その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「そっかぁ・・・・・・義勇たちもなかなか大変なことになってるね」
「まぁ、この道に行くと決めた時点で、これくらいは覚悟の上だったがな」
「そうだな。それに、俺も義勇も、目の前で家族を失っている。だから、少しでも、俺たちのように、誰かを失う人を減らしたいんだ」
岩の上に座り込み、私は義勇と錆兎の二人と話をしていた。
それにより、現在の鬼殺隊の状況を聞くことができた。
どうやら、今の鬼殺隊は、度々複数の隊士が殉職しており、少しだけ人数が減ってしまっているようだ。
なんでも、力のある存在が度々姿を現し、そのまま鬼殺隊の命を奪っているのだとか。
他にも、その場では死体がなかったため、生きていると思われるが、行方知れずとなっている者もいるようで、かなり大変なことになっているらしい。
その話を聞いて、私は労うように言葉をかけつつも、内心で、まぁ、私のせいなんだけど、と考える。
なぜなら、鬼殺隊がうろつく場所を、度々私は無惨様へと教えている。その度に無惨様は、時折そこへと上弦や下弦を送り込み、そのまま鬼殺隊を亡き者へと変えている。
時には、命乞いをする者もいて、それを見た上弦が、鬼側へと勧誘することもあり、そのまま血を通して無惨様が選別し、鬼に変える者と殺す者を決めている。
そりゃ鬼殺隊も減っていく、と肩をすくめそうになったが、なんとかそこは堪えて、私は二人の話を聞いていた。
「俺たちが追う存在は、無意味に人間の命を奪う」
「それは、一般人も例外ではなく、むしろ一般人の方が狙われやすい傾向にある。だから、うさぎも気をつけた方がいいぞ」
「特に、夕暮れから夜にかけては絶対に外に出るな」
「そいつらに出会ったら最後、お前も死ぬ可能性が高いからな」
真剣な様子で、私に夜には外に出るなと忠告してくる義勇と錆兎。
二人の周囲には、純粋な心配の光が揺らいでおり、私のことを心から気遣っているのかよく分かった。
「教えてくれてありがとう、義勇。錆兎。うん。二人の言う通り、夜は外に出ないようにするよ。まぁ、基本的に外に出ることはないんだけどね」
必ず無惨様か黒死牟たちに連れて帰られるし・・・・・・なんて内心で口にすることなどできないことを考えながらも、穏やかに笑いながら二人に言葉を返せば、二人は少しだけ安心したような表情を見せた後、仲良く座っていた岩の上から飛び降りた。
「俺たちはそろそろ行く」
「気をつけろよ、うさぎ。絶対に、夜は外に出るなよ。まぁ、中には家の中まで襲ってくる奴もいるかも知れないが・・・・・・」
錆兎が渋い顔をしながら口にした言葉に、私は少しだけ無言になる。
だけど、すぐに小さく笑いながら、二人に向かって静かに手を振った。
「まぁ、絶対とは言い切れないけど、大丈夫だよ。私は、結構すごい人の娘だからね」
「すごい人の・・・・・・」
「娘・・・・・・?」
穏やかな声音で口にした言葉に、錆兎と義勇は首を傾げる。
まぁ、そんな反応になるよねと思いながらも、私は小さく頷き返し、ゆっくりと口を開く。
「うん。どんな怪物がやってきても、絶対に私を襲わせたりしないすごい人の娘。血は繋がっていないけど、誰よりもすごい私のお父さんだよ」
笑顔で誰よりもすごい人が私を守ってくれるから大丈夫だと口にすると、義勇と錆兎は一度顔を見合わせたあと、その場で小さく笑みを浮かべた。
「そうか」
「そこまでうさぎが信じてる人がいるんだな。それなら安心だ」
私の言葉が真実であると分かったのか、二人は小さく頷いた後、その場で手を振って立ち去って行った。
二人の先導をするように、二羽のカラスが漆黒の翼をはためかせて移動する。
聞こえる声は「南南東!!南南東!!」「東ノホウジャ・・・」「違ェヨジジイ!!南南東ダッツッテンダロ!!!!」と言うなんとも言えない会話だった。
あ、義勇はやっぱり原作通りお爺ちゃんカラスなんだね・・・・・・と思わず苦笑いをしながらも、錆兎のカラスがしっかり者だから大丈夫そうだな、なんて小さく笑いながら、私は自身が座っていた岩場から飛び降りた。
そして、腕に抱えていた叢雲を、私の頭の上へと移動させたのち、太陽がだいぶ沈んだことを確認する。
