貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る 作:しば犬部隊
情報が、多い。
あの家庭教師をしていた子達が、アネスタシアとミアだっただと?
どうしてそうなる!?
灰クソの原作でアネスタシア達の幼少期が詳細に語られる事はなかった。
王都で割と不遇な幼少期を過ごしていた事は知っていたが、まさかカレルにきていたとは……。
いや、今は、そんな事を気にしている場合ではない。
「あ、あ、あああああ、あああああ、嫌だ、嫌だ嫌だ!! 教師殿、教師殿、教師殿……どうしてっ」
「先生、顔が、お口が、あああ、なんで、なんでこうなるんですか、なんで!!??」
ゲームでも見た事ないほど、狼狽した表情の王姉妹達。
落ち着かせようにも、下あごが灰化して声が出せない。こりゃ、舌ももうなくなってるな。
なので、一旦笑顔を浮かべてみる。
「──ッ!! なんで、貴方は、笑えるのだ、そんなにも傷ついているのに、どうして──ああ。なんで、貴方ばかり、傷つかないといけないんだっ」
「ミアは、ミアは何か、貴方に出来る事がありませんかっ!? ああ、先生、先生のお身体が、どんどん、少なくなって……」
逆効果だったみたいだ。
姉は俺に手を伸ばす、だがその手を妹が止めた。
「あ、ミアっ」
「だめ、だめです、姉さま、先生、先生に触れると、先生が、崩れちゃいますっ! あは、あはっ、ミア、ミアは先ほど、先生の腕を握りつぶしてっ、あはっ、あああああ」
「ミア、落ち着け、落ち着くのだ、教師殿は、教師殿は、不死、あ、あ、あ、でも、でも、灰に? あ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ……やっと会えたのに、生きて会えたのに、なんで、なんで、こうなる!? どうして!?」
アネスタシアの青い瞳、瞳孔が蕩けたそれが、銀色に輝き始める。
涙の代わりに……銀色の焔が零れ始めて。
その時だった。
『マスター!!』
!!
ナイスだ、ラミィ。
投射物、それは大槍。姉妹の背後から飛来する2本の大槍。
間に合う。俺は灰化していく身体の残る力を振り絞り、立ち上がる。
「教師殿! ──え」
「先生……?」
間一髪で、片腕でミアキャッチ。残り1本は──身体で受け止める。
心臓を、砕かれた。まあ、今更関係ない。
「や、り……え?」
「せ、んせい?」
アネスタシア達は何が起きたのかもわからない顔をしている。
投げられた槍、黒く返しのついたこの槍──これは原作で知っている。
不死同盟の扱う──武器。
それも、俺のよく知る不死、オルデラン神父の相棒と呼ばれていたキャラクター。
「あれ? 嘘、受け止められちゃった? 凄いね、キミ。そんなに灰化しててまだ動けるんだ?」
森の奥から現れた金髪の金髪片目隠れの美少年。
白い
どこか煽情的な雰囲気を持つ少年。
彼の背後には、数十匹もの異形の魔物──蜘蛛のような、人間のような化け物が控えている。
同盟の不死──聖少年ジウブ。
灰クソではオルデラン神父と共に、中盤のシナリオから登場するキャラクターだった。
「「──は?」」
まずい、王姉妹が見た事ないような顔で少年を睨みだしている。
「あははあ、怖い怖い、か弱い男の子にそんな視線を向けないでよ。話が長いのは嫌いでね、キミ達を殺しにきました。理由は──王様~? なんだったっけ?」
こいつ、まさか──。
「簡単な事です、大魔族を討ったのはこの私。そういう事になるからです」
「──父、上?」
「ああ、アネスタシア。ご苦労様でした」
異形の化け物たちの群れの間から現れるのは、身なりのいい美青年。
父王だ。
「おっと、穢れた血のゴミもまだ生き残っていたのですか。全く最期の最後まで手間をかけさせるものだ」
父王が、ミアに侮蔑の視線を送る。
「まあいい。さあ、アネスタシア、帰りますよ」
「──は?」
「大魔族に挑み、敗れた娘を父王たる私が救った。そういう手筈になっています。でも良かった、貴女のやかましい部下達はほとんど死んでいるようですね。後始末の為に雇った同盟への報酬を少しは値切れそうだ」
「ちょっと王様ー、そういうのはこっちに聞こえない感じでやってほしいんですけどー?」
つらつらと始まる父王の言葉に、俺も姉妹も思わず固まる。
全ての手柄を自分のものにするつもりだったらしい。
