貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る 作:しば犬部隊
ぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ。
部屋の隅に積もっていく黒いナニカ、目を凝らすとそれが何か分かった。
ねずみだ。
ねずみの大群がいつのまにか、うぞうぞと集い、集合し、積もって、それで。
「ぱっか~ん!! サプライズ登場超凄腕魔女!」
ネズミの大群の中から、人が現れた。
腰まである長い青い髪。
首元を隠すハイネックの長袖シャツ、と見せかけてシャツの布面積は鎖骨まで。
そこからは白い肌と、黒いビキニ水着着用!
さらにもうそれはパンツだろ、と言いたくなる鼠径部がチラ見えしている黒ホットパンツに二―ソックス。
縦にうっすらと線の入った白いお腹が丸見えの、とんでもない恰好の美人が現れた。
「こんばんわ~! ミリタルナからのお客様~この度はうちの竜車のせいで大けがを負わせてしまった大変申し訳ございませんでしたあ~! 此度のルラカナ滞在中の貴公のお世話、心のケアから下のお世話まで全てを仰せつかっている”ルラカナの魔女”が1人! ネズミの魔女! 貴女の世話人、マザリィで~す!! 今後ともよろし、く…………ん??」
どこかのんびりした口調。
服装は全然のんびりしていない彼女が糸のように細い目で笑顔を作ったまま固まる。
ぐでぐでになったレナリア、彼女を膝枕する俺。それを凝視するネズミの魔女。
「ふ、ふ、不埒ッ!! お嬢様が、不埒な事をっ!! み、乱れていますっ!! ルラカナの公序風俗が乱れています!! 破廉恥破廉恥!! 破廉恥指名手配犯がここにいます!!」
「「どっちが」」
◇◇◇◇
”ネズミの魔女、マザリィ・ネ・ラレト”
原作灰クソでは、鼠魔術のスペル説明文や、彼女の扱っていた杖や短剣のアイテムテキストで名前のみが登場するキャラだ。
特殊なスキルと召喚魔術の組み合わせでネズミの王と呼ばれる強力な魔物と契約しており、とんでもない物量攻撃によって城塞都市に匹敵する魔術師として語られていた。
恐らく、彼女もルラカナ滅亡時に死亡したのだろう。
この世界でも月を止めなければ、死んでしまう訳だ。
どうやら、彼女はノクトラ──銀髪アラサーむちむち処女ママ学長に命令された正式な俺の世話人らしい。
さて、どうしたものか。またトラブルになるのではないかと思ったが──。
「う、うう~ん。事情は分かりましたぁ~お嬢様がそこまで言うなら~……
「い、いいの!? マザリィさんは、マ──お母様の部下なのに……」
意外な事に彼女はその突飛な服装からは信じられないほど、物分かりが良い人物だった。
てっきりもめると思ったが、彼女が既に星渦の魔術の発動に成功した事を知った途端に──。
「えええええ! お嬢様が魔術使えてるう~!! 良かったですねえええ、お嬢様~!」
瞳に涙を称えて喜ぶマザリィ。
マザリィの魔女帽子の上に腰かけているネズミ達も口元を抑えて目をうるうるしている。なんなんだよ、このネズミ達。
彼女はこの母娘の関係をひどく気にしていたらしい。
ノクトラに近しい魔術師──とりわけ”魔女”の称号を持つ者達は皆、同じのようだ。
俺が魔術を教えた事は内密にしている。
だが、マザリィさんは納得してくれた。
「ううう~、きっとお客人とお嬢様、相性が良かったんですね~。護りたい男の子が出来た女は強いですから~。これで新しい論文も書けちゃいそうだな……」
魔術師の中には、異性と接触した事をきっかけに魔術を覚えたりする事がたまにあるようだ。
原作灰クソでも確かに、異性ボーナスみたいな要素があった気がする。
パーティーに男を入れておくと、覚醒したり、魔術習得の速度が上がるみたいな奴だ。
そこから雑談が進む。
話題は、自然とレナリアと学長の話になっていく。
「う~ん、マザリィ達も~なんで
「マ──……お母様はあんまり、私の事、好きじゃないんでしょ、どうせさ」
レナリアが吐き捨てるように呟く。
マザリィが現れた瞬間、ついさっきまでのまたたびを嗅いだデカい猫みたいな態度は消え去った。
だが、未だに俺の膝の上に座っているのはどういう事だ?
魔術師は、選民意識が強く、普通の女性よりも男性蔑視が酷いと聞くが……これはつまり、お前は私の椅子程度が相応しいという無言のメッセージか?
