貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る   作:しば犬部隊

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16話 王宮にて――

 どうしてこうなった?

広場から直行で王宮に案内され、あっというまに豪華な貴賓室に連れてこられた。

 広い空間、テーブルに並べられた豪華な料理。

 

 そして、対面には――。

 

「「……」」

 

 

 

 第一王女様と第二王女様の2人が無言で、食事中。

 いきなり、王族との食事が始まっている……!?

 完璧なテーブルマナーで無言の食事を進める姉妹。

 なんだ、これ、何が起きているんだ……!?

 

「……か、簡素なものだが、お、王国料理を用意させた、口に合えば良いのだが」

 

 対面のソファに座る脚の長い煌びやかな美人。輝くような銀髪に、銀の目隠しの面をつけている。

 

 アネスタシア・ネイチア・ミリタルナ。

 

 時代を変える英傑にして、覇王。

 

「ど、どうぞ、ご遠慮なさらずお召し上がり下さい……」

 

 アネスタシアの背後を守るように立つ美少女。長いポニテは二房に分かれ、姉と同じ目隠しの面をつけている。

 ミア・ネイチア・ミリタルナ。

 救世主、そしていずれ覚醒する不死の勇者。

 灰クソ原作において、彼女達姉妹はシナリオの行く末に大きく関わるキャラの1人だ。

 

 俺が生かすべき主要キャラとこんなにも早く接触を持てたのは良い。

 

 だが、この好待遇は……なんだ? 俺の正体がバレている、訳ではないよな?

 

「……く、口に合わない、か?」

「お、王国料理は、苦手、でしょうか……?」

 

 食事に手をつけないのを不信がられている? 

 ここで彼女達の不興を買うのはまずい……。

 冷静に……従者として採用されるようにしなければ……。

 

「いえ、とんでもございません。第一王女様、第二王女様と食事を囲む栄誉、誠に恐縮の次第でございます……」

「そ、そうか、良い、楽にせよ」

「あの、欲しい料理があれば、すぐに仰って下さい、ね!」

 

 ……2人からの好感度が、妙に高い??

 あまりにも、王姉妹の態度が柔らかすぎて……ほら。

 

「アネスタシア様が笑っているぞ……」

「ミア様もだ……一体、何が起きている……?」

「あの黒髪の男……何者だ?」

 

 部屋には彼女の近衛騎士、そして王姉妹派の文官などが並び、俺達の様子に目を丸くしている。

 ここで下手な態度を取れば、王宮での採用はなくなる。

 だが、なんだ、この2人から感じる妙な圧は……! 

 

『ふひ、ね、ね、マスターァ、この2人、マスターの事好きな、なな、んじゃないの??』

 

 指輪を通して、ラミィの声が脳内に響く。

 灰クソのメインヒロイン達が、そんなにチョロイ訳がないだろ!! それにこの2人は男嫌いで有名な筈だ!

 

『そ、そ、そうかな。ワガハイにはなんか、憧れのお兄ちゃんと再会した女児みを感じるんだけ、ど』

 

 な訳ないだろ、ラミィ、おとなしくしときなさい。後で指輪を磨いてあげるから。

 

『や、や。やった……や、約束、だから、ね、静かにしてマス……』

 

 とにかく、食事に手を付けよう。

 テーブルに広げられたのは肉料理を中心にした宮廷の食事。

 

「失礼します、そちらの森喰い豚のステーキにはこちらのソースをお使いください。

 

 黒髪のメイドが、俺の目の前の分厚い肉に香ばしい香りのソースをかけてくれた。

 キノコを煮詰めて作るデミグラスソースっぽいものをかけた豚肉のステーキは王国の名物料理だったはずだ。

 

「美味い……」

 

 口の中でばらける脂のうまみと酸味と甘みのあるソースが混ざりあう。

 これは……美味い……。

 

 あ、やべ。なんか、人間の世界の料理食べるの8000年振りだから……涙が……。

 

 

「「!!」」

 

 姉妹が同時に目を見開く。 

 

「ど、どうした!? テトグマン!!」

「お、お口にあいませんでしたか!!??」

 

 予想以上におたおたしている2人の王女。

 

 いかん、このままでは失礼だ……。

 

「い、いえ、申し訳ございません、あまりに美味しかったので、つい……」

 

