その稀血うさぎは鬼との生活を謳歌する 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「うさぎ様。起床時間です。」
「ん・・・・・・ふあ・・・・・・ん〜・・・・・・おはよ〜・・・・・・鳴女〜・・・・・・」
「はい。おはようございます。」
意識が軽く浮上する中、穏やかに聞こえてきた鳴女さんの声。
無惨様から、「私以外に敬称をつける必要はない」と言われているため、内心では「さん」付けをしながらも、口からは呼び捨てを紡ぎながら目を覚ませば、無限城に明かりが灯る。
鬼は日の光を浴びることができない・・・・・・そのデメリットゆえか、この城は日中も明かり頼り。
無惨様と外にいる時も、基本的には日の光が差す場所にはいないため、結構長く日の光を見ていないような気がする。
「洗顔用の水などはすでに用意してあります。」
「ん〜・・・・・・ありがとうございま〜す。」
「・・・・・・まだ、少しだけ眠たげですね。」
「まぁ、確かに、まだちょっぴり目はしょぼしょぼしますね・・・・・・」
鳴女さんと他愛もない会話を行いながら、用意された洗顔用の水で顔を洗う。
・・・・・・度々思うけど、この水って一体どっから持ってきているのだろうか?どこかに綺麗な湧き水とか井戸水があるのかな?
まぁ、明治時代って、歴史から見ても、まともなライフラインってまだそこまで普及してなかったはずだから、多分、湧き水か井戸水なんだろう。
「無惨様は、あちらの部屋にいらっしゃいます。」
「わかりました。」
そんなことを思いながら、手ぬぐいで顔を拭いていると、鳴女さんから無惨様がどこにいるのかを教えてもらえた。
起きたら簪と結い紐を持って来いと言っていたし、多分、また髪を結ってくれるのだろう。
違ったらあれだけど、簪と紐を持って来いって言ってたから、ほぼ間違いないと思うんだけどね・・・・・・。
「無惨様。うさぎです。お部屋に入っても構いませんか?」
「ああ。入れ。」
「は〜い。失礼しま・・・・・・おおう・・・・・・?」
そんなことを思いながら、鳴女さんに言われた部屋の中へと足を運べば、ちょうど無惨様が人肉をバリムシャしてる状況にあったため、思わず間抜けな声を出してしまう。
え?この人、いつもならお食事済ませてるじゃん・・・・・・。何で今日はバリムシャしてるタイミングなんだよ・・・・・・。
「・・・・・・何だ?」
「いや、何だって・・・・・・目の前で人肉をモサモサと貪ってる美丈夫いたら誰だって驚くでしょうに・・・・・・。
いつもならば、すでに食べ終わっていたと思うのですが?」
「ああ、これか。少し、戻るのが遅くなったのでな。ちょうど空腹を満たしていたところだ。」
「はぁ・・・・・・。無惨様でも普段より遅くなってしまうことってあるんですね。てっきり、時間厳守をしっかりする方かと・・・・・・。」
「基本的には決められた時間内だ。だが、予期せぬ事例も発生する。今回も、少しばかり人間に絡まれたのでな。」
「人間・・・・・・」
まさかの状況に、思わずドン引きしながら言葉を紡げば、今回はたまたま遅れてしまったのだと告げられた。
よく見ると、無惨様が食らっている人肉の持ち主は、黒い詰襟を着ているようで、もしやと思い少しだけ近寄る。
「・・・・・・何と言うか・・・・・・今の時代だと、少しばかり珍しい格好をしている人ですね、これ。」
