貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る   作:しば犬部隊

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45話 ドキドキダンジョン攻略

 魔術戦が始まって、終わった。

 

 テラス席で優雅にお茶を飲んだり、杖の手入れをしていたギャル魔術師達は、マザリィさんの許可が出た途端、とんでもない魔術戦を始めた。

 

 空を行きかう攻撃魔術。

 

 炎や水、風、珍しいもので言えば青い雷まで交差する始末。

 魔術師同士が互いに鍛錬や、力試しの為に魔術のみで行う決闘。

 

「うおおおおおおおお!! 燃えろ、私の何かああああああああああ!!」

「学院に急にやってきた黒髪丁寧男子と冒険する権利は私のものだああああああああああ!!」

「”ここに風を巻き起こす、不浄を吹き飛ばせ! 嵐の先触れ! ”」

「”満ちよ、月明かり。応えよ、我が願いに。月光器官”」

「術式策定”熱を我が手に。熱は我が胸に。灼熱の灯”」

 

 すげえ~。ゲームでしか見た事のないレアな魔術が学院のテラスに飛び散っている。

 

 俺達はそれをぽけーと眺めて。

 

 1人、また1人と魔力切れや魔術で吹き飛ばされて倒れていく魔術師達。

 ケガはしてないみたいだが、死屍累々だ。

 

 最後に立っていたのは──。

 

「”影結び影結び影結び──ネズミの王よ。その影1つ、下さいな”」

 

 ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ。

 黒い群れのような影を纏った──三つ編みメガネの少女。

 

「はあっ、はあっ。ふ、ふははははは、うわはははははははは!! やった!! ……やった!! やりましたぞ!! このわたし、月見台の魔術学院”ネズミの教室”最優秀生徒!! チヨ・イーン・チヨがやったんだあああああああ!! 普段からネイルとかファッションとかばっか気にしてるイケてる女達、ぜーんぶ斃して!! この私があああああああああ!! 学院にやってきた男の子との冒険譚参加の資格を得たんだあああああああああああああああ!! 嫉妬しているんですかあああああああああああああ!! このわたしにいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 すげえ気合の入った彼女が、山積みになった魔術師達の山の上で雄たけびを上げる。

 

 あの真面目そうな三つ編みおさげメガネの魔術師は……あのセクハラ授業で手を握った子か。

 ハイになってキャラ変わってんな。

 

「……とんでもないむっつりスケベが残っちゃったわね」

 

「そこお!! レナリアさああああああああん!! 聞こえましたよおおおおおおおお!! 誰がむっつりですってええええええ!! ふふふふふ! お世話人選手権では、準決勝でレナリアさんにグーで殴られて負けちゃったけどおおお! 敗者復活ううううううううう!!」

 

「うわ~……委員長、暴走してるう……」

「ノリに乗ってる時の委員長、相手にしたくね~」

 

 こっちの友達ギャル2人は割と冷静だ。

 なんか、魔術師達、ほんと全員うっすら仲良くて空気良いな。

 

「あの、チヨ、さん。で宜しいんですか? その、話を聞いてたんですよね? 協力して頂けるという事で?」

 

「ピャッ……は、はい……あ、あまり、その、腕に自信はないし、周りの皆みたいに、背は高くないし、で、でも! 貴方の身に危険があったら盾にでもなんにでもなりますので!!!」

 

「あ、ど、どうも。そこまでは大丈夫ですよ。ご自身の身を優先してください」

 

「えっ。イ、今、わたしの身を案じて……? う、うひ、うひひひ。どうしよ。ミリタルナのシルバーマスク先生の小説と同じ展開……」

 

 委員長、他の長身スタイルの良いギャル魔術師さんとは違って、小柄で細くて若干薄い彼女。

 

 小さめ魔女帽子にローブ、そしてショタが履いてそうな短パン。

 足が細い、折れそうだ。

 そんなほそうすの委員長だが、魔術の腕は確からしい。

 

 まあ、これで、レナリアさんと友達ギャル2人、そして委員長で魔術師4名。

 

 マザリィさんからの条件はクリアだ。

 

 急遽結成された、地下水路探索班。

 死屍累々になっているガーデンテラスを出発。

 倒れている魔術師達はこちらに手を振って見送ってくれる程度には元気だった。

 

 そして──学院で語られている”水音の怪”。

 

 魔術師のすすり泣きと水音が聞こえるという場所までたどり着く。

 周囲には学院の教授や、上位教授である”魔女”達の塔がいくつもそびえたつ。

 

 マザリィさんと先ほどの猟犬の魔女の塔もこの近くにあるらしいが……。

 

 割と簡単に、秘密の出入り口は見つかった。

 

 この辺は原作通り。レナリアが近づくと魔術門が機動し、地下への階段が現れた。

 

 レナリア達は驚いていたが、まあ予定通り。何故か、原作でもレナリアがいると地下への入り口は開くのだ。

 

 長い時間、階段を降りると、そこには──。

 

 ぴちょん。

 

 水色、月明かりのように輝く水が通る水路。

 イメージ的には現代世界の高速道路トンネルみたいな空間に大きな水路が通っている地下。

 

