その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 こちらの物語は予め流れを決めた上で執筆しております。
 過度な考察などをするための物語ではなく、私が読みたいと思った話を少しずつまとめて書いているものですので、展開の考察、もしくは考察サイトや動画などで語られた非公式考察等の引用などは控えていただけると助かります。
 あくまでこれは、こんな存在がいたら、鬼側や人にこんな影響をもたらしてくれるのではと言う思いのままに書いている二次創作でありIFの物語です。
 考察をしてもらうための話ではなく、鬼側にも穏やかな日々があったらと言う願いを主軸にしているため、深く考えることなく閲覧してください。

 なお、そのようなコメントは見つけ次第、非表示欄に移動していますが、あまりにも何度も書かれるようであれば、こちらの物語自体閲覧不可にすることも辞さないため、よろしくお願いします。



稀血のうさぎ、晩酌に付き合う

「うさぎ。こちらに来い。」

 

「?はい、無惨様。」

 

 累と出会い、彼もまた、私と話すためにしょっちゅう無限城に足を運ぶ様になって二ヶ月が経過した頃。

 みんなが持ち場となっている場所に戻り、無限城の中、のんびりと自室で過ごしていたタイミングだった。

 

 今日の研究ノルマを終えたらしい無惨様から名前を呼ばれたため、すぐに返事をしたところ、自分の元に来いと告げられる。

 どうしたのだろうかと思いながら、無惨様の元へと向かえば、彼は近づいてきた私に上着を羽織らせ、そのままひょいと抱え上げた。

 

「・・・・・・お出かけですか?」

 

「そうだ。まぁ、大した用ではない。少しばかり晩酌に付き合え。」

 

「なるほど。そう言うことでしたか。わかりました。ご一緒しますね。」

 

 晩酌に付き合えと言われ、息抜きをしたいから呼ばれたのかと思いながら頷けば、彼は鳴女に視線を向け、合図を出す。

 その瞬間、辺りに琵琶の音が鳴り響き、城の景色から一転、どこかの山の中へと視界が変わる。

 

「眩し・・・・・・っ・・・・・・夜なのにかなり明るいですね・・・・・・。」

 

 暗い山の中であるはずが、かなりの明るさに目をやられ、一瞬だけ私は目を瞑ってしまう。

 なんなんだこの明るさは。普段、夜ってこんなに明るかったっけ?

 

「今宵は満月らしいからな。眩しいのも仕方ないだろう。特に、うさぎの目は明るさに敏感だからな。だが、日の光程強い灯りではないゆえ、次第に慣れるはずだ。」

 

 そう言って、無惨様は山の中を歩き始める。

 少しずつ見えるようになってきた視界を頼りに、状況を探ってみれば、どうやら無惨様は山の頂上へと向かおうとしているようだ。

 

「まだ見えぬか・・・・・・。何度か瞬きをゆっくりと繰り返してみろ。素早くではなく数秒をかけてゆっくりだ。」

 

「わかりました・・・・・・」

 

 無惨様に指示を出され、数秒のスパンでゆっくりと瞬きを繰り返す。

 それにより、眩しさで見えにくくなっていた目は、少しずつ見えるようになり、程なくして眩しさが落ち着く。

 

「・・・・・・どうやら、しっかりと見えるようになったようだな。」

 

「はい、無惨様。まぁ、相変わらずの弱視で見え難さは残っておりますが・・・・・・。」

 

「こればかりは何とも言えぬな。鬼となれば見えるようになるやもしれぬが、まだお前の血に影響をもたらさず、同時に、こちら側の血が中和されぬ量は把握できていない故、もうしばらく時間はかかりそうだ。」

 

 無惨様と言葉を交わしつつ、ゆっくりと動く景色を眺める。

 程なくしてたどり着いた山頂は、風が強く、同時に広く拓けていた。

 

「さむ・・・・・・っ・・・・・・」

 

「流石に夜の山頂は冷えるか。私は何ともないが、やはり人間は不便なものだな。」

 

 吹き抜ける風に体を軽く震わせていると、無惨様は山頂に座り込んだのち、手にしていた何かを包んでいた風呂敷を静かに広げる。

 そこには蓋がついている徳利のような陶器の器と、お猪口、それと水筒のようにも見える筒が桶に入れられており、それを地面に置いた無惨様は、広げた風呂敷を近くにあった切り株に乗せる。