「ああ。鬼殺隊と呼ばれる鬼狩りを行う人間だ。」
「鬼狩り・・・・・・ですか?」
「私をことごとく邪魔する羽虫だ。産屋敷と言う忌々しい人間が率いている。」
「なるほど・・・・・・」
無惨様が纏う光の色が、くすんだ緑と毒々しい紫が混ざったようなものとなり、どこか、粘性のある液体が流れているかのようなドロドロな歪みを見せる。
何度か瞬きを繰り返したのち、私は食われてしまっている名もなき鬼殺隊のモブに視線を戻した。
「・・・・・・随分と嫌っているようですね。何となく声音から察します。」
「当然だ。こやつらのような異常者に付き纏われて、心地良いわけがないであろう。」
緑と紫が混ざったドロドロの光に、禍々しく刺々しい赤の光が混ざり込む。
相当なお怒りモードの様子だと思いながら、私は無惨様の隣に座り込み、ぴとりと体を寄せる。
私の行動に、無惨様は驚いたように目を丸くするが、すぐに手を染めていた赤を皮膚から一瞬にして吸収し、私の体を抱き上げた。
そして、少し離れた位置にある座椅子・・・・・・普段、無惨様が座っていることがあるそこに、私の体は移動させられる。
「莫迦か貴様は。汚れるであろう。」
「は〜い。」
どうやら、私の服や髪が血で汚れないようにと移動させられたようだ。
この人にそんな配慮ができるなんて思っていなかったけど、意外にも気遣ってくれるらしい。
そんなことを思っていると、無惨様は再び目の前に転がっていたモブ隊士を貪り始める。
肉や筋を噛みちぎる音。硬い骨をボリボリと噛み砕く音。時折、憂さ晴らしでもするかのように、両の手でぶちぶちバキバキと腕やら足やらを引きちぎっている様子から、鬼殺隊が本当に嫌いなんだなと苦笑いをこぼしてしまう。
まぁ、無惨様曰く、鬼殺隊は異常者の集まり。そんな連中を相手にし続けてはならないことは、虫唾が走る程の不快なことなのだろう。
・・・・・・正直言って、全体的に無惨様が原因の種をばら撒いてるだけな気がするけど、この人にはこの人の事情があると言う読者の視点を持ち合わせていることもあり、一概に否定することもできないと言うか・・・・・・。
いや、生きるためとはいえ、かなりの厄災引き起こしてるけどさこの人・・・・・・。
「少しそこで大人しくしておけ。」
「わかりました、無惨様。」
もっと別の方法はなかったのかな・・・・・・と呆れやらなんやらの感情を抱きながら考えていると、少しだけ待つように無惨様に命じられる。
どうやら、私が思案している間に先程のモブ隊士を完食し終えたようで、目の前が血溜まりになっていた。
無惨様はと言うと、その血溜まりに手を触れ、最後まで血液を吸収している。
まぁ、人間の血肉が必要であるなら、最後まで吸収した方が効率はいいのだろう。
このモブ隊士がどれだけの強さを持ち合わせていたのかは知らないし、持ち合わせている力によっては、大して無惨様の力の糧になることもない。
所詮は空腹を満たすための肉塊に過ぎない程度なのかもしれないけど。
「フン・・・・・・大して力にならんな。」
とりあえず大人しくしとこう・・・・・・と座椅子に座りながらぽけっとしていると、先程まで広がっていたモブ隊士の残骸は完全に無惨様の中へと消えていた。
血痕一つ残さないとは・・・・・・て言うか、そんなに綺麗に全部消せるもんなんだ・・・・・・?