「こんなところにいたのか、うさぎ」
「あ、無惨様」
そろそろ鬼の誰かが迎えにくる頃だなと思っていると、背後から地面を踏み締める音と、聞き慣れた関俊彦ボイスが聞こえてくる。
今日は無惨様がお迎えに来てくれる日だったのか、と少しだけ驚きながらも、すぐに彼の元へと歩み寄れば、私を見つめる紅梅色の瞳と目が合った。
「全く・・・・・・この場は涼しいとは言え、夏場であるにもかかわらずのんびりするな。羽虫に食われても知らんぞ」
「羽虫て・・・・・・いやまぁ、確かに蚊は羽虫ですけどね・・・・・・」
思わず苦笑いをこぼしながらも、無惨様の元に寄れば、彼はすぐに私の腕を掴み、水辺のあるこの場からさっさと立ち去る。
鬼の始祖に腕を掴まれるなど、骨が折れそうだと思われるが、無惨様は、私のことを無造作につかんだり、雑に扱ったりはしないため、その心配は全くと言っていいほどにしていなかった。
「報告をしろ」
「はい。“青い彼岸花”は未だ見つからずですが、先程、鬼狩り側の人間と少しだけ話しました。
まぁ、流石に直接産屋敷のことを聞くことはできませんでしたが、現状をいくつか教えてくれましたよ」
「ほう?どのような現状だ?」
「鬼狩りの現状は、少しずつ戦力が削れているようです。無惨様が行っている、鬼狩りが現れる場所へと十二鬼月や、強力な鬼を送り込むと言う策は、しっかりと効いているようですね」
「ふん、当然のことだ。鬼狩り共がいるのであれば、その通り道を潰せばいいのだからな。
まぁ、少々こちら側も増えつつあるが、どちらにせよ鬼狩りは削れるであろうな」
義勇たちと交わした言葉の中で把握することができた鬼殺隊の現状を伝えれば、無惨様はピシャリと当たり前のことを言うなと告げながらも、彼は近くにあった洞窟の中へと移動する。
同時に、辺りに琵琶の音が響き渡り、景色は無限城へと塗り替えられた。
「だが、この策はお前の目があるからこそできることでもある。褒めてやろう」
「ありがとうございます、無惨様。少しでもお役に立てているようであれば、何よりです」
無限城に戻るなり、無惨様から口にされた褒め言葉に、小さく笑いながら言葉を返せば、彼は一度だけ私に目を向けた後、緩やかな手つきで頭を撫でてきた。
彼の周りを揺らぐのは、穏やかなオレンジの光。彼が、一番落ち着いている状態の色合いだ。
その中に混ざるほのかな薄紅色の光は、妓夫太郎さんが堕姫ちゃんをみてる時に揺らぐそれと同じもので、わずかながらに、彼の中に優しさがあることがわかった。
あの無惨様が優しさを持つなんて・・・・・・と一瞬だけ考えるが、その優しさはわずかな間だけ揺らぐものであり、すぐにいつものオレンジ色の光へと塗りつぶされて霧散する。
「・・・・・・お前が出会した鬼狩りはたまたまだったのか、それともあそこは常に鬼狩りが通るのか、そこはまだ把握できんな。
少しだけ、そこにしばらくの間鬼を配置しておくか。最近増やした鬼狩りだった鬼ならば、多少なりとも使えるだろう」
それくらいしか役に立たぬがな・・・・・・と吐き捨てるように口にする無惨様。
どうやら、鬼狩り上がりの鬼は、何人かいるようだけど、そこまで期待できるような力は持ち合わせていなかったようだ。
「うさぎ。食事を摂る前に汗を流してこい。そして私の元へ足を運べ。食事に関しては、鳴女に作らせておく。
作り方に関しては、書かれているものがある故、叢雲とお前の血をまずは採血する」
「承知しました」
そんなことを感がながらも、無惨様から出された指示に従うために頷けば、無惨様は小さく頷く。
しかし、ふと、何かを思い出したような表情をしては、叢雲へと視線を向けた。
「鬼狩りに会ったと言っていたが、叢雲が鬼であると気付かれなかったのか?」
紡がれた言葉に、私は何度か瞬きをした後、そう言えば・・・・・・と言わんばかりに叢雲を見る。
義勇と錆兎がいた時、普通に叢雲も一緒に過ごしていて、二人の前に姿を現したにも関わらず、この子は鬼と気付かれていなかった。
幻術が強いだけかと思ったが、よくよく考えれば、義勇は原作で柱に塗るレベルの剣士で、錆兎は生きていたら水柱になっていたかもしれないと義勇から思われていた存在・・・・・・そんな二人が、血鬼術如きで鬼と気付かないものだろうか?