 

「この上に座れ。地面に直接座るよりは、負担は少ないだろう。」

 

「わかりました。」

 

 無惨様に言われた通り、風呂敷が敷かれた切り株に座り込めば、無惨様は羽織っていた上着をさっと脱ぎ、私の肩からそれをかけた。

 ブカブカで体に全く合わないサイズの上着を見つめていると、無惨様は私の腕を上着の袖にさっさと通し、隠れている手が出てくるように袖を上げる。

 

「・・・・・・でかいな。」

 

「大人と子供ですからねぇ・・・・・・。と言うか、無惨様。私があなたの上着を着てしまってもよろしいのですか?」

 

「鬼とは違い、お前は人間であろう?人間はすぐに病にかかるからな。体調を崩されても迷惑だ。

 寒さや暑さを感じないわけではないが、それにより体調を崩すなどと言う欠落を鬼は持ち合わせておらぬ。

 風に晒されたところで、病にかかることはないのだから、いちいち気にするな。」

 

「・・・・・・そう、ですか。ありがとうございます、無惨様。」

 

「ふん・・・・・・。」

 

 まさか、無惨様が羽織っている上着を貸してもらえることになるとは思わず、少しだけ驚き混じりに借りてもいいのかと確認をしてしまったが、無惨様は怒ることなく、人間の脆さを指摘して、それを補うためには体調管理が必要だと吐き捨てるように口にしては、地面にあぐらをかいて座り込んだ。

 

「これをかけていろ。折角の満月に月見ができぬのは嫌であろう?」

 

 不意に、無惨様から何かを手渡される。よく見るとそれは、色ガラスが使われているメガネで、私は何度か瞬きを繰り返す。

 

「これは・・・・・・眼鏡・・・・・・ですよね?何だか、色がついてますけど。」

 

 受け取ったそれは、どう見ても眼鏡で、着色されたガラスが使われているものだった。

 

「取引先の人間から聞いた話しだが、北の方では雪などが積もった時、日の光により眩しくて視界が悪くなることがあるようでな。

 行動に制限がかかるため、向こうで暮らしている人間は、その眩しさを軽減するために、色がつけられた眼鏡をかけることがあるそうだ。

 自身の娘が光に敏感な目をしていると言う話を少し漏らしたところ、その話をされてな。

 都市部にはそれらを売っている場所もあるため買ってやったらどうかと言われたのだ。」

 

 “かけてみろ”・・・・・・と口にする無惨様に従い、手元にある眼鏡をかける。ガラスの色合いとしては灰色と緑が混ざったような色・・・・・・令和の世にあったようなサングラスのような暗さは全くないが、確かに光が遮断されているものだった。

 これなら・・・・・・と思い、私は静かに顔を上げる。眼鏡越しに見えた満月は、眩しさがかなり抑えられた、明るい星となっていた。

 

「わぁ・・・・・・!!まんまるな月が見えます!!色がついたガラスって、こんなに光を遮るのですね・・・・・・!!」

 

 眩しすぎる程の満月が、落ち着いた光を放つ満月となり、視界に映り込んだことに、心からの感動を抱く。

 不便でしかなかった過敏な瞳を守りながら、月を見上げることができるなんて、無惨様に対する感謝が募るばかりだ。

 

「・・・・・・随分と嬉しげだな。」

 

「当然です!やっと無惨様と一緒に月を眺めることができましたから!少しでも同じ景色を見ることができるだけでも、私は嬉しいです!」

 

 “ありがとうございます、無惨様!”・・・・・・この時代には高価なはずの色ガラスが使われた眼鏡を買い与えてくださったことに、笑顔で感謝を述べれば、無惨様は一瞬目を丸くし、そして、小さく笑みを浮かべた。

 その笑みはあまりにも穏やかで、確かな優しさが含まれているものだったため、思わずキョトンとしてしまう。

 私がじっと見つめてくるからか、無惨様はすぐに私に目を向け、いつものどこか怖い雰囲気のある表情へと戻してしまった。

 

「お前はこちらを飲め。」

 