「・・・・・・何だ?」
「血液は消すのにかなり時間がかかると思っていたのですが、綺麗さっぱり消えたなと。」
「すぐに鳴女が血痕も消しているからな。」
「ああ、なるほど。そう言えば、このお城は全て、鳴女が持つ血鬼術により生み出されていると言う話でしたね。」
「そうだ。ゆえに、ある程度散らかろうがすぐに清掃される。」
多分、作り替えやら張り替えやらを一瞬にしているんだろうなと思っていると、無惨様がその場で立ち上がる。
「そこにいろ。」
そして、短く私にそれだけを言って、その場からさっさといなくなる。
何をしに行ったんだ?と首を傾げて待っていると、程なくして血塗れになっていた洋服から、汚れていない洋服へと変わった無惨様が戻ってきた。
あ、お着替えしに行ったんですね・・・・・・とまさかの行動に困惑していると、「うさぎ」と短く名前を呼ばれる。
「こちらへ来い。」
「はい、無惨様。」
自分の元へと来るように命じてきた無惨様の言葉に素直に頷いて歩み寄れば、彼は近寄ってきた私の腕を軽く引き、胡座をかいていた自身の足の間に座らせる。
ストンっと勢いよく座らせたことにびっくりして固まると、手元にあった簪と結い紐を取り上げられた。
同時に、昨日の夜同様に、白銀の髪へとスルスル手櫛を入れられる。
「・・・・・・昨夜も思ったが、お前の髪は多少癖があるな。」
「無惨様もかなりの癖毛では?」
自身が座らされている位置から把握することができた体の一部より、彼の機嫌を確認しながら、少しばかり踏み込んだ言葉を口にする。
黄色とオレンジが混ざった緩やかな光の揺らぎは、多少の踏み込み程度では、禍々しさや刺々しさを見せることはないようだ。
「生まれつきだ。」
「そうだったんですね。それだけ癖があると、雨の日とか結構大変そうな気がします。」
「否定はできんな。」
これくらいの軽口ならば許容されるのか・・・・・・と意外な感情の発見に、少しばかり力が抜ける。
う〜ん・・・・・・もう少し色々踏み込んでみたいところだけど、地雷原がそのまま人の形をして歩いているような人に対して行うには、あまりにもリスクが大き過ぎるかな・・・・・・?
そんなことを思っていると、髪をまとめ終えたらしい無惨様が、さすっと簪を挿し終える。
昨夜もらった手鏡を手に持ち、すぐに髪を確認すれば、真鍮のウサギが飛び跳ねる中、きらりと赤瑪瑙が光を弾く。
「ありがとうございます、無惨様!」
キラキラと輝く簪と、光を帯びて輝く白銀・・・・・・綺麗だと言う言葉しか出てこないそれを見て、私は笑顔でお礼を述べる。
すると、無惨様は私の頬へと静かに手を伸ばし、優しく包み込むように触れて来た。
「無惨様?」
少しだけ体温が低めの大きな手のひらに頬を包まれ、ちょっとひんやり・・・・・・なんて思いながら首を傾げれば、するりと親指が肌を撫ぜた。
急な感触にビックリしてしまい、体を軽く跳ねさせた私は、何度か瞬きを繰り返した。
「うさぎ。お前を最初に見つけたのは誰だ?」
不意に、無惨様から一つの問いかけを投げられる。
一瞬、その意図がわからず首を傾げそうになったが、視界に映り込む光の色と波長に、その行動はすぐに止められた。
─────・・・・・・あ、昨日、無惨様が見せていた色と同じ色・・・・・・。
視界に映り込んだ光は赤と緑と青紫が入り混じるモヤモヤ。わずかな苛立ちと、確かな嫌悪感を感じ取ることができる色だった。
これは、素直に無惨様の質問に答えた方が良さそうだ・・・・・・。
「もちろん、無惨様です。」
「そうだ。お前を見つけたのは私だ。では、お前の今の主人は誰だ?」
おっと、そう来たか・・・・・・と少しだけ遠い目をしてしまいそうになる。
昨日から、無惨様の様子がおかしいとは思っていたが、まさか、私の主人は誰かを問われるなんて思いもよらなかった。
とは言え、これももちろん答えは一つ。私の主人となっているのは・・・・・・
「無惨様ですね。私を引き取った方は、他でもないあなたですから。」
大金をはたいてまで私のことをクソ親父から引き取った無惨様以外の何者でもない。
質問の意図は、少しだけわからないけど、これだけは言える言葉だった。
「それを理解していながら、お前は何故、黒死牟や鳴女にも無条件に尻尾を振っている?お前は私の物であろう?」
その言葉により、私はハッとする。無惨様がまとう光・・・・・・それが、何の感情を意味する物であるのかを。
無惨様が抱いているのは、いわゆる嫉妬と呼ばれる感情だ。前世で生活していた時、自分自身、抱いたことはなかったけど、自身の姉がその感情を抱いている時があった。
܀ꕤ୭*
私が高校生で、姉が大学生だった頃。姉には好きな人がいた。その人は大学の中で、もっとも人気のある先輩の男性で、姉は本気で恋焦がれていた。
確か、誰よりも頭が良くて、運動神経も抜群なイケメンなんだと言っていた。
あの人が彼氏だったら、絶対に幸せになれる。絶対に素敵な家庭が築ける、そんなことを度々口にしていた。
“本当に、その人が好きなんだね”・・・・・・と恋する姉の姿を見て、小さく笑いながら伝えれば、姉は“もちろんよ!あの人はわたしの王子様なの!!”と、明るい笑顔で告げられた。
その時の記憶は、今でも鮮明に思い出せる。“王子様って”・・・・・・と、ドン引きした記憶ではあるけれど。
だからこそ、彼女が度々、その男性の周りに対して、狂気的な様子を見せていたことが記憶にあった。
怖すぎて、できれば目を逸らしたい物だった。でも、記憶の片隅にそれは焼き付いていた。
“どうして先輩にアンタみたいなのが近寄ってんのよ。その人はわたしの王子様なのよ!?”