いち早く城に籠ったのは、不死同盟と連絡を取り、追討軍を結成する為だったようだ。
カス過ぎる。
「全てはやはり、この私の思うがままに回っている、穢れた血も、やかましい騎士団も、全部排除できると。ああ、そこの男は……灰になっているという事は不死だったんですね。なるほど、地下牢から逃げ出せる訳だ、不死殿、あれはお知り合いですか?」
「んー、同盟の不死ではないようですねー。連れて帰ってもいいけど、もう灰化が進んでるんで、すぐに死にます。色々事情があったぽいけど、殺しといていいですかー?」
「ええ、そこの穢れた血と一緒に」
「同盟の不死殿、後の始末をお願いします。アネスタシア以外のゴミ掃除を」
「……」
「……」
王姉妹は無言のまま、一切の表情が滑り落ちた顔で父親を見ていた。
「おや? アネスタシア、どうしたのですか? 早くこちらに来なさい。貴女には私の英雄譚を国中に語って貰わなければならない。ああ、想像しただけで気分がいい、生意気な女共は、私よりも貴女を崇拝している。そんな貴女が私に救われた事を知った国民はどのような顔をするのでしょうかね」
「何を、言っているのだ、貴様は……」
アネスタシアの低い声が響く。
「私が、お前に、救われた? 何を、どうしたら、そうなるのだ」
「親に向かってお前? ああ、アネスタシア、キミは良い子だが、やはり女だ。心の底では男を見下している。まあ、いいです。言葉の通り。さっきも言ったでしょう? 貴女が敗れた大魔族を、王たるこの私が率いる不死の軍団が斃した。ああ、そうそう、これからミリタルナ王国には不死の軍団が常設されます。同盟とはその約束でここにきてもらいましたので」
「──あ?」
「ああ、もう、どうしてそんなに理解が遅いのですか。もういい、不死殿、アネスタシアは殺さないように、しかし言う事を聞く程度には痛めつけて下さい、顔以外なら傷つけても構いません」
「こんな、こんなのが、親……私は、こんなゴミの種から、生まれた? はははは……なんだ、それは」
「ミアは……ゴミ、はは、先生を殺す? 騎士団の皆が死んでて良かった? あ、あ、あは」
王姉妹の魔力は枯渇している。
だがその命を燃料に、また魔力が生まれ始めている。
「「殺す」」
「親に向かってなんですか、その言葉遣いは? 不死殿、お願いします」
「はいはーい。ごめんねー、そこの女の子と同類さん、まあ、これも運が悪かったと思ってあきらめてくれると嬉しいな」
ジウブが、虚空から大槍を取り出し、片腕で構える。
もう片腕にはオルデランと同じ、大型の銃を握っていて。
王姉妹と、不死と王。互いに、その命を狙って。
俺が灰クソというゲームを気に入っている理由が1つある。
それは──。
「え?」
まだ脚が動く。
油断しているジウブの首を、指輪のインベントリから取り出した刀で掻っ切る。
「あ、れ、え? なんで、まだ、動けて──え、いや、あれ、なんで、僕が、切られてんの? あはは、まあいいや、首を斬られてもつなげればすぐに再生──あれ?」
ざあっ。ジウブの身体が末端から灰に代わり始める。
月の宮で手に入れたオーパーツ、”不死討ち”と呼ばれる刀。
不死特性を無視して、不死を一殺で殺せる武器だ。
「嫌、待て、待て待て待て、なんで、なんで、なんでええええ!?? 再生が、出来ない!? どうして、傷が治らない、あ、あ、あ、ありえない、その刀、それは──い、嫌だ、こんな所で、死ぬ!? 嫌だ、神父!! 神父!! デラン!! 僕、死んじゃう!! 助けて、助けっ」
そのまま、ジウブの身体を縦に一刀両断。
俺が、灰クソで一番気に入っているゲーム要素。
それは──むかつくキャラの全てをプレイヤーが殺せる点だ。
「は──??」
父王。
ここまで、殺した方がお得な奴はいないだろう。
姉妹に視線を送る。
すまない、君達の父親は、俺が殺す。
「教師、どの……」「先生……」
彼女達に親殺しをさせるつもりはない。
何より、俺がぶっ殺したいしな、こいつ。
「……」
「ひ!? は!? お、おい、不死!!?? どういう事だ!!?? なぜ、死んだ!? は!?」
「……」
「待て、待て待て待て!! おい、おいおい! 話が、話が違う!! ひ、ひっ! おい、化け物共!! 行け、行け!! 敵だ! 殺せ!!」
異形の不死の蜘蛛の怪物が今更、一斉に押し寄せてくる。
ラミィ。
『は、あい、ますたあ、消えるまで、一緒、だよ、ふ、ひ』
