その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 こちらの物語は予め流れを決めた上で執筆しております。
 過度な考察などをするための物語ではなく、私が読みたいと思った話を少しずつまとめて書いているものですので、展開の考察、もしくは考察サイトや動画などで語られた非公式考察等の引用などは控えていただけると助かります。
 あくまでこれは、こんな存在がいたら、鬼側や人にこんな影響をもたらしてくれるのではと言う思いのままに書いている二次創作でありIFの物語です。
 考察をしてもらうための話ではなく、鬼側にも穏やかな日々があったらと言う願いを主軸にしているため、深く考えることなく閲覧してください。

 なお、そのようなコメントは見つけ次第、非表示欄に移動していますが、あまりにも何度も書かれるようであれば、こちらの物語自体閲覧不可にすることも辞さないため、よろしくお願いします。



稀血のうさぎ、フラグを踏み抜く

 気配を感じて移動した木の上から見ることになったまさかの事態に、思わず固まってしまった私は、無言でやってきた二人組を見つめる。

 

 宍色の髪に、口元の傷痕、同じ位置に傷跡を模した模様を刻んだ狐のお面を頭に被る少年。

 青色の髪と青色の瞳を持ち、同じような色合いの目をした狐のお面を被る少年。

 ・・・・・・どう見ても原作開始時にはすでに命を落としてしまった錆兎と、錆兎の氏を目の当たりにした結果目が絶望的に曇って笑みもほとんど失ってしまった冨岡義勇の幼少期の姿だった。

 

 ─────・・・・・・うげぇ・・・・・・なんでよりによってこんなところに錆兎と義勇さんがいんの!!

 

 ─────・・・・・・会わないようにしようと決めた瞬間にフラグ踏み抜くとは思わなかったんですけど!?

 

 あまりにもショックが大き過ぎ、私は表情を歪めてしまう。

 まさか、鬼殺隊になる前とは言え、重要人物の一人と、原作内の彼があの状態になってしまうきっかけを作り上げる要因に出会すとは・・・・・・。

 溜め息を吐きたくなりながらも、息を殺して二人の様子を見守る。錆兎がいると言うことは、最終選別が行われる藤襲山に向かってる途中。

 このままバレなければ、二人はスルーしていなくなるだろうと考えながら。

 

「この調子なら、藤襲山の最終選別が行われる時間までに余裕でたどり着けるな。」

 

「そうだな。それにしても、狭霧山から藤襲山ってやっぱりかなり遠いな・・・・・・」

 

「だが、鱗滝さんの話だと、そこで選別用の事柄が行われるんだろ?刀を持っていけと言うことは、鬼がいるってことなんだろうか。」

 

「かもしれないな。鬼殺隊に入る前に、鬼と戦うことになるのか・・・・・・」

 

「自信がないのか?義勇。」

 

「そう言うわけじゃない。」

 

 じっと二人を見つめていると、二人の会話が聞こえてくる。

 藤襲山で行われる最終選別・・・・・・それのことを話しているようだ。

 ・・・・・・にしても、こうやって話を聞いていると、無惨様の言う通り、産屋敷ことお館様ってかなり異常だな?

 なんで実戦なんて未経験な剣士なりたての子達をわざわざ鬼が住む山の中に放り込んで一週間過ごさせるんだよ・・・・・・。

 いや、それくらいしないと鬼が強いのはわかりますけどね?若い芽をわざと摘むようなことしてるのなんだかなぁ・・・・・・。

 

 色々と思うところがあり、表情を少しだけ曇らせる。

 どうしたものかと考えながら、二人の様子を見つめていると、急に錆兎が足を止めて辺りを見渡し始めた。

 

「錆兎?どうかしたのか?」

 

「・・・・・・いや、なんか誰かに見られているような気がしてな。」

 

 ぎくり・・・・・・と思わず内心に焦りを抱く。まさかのバレたパターン?私の視線、錆兎に感じ取られるレベルだった?

 冷や汗を流してしまいそうな状況の中、息を殺して気配を消す。あまり会いたくないもん・・・・・・。

 

 そんなことを思いながら、無言を貫けば、錆兎はキョロキョロと辺りをしばらく見渡したのち、首を傾げた。

 

「・・・・・・気のせいか?」

 

「気のせいだったのか?」

 

「何というか、わからない・・・・・・が正しいかもな。見られているような気はするが、どこから見られているのか、それとも錯覚なのか、曖昧と言うか・・・・・・」

 

 錆兎と義勇さんの会話を聞きながら、そのまま気のせいで通してあっち行ってくれ!!と祈る。

 て言うか!!マジで二人ともさっさとこっから離れろ!!多分、そろそろ黒死牟か猗窩座辺りが私を迎えに来ちゃうから!!

