その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する 作:時長凜祢@二次創作主力垢
彼女が連れて行かれたのは、闇夜の中でも眩く輝く大きな街だった。
「うさぎ。こちらに来い。」
「はい、無惨様。どうかなさいましたか?」
とある日の夜のこと。
無限城の中でのんびりと過ごしながら、今日の夕餉はなんだろうかなんて考えていると、無惨様からお声がかかる。
もしや、今日は無惨様の晩酌に付き合うことになるのだろうか?と内心で考えながら、無惨様の方へと足を運べば、彼は近づいてきた私の手を取り、そのまま私に与えられているお部屋の方へと連れて行かれる。
「ふむ・・・・・・これがいいかもしれぬな。これに着替えろ。少しばかり出かけるぞ。」
「お出かけですか?」
「ああ。お前は人間である以上、しっかりとした食事を取らなくてはならないからな。今回はそれに関係するものだ。」
食事関係でお出かけとは・・・・・・と少しだけ疑問に思いながらも、無惨様から手渡された衣服へと手を伸ばす。
それは、無惨様がわざわざ職人を呼び寄せて、私に合わせて作らせた着物だった。
かなりいい生地が使われており、着心地が良いそれは、無惨様が商談する中でもゆっくりできる程で、最初のうちは、とんでもないものを仕立てられてしまったと思ってしまうほどだった。
「無惨様。着替えましたよ。」
う〜ん・・・・・・流石はカモフラージュとは言え、しっかりと商家の頭をされて、仕事をこなしている無惨様・・・・・・なんて思いながらも、いつの間にか一人になっていた自室で着物に着替え、無惨様の気配を感じ取れる方角へと声をかければ、彼はすぐに部屋の中へと入り、しばらくの間、私のことを見つめる。
そして、満足したように小さく頷いたのち、彼は私の前髪を少しだけ横に流し、手慣れた様子で元結を使って髪を止めた。
鏡の中に映り込む私の髪は、どことなく某運命の物語に出てくる初代ヒロインたる清純だけど闇堕ちしたりもするヒロインのような髪型になっていた。
「鳴女。先程説明した場所へ、私とうさぎを飛ばせ。」
「かしこまりました。」
先輩って言いそうだな・・・・・・なんて変なことを考えながら、鏡に映る自分を見つめていると、無惨様が鳴女さんに声をかける。
先程説明した場所とは・・・・・・と疑問を脳裏に浮かべて無惨様へと視線を向けるが、辺りに響く琵琶の音により、その疑問をぶつけることなく、どこかへと私たちは飛ばされる。
最初に視界に映り込んだのはどこかの路地裏。
人があまりいないその場所で、辺りを見渡していると、無惨様に手を引かれる。
手を引かれるがままに足を動かせば、路地裏の外に出てみれば、そこはどこかの街で、夜であるにも関わらず、人が多く往来していた。
「ここは・・・・・・どこかの街のようですが・・・・・・」
「ああ。東京から離れた地域だ。個室を探すのに、なかなか苦労したが、こちらの方には、個室が用意されている料亭がいくつかあるため、足を運んだ。」
「なるほど・・・・・・」
まぁ、無惨様は鬼だから、人が沢山いる場所は難しいもんな・・・・・・なんて思いながらも、辺りをキョロキョロと見渡していると、無惨様に再び手を引かれる。
従うようにして歩みを進めれば、無惨様は近くにいた人力車の側に立つおじさんに声をかけ、いくつか言葉を交わした。
「では、そこまでお願いします。かぐや。乗りなさい。」
「はい、お父様。」
どうやら、行き先となる場所をおじさんに話していたようだ。
無惨様から話を聞かされたおじさんは、すぐに承諾の言葉を口にして、それを確認した無惨様は、私に人力車の席に座るように指示をする。
外用の養父モードの無惨様に、私はすぐに、養子として引き取られた娘としての言葉遣いを使用し、人力車に近寄る。
その瞬間、無惨様が静かにこちらに手を差し伸べてきたため、彼の手を借りながら人力車に乗り込めば、無惨様もそれに続くようにして、人力車に乗り込んだ。
「では、お願いします。」
