貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る   作:しば犬部隊

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43話 地下水路へ

 

「地下水路って……! あ、アンタ、一体何する気?」

 

「しーっ、レナさん、少し声が大きい」

 

「むっ」

 

 レナリアには、素直に地下水路へ用がある事を伝える事にした。

 

 前回のミリタルナの反省だ。

 どうも俺は事態を自分の都合の良いようにコントロールしようとして……失敗する事が多い。

 

 なので、今回はもう素直にシンプルにまごころを込めて行動する事にした。

 

 この街にある他の水路は全て二つ首の獣の影響により封鎖されている事、入るには学院にある隠し通路を使う必要がある事を伝える。

 

 地下水路に入る事自体をレナリアに咎められると思いきや──。

 

「ふー……まあ、ミリタルナの従者で、魔術を使える男だもんね、アンタ。……いいわ。詳しい事は聞かないでおいてあげる」

 

「れ、レナさ──」

 

「ただし! 条件が1つ。……私も、ついていくからね」

 

「え」

 

「あったりまえでしょ! ただでさえ、地下水路には水棲系の魔物や古い魔女が遺した術式がうろついてたりするのよ。そもそも、あの地下水路、学院の上級生の鍛錬の場でもあるような危険な場所なんだから! おまけに、今は二つ首の獣までいるんでしょ? 男1人、そんな場所に向かわせる事は出来ないわよ」

 

 しまった、ここは貞操逆転死にゲー世界。

 一般的には、か弱い男が意味わからんほど、危険な場所にむかおうとしている事になるのか。

 

 ……まあ、今は頷く他ないだろう。

 

「ならよし! ……でも、本当にこの学院に地下水路の入り口なんてあるの?」

 

「ある。はず、だ」

 

「はずって……アンタ、そんな確定してない情報でわざわざ学院に忍び込むような真似したの? 行動力の化身ね」

 

 灰クソ原作では、荒廃した月見台の学院を原作レナリアと探索する事になる。

 

 原作レナリアは、月が堕ちる前日に母親であるノクトラ学長に絶縁とルラカナ追放を命じられる。

 

 原作レナリアが禁じられた魔術の探求を行った事がきっかけだそうだ。

 ただ、ある日急に自分が行った覚えのない研究が明るみに出て、追放されたらしい。

 

 原作レナリアは、国外に追放されていたおかげでルラカナの滅びから逃れる事が出来たのだ。

 

 原作シナリオでは、レナリアの過去を調べる為にルラカナ地下水路を通り、その秘密が隠されているであろうノクトラの塔を目指す、そんな流れだったはず。

 

 唯一生き残っている地下水路の入り口は、不思議な事に原作レナリアを迎え入れるように開き、ルラカナの冒険は中盤へと移行する。

 

 それが、原作でのルラカナ編の流れだ。

 

 しかし、ここで問題が発生した。

 

「……綺麗な学院だな。テラス席はあるし、魔術結晶で出来た校舎は宝飾品みたいだ。生徒も、その元気なヒトばかりだしな」

 

「? どうしたの、急に?」

 

 学院が、キレイすぎるのだ。

 

 灰クソの世界はシナリオ進行と共にどんどん滅び廃墟化していく。

 だが、ルラカナは最初から廃墟になっていた。

 ここ月見台の学院も、こんなきれいなファンタジー魔術学院ではなく、魔族によって放たれた魔物や、魔術師の死骸を乗っ取った精霊が跋扈する危険なダンジョンだったのだ。

 

 簡単に言えば、隠し入り口の場所が分からない。

 確か、塔の残骸の近くだったんだが……。

 

「塔がたくさん……レナさん、この学院の敷地内にある塔は、いくつくらいあるんだ?」

 

「魔術塔の事? そうね、学院で教授職にある魔術師には全員、塔が与えられるし……今、見えてるのだけでも、少なくとも30以上は確実ね。あと、時間帯によって地上に生えてくる塔とか、夕焼けの時にしか存在しないようになってる塔もあるから……」

 

「ファンタジー……!! クソ、参ったな……」

 

 そんな素敵機能まであるのか……!

