貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る 作:しば犬部隊
「……行っちゃったわ……酷い母親だこと」
レナリアは、学長の血を魔術で媒介とし生まれたホムンクルスだ。
処女というのもそういう事なのだろう。
原作ストーリーではルラカナ編を彼女と共に進めていく過程で、プレイヤーはレナリアの出生の真実を知る事になる。
この時点で、プレイヤーには2つの選択肢を与えられる。
彼女に出生の秘密を伝えるか、否か。
これが非常に難しい。
レナリアのキャライベントのグッドエンドを目指すのならば、”伝える”一択なのだが、好感度や関係性によっては自分が人間ではない事、そして何より
結果的にはバッドエンド、キャラロストという最悪の道しかない。
この時のレナリアの曇り顔や絶望顔は一部の変態紳士たちに非常に人気で、中にはあえてレナリアを追い詰める選択肢や、好感度が低くなるような関係性を構築した上で、この事実を伝え、彼女の絶望顔を楽しむ──通称、レナ虐とかいうカスのような遊びもあるらしい。
頭魔族かよ。
出生の秘密を伝えない場合、レナリアは比較的安定してシナリオ終盤まで生存する事が多いが、覚醒イベントが発生しないのでどこかで普通に死んだりする事が多くなる。
灰クソ、NPCイベントが基本クソすぎる。
なんなんだよ、イベントフラグが多い割には一切ヒント無しで進行してフラグ壊れたらそれでおしまいはやめてくれよ。
今回の俺の目的は──あの月の落下を止める事だ。
ルラカナの滅亡という原作の既定路線を破壊する事が出来れば──グランドルートの到達も夢ではなくなる。
学院側もあの月を止める為に対策はしている。
しかし、原作では失敗する。
──月を破壊した瞬間、月の中から|神殺しの十二魔星が1人、白孤星のアステーラ《大魔族》が現れるからだ。
月の迎撃に全力を注ぎ、疲弊した魔術師達はアステーラになすすべもなく敗北する。
この決まり切った敗北エンドを変える為に必要な事は2つ。
あの月の落下を招いている大魔族の排除。
レナリアと学長の生存、出来れば関係性の改善もしたい……!
理想は、レナリアがショックを受けない形で彼女の出生の秘密を明かす事。
『ふひ、マスタァ。やけに、親切、だね? こういう女がタイプなの?』
なんだ、妙な突っ込み方するな、ラミィ。
彼女を助けるのは攻略の為、ひいては俺の平穏の為ではあるが、なんだ、その……。
自分がどこから来たのか、自分はなんなのか。
そういうのは、各個人それぞれ知る権利はあるだろう?
『ふ~ん……マスタァの事が少しづつ分かってきたかもだよ、ふひ。月の宮では……クソ天使と戦うだけだったからそういう一面は、見れなかったからね……』
誰目線だよ。
それに、あれだ。学長もレナリアも、悪人じゃない。
むしろ、普通に良い人達だ。
アステーラ戦でも思ったが……灰クソのメインキャラ達は幸せになるべきだ。
彼女達は、程度はあれいつも誰かの為に戦ってくれる人間だ。
そんな人間が、趣味の悪いバッドエンドで終わるのを知っていながら放っておくのは……平穏じゃないだろう。
平穏とは俺1人の平穏で完成するものではない。
多くの者の平穏が、ひいては俺の平穏に繋がるのだ。
ここで役に立つのが灰クソ原作知識。
原作考察民によると、実は月の落下3日前からアステーラはルラカナに潜伏していたのではないか。
という考察があるのだ。動画配信サイト”OHTUBE”で見た。
灰クソあるある”日記や手記によるストーリー考察要素”
地下に潜伏しているアステーラが月を呼び、魔術都市を滅ぼそうとしている。
月の落下が始まった後は、月内部にアステーラは移動するらしいが、それまではどうやらルラカナの地下水路に潜伏していた、らしい。
だが……気になるのは、先ほど学長が言っていた”2ツ首の獣”だ。
灰クソ原作で、その名前に相応しい”ある犬”の事を俺は知っている。
だが、彼は原作ではルラカナに現れなかったはず。それにこの世界の彼は──
……どちらにせよ、地下水路の探索が急務だろう。
ルラカナの地下には原作のあの要素も……。うん、ここに来れたのは収穫だったかもしれない。
しかし、確か地下水路の入り口は厳重に塞がれている。
オーパーツでゴリ押しすればいけない事もないが……犯罪だしなあ……。
一応、今の俺はミリタルナの代表という形な訳だし……。