ルラカナ、一筋縄ではいかんな。
『いや、多分違うと思うよ』
ラミィが気を遣ってくれている……。お前、そんなしっかりした口調で話せたんだ。
「私は、お母様の子供なのに。出来損ないだったから……」
「そんな事ないよ~お嬢様~、だってお嬢様が生まれた時なんか、ノーちゃん、おっといけないいけない~ノーちゃんがいない所でノーちゃんをノーちゃんって呼んだらいけないんだった……! ごほん、学長はね~、お嬢様が生まれた時からめちゃくちゃ変わったんだよ~?」
マザリィの頭の上に座っているネズミ達も腕を組んでうんうんと頷く。
なんなんだよ、あのネズミ達は。
「マザリィ達の知ってる学長、昔はもっと冷血というか、氷というか、本当にニコリとも笑わない恐ろしい女だったのに~。お嬢様が生まれた後からほんとに変わってさ~。貴女の事、大好きなんだよ~? だから余計にマザリィ達もわかんないんだよね~……」
「その、マザリィさんから見ても学長の態度はおかしいもんなんですか?」
「うん、そうだよ、リヒトキュン。ちょっと異常っていうか~そんな感じかな~」
いつのまにか、呼び方がリヒトキュンになっとる……!
魔女怖え。原作灰クソではほとんどの魔女がルラカナ滅亡と共に死んでいるから余計にキャラがつかめん……。
「異常、というと?」
「う~ん、これは話していいのかな? あ、口が動くって事はOKぽいね~。うん、マザリィ達、魔女はさ~、お嬢様に魔術を教える事を契約魔術で禁止されてるんだよね~」
「ッ! は、は? そ、そこまで!? そこまでしてんの!? で、でも、マザリィさんは、魔術学院で授業をしてくれてるじゃない! 私、貴女の授業、何回も受けてるわ!」
「……禁止されてるのは、マンツーマンでのガチ授業って感じかな~。ほら、魔術学院での大規模授業ってわかってる人が更に分かるようになるための形式だからさ~。魔術師が本気で誰かに魔術を教える時はマンツーマンで教えるのが基本なんだ~。だから、よっぽど学長はお嬢様に魔術を教えたくないのかな~……あ、これも出来れば~内緒にしてほしいかな……学長、この話をするとすっごく怖くて~」
「……何よ、それ……なんなのよ……お母様、そんなに、私の事が嫌いなの……?」
レナリアはだいぶショックを受けているようだ。
だが、今の話は初耳だったな……。
原作では結局、レナリアとノクトラ学長の母娘関係が実際どうだったのかの全ては語られなかった。
ただ、母親は魔術師としてルラカナを護る為に月に挑み、敗れる。
原作レナリアはルラカナの冒険の中で母の魔術師としての矜持や誇りを知る。
”魔術師よ、人々の為にあれ”
ノクトラの唱えたルラカナの新たなあり方を、娘のレナリアは引き継ぐ事を決める。
その中で、二度目の月落下が始まり、覚醒したレナリアは月を砕き、母の為せなかった偉業を成し遂げる、そんな継承の物語だ。
結局、原作レナリアは、母を恨み、憎みつつも魔術師としての彼女を尊敬する、みたいな所に落ち着いたはず……。
言ってみれば、今の状況はルラカナ編の前日譚みたいなものだが……。
それは初耳だ。
『ふうん……じゃあ、ラミィ。メモしておくね』
『・ノクトラはレナリアに魔術を覚えさせたくない』
ラミィ、有能……!
月の宮で真っ先に見付けて本当に良かった……!
『えへへ、本当? ほ、他のオーパーツよりラミィがい、一番? ふ、ふひ』
他のオーパーツも大好きだがな。
『ふひっ、ご、誤魔化されたっ!! ああ、でも、嬉しい、ふひ。今度のアフタヌーンパーティーで他のオーパーツに自慢してやろっ』
微妙に重要な話を聞いた気がする。
そこからしばらく、ミリタリナの話や軽い雑談をした後、マザリィさんは席を立つ。
「よ~し、それじゃあ、マザリィはこれで失礼するね~、この後、二つ首の獣の討伐会議があるから~、その時学長には良い感じに誤魔化して報告しとくからね~。あ、でも対外的には、マザリィがこの館の世話をしてるって事にしておくから、リヒトキュンは適当に話合わせてね~」
マザリィさんに謝意を述べる。
そのまま、またネズミの大群に飲まれてマザリィさんは消えていく。
レナリアと2人きり。
しんと、静かな沈黙が積もる部屋。
「……っ」
レナリアは、ぷるぷると震えていた。
「……まあ、なんだ、泣くなよ」
「は、はあ!? な、泣いてない!! 泣いてないし!! 私が、こんな、こんな事で、泣く訳、ない、でしょ!!」
ぽろぽろと涙をこぼしながら叫ぶレナリア。
母親が、そこまで手を回していた事がよほどこらえたのだろうか。
いや、まあ、まずは俺の膝からどいてほしいのだが。
「まあまあ、落ち着いて。ほら、とりあえず膝から降りて水でも飲んで──」
「……アンタも、私が邪魔……なの?」
「え?」
じめっ。
この妙な空気……何かが、まずい。
「そう、よね……私みたいな、実の母親にも見捨てられるような女、邪魔、よね……」
「レナリアさん?」
