その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する 作:時長凜祢@二次創作主力垢
無惨様により、上弦の壱である黒死牟と出会した翌日。無惨様から試しに明日一日は二人で過ごしてみろと言う命令を受け、私は黒死牟に預けられた。
食事に関しては、いつも通り無惨様が持って来てくれるが、それ以外は黒死牟と二人で過ごす形となる。
「・・・・・・まさか・・・稀血の娘が・・・無惨様に飼われていたとはな・・・。」
「飼われていたって私は犬猫か何かですか。まぁ、見ての通りの容貌な上、稀血の中でも無惨様の天敵とも言える稀血を持ち合わせて生まれてしまった私も私ですけど。」
そんなこんなで始まった、うさぎの世話係一日体験コースの黒死牟。
彼の周りに揺らぐ光は、灰色で不規則。完全に困惑中を意味するものとなっている。
おそらく、私と言う子供の相手をしなくてはならないことや、無惨様が興味本位でアルビノ稀血娘を拾ってお世話していたことに関して、どうなっているんだ我が主と言いたいのだろう。
「子供の世話など・・・何百年振りか・・・。」
「無惨様も相当長生きをしていらっしゃるようですけど、黒死牟もかなり長生きなんですね。」
「ああ・・・。戦国の世から・・・私は生きているからな・・・」
「戦国ですか。確か、今は明治だから・・・・・・」
「およそ、三百年程だな・・・。」
「鬼って本当に長生きするんですねぇ・・・・・・」
「日の光を浴びたり・・・頚を特殊な刀で斬られたりしない限り・・・鬼は生きるからな・・・」
だが、困惑はしていれど、普通に私には話しかけてくるらしい。
物珍しさがあるからか、それとも、なるべく目を離すなと無惨様に言われているのか、無言で過ごすと言うことはしないようだ。
「黒死牟は、刀を持ってるんですね。」
「ああ・・・。幼い頃から・・・ずっと扱い続けているからな・・・。鬼となっている以上・・・筋力等は強靭なものとなっているが・・・扱い慣れている物を使う方が・・・やはりやりやすい物だ・・・」
冷静に分析しながらも、この人は無惨様程気難しい性格をしていないからいくらでも言葉を交わせると考えて言葉を紡ぐ。
無惨様は歩く地雷原だからね。常に感情を読み続けないと、どこでドッカーンッ!!するかわからないから。
「うさぎ・・・と言ったな・・・」
「はい。稀血のうさぎですよ。」
「私は・・・しばし鍛錬に励む故・・・少し距離を取っておくように・・・」
「わかりました。どこら辺にいたらいいですか?」
「そうだな・・・」
そこまで言葉を口にすると、黒死牟はひょいっと私を片手で抱き上げる。
無惨様も片手で抱っこしてくることがあるが、この人、かなりの背丈がある上、鍛えていたりもするせいか、物凄く安定しているんだけど。
「ここに座っておけ・・・」
「はい、わかりました。」
そんなことを思っていると、黒死牟が先程の位置からそれなりに離れた場所に座らせた。
・・・・・・元から、私の面倒を見ながら鍛錬をするつもりだったのか、どこからか用意されていた座布団の上に座らされているけど、気にしないでおこう。
私がちゃんと座布団の上に座ったのを確認した黒死牟は、先程までいた場所に戻り、腰にある鞘の中から刀を抜刀し、そのまま鍛錬に入り始めた。
光の色は、赤色に濃いオレンジと金色が混ざっており、ピンとどこか張り詰めている。
刀を振る時に、光は膨れ上がり、構えてるだけに戻ると、光も落ち着きを取り戻す。
─────・・・・・・これが、刀を振ってる時・・・・・・攻撃を放つ時の光と色か。
静かにそれを見つめながら、戦闘時がどのような状態の光を発するのかを学ぶ。
鍛錬と言う状況から、防御時がどのような色合いになるかまではわからないが、攻撃時はある程度把握することができそうだ。
・・・・・・それはそれとして・・・・・・
─────・・・・・・こう言ったらあれだけど、鬼上の刀、やっぱちょっと見た目気持ち悪いな・・・・・・?
