貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る   作:しば犬部隊

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 昨日更新できず申し訳ない……。


34話 似た者母娘

館の中はTHEファンタジーな室内だった。

 

 勝手に点火される暖炉、水晶で出来たランプに、空中を舞い勝手にテーブルに広げられるティーセット。

 

 青い光に照らされた室内には──。

 

「レナリア。説明せよ。何故、お前がここにいるのだ、彼の世話係はライナ教授に決まっていたはずだ」

 

「あら、お母様。ご自身で決められたルールをお忘れになられたのかしら? 学院で行われる魔術戦、それの優勝者がこの館の世話人になるという話ではなかったかしら」

 

 ソファで対面に座る銀髪美人の母娘。

 1人はむちむち銀髪魔女アラサー。もう1人はスレンダー系銀髪ポニテメイド。

 う~む、一部の性癖が反映されたビジュアルだ。

 

 俺は少し離れた椅子に座ったまま2人を見守っている。

 

「その優勝者が、ライナ教授だったはずだ……! 私がミリタルナに発つ前にそう決まっていたはずだが?」

 

「お母様。あの魔術戦は不成立よ。魔術戦は魔術学院の生徒全員で行うとの事だったでしょ? 私が眠っている間に終わらせるなんて卑怯よ。ライナに相談したら彼女も理解してくれましてよ。きちんと正々堂々魔術戦を行って、私が勝利しました」

 

「お前が、ライナに……!? あの忌まわしい力を使ったのか……。あれほど使うなと言っているのに……!」

 

「まあ、実の娘の才能に忌まわしいなんて……酷いお母様だこと……! 娘の才能をお認めに──」

 

「あんなものが才能な訳がないだろう!! 愚娘め!」

 

「ッ! ……何よ……いつも、そうやって……私、ばっかり……」

「あっ……チッ……」

 

 随分派手な喧嘩だ。

 

 レナリア・カリア・ルラカナ。

 原作での元気っ娘バージョンと雰囲気が違うのもそうだが……母親との関係性も悪いのか?

 原作におけるルラカナ編のメインストーリーはまさに、母娘の物語だったはずだ。

 

 滅んだルラカナの跡地でプレイヤーはルラカナ最後の生き残りであるレナリアと出会う。

 レナリアは死した母親の名誉の為に、ルラカナ滅亡の秘密を追うというシナリオだったはず。

 

 少なくともゲーム上では、レナリアは親である学長を尊敬していたはずだ。

 

 こんな喧嘩をするような仲とは思わなかったが……。

 

 少し、確認してみるか。

 

 ……ラミィ。

『はあい、マスタァ。オーパーツ、つ、使うの? ふひ』

 ああ。アレを出してくれ。

 月の宮でバカでかいイヤリングをつけていた片耳の形をした天使が護っていた奴。

『お、おっけ~……アイツ、嫌な天使だったよね……心を読んでくるとか反則でしょ』

 

 ぶつぶつ言いながらラミィが用意してくれたのは、小さなはめ込みピアス型のオーパーツ。

 

 オーパーツ・”嘘鳴きの耳栓”

 その効果──”嘘をついている人間に限り、その心中の声を聞く事が出来る”

 

 原作灰クソでたまにある、推理要素があるクエストでこれを使うと速攻でクリアできるというある意味バランスブレイカーなオーパーツだ。

 ただし、これで得た情報は使用者以外の人間に伝える事は出来ないというルールが存在する。

 それを破れば、このオーパーツは消滅してしまうのだ。

 

 灰クソ初期の攻略情報が揃っていない時期にはこの仕様を知らずにオーパーツを消失してしまうプレイヤーが多く現れた。

 

 貴方を器物破損の罪で訴えます! というネットミームまで生まれていた。

 

 さて。こっそり、片耳に着けて2人の会話を聞いてみると。

 

「……とにかく、お前のような魔術も使えぬ半人前以下の出来損ないに彼の世話など任せる事は出来ない。自室に戻れ。貴様の出番などないのだ。我が愚娘よ」

 

 オーパーツが学長の本音を聞き捉える。

 さて、鬼が出るか、蛇が出るか──。

 

 

『違う、違う違う、こんな事を言いたい訳じゃないのに!! どうしてわかってくれないのだ!! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』 

 

 ん? 故障かな?