「ふ、ふふ、そうか、うむ。何よりだ……」

「あ、よかった……あの、たくさんありますから、ゆっくり召し上がってくださいね」

 

 よし……感触は悪くない。

 後は自然に、王宮への採用の話へ――。

 

「と、時に、リヒト・テトグマン。貴様……いや、そなたにいくつか聞きたい事がある」

 

「はい、喜んでお答えさせて頂きます」

 

「そうか。では、まず……そなたの年齢と、出身地を教えよ」

 

「歳は17歳、出身は東方辺境です」

 

 不死として覚醒したあの時から俺は歳を取らない。

 不死である事は平穏な生活の為に隠すべきだ。

 カレル行商街の出身である事は隠すべきだろう。あの惨状だ……どうやって生き残ったかと聞かれるとボロが出る。

 王女姉妹がひそひそと声を躱す。

 

「……妹よ、どう思う?」「……そう、だね、姉さま。あの人……違う……年齢……合わない」「8年前に既に17歳……」「でも……匂い似て……顔、仮面、他人……空似……」

 

 なんか……重要な所だけ聞こえてきたな……。

 

「……なぜ王都に来たのですか?」

 

 今度は妹の第二王女ミアからの質問だ。

 原作では姉のアネスタシアと比べて穏やかで天真爛漫なキャラだったはず。

 

「は、王宮での仕官が幼少の頃からの夢でしたので」

 

「ぷふっ、聞いたか、今の」「平民風情が、恥も外聞もないよのう……」

 

 周囲からの侮蔑の声。

 

 男だ。

 王宮に勤めている侍従、貴族のお坊ちゃんって所だな。

 ああいうのに、いくら目くじらを立ててもしょうがない。ここは穏便に――。

 

「今、彼に失礼な事を言った者、前へ」

 

「「へっ??」」

 

 ひゅばっ、びいいいいいいいん……。

 

 ミアが投げたフォークが、悪口を言っていた侍従達の頬をかすめて壁に突き刺さっている。

 

「彼は姉さまの客人です。彼への暴言は姉さまへの暴言と心しなさい」

 

「「は、ははっ!! 申し訳ございません……!!」」

 

 え、怖。普通に妹ちゃんも怖いんだが。

 魔力で強化されたフォークが、石壁を砕いているぞ……。

 

「ミア、客人の前だ。その辺にしておけ」

 

「は、姉さま、申し訳ございません、お客人、身内の恥をどうかご容赦下さい」

 

「も、もちろんです。で、ですが、私が平民の出というのも誠の話です、その、みな様のご感想も、無理はない事かと……」

 

「「……!!」」

 

 姉妹が唇をきゅっと絞る。

 目隠しの面でどんな表情をしてるかまではわからないが……。

 

 今の言動、何かおかしかったのか……?

 

「控えめな態度……やはり教……殿、似て……」「男性……思いやり……先生……似てる……」

 

 また姉妹同士でのひそひそ話……!? 彼女達のあの雰囲気、俺にはわかる。

 

 値踏みされているな。

 ふ、さすが灰クソのメインヒロイン達……簡単に王宮に入れたと思ったが、そう全てうまく行く訳もない、か……。

 

『……う~ん、そうでもないと思うけどナ~』

 

「……良い、余の臣に生まれは関係ない。必要なのは、能力のみだ」

 

 アネスタシアが静かに呟く。

 先ほどの少し、浮足立っている声ではない。ヒトの上に立つ存在。王としての声。

 

「そなた、この国をどう思う?」

 

「「「「「……」」」」」

 

 周囲の空気が張り詰める。

 

 ――なるほど、ここで来るか。

 灰クソ原作イベント、臣下問答だ。

 

「テトグマンさん、姉さまからの質問です。どうかお答えを」

 

 この世界の女性は、男性に失望している。

 今も、この場にいる大半の女性騎士、女性侍従は俺を見下しているだろう。

 

 国家観など、男が話す領分ではないと。

 平民の俺が王宮で仕官する為には、己の価値を証明しなければならない。

 

「お恐れながら。殿下のお言葉はいささか大局的で、お答え致しかねます」

 

 原作のアネスタシアは何より実務と正確さに拘る性格だ。

 