 あー・・・・・・無惨様の貴重な笑みが・・・・・・と思っていると、彼は水筒にも見える筒を手渡してきた。

 不思議に思いながらそれを受け取り首を傾げると、無惨様は一回、私の手元からそれを取り上げ、筒の蓋をひっくり返し、そこに筒の中に入っていた物を淹れた。

 それは、温かいお茶だった。目を丸くしてそれを見つめていると、無惨様が湯呑みのようにされた蓋の方を手渡してくる。

 

「まさか、外で熱のある物を飲むことができるような時代になるとは思わなかったものだ。

 私がまだ人間であった頃は、このような便利なものは全くなかったのでな。」

 

「随分と珍しい道具をお持ちですね・・・・・・。」

 

「取引先の人間が便利だと言っていたのでな。物珍しさから買っておいたのだ。新しい物を見ることは新鮮で、刺激を得ることもできるのでな。」

 

 熱いから気をつけろと忠告をしながら、再び差し出されるお茶入りの蓋・・・・・・コップにもなる水筒の蓋は、明治にはあったのかと思いながらも、それを受け取った私は、湯気が揺らぐお茶に口を近づけ、少しだけ口に含む。

 しかし、思ったより温度があり、少しだけ熱さにびっくりしてしまい、表情を歪める。

 

「・・・・・・熱いと言ったであろう。話を聞いていなかったのか?」

 

「すみません。どれだけ熱いのか分からなかったんです。」

 

 呆れたような表情で、熱さに表情を歪めた私にツッコミを入れてきた無惨様に、苦笑いを返しながらも、私はお茶に少しだけ息を吹きかけ、改めてお茶に口をつける。

 フーフーしたことにより、飲みやすくなったお茶は、明らかに高級茶葉の味がした。

 

「・・・・・・これ、いつものお茶とは全然違う味ですが、高いのでは?」

 

「玉露だからな。」

 

「やっぱり高級なお茶だった・・・・・・。」

 

 普通の緑茶と玉露ってこんなに味が違うの・・・・・・?と困惑していると、無惨様は桶に入れてあった徳利に手を伸ばした。

 

「あ、お酌しましょうか?」

 

「そうだな。注げ。」

 

 それに気づき、自分が注ぐことを伝えれば、無惨様は徳利の方を私に手渡し、自身はお猪口の方を手にする。

 それを確認して徳利を傾ければ、そこから出てきたのは赤い液体だった。

 

「・・・・・・血液ですか?」

 

「ああ。たまたま見つけた人間が稀血だったのでな。いくらか血液は別に避けておいたのだ。まぁ、人間の方は既に死んでいるのだがな。」

 

「なるほど。食べちゃったんですね。まぁ、稀血の人間は、一人喰らうだけでも百人以上を喰らうのと同義の力を得ることができると言う話でしたし、逃す必要はないのかもしれませんが。」

 

「そうだ。よく覚えていたな。」

 

「無惨様が鬼に関してお話ししてくださったので、覚えておきました。何度も同じことを聞くのは失礼ですしね。」

 

「物分かりがいいな。他の輩もそれくらい物分かりがいいと楽なのだが・・・・・・」

 

「おっと・・・・・・何やら苛立ちがあるご様子で・・・・・・。愚痴をお聞きしましょうか?」

 

 隠せない苛立ちを持ち合わせている様子の無惨様を見て、思わず苦笑いをこぼしながらも、愚痴があるなら聞くことを告げる。

 私の言葉を聞き、こちら側に視線を一度向けては、静かに口を開いた。

 

 彼の口から語られたのは、下弦の鬼に関しての話だった。

 上弦は長年顔ぶれが変わることなく確かな功績を残しているが、下弦の鬼は次々と顔ぶれが変わり、一向に強くならないとのこと。

 

 まだ、累や、今の下弦の壱である姑獲鳥は力をつけている様子があるし、饜夢の名を持つ鬼も明確に力を持ち合わせているが、それ以外がどうにもならないと言う。

 期待できる鬼は居なくもないが、最近伸び代がなくなっている鬼もいるため、苛立ちが募るとのことだ。

 