「ぐすっ、レナって呼んで、くれないんだ……! やっぱり、急に距離感縮めてきてメンドクサイ女って思ってたんでしょ!! 女のくせに子供みたいにはしゃいでダサいって思ってたんでしょ!?」
「え、いや、ちょっ。あの」
「分かってる、分かってるわ……私が、出来損ないで、男にも慣れてないダサい女って事は……アンタ、ミリタルナの、王姉妹。アネスタシアやミアのお気に入りなんでしょ!? あんなかっこいい女に慣れてるアンタからしたら、私みたいなの、無能の癖になれなれしくて、母親からも嫌われてる女なんて、目に入れる価値もないよわメスって思ってるんでしょ!!」
水飲めって言っただけなのに……。
「アネスタシアも、ミアも、こんなめんどくさいないもんね! でも、残念、私決めたからっ!! アンタは私に魔術を教えてくれた……アンタが私を見捨てても、私は絶対に、アンタから離れてやったりしないからっ!」
「いや、殿下も妹殿も似たようなモン……」
「……えっ?」
「あ、やべ」
微妙な沈黙。
レナリアは、一瞬きょとんとしたまま、しかいまたボルテージを上げて。
「……諦めて、たまるもんか……お母様に、いくら嫌われてたって……もういい、知らない。どうせ嫌われてるんだもの。こうなったら、意地よ……!」
なんだか知らんが、猛烈に嫌な予感がしてきた。
「お母さまが止めようとする、月。アレを、私が止めてやる……それだけじゃない……! お母さまが手を焼いているあの二つ首の獣も、私が狩る。あの人がやろうとしている事を、私がやってやるんだ……! お母様に、私を認めさせてやる、絶対に、絶対に……!!」
おい、なんだかよろしくないスイッチが入ってもうて。
……いや、ここは俺の輝くサポート力の見せどころか。
いいよ、うん、やってやろう。
灰クソ、死にゲープレイヤーとしてこれまで磨いてきたNPCのお世話力を発揮する時が来た。
「あー、レナ、さん?」
このまま暴走しそうなレナリアをなんとかなだめて、魔術学院に──。
「でも、その前にアンタとの取引をきちんと終わらせなきゃね!」
「え?」
「私の目的は目的。アンタへの感謝と取引は取引! アンタは私に魔術を教えてくれたんだもの。次は私が、アンタとの約束を守る番ね!! それをきちんと果たしてから、お母様分からせはその後でいいわ!! こうしちゃいられない! 明日の登校までに、アンタを学院に入れる方法を考えておかなきゃ!! 一旦寝るわ!! 寝て頭をすっきりさせてから色々考えるから!!」
レナリアは、そう言って館の2階にある寝室へと駆けて行った。
「アンタ! リヒっち!!」
「はい」
りひっち? ギャルかよ。
「魔術、教えてくれて、ありがとね!! 男はあんま好きじゃないけど、リヒトは結構好きよ!! 私、クールだから付き合ったりは出来ないけど!!」
にかーと笑うレナリアが、吹き抜けから顔を覗かせて手を大きく振っていた。
……良い子かよ。
ルラカナ到着日はそうやって終わっていった。
◇◇◇◇
~月見台の学院、学長室~
「……遅かったな。マザリィ」
「ん~ちょっと、色々あってね~、でも、会議には間に合ったんだから、許してよ~」
「……ミリタルナの従者殿は、不便をしていなかったか?」
「ん~? ノーちゃんの言う通り、良い人だったよ~世話人としての仕事は、ちょ~ばっちりだよ~」
マザリィは、にこ~っと微笑みピースを構える。
学長室には、魔女が集まっていた。
御覧頂きありがとうございます。
宣伝多くて申し訳ないです。
『貞操逆転死にゲー世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者』は5月20日に発売となります。各種予約など始まっています。電子版もございますので、物理本が難しい方は是非ご検討下さい!
超可愛いアネ姉さま限定版サンプル、完売ありがとうございます。
【挿絵表示】
上記メロンブックス様の有償特典、予約で完売致しました。ありがとうございます。
完売につき、受注販売が始まりました。
もし、ご興味ある方がいらっしゃればぜひ……!!
有償特典が売れた状態で続刊出来れば、ワンチャン、アラサー銀髪ムチムチをはじめとしたルラカナの性癖キャラのイラストも出る可能性が……!
メロンブックス様、アネ様の超可愛い特典、受注販売5月24日まで
貞操逆転死にゲー世界、2巻が出せたらえっっっどなキャラのイラストが貰えるのでは?
そして、めっちゃ売れたら2巻の有償特典でKWKM先生にまた他キャラの凄い絵を書いて貰えるのでは?
色々な事に気付いたので、ルラカナ編はキャラの見た目にも注力して書いています。
魔女帽子、水着、ニーソ魔女。
銀髪ポニテメイドミニスカの姿
アラサーむちむち銀髪魔女。
一番人気のあるキャラでまたA3えっっっどイラスト書いてもらうんや……。
次回、魔術学院はギャル女子高
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