共に灰になっていくラミィに、力を借りる。
背中から生やしたラミィの触手と、不死討ちを振るい、怪物を皆殺す。
そして、残りは父王だけ。
「──あ、あ、あ、ありえない! 不死同盟の化け物を、たった1人で!? 男の、癖に!! ああ、でも、不死だからか!? いや、なんで、灰になっているのに、死んでいない!? マテ、待て待て!! アネスタシア!! ミア!! おい!!!! ミア!! 貴様! 穢れた血の売男の娘!! 貴様、私の盾になれ!! 私を助けろ!! おい、聞いて──」
「ひ、お、おい! 話が、話が違う!!」
「……姉さま?」
「いい、何も、聞くな」
ナイス、アネスタシア。
姉が妹を抱きしめ、耳をふさいでいた。
「待て、待て──待て待て!! 謝る、そうだ。謝るからさあ!! ミアの父親を殺したのも、妻を毒殺したのも謝るから!! マテ、この私を殺すな!! おい、聞いているのか!? この私は、この国の!! 人類の守護者、ミリタルナの王なのだぞ!!」
原作再現の命乞い。
だが、ミアの父親や母親の毒殺は初耳だ。
うん、死ね。
あ、手元が狂った。
首を狙った一撃は、父王の右腕にそれた。
「いや、だああああああああ! 死にたくない! 死にたくないいいいいいいいいいいいいい!! 血が出てるううううううううううううう!! アネスタシア、私を助けぼおおおおおおおおおおお!! 私は、男で、お前は女だろうがああああああああああああああああああああ!! 役目だろうがああああああああああああああああ」
いかん、害虫が、姉妹に這って近づいて。
「父上」
「何が父上だああああああああ、この役立たずがあああああああああ、さっさとあの男を貴様の気持ち悪い眼で焼き殺せええええええええええええ!」
「気持ち悪い眼とは、これの事か?」
「え、ああ。あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
しゅぼっ。
アネスタシアの目が、父王を焼いた。
薄汚い声とともに、父王の悲鳴が響く。
しまった、彼女に手を下させてしまった。流石に悲鳴を聞かせ続けるのは酷なので、そのまま焼けていく父王に俺がとどめを刺す。
「……すまない、教師殿、また、貴方ばかりに……また……」
「え、え、何が、起きた、のですか、姉さま?」
眼も耳も姉に抱きしめられ、ふさがれていたミアだけは何が起きたかわかっていないようだ。
さあ、死ぬべきものが死んだ。
だが、喪う者が多すぎた。
姉妹を支える臣下は全滅し、彼女達に大きな傷が残る。
俺の正体も、バレた。
あれ、これ割と詰んでねえか?
だが、それでも──ここまで頑張った彼女達を──このままにしておくのも忍びない。
「教師殿」
「せ、先生……」
俺を見つめる彼女達は、まるでカレルの時の子供のように見えた。
外見は立派に成長していても──中身はあまり変わっていないのかもしれない。
愛してくれていたか。
その問いにはっきり答える事は出来ない。
俺は君達に打算で近づいている。
だが、それでも──こんな形で不幸になるべき子達ではない。
「え」
「あ……」
残った片腕で、彼女達を抱きしめようとする。
姉妹が俺の意思に気付いてくれた。
2人そろって、俺の胸に飛び込もうと──。
ざふっ。
あ、嘘。
身体が完全に、灰になった。
姉妹とあと数センチで触れ合う寸前だったのだ。
姉妹の2人が俺だった灰の中をくぐって、そのまま立ち止まる。
うわ~悪い事したわ~。
さっきの不死同盟に食らった槍とか化け物からの攻撃がダメ押しになったな。
しばらく再生しそうにもない。
……肉体はないのに意識だけあるこの状態。マジで何もする事がないんだよな。
姉妹は──あかん。
「」
「」
絶望の顔。
真っ青になった顔、2人共、小さく口を開けてぱくぱくとして。
どさっ。
妹のミアが、膝から崩れ落ちた。
嗚咽、絶叫。先生、先生、先生と叫びながら周囲の灰をかき集めている。
《Ashes to ashes》
《dust to dust》
《Dicamus veritatem de mundo》
そして、姉のアネスタシアは──。
「ア、ハ」
笑みを、浮かべた。
半月のように、口が裂けるほどの深い笑み。
《Immortalis tu, te ipsum provocare perge》
『あの、ますたあ……この、歌、何?』
ん? 歌?