「・・・・・・そう言えば、気付かれていませんでしたね。叢雲をただの白ウサギだと思っているようでした」
少しだけ考え込んだのち、気付かれなかったことを無惨様に告げれば、彼はふむ・・・・・・と小さく言葉を紡ぎ、再び叢雲を見据える。
「・・・・・・私の血と細胞、そして呪い自体は機能しているため、鬼であることに間違いはないのだが、鬼狩り共に気付かれなかったとはな」
何かしらの変化が起こっている可能性は否めなさそうだ、と小さく呟く無惨様に同意するように、私はその場で小さく頷く。
もし、叢雲に何かしらの変化があるのだとしたら、無惨様の悲願を叶えるための力になるかもしれない。
「・・・・・・うさぎ。今宵は少しばかり普段より遅くに寝ることになるが、構わぬな?」
「はい、無惨様。叢雲のことを、少しだけ詳しく調べるのですね?」
「ああ。変化がなければそれまでだが、鬼狩り共に気付かれなかったことには引っ掛かりを覚える。うさぎが持つ稀血により分解されたのか、それとも変化が起こったからなのか、もしくはその鬼狩り共が気付けないだけの阿呆だったのか知る必要がある」
無惨様のやりたいことを聞き、再び承諾するために頷き返せば、彼はすぐに鳴女さんへと視線を向ける。
「鳴女。うさぎの食事を作っておけ。それと、うさぎは浴室の方へ送り込め」
「かしこまりました」
無惨様からの言葉を聞き、鳴女さんが琵琶を鳴らせば、そのまま私と叢雲は浴室の脱衣所へと移動させられる。
誰もいなくなった部屋にポツン、叢雲と私だけにされる中、私は静かに叢雲へと目を向けた。
「・・・・・・ってことで、今日はちょっと頑張ろっか、叢雲」
話を聞いていたであろう叢雲に、無惨様の研究に協力するために、今日は少しだけ頑張ろうと告げる。
私の言葉を聞いた叢雲が、「ブゥッ!!」と一言文句を言ってきたのは言うまでもない。
うさぎ
水流たちよりちゃっかりと鬼殺隊側の話を聞いていた鬼の始祖の養子たる稀血の白うさぎ。
自分のせいで鬼殺隊の戦力を削減させちゃったんだけど、うん、仕方ないよね・・・・・・?
水流少年たち
再開した白ウサギと話をした水一門の二人組。
まさか、彼女が言っていた、怪物の手を出させないくらいすごいお父さんが、鬼の始祖だとは思わず、何も知らないままお話しした。
うさぎを裕福なお家の一般人だと思ってる
叢雲
引っ掛かりを覚えた無惨により研究されることが決まり、不満たらたらなウサギ鬼。
味方してくれないの!?なんで!?とうさぎに訴えかけるが、彼女を傷つけることはしない
鬼舞辻無惨
本日のお迎え係だった鬼の始祖。
しれっと鬼狩りから情報を引っこ抜いてきた義娘に、よくやったと思いながらも、産屋敷の話を聞き出すのはやはり難しかったかと考える。
本人は気づいていないが、うさぎに対しては優しさを少しだけ持っている。
①「謎の助言者ムーブで鬼殺隊を救済しながら、基本は単独で動く鬼殺隊うさぎ」と②「神出鬼没に鬼殺隊の前に現れ、甘味を食べたり、呑気に過ごしながら謎の助言者ムーブで鬼殺隊を助ける部外者うさぎ」どちらの話を見てみたいですか?
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①の助言者な単独行動する鬼殺隊うさぎ
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②の神出鬼没に現れる部外者な助言うさぎ
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どちらも読みたいから本編とifで見たい