貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る   作:しば犬部隊

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27話 王姉妹の寝室

 

 灰と絶望のダークファンタジー・クライシスソウルは非常に自由度の高いゲームだ。

 

 プレイヤーに与えられる選択肢が非常に多く、プレイヤーはチュートリアルである王都襲撃後は、どこへでも行ける、何にでもなれる。

 

 ただし、時間経過とシナリオ進行で世界は滅ぶ。

 

 月の宮での修行を終え、ミリタルナ王国に辿り着き、そこで原作よりも2年早く発生したチュートリアルイベントを乗り越えた。

 

 結果、大魔族を退けたはいいものの世界は、巻き戻ってしまった。

 

 王都での姉妹との再会も、魔族との戦いもなかった事になったはず。

 

 何故かこの巻き戻った世界、仮に2周目の世界とでも呼ぼうか。

 2周目の世界では全てがトントン拍子に進んで行った。

 目的だった王宮に採用され、魔族の襲撃も起きない。

 

 このまま行けば、全部が上手くいくのでは? 

 そう思っていたんですが……。

 

「良い、楽にせよ、テトグマン」

「そう緊張なさらないで下さい、テトグマンさん」

 

 あの、なんか閨に連れ込まれてます。

 

 閨です、天蓋ベッド付きの寝所。

 そして、俺の目の前には天蓋付きのベッドに腰掛けた美人が2人。

 

 やけにスケスケで薄々のネグリジェを纏った王姉妹だ。

 

 えっっっっど。

 

 胸も足も、なんならすけすけの生地の向こうに縦に細長いおへそ見えてしまっている。

 もうむしろ、どこを隠せているんだよ、その服は。

 

「あ、あの、自分は、一体……なぜこのような場所に呼ばれたのでしょうか」

 

「……ふむ。何故と言われると説明が難しい」

 

 姉であるアネスタシアは、銀色の目隠しをつけたままため息をつく。

 銀目隠しベビードール衣装は性癖が過ぎるだろ。

 

「姉さまの代わりに僕が説明します。一言で言うと、夢を見たのです」

 

「夢、ですか?」

 

「貴方が、僕達の目の前で死ぬ夢です」

 

 ん? 

 

「貴公は、余と妹の前で死ぬのだ。よくおぼえてはいないが、何か強大な者と戦い、余達を護り、死ぬ。そんな夢を見る事になった」

 

「僕達姉妹は同じ夢を見ています。そして、その夢に出てきた人と全く同じ顔、同じ声の貴方が現れた。貴方を呼んだのは、その確認です」

 

 おい、これ、まさか……。

 

「「貴方は、昔、カレル行商街にいませんでしたか?」」

 

 この2人、中途半端に前の周回の事覚えてないか?? 

 

 ……え、いや、まずい、だとしたら非常に不味くないか? 

 

 前の周回で判明した情報──。

 

 ・王姉妹は、カレル行商街で俺が担当していた家庭教師の教え子キッズ達だった

 ・俺は不死なので、歳を取らない。つまり、おれの過去を知る人間は俺の正体に容易に辿り着ける

 ・この国で不死は普通に討伐対象になっている

 ・さらに、何らかの条件を満たした場合……アネスタシアによって世界は焼かれる

 ・前回はそのトリガーは俺が目の前で死ぬ事、不死である事がバレたから

 ・正体バレ=どのみち平穏からは程遠い。

 

 

 以上の情報から考えるに……ここではい、そうですと言えばまた前回の二の舞を踏むことは明確。

 

 だが、かと言ってですよ。下手に不死じゃない、貴女達のことなんか知らないと嘘つくのもどうだろうか。

 

 この2人はかなり聡明な人物だ。

 

 俺は俺の賢さや知能を信用していない。

 俺より頭の良い人間からすれば、俺の嘘なんかいつか絶対にバレる。

 

 それに良心的にもだ……多分カレル行商街での一件以降、俺を探していてくれたらしい2人に嘘をつくのは人としてどうなんだ? 

 

 いや、もう人じゃないけども。

 

 何より不死である事を彼女達に伝えた場合、余計な危険に王姉妹を巻き込みかねない。

 

 俺の為に、王姉妹の為にも不死である事は隠すべきだろう。

 

 考えろ、リヒト・テトグマン……! 

 

 こんな時こそ考えるんだ……! 

 

 この妙にエッチな香りがしてエッチな美人に囲まれたアホみたいな状況をいい感じに動かせる返答を……! 

 

 真実はダメ、嘘も微妙、だとすれば……。

 

「王姉妹様、恐れながら……申し上げます」

 

「「っ……」」

 

 王姉妹の2人、唾を飲み込む音が聞こえた。

 

 俺の決めた答えは、これだ。

 その名も──。

 

 

「実は、俺、いえ、私、リヒト・テトグマンは……過去の記憶がないのです」

 

 記憶喪失ロールプレイ!! 

