

 もし、これが本当なら、やはりうさぎは、無惨様ですら知り得なかった何かを知るきっかけになったのかもしれない。

 そう思ってしまう程に、無惨様は変わっていた。

 

 ─────・・・・・・無惨様が、新しく何かを学ぶきっかけとなったのなら、うさぎは、僕にもわからないことを教えてくれるだろうか。

 

 そんなことを思いながら、僕はうさぎをじっと見つめる。

 僕の視線に気づいたのか、うさぎは小さく首を傾げた。

 

「どしたの?」

 

「なんでもない。ただ、うさぎはやっぱり、変わった人間だなって思っただけ。」

 

「それ、無惨様や上弦の人達にも言われたことあるよ。まぁ、人喰い鬼だってわかっていても、なんの恐怖も抱くことなく接触して、敵意を向けないどころか、無防備に接してくる人間なんて、変わり者にしかならないだろうけどねぇ。

 だって、目の前で人間を食べてることもあるのに嫌悪するどころか、ご飯中みたいだから待ってますって離れた位置からそれ見てることだってあるんだよ?なんだコイツってならない方がおかしいでしょ。」

 

 笑顔でそんなことを言ってくるうさぎに、僕は思わず瞬きを繰り返す。

 だけど、本心から僕達に恐怖を抱いていないと口にしていることもわかってしまい、本当に変わってると呆れてしまう。

 人喰い鬼とわかっていて、人を喰ってる姿すら見ているというのに何とも思わないなんて、この子は本当に人間なんだろうか。

 

「普通なら、怖がったりするところじゃないの?」

 

「え〜・・・・・・?だって人間だって牛や鳥、豚を普通に食べるんだよ?鬼はそのお肉の部分が人間に置き換わってしまっているだけで、やってることはあまり人間と変わらないじゃん。

 生きることに必要だから、栄養を得るために命を喰らう・・・・・・同じことやってるだけだと思えば怖いとは思わないかな?

 まぁ、ただただ私が無限城での生活に慣れ過ぎてしまってるせいで、麻痺してるだけかもしれないけどね。」

 

「確かに言ってることは間違いないけど、本当に君って変わってる。まぁ、だからこそ、無惨様達も、君と一緒に過ごすと気が楽なのかもしれないけどね。」

 

 僕の言葉に、よくわからないと言わんばかりの様子で首を傾げるうさぎに、思わず小さく笑ってしまう。

 鬼だのなんだのと関係なく、僕を真っ直ぐと見据える紅の瞳は、偏見や畏怖を宿すことなく、僕という存在をしっかりと見据えてくれているようで、なんだか力が抜けてしまう。

 

 ─────・・・・・・もしかして、無惨様達も、ただただ純粋に自身を見つめ返してくれるから、新しいことを発見したり、新しい何かを学ぶきっかけができたのかな。

 

 そんなことを思いながら、僕はうさぎを見据える。

 無惨様とは全く違う色合いを持つ紅玉の瞳に映る自身の口元に、笑みが浮かんでるのが見えた。

 

「・・・・・・そろそろ那田蜘蛛山に戻るよ。夜になるから、狩りの時間だし。」

 

「まぁ、人間をコロコロして食べるわけだから狩りで間違いないと思うけど字面と絵面はなんか酷いな。」

 

「生きるためには必要なことなんだから仕方ないでしょ?」

 

「まぁ、否定しないけどねぇ。人間も猪とか熊を狩るし。・・・・・・そういや那田蜘蛛山って熊とか猪いないの?」

 

「いたと思うけど、基本的に出てこないし、出てきても僕らにとってはどうでもいいかな。

 襲われたこともないしね。出会したことはあるけど、向こうが逃げていくし。」

 

「本能的に強者判定したのかな?」

 

「鬼が強いのは当然だし、多分そう?」

 

 世間話と言えるような、気軽でつまらない雑談に、肩の力が抜けるのを感じ取りながらも応じ、僕らを遠巻きに見つめてくる琵琶鬼に目を向ける。

 

「そろそろ戻るから那田蜘蛛山に飛ばして。」

 

「承知しました。」

 

「じゃあ、またね、うさぎ。君との会話、まぁまぁ楽しかったよ。」

 

「私もお話しできてよかったよ。また話そうね〜。まぁ、その時は上弦の鬼もいるかもだけど。」

 

「基本的に一緒みたいだからね。まぁ、別に構わないけど。話すくらいなら、僕も参加していいだろうし。」

 

 離れる前にうさぎと言葉を交わして、挨拶を終えれば、辺りに琵琶の音が鳴り響く。

 同時に僕の視界には無限城ではなく、いつもの山の景色が広がった。

 

 すでに夜の帷は降りて、暗がりとなっている山の中。

 月明かりだけが照らすそこから、夜空を見上げれば、自身の気持ちがかなり落ち着いていることに気がついた。

 

「・・・・・・変なの。うさぎとただ話していただけなのに、不思議と気分は晴れやかだ。」

 

 無惨様や、上弦の鬼達も、いつもこんな感じになってるのだろうかと思いながらも、僕は那田蜘蛛山の中を歩く。

 明日もまた、うさぎに会いに行こうか・・・・・・そんなことを考えながら。

 

 

 

 




 うさぎ
 警戒心皆無で鬼と言葉を交わす稀血の白ウサギ。
 ただただ分け隔てなく話していたり、関わったりしているだけなため、自身が周りにどんな影響力をもたらしているのか気づいていない。
 たまに、前世を持つ人間特有の価値観を口にするため、彼女が何かを抱えていることに気づかれつつあるが、触れられたことがないため、バレていないと思っている。

 累
 無惨様が変わるきっかけとなったうさぎと話していた下弦の伍。
 家族は我が子を守る者だとずっと思っていたが、そんな家族ばかりじゃないとうさぎに返され衝撃を受けた。
 うさぎが何かを持ち合わせていることに気づいているが、それに触れる、ことはせず、ただただ彼女と過ごしていた。
 分け隔てなく関わってくるうさぎの姿と、そんな彼女との会話のあと、どこか力が抜け、気分が晴れやかになってると気づき、また話したいと思っている。


①「謎の助言者ムーブで鬼殺隊を救済しながら、基本は単独で動く鬼殺隊うさぎ」と②「神出鬼没に鬼殺隊の前に現れ、甘味を食べたり、呑気に過ごしながら謎の助言者ムーブで鬼殺隊を助ける部外者うさぎ」どちらの話を見てみたいですか?

  • ①の助言者な単独行動する鬼殺隊うさぎ
  • ②の神出鬼没に現れる部外者な助言うさぎ
  • どちらも読みたいから本編とifで見たい
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