「あの者、殿下の言葉に物申したぞ」「やはり、自分の立場が分かっていないようだな」

 

 周囲がざわつくのも無理はない……一平民が王族からの質疑に物申したのだ。首が飛んでもおかしくない言葉だ。

 

 しかし、俺は知っている。

 彼女は論理的な会話を好む聡明な人物だ。

 

 アネスタシアにとって、議論を円滑に進めるための会話は――。

 

「くっくっく……そなた、可愛げのない男よな……良い、益々良い。まさか、男に議題を誘導されるとは……」

 

 悪印象には、ならない。

 

「……ならば、そうだな。では……この国の未来についてどう思う?」

 

「王侯貴族の皆様を差し置いて口にするのは憚れます」

 

「腹芸も出来るか……そんな所まで似ているとはな……良い、余が許す。申せ、これ以上の謙遜は要らん」

 

 ……これ以上の固辞は無用か。

 

「はっ。では僭越ながら。現状、我が王国はこのままだと、戦国時代に突入すると存じます」

 

「戦国」「時代……?」

 

 王女姉妹が同時に呟く。

 俺の答えがあっているかどうかは分からない。

 だが、もう突っ切るしかない

 

「国を巻き込んだ巨大な内戦が続く時代――貴族や平民といった地位の垣根が消え、秩序は失われ、誰もがその強さのみで野心を満たそうとする。戦いの時代。戦国時代です」

 

「何を言って」「苦し紛れの妄想だ」「これだから学がない男は……」

 

 だが、アネスタシアの反応は――。

 

「静まれ」

 

「「「「「はっ」」」」」」

 

 臣下を一言で黙らせるアネスタシア。

 

「根拠を申せ」

 

「我が国は現在、国内に多数の火種を抱えている状態です。先王陛下の崩御後、王家の威光は衰え、軍事力、税収共に減少。また、現国王である父王陛下の派閥の贅沢三昧により、民からの忠誠も失いつつあります」

 

「……痛い所をつく」

 

「お恐れながらお伺い致します。ここ最近、地方からの税の回収の鈍り、また各地の貴族による徴兵の動きが見られるようになってきたのでは?」

 

「な、なぜそれを!! ……あ」

 

 代官の1人が声を漏らした。

 アネスタシアが頭を押さえてため息をつく。

 

「……平民よりも腹芸の下手な貴族とは……頭が痛い。ああ、その通りだ」

 

「もう1つ危惧すべきは……殿下と妹様以外の姉妹様が、父王様の施策により有力貴族達の領地で暮らしている事です」

 

 周囲の臣下の顔色が変わる。

 王国の情勢は、原作通り、か。

 だが、その反応からどうやらこれは公にはされていない情報のようだな。

 

「反乱の大義名分になりかねません。古い王家を廃し国家の為に正しき王を抱くという大義を」

 

「……そなた、平民の身でよもや……そこまで……」

 

「……し、しかし、貴族とは王家に忠誠を誓った者達です、そのような事態になるとは、とても――」

 

「上が見えてしまったのです。第二王女様」

 

「上……?」

 

「はい。誰もが夢を見るのです。己が王となる夢を」

 

 前世の知識。俺の記憶が知っている。

 

 日本という狭い島国の中で、寝ても覚めても殺し合いを続けた民族の事を。

 

 彼らはみな、上が見えてしまった結果、己の野心に従い戦い続けた。

 

「人の野心に限りはありません。中央の力が薄れ、諸侯が力をつけ覇を唱える……。軍閥化とでも名付けましょうか」

 

「なるほど……話が見えてきた……」

 

 我ながら良い感じに話が出来ているのでは?

 このまま、知性派キャラとして原作に介入するのも夢じゃないぞ……。

 

「では、どのように対処する?」

 

 やはりこれは聞かれるか。

 

 流石灰クソ屈指の頭が良いキャラ……ここ数年、化け物天使達や悪ドラゴンとしかコミュニケーション取ってなかったから新鮮だ。

 

「アネスタシア様という真の王による軍閥の討伐。天下に今一度、王による武を布く。これしかないかと」

 

「「「「「「「」」」」」」」

 

あれ……? 

 皆、黙っちゃったな?