“アンタみたいな女が釣り合うわけない!!先輩に釣り合うのはわたしなの!!”
“はぁ!?意味わかんない!!先輩に相応しいのはわたしなの!!何アンタみたいなのがブスが先輩の横にいんのよ!!”
友人と遊びに出かけていた時、たまたま見かけた姉さんは、すごい形相でその先輩と思わしき人と一緒に歩いていた女の子に対してそんな毒を吐いていた。
確か、その時に見えた先輩と思わしき人の隣には、私が通っていたクラスの女の子がいた。
その女の子は彼氏なんていないと言っていた。カッコいい兄がいるけど、その兄のスペックが高過ぎて、彼氏がショックを受けるのだとも。
その話からすると、姉さんが見たのは、私のクラスメイトと言うことになる。
いつだったか、イライラしていた姉さんの様子を見て、その話を持ち出したんだったか・・・・・・。
“姉さん、イライラしてるみたいだけど、何かあったの?”
“わたしの王子様に付きまとう泥棒猫がいたのよ!!”
“泥棒猫?”
“そうよ!!金髪の泥棒猫!!ハーフかしら?ギャルかしら?とにかく、むかつく女がいたの!!”
“それって、この女の子?”
“そうそいつ・・・・・・ってなんでアンタがそのブスを知ってんのよ!!”
“だってクラスメイトで友達だし・・・・・・。あと、この子だとしたら、姉さんの先輩の妹さん。”
“は?”
“だから、姉さんが好きな人の妹さん。スペックが高過ぎる兄のせいで、特に兄が何もしてないのに、彼氏が勝手にショックを受けていなくなっちゃうって嘆いてた妹さん。”
܀ꕤ୭*
・・・・・・あの時の静寂と気まずさは今でも覚えている。
まぁ、友人の女の子に危害が行かないようにするためには、適切な対応だったような気もする。
だって、あの時の姉は、嫌がらせを通り越した酷いことをしそうだったから。
そこまで考えながら、私は無惨様を見上げて口を開く。
明確な嫉妬・・・・・・それに触れないようにしながら。
「確かに私は無惨様の物です。ですが、無惨様が忙しい時、私の相手をしてくださるのは鳴女と黒死牟の二人ですからね。
ここで穏やかに、安全に過ごせるのはありがたいことですが、同時に少し寂しくもあります。
そんな私の話し相手をしてくださる鳴女と黒死牟の二人は、いわば、無惨様意外で寂しさをなくしてくれる安心できる二人ですから、その分、穏やかに笑えるのです。」
無惨様と話をすることも穏やかに過ごせる時間であることを遠回しに伝えながらも、鳴女さんと黒死牟の二人と穏やかに話せる相手であることを提示すれば、少しだけ無惨様がまとうモヤモヤとした光が薄くなる。
しかし、完全に消えることなく揺らいでる様子から、納得できないこともあるようだ。
「私と話すことに対して、そのように思っているのであれば、何故、お前はあまり表情を崩さない?