 ここが、ルラカナの地下にはりめぐされた地下空間。

 その名も。

 

《ルラカナ地下水路》

《ぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん》

 

「ここが、ルラカナ地下水路、か」

 

 さて、ここからどうすべきか。

 本当なら個人行動に移りたいのだが……。

 

「ちょ、ちょっと緊張するわね」

「おや~レナリア~び、びびってんの~?」

 

 ミリタルナでの反省、力技でどうにかしようとすればどこかでアラが出て失敗する。

 あのぐだぐだがばがばチャート攻略はもうしたくない。

 

 この地下水路での目的地は2つ。

 

 第一は月を堕とそうとする魔族の探索。

 だが、魔族と戦う前に向かいたい場所がある。

 

 ”変態武器おじさん”

 

 大魔族を斃して手に入る”星核”を彼に渡す事で特殊な異能を手に入れる事が出来る。

 女キャラであれば、星核を飲めば大魔族の力を扱う事が出来るようになるのだが……男がそれをすると死ぬだけだ。

 

 その時に役に立つのが、”変態武器おじさん”。

 彼にこの星核を渡すと、それを材料に特殊な武器を作ってくれるのだ。

 

 ”変態武器”

 これが男プレイでは中盤以降、戦力を整えるのに必須な要素なのである。

 

 いや、ふざけてない。

 本当に変態武器っていう名前だから。

 1個の武器で2形態に変形できる武器を作ってくれる。じゃあ、変形武器じゃねえかと言われてもそれは知らん、灰クソ開発者に言ってくれ。

 

 変態武器おじさんは、この世界の各地に存在する。

 ルラカナにも地下水路にいたはずだ。彼がいれば、前の周回で手に入れ、持ち越しているアステーラの星核も活用できるはず。

 

 だが、今更個別行動もなあ……。

 

「ぞ、ぞくそくしてきた。あっ、り、リヒトさん。あ、安心してね! あたしらが絶対守るから!」

「うひひ。り、りりりりり、リヒト、さん。な、な、名前、読んじゃった、お、男の子、名前。わ、わたし、かんぜんに小説の主人公じゃん。うひ」

「ちょっと、アンタ達、処女丸出しでリヒトに鼻の下伸ばすのやめてくれない?」

「そんな事言って~レナリアが一番リヒトさんをエッチな目で見てたりして──いだだだだだ!! れ、レナリアさあん!! 無言で顔面を掴むの、やめてっ、つ、潰れるうう!!」

 

 ……ちょっとこの子達を放っておくのは人としてまずいな。

 かと言って、変態武器おじさんがいる地下水路深部はモンスターも住み着いていたはず。

 危険な目に遭わせたくないし……。

 

 よし、一旦今回の探索は適当に浅い所を探索して、切り上げよう。

 

 隠し入り口の場所と開門は果たした。

 学院もさっきのテラス席にいるときに侵入ルートも見付けたし。

 今日の夜に俺1人でこっそり探索を──。

 

「ン──ン」

 

 ぴちょん。ぱしゃ、ぱしゃ、ぱしゃっ。

 

 水路の奥から、何か音が聞こえる。

 

「──ン、──ン!!」

 

「な、なんか、この声、近づいてきてない?」

 

 ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ。ぱしゃ、ぱしゃっ。

 

 地下水路の向こうに、何かがいた。

 人、だろうか。

 だが、人にしては長すぎる四肢と両腕に持つ歪んだ斧。

 それが真っ当な生き物ではない事を示している。

 

 長く、真っ白な髪を振り乱しながら、水路の向こうから何かが近づいて。

 

「ン!! ──ン!」

 

 真っ黒な眼窩が、俺達に向けられていた。

 

「「「「きゃあああああああああああああああ!! な、なんか出たああああああああああ!!」」」」

 

「も、もしかして──! アレが、水音の怪!?」

「なんか、ずっと唸ってるよ~!!」

「てか、こっちに近づいてきてない!?」

「あの、あの、武器、武器もって、ますよおおおお、あの幽霊、こわいいいいい」

 

 魔術師たちがびびりまくっている。

 その間にも、その白い髪の人型の化け物がどんどんこっちに──。

 

「ち、違う、アレは……幽霊じゃない……!」

「え、リヒト? アレが、何か知ってるの?」

「ああ、アレは──」

 

「ホン!! ホン!! ホン!! ホン!!!!」

 

 化け物が、斧を振り上げ、ホン!!!! と野太い声で叫びながら突っ込んできた!

 ぱしゃしゃしゃ!!

 

 水しぶきをあげながら迫ってくるあの動き!!

 二刀流の歪んだ斧!

 そしてあのホンホンうるせえ唸り声!

 

 ま、間違い、アイツは──!

 

「”ホンホンおばさん”だ!!!!」

「「「「は??」」」」

 

「ホン!!!!!!」

 

 灰クソ原作知識──厄介な中ボスシリーズ!!

 ”無明の老婆”、通称、ホンホンおばさん!!

 

「ホン!!!!!!!!!!!」

 

 




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