不気味さがかなり際立つ刀を見て、原作を読んだ時も思っていたことを考える。
原作内では不死川さんが言っていただけで、何となくわかると言った感じだったけど、実際に見てみると、確かに気持ち悪い。
なんか、ちょっとギョロギョロし過ぎているというかなんと言うか・・・・・・。
確か、自分の血と骨から作り出してるんだっけ?刀まで作れてしまうとか、鬼の血って本当、何なんだろう・・・・・・。
「・・・気になるか・・・?」
なんてことを考えていると、黒死牟が私に話しかけてくる。
少しばかり見つめ過ぎてしまったようだ。集中力を削いでしまったようで申し訳ない。
「すみません。刀なんて実際には見たことなかったので。まぁ、黒死牟が持ってるそれは、かなり独特な物のようですが。」
程良い灯りのおかげで、真っ暗闇の中や、眩しい場所のように視界が機能しない状態に陥っていないため、見ることができた黒死牟の刀に、自分が考えていたことを伏せながらも、初めて刀を見たからと口にすれば、彼は少しだけ考え込むような様子を見せたのち、私の方に近寄って来た。
「・・・持ってみるか・・・?」
「え?確かに、触れるのであれば触ってみたいですけど、それ、人間が触っても問題ない奴です?」
「案ずるな・・・。お前でも・・・持つことができるものも作れる・・・」
言い切ると同時に、黒死牟はその場で一振りの刀を作り上げる。
彼が持ち合わせている刀とは違い、目がキョロギョロとしていない通常の刀だった。
完成した刀を少しだけ見つめた黒死牟は、座り込む私を片手だけで引き上げ、立ち上がらせたあと、私の背後に立ち、刀の柄の部分を私の方に向けた。
「違う・・・。手の位置が・・・逆だ・・・。」
「こうですか?」
「ああ・・・。離すぞ・・・」
私が刀の柄を握りしめたのを見て、黒死牟はそっと手を離す。
その瞬間、かなりの重みが手に伝わる。
「うわ・・・・・・結構、刀って重いんですね。」
「確かに・・・幼子のお前には・・・少々重いやも知れぬな・・・。」
前世でも握ったことがない刀・・・・・・展示品で、たまに刀はこんな感じだったんだと持たせてくれる資料館などがあったりしたが、結局行くことなく命を落としたため、前世と今世を合わせて初めて触った刀に、少しだけ驚いていると、黒死牟は、私の反応に対して予想通りだとでも言うように言葉を紡いだ。
「戦国の人は、これを使って戦っていたんですよね?やっぱ筋力すごいなぁ・・・・・・」
「戦国の世ならば・・・当然のことだ・・・。中には・・・これよりも大きさがある太刀を使う者もいた・・・。
槍を扱う者・・・馬上戦闘を行う者・・・様々な武士がいた・・・。命を取るか・・・取られるかの戦場は・・・集中力も高まるものだ・・・。」
「わー・・・経験者が言うと全然重みが違〜う・・・」
戦などとは無縁な時代を過ごしていた私と、戦場真っ只中を走り抜けた黒死牟。
経験者は語るとよく言うが、話を聞いているだけでもかなりお腹いっぱいになりそうな内容に、引き攣った笑みを浮かべてしまう。
・・・・・・うん。
「・・・・・・戦の世真っ只中に生まれなくてよかったです・・・・・・。今も割とあれな場所で暮らしているような気がしてなりませんが・・・・・・。」
「それは・・・仕方なきことだ・・・。お前は・・・かなり特異な生まれをしてしまっているからな・・・。」
「それはわかってますよ・・・・・・。」
黒死牟からの冷静なツッコミに対して、軽く拗ねながらも言葉を紡いでいると、ジッと彼からガン見される。
六つの目が全てこっちに向けられているのはなかなかに恐怖があると言うか、ゾワっとしてしまうと言うか・・・・・・。
「な、何ですか?」
「いや・・・お前は・・・思っていたよりも・・・表情が豊かだったのだな・・・」
・・・・・・あ、無惨様を相手にしている時、基本的に気を遣ってあまり表情で感情を伝えていないの忘れてた。
「え〜っと・・・・・・」
「・・・・・・随分と楽しげだな、うさぎ?」
「びゃあ!!?」
何て答えればいいか考えていると、すぐ目の前からねっとり関俊彦ボイスが聞こえて来てしまい、体が跳ねる。
黒死牟に向けていた視線を壊れたブリキの如きぎこちなさで声の方へと向けてみれば、かなり不機嫌な様子の無惨様の姿があった。
「む、無惨様・・・・・・い、いつのまに・・・・・・?」
「つい先程だ。ちょうど昼時だったのでな。それで?私の質問に対する答えはなしか?」
明らかにイライラマックスの無惨様の姿を見て、あわわわわと焦りを浮かべる。
しかし、すぐにその場で目を瞑ったのち、ゆっくりと息を吐く。
「す、すみません・・・・・・刀なんて珍しいものを見ることがなかったので、はしゃいでしまいました・・・・・・」
うん、あながち間違いではない。だって本当に刀なんて初めてリアルで見たし、持たせてもらったりもしたのだから。
まぁ、まさか、ガン見していたら刀を持たせてくれるとは思わなかった、うん。仕方ないよね・・・・・・?