 絶対二人とも、彼らに見つかったら危ないから!!普通にコロコロされちゃうから!!

 

「・・・・・・よくわからないが、とりあえず先に進まないか?」

 

「そうだな。最終選別に間に合わなかったら駄目だし、帰り際にでもまた確かめてみるか。」

 

 叫ぶように願っていると、義勇さんが錆兎に、一旦は藤襲山に向かわないかと提案する言葉をかける。

 錆兎は少しだけ考え込むような様子を見せた後、小さく頷き、義勇さんの言葉を優先することを選ぶ。

 それに対してホッと小さく息を吐く。よかった、これで二人に会わなくて済む・・・・・・。

 

 ・・・・・・そう、思っていたのだが。

 

「ほへ?」

 

 突如、私は自身が足場にしていた木の枝の感触を失い、そのままズルッと体が傾く。

 

「「は?」」

 

 まさかの事態に思考をフリーズさせていると、下の方から二人分の声も聞こえてきた。

 視線を下に向ければ、ゆっくりと世界が動いているような錯覚を覚える。

 だが、すぐに自身が木の枝から落下していることを把握してしまい、引き攣った笑みを浮かべてしまった。

 

「き゛に゛ゃあああああああああああああああああ!!!?」

 

「人が落ちてきた!?」

 

「何やってんだ馬鹿!!!!」

 

 ヒュンッと落下する浮遊感に襲われ、地面が一気に近づき始める。

 なんでよりによって落下するんだよこのタイミングでぇ!!!!と泣きたくなりながら、地面に落っこちるであろう衝撃に備えて硬く目を瞑る。

 しかし、わずかな衝撃を感じ取るだけで、襲ってくるはずの痛みを感じることがなかったことに、恐る恐る目を開ける。

 

「ま・・・・・・間に合った・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・流石は錆兎だな・・・・・・・・・。」

 

 その瞬間、視界に入ったのはドアップ過ぎる錆兎の顔と、ド接近している義勇さんの姿だった。

 近!?と驚いて固まってしまう中、視界に入り込んだ自身の体勢から、錆兎に横抱きされた状態で受け止められていることに気づく。

 

「あわわわわわわ!?ご、ごめんなさい!!」

 

 まさかのお姫様抱っこ・・・・・・!?と内心大焦りする中、謝罪の言葉を二人にかければ、揃って私の方へと視線を向けられる。

 

「咄嗟に受け止めたが、大丈夫だったか?」

 

「怪我はないな?」

 

 こちらに視線を向けてきた錆兎と義勇さんは、すぐに私に怪我の有無を問いかけてくる。

 小さくその場で怪我や痛みはないことを肯定するように頷けば、二人はホッとしたような笑みを浮かべたのち、木の方に視線を向けた。

 

「・・・・・・高いな。」

 

「どこから落ちてきたんだ?」

 

「上にある太い枝の上から足を滑らせました・・・・・・」

 

「何をやってるんだ・・・・・・」

 

「気をつけないと駄目だろ・・・・・・」

 

 なんつーところから落っこちてんだよと言わんばかりの呆れ顔に、返す言葉もございません・・・・・・と言いたくなりながら、恥ずかしさから両手で顔を覆う。

 いや、マジでなんで落下したし私・・・・・・。しかも、二人を避けようとしていた矢先にさぁ・・・・・・。

 

「まぁ、怪我がなくてよかったよな。」

 

「骨が折れていたかもしれないし、死んでいたかもしれないからな。」

 

「ごもっともです・・・・・・」

 

 しょんぼりしながら言葉を返せば、頭上から小さな笑い声が聞こえてくる。

 視線を声の方に向けてみれば、そこには笑う錆兎と義勇さんの姿があり、私は何度か瞬きを繰り返す。

 

「・・・・・・笑わないでもらえます?」

 

「笑うなと言うのが無理だ。」

 

「義勇の言う通りだな。まさか、木の枝から同年代の女が降ってくるなんて思わないだろ。」

 

 今回の落下事故と、その後の私の反応が面白かったのか、錆兎と義勇さんは小さく笑いながら言葉を紡ぐ。

 恥ずかしさやら何やらで顔が熱くなる中、むすっと思わず頬を膨らませば、二人は同時に吹き出した。

 

「笑うなって言ってるじゃないですかぁ!!」

 

 完全に笑い出してしまった二人に即行で怒鳴りつけるが、しばらくの間、二人の笑い声が止むことはなく、ハムスターのように頬を膨らませることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

          ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 

「にしても、うさぎはなんであんなところにいたんだ?」

 

「確かに。普通は登らないだろう?」

 

 あれから少しだけ時間が経ち、笑うのをやめた錆兎と義勇さんが、自身の名前を明かすように自己紹介をしてきた上、私に敬語を外していいと言ってきたことから、呼び方や話し方を改め、錆兎と義勇の二人に自身の名前を明かした。

 二人はすぐに私の言葉に把握したことを告げるように返事をしたのち、木の上に登っていたことを問いかけてきた。

 彼らの問いかけに、まぁ、そう思うのが普通かと思いながらも、頭上を見上げ、木の枝に視線を向ける。

 無惨様の敵である鬼殺隊が来るかもしれないと思い、人の気配を避けていたと言うのが木登りの真実ではあるが、流石に私が無惨様の義理の娘であることなど明かせるはずもなく、すぐに自身の脳裏に浮かんだ嘘を口にした。

 

「何かが近づいてくる気配があったから、野犬かと思って逃げたんだよ。この山に熊や猪がいないことはわかっていたけど、野犬はいろんな地域にいるからね。

 病気を持ってることもあるし、避ける手段として高いところにいた感じ。まぁ、来たのは野犬じゃなくて、二人組の人だったわけだけど。」

 

 原作内で錆兎と義勇の二人に嗅覚が鋭い描写はない。鼻が効くのは炭治郎と鱗滝さんであることは把握しているため、真実を少しだけ交えながらも、嘘を塗り固めれば、二人は納得したように頷いた。

 

「なるほどな。」

 

「確かに、この地域では野犬は度々見かける話がある。茂みが揺れたり、地面を踏み締める音が複数聞こえてきたら、警戒したくもなるよな。」

 

 私の返答を聞き、納得した様子を見せる義勇と錆兎。サラッと私の嘘を素直に信じてしまったため、あっさりだな・・・・・・と内心で思いながらも、まぁ、私が鬼と繋がりのある人間であることを知らない間はこんなものかと思考する。

 ・・・・・・嘘をついたことに対して、罪悪感が全くないのは、それだけ私にとって、今の大切は無惨様達の方になっていると言うことなのだろう。

 まぁ、そもそもこれまで関わってきた人間が、クソ親父と無惨様の取引先相手だけだったから、人間より鬼が優先状態になっているのは当然であると言える。

 なんせ、私は鬼側に居場所がある存在だ。人間側に居場所を作っていないのだから、人間相手に嘘をついてしまおうが、対して罪悪感は抱かないのだろう。

 

「本当にごめん。まさか落下するなんて思ってなかったから・・・・・・。でも、助けてくれてありがとね。」

 

「気にしなくていい。だが、次からは気をつけろよ?確かに野犬を避けるために高いところに行きたくなる気持ちはわからなくもないが、今回みたいなことが二度とないとも限らないしな。」

 

「うさぎだって死にたくないだろ?油断したら意味ないぞ。」

 

「ゔ・・・・・・気をつけるよ・・・・・・。」

 

 二人の言葉にチクチク刺されながらも、これからは気をつけると二人に告げれば、二人は小さく笑ったあと、その場で頷いた。

 

「それじゃあ、俺達はやらないといけないことがあるから、そろそろ行くな。」

 

「毎回助けられるわけじゃないしな。」

 

「うん。そうするよ。」

 

 そして、私が反省したところを見ては、揃ってその場から踵を返す。

 私は、そんな二人の背中を見送りながら、少しだけ考える。

 

 きっと、このまま見送れば、原作通り錆兎が手鬼に殺され、義勇の瞳は絶望に染め上げられる。

 原作通りに進ませるのであれば、これでいいだろうし、その方が無惨様の敵を減らせるはずだ。

 

 だけど・・・・・・

 

「錆兎。義勇。」

 

「「ん?」」

 

 私は、無意識のうちに二人の名前を呼んでいた。

 こんなことを言ったところで、無惨様の手をかえって煩わせてしまうのは目に見えているが、私が彼らに助けられたのも事実のため、そのお礼だけはしたかった。

 これが、どのような選択肢を彼らに与えることになるかはわからないし、原作より鬼側が不利になるかもしれないし、逆に鬼殺隊側が不利になるかもしれない。

 なぜならこれは、彼らに対する助言であると同時に、死に向かう道のりを与える選択にもなりうるのだから。

 

「ちょっとだけ予感がするから、変なことを言うけど、まぁ、頭の片隅にでも入れておいてよ。

 “無数の大木の根は黄泉への入口。仔狐をあの世に引き摺り込もうと虎視眈々と狙ってる。刃物を二本持ち合わせていれば、運命は切り開けるかもしれないよ。”