 

「過去も、故郷も……自分が何者なのかも知らないのです。覚えていたのは……リヒトという名前のみ……」

 

 解説しよう。

 一見アホみたいに見えるが、これは我ながら中々の奇策だ。

 

 記憶喪失で何も覚えていません。いや、嘘よ、うん。ガッツリ全部覚えているけども、カレル行商街にいませんでしたか? とか、あの家庭教師じゃないんですか? という、YESorNOで回答が求められる問いに対して全部、自分記憶喪失すから……で逃げる事が出来るワケ。

 

 そしてこれ、全くの嘘というワケではない。

 

 何故ならこの先、更に死亡を重ねた場合、俺はマジで記憶を喪う可能性があるからだ。

 不死は死に過ぎれば、記憶を喪う。

 

 これは、この世界の常識にもなっていたはず。

 

 姉妹達への不死匂わせになるが……逆にリアリティの担保になる筈だ。

 

 王姉妹、特にアネスタシアの方は人の嘘を見破るのが得意という設定があったはず。

 あの仕組みは、確か設定資料集の198Pに他人の魔力のブレを見て嘘かどうか判断しているとの記述があった。

 

 この辺はラミィに魔力制御を任せる事で対処する。

 

 いや、でも、うん。嘘じゃないから。俺、死に過ぎたら記憶喪失になるから。

 

 

「「………………」」

 

 王姉妹が押し黙った。

 

 2人共、顔が魔族に負けず劣らずで整っているので、無表情でいられると人形を前にしているような錯覚に陥りそうだ。

 

 だが、この反応……行けたか? 

 納得して貰えたのでは? もう正直、早くこの部屋から出たいです。

 

 しかし、そう簡単に王族の閨から出れるハズもなく。

 

「「……」」

 

 ぽん。

 

 王姉妹が、ベッドを叩く。

 ちょうど2人並んで座っているその間、つまり、2人の間に出来ているスペースを。

 

「え?」

 

「「……」」

 

 ぽん、ぽん、ぽん。

 

 この場に座れ、それを催促されている。

 

 王姉妹の間に、座れだと?? 

 冗談じゃない、そんな薄着の女性の間に座れるか。

 そう思っていたはずなのに。

 

「……失礼します」

 

 ミアがふと俺の手を取り、腰を支えベッドに誘う。

 

 気付けば、俺は王姉妹の間に挟まれるように座っていた。

 

 ……これが、王族のエスコート力! 

 モテる男の動きじゃん……! いや、この世界では男の役割は女がしてんだけども。

 

『な、なんて自然なベッドへの誘い方……こ、このミアって雌、相当なタラシだよう……ま、マスターが寝取られる……うっ、うっ、ふう……続けて、どうぞ』

 

 指輪に眠っている最強装備ドラゴンはあまり役に立ちそうにない。

 

 気付けば、俺はアネスタシアとミアの間にちょこんと座る事に。

 

 2種類の甘い匂いに挟まれている。

 おい、どこ見ても肌が多いって。

 

 右にはアネスタシア。

 高身長ナイスバディ、胸も尻も大きいのに腰が嘘のようにくびれた黄金の肉体。

 それなのに、顔が小さくて混乱する。

 黒いベビードールと白い肌のコントラストが暴力的な魅力を醸しだす。

 

 左にはミア。

 小柄で細み、しかし足が長くすらりとした妖精のような肉体。

 庇護欲を駆られる美少女。

 白いベビードールに白い肌……本当に人形のような美だ。

 

 灰クソ屈指の人気キャラ2人に、左右を挟まれた。

 

 王姉妹サンド……。そんなアホみたいな感想が頭をよぎった。

 

 そして、アネスタシアが俺の手を握る。

 

「すまなかった、テトグマン……其方がそのような状態にあったとは……」

 

「い、いえ……アネスタシア様、で、殿下がお気になされるような事ではありません」

 

「そういう訳にもいかぬ。其方からは、とても……懐かしい香りがするのだ」

 

 アナスタシアが、顔を寄せて囁く。

 クソ、イケメンに口説かれる女子の気持ちがめちゃくちゃわかる。

 なんなんだよ、この人達、絶対に自分の顔が良いって理解して行動してるよ。

 

「余とミアには、探している男がいてな。其方はその男と……似ている気がするのだ」

 

「さ、左様にございますか……」

 

「ふふ……ああ、やはり、良いな、其方、ここまで近づいても、不快ではない」

 

「ふ、不快、ですか?」

 

「そうだ、余も、ミアも、男が嫌いでな。触れるどころか、閨に入れる事すら想像もつかなかった。でも、不思議だな、其方を見た瞬間、こうして姉妹の閨に招こうと決めていたのだ」

 

 アネスタシアの長い指が、つーと俺の首筋を這う。

 

「そうです、ミアも貴方を見た瞬間──何故でしょうか、絶対に、絶対に、お礼をしないといけないと思っていたのです……男のヒトは嫌いで、苦手ですが……貴方は、平気みたいです」

 

 ミアが小柄で細身の身体をそっと寄せてくる。

 人肌の温かく、もっちりした感触が凄い。

 

 王姉妹サンドイッチがどんどん、密着してくる。

 

 これは、不味い。今、勃起すれば確実に間違いが起きる。

 

 血の魔術で、血流操作開始……! 勃起を未然に、防ぐっ! 