 脳裏に何人か原作や番外編で見かけた鬼が過ぎる中、無惨様の話を聞き、お猪口が空いていることに気づくなり、徳利の中に入ってる稀血を注ぐ。

 たまに、無惨様が飲むのを止めるため、その際は自分もお茶を口にして、相槌を打ちながら話を聞けば、無惨様の苛立ちは、少しずつ弱くなっていった。

 

「やはり、鬼にも強くなれる鬼と強くなれない鬼がいるのですね。」

 

「そうだな。こればかりは鬼にした者の特性や意識により左右されているような気がしている。

 確かに鬼は人を喰らい、力をつけていくが、体質によっては、喰らった人間を養分にすることができる範囲の限界を迎える者もいてな。

 なるべく、あらゆる体質の人間や、上弦まで上りつめた者達に似通った人間を鬼にし、日の光を克服できる鬼がいないかどうかを確かめてはいるが、なかなか儘ならぬものだ。」

 

「そうですね・・・・・・。私の血液の効能と、無惨様の血液の効能を合わせて放り込むことができれば、また別の結果になる可能性もありますが、それはそれで危険性が伴うでしょうし・・・・・・」

 

「無論、その方法も考えてみた。だが、お前が懸念している通り、かなりの危険性が伴う。日の光を克服する鬼が生まれる可能性は確かに上がるが、中途半端な鬼化により、私の支配下から逃れる方向にそれが作用し、反旗を翻されてしまう事象になり得ることも大いにあるのでな。

 そのような鬼を相手にするのも面倒だ。鬼狩り共に助力されでもしたら、厄介以外の言葉が見つからぬ。」

 

 無惨様の言葉に同意しながら、再び私は彼の手元にあるお猪口に稀血を注ぐ。

 注がれたそれを一気に煽った無惨様は、一つ、深い溜め息を漏らした。

 

「私が鬼になれたら、その疑問も解決するのでしょうか・・・・・・」

 

「そうだな・・・・・・。やはり、まずはお前を鬼にすることに時間を費やす方がいいかも知れぬ。だが、その試行も慎重にしなくては、どのような状況に発展するかわからんな。」

 

「難しいものですね。私の頭では、解決策が出てきません。」

 

 無惨様の言葉に、再び苦笑いをこぼす。原作の彼ならば、問答無用で人体実験を行いそうな気もするが、目の前にいる彼は、そんなことをしようとは思っていないらしい。

 まぁ、私以外は容赦なく利用しているようにも見えるけど。

 

 そんなことを思いながら、私は再び無惨様の手元にあるお猪口に稀血を注ぐ。

 徳利にはまだまだ重さがあるため、もう少しこのゆっくりとした時間は続きそうだ。

 

 

 




 うさぎ
 無惨様の晩酌にお付き合いすることになった稀血の白ウサギ。
 自分にはただの血液にしか見えないし、臭いも血の臭いとしかわからないと思いながら、お酌していた。
 自身が鬼になれば、あらゆる疑問の解決に繋がりそうだと思っており、鬼になれと無惨様に言われたら二つ返事でなることもやぶさかではない。

 鬼舞辻無惨
 息抜きをするため、うさぎを連れ出して月見をしに行った鬼の始祖。
 人間は脆く、すぐに病を患うため、うさぎの健康管理はしっかりとしている。
 伸び代が薄い鬼や、やる気がない鬼が下弦にかなりいるため、少しだけ苛立ち気味だったが、うさぎに愚痴を聞いてもらうことでそれをコントロール術を身につけつつある。
 うさぎが自身のためならば鬼になることも厭わない娘であることは既に把握しているため、まずはうさぎを鬼化することを優先した方がいいかも知れないと思ってはいるが、うさぎが死ぬ可能性も考慮して慎重になっている様子がある。

①「謎の助言者ムーブで鬼殺隊を救済しながら、基本は単独で動く鬼殺隊うさぎ」と②「神出鬼没に鬼殺隊の前に現れ、甘味を食べたり、呑気に過ごしながら謎の助言者ムーブで鬼殺隊を助ける部外者うさぎ」どちらの話を見てみたいですか?

  • ①の助言者な単独行動する鬼殺隊うさぎ
  • ②の神出鬼没に現れる部外者な助言うさぎ
  • どちらも読みたいから本編とifで見たい
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