私の言葉を聞いて、無惨様はしばらくの間、こちらの方を見つめてくる。
突き刺さる視線に冷や汗をかきそうになりながらも、恐る恐る見上げてみれば、彼の赤い瞳に自身の視線が重なった。
「・・・・・・黒死牟。なぜうさぎに刀を持たせた?」
「申し訳ありません・・・。うさぎが・・・好奇心からか・・・私の刀を見つめていたため・・・少しばかり・・・持たせておりました・・・。」
無惨様の問いかけに、黒死牟が素直に状況を説明すれば、無惨様はしばらく彼を見つめたのち、その場で深く溜め息を吐いた。
そして、私の方へと視線を向けて来る。今の彼がまとう光は、赤と緑と青紫が入り混じるモヤモヤ。
正直言って、今の私には彼のその感情が何から来たものかわからない。
赤色が混ざっていることから、多分、わずかな苛立ちはあるんだろうと言うことくらいしか。
「・・・・・・お前の匂いのせいで調子が狂う。」
「えーっと・・・・・・申し訳ありません・・・・・・?」
「疑問を浮かべながら謝罪するくらいなら謝罪を口にするな。」
「あ、はい。」
お咎め無し・・・・・・と少しだけ思いながらも無惨様を見つめていると、彼は一度私に視線を向けたのち、手にしていた握り飯を私に差し出してくる。
それを静かに受け取れば、無惨様はさっさと踵を返してしまった。
「夕方には戻る。」
「わかりました・・・」
そして、一言それだけを言って、目の前から姿を消す。
・・・・・・まぁ、十中八九鳴女さんが琵琶で移動させたんだろうけど。
「・・・・・・無惨様に少しだけ怒られてしまいました。」
「そうだな・・・」
それを見送った私と黒死牟は、短く言葉を紡いだのち、それぞれの行動に移った。
私は握り飯を食べ、黒死牟は、私の手元から刀を回収したのち、自分の鍛錬に戻っていく。
無惨様が向けて来た、先程の感情が、何から来たものであるかわかったのは、かなり先の話である。
うさぎ
攻撃時の光を確認しようとしていたら、あまりにもガン見してしまったせいで黒死牟に刀が気になるのかと聞かれた稀血ウサギな少女。
刀は握ってみたかったため、黒死牟が作った普通の刀(目がぎょろっとしてない刀)を握らせてもらっていたら、無惨様に怒られた。
基本的に前世の経験則に基づいた感情を色と光で識別しているため、向けられたことがない、もしくは向けたことがない感情に関しては、わからない状態にある。
【挿絵表示】
うさぎイメージ
黒死牟
一日うさぎのお世話掛をやらされていた上弦の壱。
自身の主人である無惨に臆することなく話しかけるが、ぽやっとした表情のままだったため、感情が少ないのかと思っていたが、思ったより表情豊かな少女だったため、かなり驚いた。
鍛錬中、何やらガン見されていたため、刀が気になるのか聞いたところ、気になると言われたこともあり、刀を持たせていたところ、はしゃぐうさぎに苛立つ主人が現れたため、大人しくした。
鬼舞辻無惨
黒死牟にうさぎを預けながらも、彼の目を通してうさぎの様子を見ていた鬼の始祖。
最初は黒死牟がうさぎに妙なことはしないかと見張っていたのだが、やけに親しげに話していたのでなんかイラッとしたため、うさぎの前に現れたら、うさぎに思い切りビビられた。
面白くないと思いながら、イライラをぶつけようとしていたが、彼女の稀血の匂いに苛立ちが削がれ、調子が狂うと呆れながらも、持って来た握り飯を彼女に渡した。