 

 月が堕ちるまで今日を入れて残り3日しかない。

 さっさとあの月を呼んでいる大魔族を見つけ、排除してルラカナ編をハッピーエンドで終わらせたのだが……。

 

「……地下水路の入り口は、いったいどこに……」

 

「っ……」

 

「どうかしたか? レナさん」

 

「い、いや、別に……なんでもないわ。真剣なアンタの顔を見て少しドキドキしたとかじゃないから、ウチ──じゃない、私、男に興味のないクールな魔術師だから」

 

 すっかり原作の元気後輩系魔術師キャラから変わってもうて。

 

 こうなったら灰クソの基本、とにかく歩きまくって探すしかないか?

 

 こんな時、オーパーツ”導きの蟲”があれば……。

 脳に埋め込めば立ちどころに目的地に、導きの光が走るようになるのに。

 

『マスタァ、そのオーパーツは見つけたとしても、ワガハイが食べるからね。脳に入れるとか絶対にしないでね』

 

 ラミィから熱い友情を感じる。

 こいつ、忠誠心高いな……。こんど何かお礼をしなければ。

 

 さて、そうやって少し悩んでいると──。

 

「ふっふっふっふ。話は聞かせて貰いましたゾ」

「レナリア~水臭いな~、こ~んな面白そうな事にあたし達を呼ばないなんてさ~」

 

「きゃあ!」

 

 急にテラス席の茂みから飛び出てきたのは2人の美少女。

 のほほんとしている魔術師と、すらりとした魔術師だ。

 レナリアと登校していた友人、だろうか。

 

「ちょっと、何よ、急に。ていうか、アンタ達、ずっとそこの茂みにいたの?」

 

「ふふん。この前の授業で習った消音魔術がもう役に立つなんてな~」

「ふふ、なんだか面白そうな話してたから。あたし達も手伝うよ! 地下水路の入り口探し!」

 

 おお、ギャルっぽいレナリアの友達も協力してくれるらしい。

 魔術師、良い子が多いな。

 原作灰クソの、非魔術師、ひいては男への蔑視が酷いという設定はなんだったんだ。

 

 いや、そんな事よりも、きちんとお礼を言わなければ。

 

「あの、すみません。ありがとう。手伝ってくれるんですか?」

 

「──っす」

「うす……」

 

 あれ?

 なんか、急に反応悪くなった?

 気のせい、か?

 

「アンタ達、もしかして、リヒトに人見知りしてんの?」

 

「「!!」」

 

 レナリアの呟きに、魔術師ギャルの2人が目を見開く。

 

「ななななななななななな、そんな訳ないじゃ~ん、レナリア~何言ってるのお~? わたしらさあ~悪いけど、めっちゃ本読んでるから~! 男を見るのは初めてでも~、ミリタルナの春本とかめっちゃ読んでるからさ~お、お、お、男の子にだって、慣れてるし~! ね~?

 

「あああああああああ、当たり前じゃ~ん。べべべべべべ別にさ~、急に学院にやってきた男の子と一緒に秘密の隠し通路を探すのって女のロマンとかミリタルナで大人気のシルバーアイマスク先生の小説みたいだな~とか思ってないし~!」

 

「ふーん……リヒト、良かったじゃない。この子達も、協力してくれるって」

 

「あ、ああ。えっと、リヒト・テトグマンです。協力の申し出感謝します」

 

「っす……」

「あっす……っす」

 

 目を、全然合わせてくれない……。

 これ、嫌われてないか? 

 

「おおおおおおおおおおおお、男の子に、ははははははは話しかけられたっ」

「おおおおおおおお、落ち着いてっ、アンタ、授業の時は、質問とか出来てたじゃん! 頑張れって!!」

 

 

 

 




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