鳴女や黒死牟の前では、随分と楽しげに表情を崩しているようだが?」
その言葉を聞き、私は彼がイライラしている理由にようやく触れる。
無惨様が、まさか、私に対して嫉妬を向けて来るとは思わなかったため、戸惑いが強いのは否めないが、自分以外には表情を崩し、自分自身の前では表情を崩さずにいたと言う現状が気に食わないものだったらしい。
これ、本音を言ってもいいのかな・・・・・・?でも、本音を言わないと納得しなさそうだし・・・・・・。
「・・・・・・表情を崩さなかった理由をお伝えして、無惨様は怒りませんか?」
「・・・・・・内容によるな。」
そんなことを思いながら出した問いかけに、無惨様は少しだけ考え込んだのち、自身の怒りは内容次第だと返して来た。
そうだろうと思ったよ・・・・・・と、一瞬呆れそうになったが、なんとかそれは我慢して、私は静かに口を開く。
「・・・・・・怖かったんです。無惨様が。あなたは、どことなくいつも怒っているような・・・・・・苛立っているような雰囲気をまとっていました。
だから、もし、少しでも感情を表に出すように表情を崩したら、あなたの怒りを買ってしまいそうで、あまり表情を崩せませんでした。」
私が、無惨様の前で表情を崩さなかった理由・・・・・・それは、無惨様が怖かったから・・・・・・。
どう言うわけか、視界に映り込む人の感情を読み取れる能力を持ち合わせてしまった私は、常に無惨様の感情を把握することができた。
ほとんどの時を、赤と黒が混ざったかのような、刺々しさと禍々しさを揺らしていた彼の前で、表情を崩す程感情を見せたら、何が癇に障るかわからなかった。
原作でも、些細なことで癇癪を起こしてしまう程、精神的にマイナスの感情ばかりを持ち合わせていたから、余計に表情を崩すことに抵抗を抱いてしまっていたのである。
私が告げた言葉に、無惨様は一瞬驚いたように目を見開く。
しかし、すぐに私を見つめて無言になり、小さく溜め息を吐いた。
「そのようなくだらないことなど考えなくても良い。少なくとも私は、お前に対して一度も不快感を抱いた覚えはない。
むしろ、黒死牟や鳴女の前で感情を出される方が不愉快だ。お前は私の物だ。あやつらよりも、私の方に尻尾を振っていれば良い。」
無茶苦茶なことを言いなさる・・・・・・と少しだけ思ってしまったが、この人は自分優先の考えを持ち合わせている人だ。
一人の人間に、このような執着を見せるとは思わなかったけど、どうやら彼は、鬼舞辻無惨と言う存在を、私に優先させたいらしい。
「う〜ん・・・・・・それじゃあ、これからは遠慮なく感情を表に出しますが、怒らないでくださいね?」
そこまで言うかと苦笑いをこぼしつつも、無惨様の言葉を承諾すれば、ようやく彼は満足したようで、いつもの落ち着いた光をまとう。
人の感情が見えるようになって、私って強くね?と思ったりしていたが、まさか、それがこんな弊害を引き起こすことになろうとは・・・・・・。
とは言え、これからは遠慮なくと言った以上、表情を取り繕う必要はなくなった。
それならば、無惨様がいる時、特に仕事などしておらず、苛立ってもいない状況の中であれば、黒死牟や鳴女さんの前のように、なるべく自然体の私でいよう。
うさぎ
まさか、無惨様から拗ねられてしまった稀血の白ウサギ。
ちょっと姉がヤバ目な恋愛観を持ち合わせていたため、嫉妬はなんとなく知っていたが、自分がその矛先を向けられることになるなど予想できるはずがないだろと引き攣った笑みを浮かべる。
とは言え、これからは自然体でと約束した以上、遠慮なく自身の感情を表に出すことに決めた。
鬼舞辻無惨
黒死牟や鳴女の前では自然体でいたうさぎの姿がひたすら気に入らなかった鬼の始祖。
常に怒っているような雰囲気だったから感情を表に出すのが怖かったとうさぎから言われ、そこまで私は表に出ていたか?とかなり驚いてしまった。
とは言え、これからは自然体で過ごすようにすると約束させたので、とりあえずは満足することができた。