 信じるか信じないかは君ら次第。白ウサギからの一つのお礼ね。まぁ、占いのようなものだから、どう捉えるかはそっちに任せるよ。それじゃあ、気をつけて。」

 

 手鬼の特徴を思い出しながらも、濁すようにして言葉を紡げば、二人はキョトンとした表情を見せては首を傾げる。

 しかし、頭の片隅に入れておく程度の認識で構わないからと言う言葉に対しては素直に受け取ってくれているのか、揃って小さく頷いたのち、藤襲山があるであろう方角へと走り去っていった。

 

「・・・・・・まぁ、複数の刃を一人が持つと捉えるか、二人で協力すると捉えるかだけど、さて・・・・・・。

 彼らはこれをどんな風に捉えるかな・・・・・・。後者だったら・・・・・・まぁ、義勇もかなり危なくなるけど、なんかあの子らならなんとかしちゃいそうでもあるんだよね・・・・・・。」

 

 そんなことを思いながら、私はその場で踵を返す。

 鬼殺隊の卵が通り抜けたとなると、あまり同じ場所に留まるわけにはいかないし、人が通らない場所に移動しよう。

 

「うさぎ・・・。迎えにきたぞ・・・。」

 

「あ、黒死牟。お迎えありがとうございます。・・・・・・さっき、あっちに鬼殺隊がいたので、この場から離れたほうがいいかもしれませんよ。」

 

「そうか・・・。ここら辺の地域にも・・・やはり奴らは彷徨いていたか・・・。」

 

「ええ。あと、隊服・・・・・・詰襟を着ておらず、刀を提げている二人組が走り抜けていました。」

 

「時期として・・・最終選別に向かう剣士の見習いか・・・。また・・・鬼狩りが増えるな・・・」

 

「ですね。行動範囲、狭くなりそうです。」

 

「警戒はせねばならぬな・・・。では・・・帰るとしよう・・・。」

 

「はい。」

 

 獣道を歩きながら、茂みの方へと足を運べば、黒死牟が私を迎えにきた。

 すかさず、鬼殺隊の最終選別に向かおうとしていた人間がいたと知らせば、彼は私が視線を向けた方をしばらく見つめたのち、私の体を軽々と抱き上げる。

 そして、そのまま生い茂る木々をかき分けながら、奥の方へと移動する。私達が拠点としている無限城・・・・・・そこに戻る手段である鳴女さんの血鬼術が発動させやすい場所へと向かうために。

 

 




 うさぎ
 フラグを踏み抜き、とうとう鬼殺隊に関わる側に接触してしまった稀血の白ウサギ。
 木の上から落下してしまったところを錆兎に助けてもらったため、助言と言う名のお礼を残した。
 信じるか信じないかは君次第のスタンスのため、それにより、彼らがどのような結末を迎えることになるのかはわからない。

 錆兎
 藤襲山に向かっていたら、まさかの木の上から落下してくるうさぎと出会してしまい、咄嗟に助けた宍色の髪の少年。
 同い年くらいの少女に最初は驚いたが、少しだけ言葉を交わし、すぐに打ち解けた。
 去り際に、不思議な助言をもらったが、意味がわからず首を傾げる。しかし、彼女の不思議な容姿も相まって、記憶に軽く焼きついた。

 冨岡義勇
 錆兎と一緒に藤襲山に向かっていたところ、木の上から落下してきたうさぎに出会してしまった少年。
 最初はまさかの落下事故にかなり驚いていたが、錆兎同様、言葉を交わしたことにより、少しだけ打ち解けた。
 去り際に、不思議な助言をもらって首を傾げたが、彼女の容姿や、その言葉の響きから、軽く記憶に焼きついた。



 黒死牟
 うさぎを迎えに行ったところ、鬼殺隊の見習いに出会した話を聞き、また鬼狩りが増えるか・・・と考える。
 彼女からの報告は、しっかりと無惨様へと共有された。



①「謎の助言者ムーブで鬼殺隊を救済しながら、基本は単独で動く鬼殺隊うさぎ」と②「神出鬼没に鬼殺隊の前に現れ、甘味を食べたり、呑気に過ごしながら謎の助言者ムーブで鬼殺隊を助ける部外者うさぎ」どちらの話を見てみたいですか?

  • ①の助言者な単独行動する鬼殺隊うさぎ
  • ②の神出鬼没に現れる部外者な助言うさぎ
  • どちらも読みたいから本編とifで見たい
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