 

「テトグマン」

 

「あ、はい」

 

「真の王と、言ったな。そなた……我が父、父王ローランドが王位にふさわしくないと?」

 

「……!!」

 

 あ、ヤッべ!!!!

 彼女の王位を前提に話してしまった!! 

 不敬どころか、王族に向けて反乱を唆すとかいうマジ頭おかしいムーブじゃないか!!

 そうだ、今は本編開始前……、まだ彼女達の父親が臨時の王様だった!

 王宮勤め所の話ではなくなってしまう……!! な、なんとか話しを修正しなければ……!!

 

「こ、言葉の上ではそう聞こえてしまったかも知れません。しかし――……し、かし」

 

 言葉が、詰まる。

 早く今の言葉を撤回しなければならないのに、次の言葉が出ない。

 

 脳裏をよぎるのは、炎に包まれる故郷。

 モンスター、不死、平穏を壊すクソカス共によって起こされる戦い。

 

 アレがまた起きる。目の前の彼女が王にならない限り。

 

 現在の王に、王たる資格はない。この世界は戦わない者が王になれるほど、甘い世界ではないのだから。

 

「どうした、続きを」

 

「――それでも」

 

「テトグマン……?」

 

「それでも、貴女が王になるべきだ。アネスタシア・ネイチア・ミリタルナ」

 

「……何?」

 

「王国の、いや、世界の未来は貴女が王にならなければ悲惨な末路をたどる事になる」

 

 もう止まらなかった。

 下手したら、この場で捕まって極刑も有り得るセリフが止まらない。

 

「貴女を世界の王にする為に俺は――」

 

 王女も、その妹も、周囲の臣下も固まって――。

 

「なにやら、興味深いお話をしていますね、アネスタシア」

 

 背後、広間の扉が開いた。

 豪華な鎧に身を包んだ騎士を引き連れて現れたのは――。

 

「「「「「王陛下へ、敬礼……!!」」」」

 

 この国の王。

 灰クソ本編にも登場する、男の王様。

 

「私も混ぜて頂けるかな、王国の内戦の話、そして、ああ、なんだったかな?」

 

「真の王がどうたらと――」

 

◇◇◇◇

 

 華美なローブに、頭に抱くティアラ……。

 

 神経質げな壮年の男。俺は、こいつの事を知っている。

 

 父王・ローランド・ネイチア・ミリタルナ。

 現在のミリタルナ王国の国王だ。暗殺された先女王の夫であり、アネスタシアの実父でもある。

 嫌なキャラが出てきたな……。

 こいつは、本編開始後、真っ先に魔族に恭順の意思を示し、王国崩壊のきっかけを作る大戦犯のヘイトキャラだ……! 

 

 毎回アネスタシアや、ミアといった重要人物の死亡フラグを建設するキャラでもある。

 

 クソ、原作シナリオは狂っているのに、こいつは原作通りに存在するのか……!

 

「アネスタシア、君が客人を招くのは珍しいですね」

 

「父上こそ、余の宮に訪れるのはお珍しい。どういった風の吹き回しでしょうか?」

 

「なに、耳に入りましてね、男嫌いの愛娘がどこのものとも知れない下賤な民に食事をふるまっていると。父としては気になるものでしょう?」

 

「公務を中断させる程の事ではございません。お気になさらず」

 

「ふふ、君はやはり、母と似ていますね」

 

 父王はアネスタシア以外、眼中にないといった顔で会話を続ける。

 周囲の臣下、そして第二王女も片膝をついたままだ。

 

「それで――そこの民よ。どうぞ、続きを。内戦、軍閥、戦国時代、ですか? ふふふ、ずいぶんと刺激的な発想ですね」

 

 まっずい! 完全に目をつけられた……!

 ここで捕まったり、処刑されたりする訳には行かない……! 

 

『な、なんで? ま、ま、マスターとワガハイならこんな奴ら余裕でぶ、ぶ、ぶっ殺せる……!』

 

 人間の世界で、人をぶっ殺すにはタイミングと準備が必要なんだ! ここは月の宮とは違う!