唯一、衛兵のいない隠し入口が月見台の魔術学院にあるはずだ。
原作で、学院の封印を抜ける為には──。
「……はあ、つまんない、無駄な時間を過ごしたわ。……男、アンタも不運ね。あんな女のわがままに付き合わされてさ。まっ、もう私は行くわ。アンタは正規の世話人でも待って──」
すっかりスレてしまったらしいレナリア。
本音の部分では原作通りの優しい子だが、今は、そういう時期なのだろう。
彼女はつんけんとした口調のまま、ソファから立って。
「2ツ首の獣を狩りに行くつもりか? レナリアさん」
「……アンタ、何言ってんの?」
「確かに君の狙いは正しい。彼女達、優秀な魔術師が追っている魔物を、先んじて君が討つ事があれば……周囲の考えも変わるかもな。流石はあの学長の娘だと」
「あ、アンタ、マジで何言ってんの……?」
レナリアは固まっている。
図星らしいな。
「俺は、君の役に立つぞ。君の願いや目的に、俺はとても役に立つ」
「は、はあ? ……キッショ、男が急に何? 学長の娘とか意味わかんねえし。分かった事言うのやめて貰えるー? ……うぜえんだけど。あっ、分かった~!」
彼女がどんっと床を踏みしめる。
ハイヒールのかかとが床を貫通して。
「アンタも、私の事、舐めてるんだ」
「魔術師の娘、学長の娘なのに、魔術が使えない出来損ないって舐めてるんだ」
レナリアの目的は──母親に認めてほしい、あの母親の娘なのだと証明したい。そんな人として当たり前の欲求。
その為に、レナリアが求めてるものは──。
「言っておくけどさ~
「俺は、君に魔術を教える事が出来る」
「────―あ?」
レナリアが固まった。
「”我、血の導きに従い悪竜に至る者。今こそ、共に神を喰らわん”」
鮮血術式、起動。
俺の指先から、血が舞う。
レナリアが、ぽかんと口を開けて。
「う、うそ……」
お知らせ
いつも『貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る』をご覧頂き誠にありがとうございます。
去年の夏に始まった本作も、気付けば1周年が近くなりました。
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!
ルラカナ編をこれから盛り上げていくのでこれからもぜひご覧くださいませ!
そしてお知らせです!!
ブクマ、感想、ポイント、ツイート。様々な形で本作を応援して頂いたおかげでこのたび本作の書籍化が決定しました!
出版社はオーバーラップ様、イラストレーターはKWKM様に担当して頂いております。
発売日は今月、5月20日より発売です。
イラストについて
KWKM様のイラストほんっとうに、最高でおすすめです。
本作を読んで頂いている方ならきっと伝わっている死にゲーの雰囲気をそのままに、可愛いキャラとかっけえ鎧が出てきます。悪竜の古鎧がすげえ……。ニアもアネもミアもかわええ。アステーラがね、本当に最高で……。
1巻の内容
書籍化範囲については”カレル編~アステーラ王都襲撃決着”までになります。月の宮やカレル、王都での臣下問答、襲撃イベントに加筆が入っています。天使達の掲示板回書けて良かったです。
またタイトルが商業版では『貞操逆転死にゲー世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者』となります。そう、この世界は死にゲー世界だったのです。
作者より
単刀直入に申し上げますと、読者様全員に買って読んで頂きたいです。
ニアや王姉妹達の色々なシーンを紙、電子などでもう1度楽しんで頂ければ幸いです。
表紙が本当にかっこいいので、ぜひ皆様の本棚や部屋に置いて欲しいです。
売り上げによっては続刊やコミカライズの可能性もあります。
自分、銀髪むちむちアラサー、銀髪ポニテメイドや、梟むちむち騎士団を商業で扱い、イラストにしたいです。
ぶっちゃけ漫画で読みたいシーンがたくさんあります。
表紙イラスト、かっこいい。
【挿絵表示】
本作の呼び方、何にしよう……。貞操逆転死にゲーだと長すぎるかな……。
最新の情報などは作者Xや活動報告で行わせて頂きます。
引き続き本シリーズを楽しんで頂ければ幸いです!
作者Xページはこちら
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