歌って、なんの事だ?
《Tenens tenebrosam vim quae intus habitat》
《Haeres es, ergo ex cineribus resurge》
『き、聞こえてないの!? な、な、なんか、オーケストラみたいな音楽と一緒に、歌がさっきから──!!』
待て、ラミィ、何を、言っている? _
《Bellator es, rex es, venator es, quaesitor es》
《Expergiscere ut regem interficias》
《Expergiscere ut bestiam interficias》
《Expergiscere ut omnes inimicos tuos interficias》
『う、うわああああああああああん!! ま、ますたあ! な、なんか、サビ、サビ始まっちゃったああああああ!! 凄い、なんか、壮大な音楽が流れてるううううううううう!!』
何!? ほんとうにどういう事!?
恐いんだけど! ラミィ、一体何が聞こえて──。
《Ex cineribus et desperatione resurge》
《アネスタシアは貴方の死により、特異点として覚醒しました》
《絶望エンド66がキャンセルされます》
《周回イベント”特異点アネスタシア”が開始されます》
『ま、ますたあ、や、やっぱり、これ、なんか変!!』
ラミィの悲鳴、そして。
「ああ、全て、理解した。そういう、事だったのだな」
「姉さま?」
「ミア、お前は私の妹だ」
「姉さま……ああ、そういう事、だったのですね」
姉妹の様子がおかしい。
そう思った瞬間だった。
姉が、空を見上げて。
「コンテニュー、だ」
……なんて?
「彼がいない世界など、興味はない」
「灰、姉さま、ミあも、そう思います」
おい、え? え?
世界が、おかしい。
大魔族の領域は消えたはず、なのに──。
空に──月が昇っていた。
その月は、銀色に燃えている。
月から零れた火が、空を焼く。
おい、待て、待て待て待て、
空が焼け、空から落ちた銀色の焔が大地を焼いていく。
なんだ、これ。
あ、目の前に焔、え、普通に熱い。
肉体がない、俺も焼けて──。
目の前が、銀色に染まる。
もう、何も、わからない。
《? 周目の世界を開始しますか?》
《OK、NO》
《OKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOKOK》
《特異点の希望により──全世界、全存在の記憶、因果がリセットされ、周回されます》
◇◇◇◇
世界を銀の焔が焼いていく。
全てを溶かし、やり直す。
大魔族が集まるとある空の城を、銀の焔が燃やしていく。
神殺しの十二魔星とて、その力にはあらがえない。
銀の焔に溶けながらも、平然と円卓に座ってお茶を啜る大魔族たち。
「ちぇっ、アステーラのバカ、失敗してるじゃん」
「うーん、でも、彼女で無理ならもう特異点発動前に囲い込むの無理なんじゃ?」
「いやそれが、かなりいい線行ったみたいだけど、アステーラの興味が途中から別の人間に移ったみたい」
「え~、アステーラ様、何してるの!? 信じられないんですけど!」
「まあまあ、まあ、次に期待しましょうよ」
「え~作戦は?」
「誰かがが、今回の事を覚えてたらワンチャン狙おう!! 次も激アツはミリタルナ王国って事で!」
「はいはい、いつもの後は野となれ、山となれ、ね? あ、ごめん、もう無理、溶けるわ」
「僕もしにま~す、じゃあ、また今度ね」
ぼちゃ、ぼちゃ。
大魔族たちは最後まで銀の焔に焼かれていく。
そして、最後に残った最も強い大魔族と──1人の緑髪の少女。
「すまん、貴公の出番は今回なかったようだ」
「えはは、いいよ、別に。どうせ、次もまた会えるんだしね」
「余裕だな、怖くないのか?」
「ん~? もうさ~、一番怖い事を体験してるから平気かな~。えはは。うん、あの夜に比べれば、世界が終わるなんてなんともないって感じ?」
緑髪の少女は銀の焔に焼かれながらも、平然とピースして。