 

「はっ!! それが貴女の本音でしょう? ルラカナ学長様。自分の娘である私が、ロクに初級魔術すら扱えないゴミだから視界にも入れたくないだけでしょ? けど残念、そのゴミでも魔術戦においては強いのよ。出来損ないの魔術師以下に負けるなんて、貴女の部下も全員大した事がないんじゃないの?」

『ああ、違う、違う違う違うのに!! どうしてこんな言い方しか出来ないの!? ウチはただ、ただ、()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()!!』

 

「親子過ぎるだろ」

 

「「ん?」」

 

「あ、なんでもないです、続けて下さい」

 

 故障じゃないっぽい。

 なんなんだよ、この母娘。

 言葉と態度と本音が剥離しすぎだろ。

 まさか、このむちむちアラサー銀髪吊り目魔女美人と、スレンダー銀髪ポニテメイドは……。

 

「そもそもお母様がこの方を怪我させたんでしょう? 愚鈍な母親のフォローを娘であるこの私が自らやってあげると言っているのに……酷いお母様だこと」

『男の人なのに、片腕がないなんてかわいそうすぎるよ……!! でも、ママのやってしまった事は娘であるウチがカバーしなきゃ……お、お、男の人なんて、せ、センセイ以外で初めて会うけど……が、頑張ってフォローしてあげなきゃ……一番困ってるのは、この人、っすもんね……、そ、それに、ママの事、嫌いになってほしくないし……!』

 

「彼の腕はすぐに治る。この月を堕としたのち、しっかりと元通りにな。それまでは大切な国賓として扱うつもりだ。お前なぞに口を出されるいわれはない」

『何故、分かってくれないのだ……。月を堕とし街を護るのも、彼の腕を治して、好感度爆上がり、そのまま私のラブラブパパになって貰い、お前に優秀で優しい父を作ってやるのも全て母たる私の務め……私のエゴで生まれたお前に対する、唯一の──』

 

「何言ってんだ、アンタ」

 

「「え??」」

 

「あ、すみません、続けて」

 

 俺の想像の斜め上を超えるレベルで学長がおかしい奴だった。

 娘への愛情表現が意味不明すぎる。

 なんなんだよ、ラブラブパパって。嫌だよ、そんな父親。

 

 その後も2人の表ではクール系顔整い母娘によるネチネチ口論は続く。

 その間、ずっと聞くに堪えない……ただの仲のいいバカ母娘の本音を聞かされ続けた。

 

「……私は、そろそろ行く。地下水道に現れる二つ首の魔物の対策会議の時間だ。この後、正式な世話人を寄越す。レナリア、お前は自室に──」

 

「お母さま、その二つ首の魔物、この私が討伐しても宜しくてよ。魔術学院の誰よりも、私が一番──」

 

「いい加減にしろ!!!!!!!」

「ッ……」

 

「なんど言えば分かる!? お前など何も役には立たないのだ! 魔術もロクに扱えない出来損ないが! 部屋で大人しくしていろ!!」

『お前の固有魔術はお前自身の肉体を……あまりにもっ……くっ、私の、せいで……』

 

「……本当に、ヒドイ言い草……ですこと……」

 

 母娘の会話はひと段落したらしい。

 少ししゅんとした銀髪ポニテメイド、レナリアはもう何も言い返さなかった。

 

「すみません、貴公。見苦しいモノを見せてしまいましたね。……ですが、ご安心を。貴方のその腕は必ず我々がなんとか致します。ただ、3日、3日ほど時間を頂きたいのです」

 

 むちっ。

 学長が俺の前に膝をつき、手を握ってくる。

 上から見下ろす形になったせいで、胸の長い谷間が見えて目に毒だ。

 

「あの月を堕としたのち、ルラカナの総力を結集して貴公の腕を治療します。何も、何も心配はいりません。ただ、この3日間、この館に逗留していただきたいのです」

 

 ここで断る事もないので素直に頷いておく。

 世話人という監視役がつくのは少し面倒だが……まあ、ある程度の自由行動を取る為のプランは何個か用意している。

 

「この後、正式な世話人を寄越します。それまでは……」

 

 ちらりと学長が、レナリアに視線を向ける。

 

「愚娘、彼に何かあれば、分かっていますね」

 

「……ええ、分かっているわ、お忙しいお母様」

 

「貴公、それでは。また様子を見に来ます。この館のものは自由に扱って頂いて構いません。食事も、世話人に用意させますので、どうか、ごゆるりと」

 

 そういって学長は転移魔術でこの場から去って行った。

 ……内面からは考えられないクールな外面だ。

 怖い。

 

 そして広いリビングに残されたのは俺と──。

 

「どうせ、皆、ウチの事なんか……嫌いなんでしょ」

 

 出来損ないと呼ばれて、ちょっと涙目になっているレナリアだ。

 

 気まずい空間の出来上がり。

 

 だが、学長とレナリアの関係はやはり、彼女の出自が関係あるのだろうか。

 

 ──灰クソ原作知識、銀髪ポニテメイド──改め、レナリア・カリア・レラカナは人間ではない。

 

 魔術によって造られた人間”ホムンクルス”だ。




遅くなってすみません。
続きは本日の夜予定です。
魔術都市編はずっと書きたかった話なので一気に行きたい……。
ポイント、感想、いつもありがとうございます。全部読んでいます。
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