 

『そ、そうなんだ、めんどくさ……』

 

この陰キャドラゴン、ちょこちょこ竜種独特の怖い価値観が垣間見えるから恐ろしいな。

 

「父上……これは余の従者候補の面接の場だ。かの者の処遇は余が決める」

「アネスタシア、彼は私を侮辱したのだよ。王とは国、国とは王。つまり、彼はこのミリタルナ王国を侮辱したのだ、事にも伝統ある王宮の中で。それは――ねえ、罪じゃないかな?」

 

「…………余の話を聞いておいでか? 彼は余の客人だ」

 

「アネスタシア、それが父に対する言葉遣いかな?」

 

「お義父様、姉さまは――」「黙れ、今、お前とは話していない」

 

 第二王女の言葉、しかし、王は彼女の事を見もしないで切り捨てる。

 確か、原作設定では――ミアとアネスタシアは父違いの姉妹だ。父王にとって実子ではない義理の娘になるのだろう。

 

 だからと言って、少し冷たすぎないか……?

 

「さて、民よ。わかっていると思うが、君は現在、不敬罪に相当する言葉を放った。私が王に相応しくないと言うのなら、それ相応の理由がないと――愛娘のお客人と言えど……ねえ」

 

 あかん、死刑にされる。

 なんとか、穏便に切り抜ける必要がある……!

 

「父上、戯れをいい加減に――」

 

「では、お恐れながら申し上げます。父王ローランド陛下」

 

 アネスタシアが声を荒げるより先に、俺は声を出す。

 

「現状、ミリタルナ王国は分裂の危機にございます」

 

「先ほど、君が申した軍閥化や戦国時代という妄言の事かな? であるのなら、それは妄言に過ぎない。今は先王、我が妻が亡くなって少し、国が動揺しているだけの事。時がたてば、全て元通りに――」

 

「元通りにはならない」

 

「……どういう意味ですか?」

 

「魔族が帰還する」

 

「は??」

 

「この国で起きる内戦の火はいずれ、世界に広がる――魔族が引き起こす世界大戦までもう時間がない」

 

 

 灰クソの本編は、まさに世界の終わりを体験できる内容になっている。

 人も魔族も怪物も不死も――この世のすべてが戦い、殺し合い続ける世界。

 

 カレルのあの火の夜、アレが、世界中で起きるのだ。

 

 だが、しかし――嘲笑。

 この場にいる人間のほとんどが俺をあざ笑う。

 イカレだの、頭が悪いだの、好き放題に罵りまくる。

 

「魔族!! 今、魔族と言ったのですか?? あの、大人が子供に言い聞かせる為のおとぎ話の存在の事を!」

 

 それはこの愚王も同じだ。

 ローランド父王が腹を抱えて嗤い出す。

 

「ははははははははは、いやあ、笑わせて貰いました――アナスタシア、良いですね? 今後は王宮に招く人間を選ぶように」

 

「……」

 

 完全に頭がおかしい奴と思われている……!

 だが、作戦通りだ。

 あのまま、アネスタシアに俺を庇わせると必要以上に、王宮に混乱を生んでしまう。

 ここは一旦、道化を演じて仕切りなおそう。

 

「早々に王宮を立ち去りなさい、次に見た時は容赦なく斬首台にかけます」

 

 っしゃおら! 許された! 

 よし、素直に退却、王姉妹への接触はまた後日だ。

 

 

 うん、本編開始は竜歴210年、月の宮からはやめに帰還したからあと2年も猶予がある。

 

 やはり、仕事は前倒しのスケジュールで臨むに限る。

 

 この2年でなんとかうまい事、メインヒロイン達の信頼を勝ち取ってグランドルートに行くのだ。

 

 そう、まだ2年も時間がある!!

 

 

 

 

 

「し、失礼します!!!!!! 報告、報告が、ございます!! 大城壁監視隊より、危急の報告です!!!!!」

 

ん?

なんだか、ずいぶん焦った顔の女兵士さんだな。

 

「どうしましたか? 今――」

 

「わ、ワイバーンです!! ワイバーンが飛来しました! いえ、それだけじゃない! 囲まれています! すでにいくつもの門が破られ、敵が王都を襲撃しています!」

 

 はい?

 

「待ちなさい、敵? 敵とは一体――」

 

「魔物の群れが、王都を襲っています!!」

 

「「「「「「は?」」」」」」」

 

 うっそだろ、お前。




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引き続き、沼らせる転生者をお楽しみくださいませ!
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