「だって、絶対また会えるから、アタシの旦那様、世界で最高の男だから」
◇◇◇◇
世界が焼かれていく。
人々の悲鳴と絶叫、絶望の中、世界を終わっていく。
「特異点の確保に失敗したか」
「今回も、我々の敗北らしい」
不死同盟。
世界のどこかにあるその本拠も同じく、銀の焔に溶かされていく。
「考えてみれば、今回は最初から何かがおかしかった。オルデラン神父をいきなり失ったりな」
「あいつナシはやっぱきついぜ。人手が足りやしねえ。まあ、だが、世界が終わるんならまだマシだ。これ、記憶を次に持ち越せれば楽なんだがな」
「無理だろうな、いつも思い出すのは、やり直しが起きる寸前だ。だが、それでも我々は特異点を探す必要がある事だけは今回も覚えていた。次回の自分達に期待しよう」
「あーあ、灰になっても死なない奴がいればな~世界が終わっても生き残れるんじゃねえか?」
「全くだ、だが、灰から再生するとなると、それはもう不死ではないぞ」
「あ? じゃあ、なんだっていうんすか?」
最も強い不死が、最も古い不死に問う。
「それはな、神というんだよ」
「あーね」
ぼちゃ、最後の不死同盟、その2人が同時に銀の焔で溶かされた。
◇◇◇◇
《全世界の融解完了、再構成開始》
《全人類の記憶の初期化開始、成功》
《今回の
《全世界の人類の記憶の再構成に成功》
《不死なる灰を含む、全ての存在は世界の再構成に気付いていませ──》
ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ。
がちゃん。
《不死なる灰による死因への適応が開始》
《死因:世界改変による消滅》
《適応の結果──”改変耐性Ⅰ”を獲得》
がちゃん。
《……? 周目の世界が開始されます》
《……コンテニュー??》
◇◇◇◇
「あ、そこのお兄さんもどうだい? 王宮で男性の従者を募集中だよ! 1年に1回の催しだ!」
「──あ?」
元気そうな、ちらしおじさんが目の前にいる。
「あれ? 急に固まってどうしたんだい? ほら、王宮の従者採用試験だよ!! アネスタシア様とミア様にお会いできるチャンスだ!!」
渡されたチラシには、ミリタルナ王城での仕事の詳細が書かれている。
近衛騎士団の食堂運営、王城の清掃、そして王姉妹の世話……
「特に黒髪の男は男嫌いの殿下が唯一厚遇する男性の条件なのだとか!! 試験に参加できるのはそもそも黒髪の男だけ、だからこの時期は黒染がよく売れるのさ! 場所はここをまっすぐ行った城の近くだよ 幸運を!」
ちらしおじさんはそのまま次の男にチラシを渡しに行って――。
「ちょ、待ってくれ。おじさん」
「ん、どうかしたかい?」
「俺と会うのは、何回目だ?」
「何言ってんだい、兄さん、今さっきそこで声かけたんだよ? 何回目もあるかい」
そう言って、おじさんは去っていく。
「おい、嘘だろ」
周囲を見渡す。
色とりどりの布を張った露店が並んでいる。
焼き立てのパンや香辛料の匂いが風に混じって鼻をくすぐる。
吟遊詩人がリュートを鳴らせば、子ども達がそれに合わせて手を叩く。
うさんくさい旅商人は声高に遠国から運んできた珍品を売り込んでいる。
王都の大通りは混沌とした人々の生気に満ちている。
「これって、まさか……」
そこには、魔族も死体も、あの姉妹も、そして焔もない。
灰になった体も、銀の焔で溶けた感覚もない。
鮮明に、記憶だけは残っているが。
「……戻ってる」
《灰と絶望のダークファンタジー”クライシスソウル”》
読んで頂きありがとうございます!
もちろんこの後も、まだまだ続くので引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。
周回の記憶を持ち越しているのは主人公だけですが、次回の姉妹の反応をお楽しみくださいませ。すげえめんどくさくなって可愛くなってると思います。
大変恐縮ですが、まだ評価してねえなという方いらっしゃったら評価ボタン入れて頂けると非常に助かります。お願いばかりで申し訳ありません、ありがとうございます。9点も入れて頂いてありがとうございます。