どちらもしっかりと席に座り、無惨様から告げられるゴーサイン。
彼の言葉を聞いた人力車のおじさんは、すぐに気前のいい返事を口にして、人力車を動かし始めた。
一体、どこに向かう予定なのだろうかと首を傾げながらも、人力車の席の上で揺られる。
しばらくの間、人力車に揺られていると、一つの料亭と思わしきお店にたどり着いた。
止まった人力車の上から、地面に降りた無惨様は、私の方へと手を差し伸べ、私を降りやすくしてくれた。
彼の手を借りて、地面に降り立てば、無惨様は人力車の人にお金を手渡した後、私を料亭の方へと連れていく。
「ようこそおいでくださいました。」
「お出迎えありがとうございます。電報で個室の予約をした者ですが・・・・・・」
「お名前をお伺いできますか?すぐに確認してまいります。」
料亭内に足を運んだ無惨様が、外用の顔で受付の人と言葉を交わし、電報で先に部屋を使わせて欲しいと連絡した者だと告げれば、受付の人はすぐに確認を行った。
それにより、無惨様が予約した人であると確認できたようで、スムーズに個室へと案内された。
「予約いただいた懐石をご用意してまいります。」
「ええ。お願いします。」
なんか、めちゃくちゃお高級そうな料亭に連れてこられた・・・・・・と困惑しながらも、その部屋にある席に腰をかければ、無惨様も同じく部屋にある席に腰をかけ、料亭の方と穏やかに会話をする。
今、懐石って言わなかった?と一瞬考えてしまったが、無惨様に引き取られてから、豪華な食事ばかり摂らされていたことから、今更か、と内心で呟いた。
「・・・・・・えっと・・・・・・お父様。なぜ、本日は外食になったのでしょうか?」
料亭の人が部屋を立ち去り、しばらくの間無言になった私は、先程の人の気配が明確に遠くへと移動したことを確認したのち、無惨様に声をかける。
すると、無惨様は先程までの穏やかな笑みを消し、普段の無惨様へと戻った。
「いつもお前に食事を作らせていた人間が体調を崩してな。料理人は他にもいたのだが、お前用の食事を手早く作れるのはその人間しかおらず、それならばと外食を選択したのだ。」
「なるほど。それで外食になったのですね・・・・・・。」
家の中では人当たりのいい主人をしているからパワハラはしていないはず・・・・・・そのため、無惨様が何かをして体調を崩したなんてことはないと思うが、まぁ、私の料理を作ってくれていた人は、そこそこ年齢が上の方ではあるため、ガタが来てもおかしくはないのだろう。
そんなことを思いながら、料亭の個室でゆっくりと過ごす。
のちに運ばれてきた食事は、私はしっかりと食べさせてもらった。
無惨様も怪しまれないように食べていたけど、どうやら、あまり味がしなかったようで、常に顰めっ面をしていた。
うさぎ
珍しく外食に連れ出された稀血の白うさぎ。
目の前で無惨も同じ食事をしていたが、彼の表情からあまり美味しくなかったんだな、と苦笑いをこぼした。
鬼舞辻無惨
うさぎに食事を作る人間が体調を崩したため、外食に連れ出したが、自身も食べざるを得なくて出されたものを口にした鬼の始祖。
時折、うさぎが言っていた人肉の料理を口にするようになったため、多少なりとも味はわかるようになったが、やはり獣や魚はあまり美味しくないな・・・・・・と顔を顰めた。
①「謎の助言者ムーブで鬼殺隊を救済しながら、基本は単独で動く鬼殺隊うさぎ」と②「神出鬼没に鬼殺隊の前に現れ、甘味を食べたり、呑気に過ごしながら謎の助言者ムーブで鬼殺隊を助ける部外者うさぎ」どちらの話を見てみたいですか?
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①の助言者な単独行動する鬼殺隊うさぎ
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②の神出鬼没に現れる部外者な助言うさぎ
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どちらも読みたいから本編とifで見たい