貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る 作:しば犬部隊
「ここが、貴公の館です。ルラカナ滞在時はこの館を好きに扱ってくれて構いません」
「ま、マジか」
竜車で案内されたのは、ルラカナの中でも一等地。
高名な魔術師達の塔に囲まれた、湖の畔にある邸宅だった。
すげえ、デカい家……!
母屋に加えて、塔が3つほどくっついている石造りの家。
大豪邸だ。
周囲には湖からしみ出した魔力が集まってできた結晶が輝き、常にほんのりと青く輝いている。
「ええ、そして館には貴方の身の回りの世話をする者を用意致しました。ルラカナには基本的に男性はいないので、女性となりますが宜しいですね?」
「え、い、いえ、とんでもない。そこまでしていただく訳には行きません」
「ほう、使用人は必要ない、と?」
竜車の狭い車内。
ずずっと学長が迫ってくる。
おっぱいが長い。気付けば肩に手を置かれていた。
すり、すりり、ビロードの黒い手袋の感触がくすぐったい。
「……」
「な、なんでしょうか?」
おおい、なんなん、この銀髪アラサーむちむち魔術師。
めっちゃボディタッチしてくるんだけど。
「貴公は……不思議な男ですね。もっともっと傲慢になってもいいはずなのに、どこまで謙虚だ。普通、女の過失でケガを、ましてや片腕をなくすまでしていればわがまま放題になっているハズ……私の豊富な男性経験ではそうでした。ええ、貴公は知らないかと思いますが……私はその、男性経験が豊富なのです」
「そ、そうですか」
どうしよう、凄くどうでもいい情報だ。
学長、原作開始時では既に亡くなっているキャラだからな……。
ストーリーの匂わせでルラカナの地下にいる魔物の正体が月を打ち落とすのに失敗した学長みたいな考察動画があったが……そのくらいしか原作情報もないので判断に困る。
「ええ、だいたい、そうですね、よく覚えていませんが、い、12260人の男を抱いてきました」
「嘘つけ」
「!!」
銀髪吊り目気味のむちむちアラサー美人、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で固まってしまう。
「あ、やべ」
しまった。少しやかましすぎる経験人数が聞こえてきたせいでつい……。
「う、嘘では、ありません! 私は、ルラカナの代表であり、月見台の魔術学院の学長です!!
「聞いてねえよ、じゃない。あ、ああ、そう、なんですね」
「う、そ、そんな冷たい目で……ふう……男性に、冷たい目で見られるのは、結構悪くない気分……ごほん。ふ、流石は、かのミリタルナ王姉妹の従者……普通の男性とは一味違うようですね」
「はあ」
アンタは一味どころじゃなさそうだが……。
「……ふむ、おかしいですね。男性は男性経験の豊富な女性、通称強メスが好きと聞いていたのですが……」
どうしよう、この学長。
ちょっと面白い人かもしれん。
だが、よくない傾向だ。灰クソではこういう愉快なキャラほど悲しい死に方やめんどくさい事情を持っていたりするものだから。
にしても、アイテムテキストや資料で語られていた学長と全然印象違うな……。
「あ、あの学長様、本当に自分の事はお気になさらず、そ、それよりも、あの1つお伺いしたい事が」
「ええ、分かっています。月の事ですね。……それについては後でしっぽりと、いえ、しっかりとご説明させて頂きます。貴方の治療にも関わる事ですので」
「は、はあ」
あの月で原作のルラカナは崩壊する。
王都襲撃イベント後にルラカナに訪れると、既に月によって壊滅したルラカナを探索する事になるのだ。
だが、ここに来るまで観察したルラカナの様子的に、悲観した雰囲気はなかった。
何か、対応策があるのだろうか。
「しかし、迎えが遅いですね。あれだけここの館の世話人の座を取り合って決闘までしていたのに。むむ、こういう態度を取るなら私自らがメイド服を着て――」
何やら学長が不穏な事を口にしかけた、その直後だった。
竜車の扉が開く。
迎えの人がやってきて――。
「お迎えに上がりました、お客人様」
そこにいたのは、長身かつすらりと足の長い銀髪ポニテの美人。
少しダウナーな雰囲気と、つんとした吊り目。少し、学長に似ているような――。
「っ!! 何故、お前が、ここに――」
「あら、ヒドイ言い草ですこと――娘に向かってお前、だなんて。ふふ、でも、魔術が一切使えない出来損ないの娘なんてアンタにとってみればお前呼びが相応しいって事でしょうか?」
「っ、 レナリア! お前は、何故そうも分からないのだっ!」
苦々し気な顔を浮かべる学長。
不敵な笑みを浮かべる――
「まあ、お母様ったらそんなめんどくさそうな顔なさらないで? 貴女の失態で腕を喪った愚かな男を、娘であるわたくしが使用人として奉仕してあげるというのに」
――学長によく似た銀髪ポニテメイド……、銀髪ポニテメイド!?
おいおいおい……それはちょっとやりすぎじゃないか?
「くっ、愚娘目……何故、お前はいつも、こうなのだ……」
「ふふふ、お母様ったらそんなに嬉しそうな顔なさらないで、ああ、間違えた嫌な顔ですね。お母様は、う、私の事がお嫌いでしょうから」
「……愚か者め」
この2人……母娘?
待て、そうすると彼女は――まさか――。
「レナリア……カリア、ルラカナ?」
「! 貴公、何故、我が娘の名前を?」
「ふーん……知ってるんだ、
あ、しまった、つい……。
レナリア・カリア・ルラカナ。
灰クソにおいての有名人、複数いるヒロインキャラの1人だ。
言われてみればどこかで見た事がある顔をしている。
原作と髪型や雰囲気、そして口調まで変わっていたのですぐに気付かなかった。
俺が知っているレナリアは、っす! 口調の素直な元気魔女娘キャラだったはずだ。
いつもトレードマークの魔女帽子を被っていた。
長身ナイスバディ、かつ銀髪美人というクールな印象とは逆の元気なキャラが特に20代前半の男性に非常に人気だったはず。
なのに、今の彼女は――。
「まあ、何はともあれお母様、それにお客人。館の準備は整っておりますわ。積るお話もありましょう、まずはお屋敷の方へ」
妖しく微笑む銀髪メイドさんは、とても悪い子には見えない。
「あまり、母親が若い男に熱を上げている姿も見れたものじゃありませんしね」
「れ、レナリア! 何を言っているのです、私は決してそのような事は――」
「万年処女のお母様に、竜車の中で嗅がされる童貞の香りはさぞ、刺激が強いでしょうから」
へ?
処女?
だって、お母様って……そうだ、原作でもこの2人は確か母娘だったはず――。
「しょ、しょしょしょしょしょしょしょ処女じゃありません!!」
処女なのかい?
顔を真っ赤にした学長が声を震わせる。
アラサー銀髪むちむち魔術師処女ママ……!?
やりすぎだろ、この世界……!!
「ふふ、カワイイお母様、いいじゃありませんか、処女でも」
「違う!! 12260人抱いてるもん!!」
キッツ。
次回更新は明日の予定です。
しばらく更新頻度高めでルラカナ編を楽しんで頂ければ幸いです。
GW最終日には告知させて頂きます。