 

「テトグマン、行く当てもないのだろう? 心配するな。既に其方は余とミアの従者だ。存分に気のすむまで、この王宮にいるといい」

 

「ふふ。今度、貴方の部屋にもこっそり遊びに行ってもいいですか?」

 

 おい、なんでこんなに好感度高いんだよ。マジで。

 王都襲撃イベントの記憶はなくなってるはずだよな? 

 

 俺が、必死に血の魔術での血流操作を続けている間にも、王姉妹達はじっとりと俺を挟み続ける。

 

「それにしても、少し暑いな……」

「姉さまもですか? 僕もです……何故か、テトグマンさんに触れてると体が……火照ってきちゃいますね」

 

 じっとり、アネスタシアとミアから発せられる甘い香りがどんどん強くなっている。

 

 そして……。

 

「……時に、テトグマン。いや、我が従者、リヒトよ。従者の仕事には主人の身体の世話をする事も含まれてるのを知っているか?」

 

「……え?」

 

「……ミアも、姉さまも男性が苦手です。しかし、僕達は王族、いつまでも男性に触れられる事自体を嫌がっている場合ではありません」

 

「は、はあ……」

 

「「でも、其方は違う」」

 

 ねっとり。

 アネスタシアの熱い吐息。

 ミアの薄く開かれた瞳。

 

 熱帯雨林かよ、というほどの湿度が部屋を満たす。

 

「何故だろうな……余とミアは其方に報いたくてしょうがない。故に、これは褒美ぞ。今宵は余とミア、同衾する事を許す」

 

 DOUKIN??? 

 

「不思議ですね。リヒトさんとは、ずっとこうしていたかったような気がします。姉さまと僕の間。世界で一番安心できる場所に、貴方をこうして閉じ込めておきたい……なんて」

 

 ぎゅっ──。

 

 え? え? 

 

 どさり。

 そのまま、アネとミアにベッドに引きずり込まれる。

 

 仰向けに寝転がる俺の両隣に、王姉妹。

 右を向けばおっぱい、じゃない、アネスタシア。

 左を向けば鎖骨、唇、じゃない、ミア。

 

「疲れただろう? 良い、余が抱きしめてやろう、こちらに来い」

 

「むっ。姉さま、さっそくそんなのずるいです。ふふ、じゃあ、僕はもっとリヒトさんにくっついちゃおう」

 

 王姉妹なりに、俺をいたわってくれているらしい。

 じゃあ、1人で眠らせて?? 

 

 右も左もおっぱいとか鎖骨とか甘い香りに挟まれて眠れないんですが。

 安眠妨害姉妹だろ、これ。

 

「あの、殿下、ミア様、少し、お戯れが……」

 

「すーっ……すーっ……」

 

「あれ?」

 

 俺を抱きしめているアネスタシアから、安らかな寝息が。

 銀の目隠しつけたままだからわかりにくいけど……寝てないすか? 

 

 まさか、俺、一晩中、このえっっっっど姉妹に挟まれて過ごすのか? 

 

 え? マジ? 

 

「ふふ、姉さま、もう眠っちゃいましたね、リヒトさん」

 

 ぴとっ。

 

 なんか、この子、ミア……距離が近い。

 かと思うと、するり、するり、器用に俺を抱き締めるアネスタシアの腕を解きだした。

 

「すー、すー」

 

「ふふ、かわいい。姉さまは一度眠ると朝まで起きませんから」

 

 いつのまにか、ミアに肩を抱かれ、彼女の方へ引き寄せられる。

 すぐ隣に、ミアの人形のような美しい顔。

 

 ベッドに枕に預けられた彼女の金髪が白いベッドスーツに生えて妙に艶やかだった。

 

 

「ふふ、男のヒトと、こんなに近い距離で見つめ合うの、初めてです。ちょっと恥ずかしいな……」

 

 

 思い出した。

 

 ミア・ネイチア・ミリタルナ。

 原作ファンによる人気投票でも常に首位に近い場所にいる彼女。

 

 金髪二房ポニテ、姫騎士っぽい可憐な見た目、そして剣の達人と男の少年心をくすぐるキャラクター。

 

 癖の強い灰クソヒロインの中でも正統派なヒロイン属性を持つ彼女。

 

 彼女にもまたアネスタシアと同様にファンから愛され、故に色々なあだ名をつけられていた。

 

 曰く──”お卑いさま”、”隠し剣・卑剣”、”卑ロイン””姉の見えない所でウインクしてくる女”、”ごめ姉”、”女”、”CEROに仕事させた女””初恋泥棒(小学生男子)”、”絶対に彼氏の近くにいて欲しくない姫騎士”。

 

 ミア・ネイチア・ミリタルナ。

 彼女は原作でも友好度が高まると──。

 

 

「……このまま2人きりでお話したいな……だめ、ですか?」

 

 ちょっと……湿度高めの卑しい女になるのだった。

 





大変お待たせしました。

2部の構想が固まったので本日から本格的に連載再開します。
こちらも完結までコツコツ書いていくのでお楽しみ頂ければ幸いです。

次の更新は木曜日までを予定
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