貞操逆転世界で湿度高めヒロイン達を無自覚に沼らせる転生者~死にゲー世界で鬱エンドを迎えるヒロイン全員救う、全員が曇る 作:しば犬部隊
「ホン!! ホン!! ホン!!」
髪を振り乱し、二振りの斧を掲げ奇声と共に駆け寄ってくる女の形をした化け物。
青白くしわしわの肌に真っ黒な眼窩と真っ黒な口。
ぼろぼろのドレスのようなものを纏ったその姿は、一目見て人ではない事が理解できる。
ムンクの叫び、女バージョン。
まずいな。
ホンホンおばさん、略して”ホンおば”は灰クソ原作でも割と厄介な中ボスだ。
レナリアさん達をこれ以上、危険にさらすワケにはいかない。
ここは逃げ──。
「アンタ達、分かってるわね」
「お~よ!!」
「あったりまえでしょ!」
「うひひ、ちょっとビビっちゃいましたけど、わたし、今、ハイなので!!」
「え?」
ざっ。
俺の目の前に布陣する4人の魔術師。
さっきまで幽霊とか叫んでいたのに、一瞬で彼女達は戦闘態勢に──。
既に、彼女達は魔力を展開して。
「私が、前衛。ノーンが中衛、スッラ後衛!! 委員長は遊撃、でもリヒトの護衛最優先!! OK!?」
「「「了解!!」」」
流れるように決まる連携。
「星渦の魔術、はちょっと余裕ないからっ!! ノーン!! 援護頼んだ!」
「あいあいさ~。ここは結構、私に地の利~……! ”水飲め、水飲め、ウェンディーネ。冷たくひんやりこんにちは”」
ほわほわ系魔術師ギャル、ノーンさんの周囲に水の球がいくつも浮かびあがり、ぐねりと形を変える。
魚だ。水で出来た魚がノーンさんの周囲に滞空する。
瞬間、ホンホンおばさんに向かって、魚達が一斉に鋭い水を吐きつける。
「ホン!!」
ばしゃっ。ホンおばが水を払う。その瞬間に──。
「アンタ、急にびびらせるんじゃ、ない、わよ!!」
「ホン!!??」
ごっ!!
レナリアがホンおばの顔面をグーで殴っていた。
まさかのレナリア素手戦闘。
いや、正確に言えば、青く輝く手甲みたいなのをつけているのだが……ホンおば相手に近接戦闘!?
いや、でも、成立してる……!
レナリアってあんなに、近接戦が強かったのか!?
「”唸れ、筋肉。ほとばしれ、肉体。我ら皆、月の子なれ。いと貴きお方よ、あなたの子供をあなたの光でおつつみ下さい”──”強化魔術・五体疾駆”」
すらりとした魔術師ギャル、スッラさんが唱えるのは強化魔術、バフか!
そうか、星渦の魔術の使い手の彼女はその特性上、魔力の影響を非常に受けやすい。
原作灰クソでその設定は、異常な状態異常への弱さという形で表現されていたが──あの設定が現実になれば。
「強化魔術への適性の高さに繋がるのか……興味深い……!」
「リヒトさん! 危ないのでこっちに下がって下さい! ”黒々うごめくネズミの王。私を取り巻くネズミの王。あなたの毛皮を貸しとくれ”──”影鼠”」
ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ。
俺を引っ張り、後ろに下がらせる委員長魔術師。
これは、影か? うごめく小さな影の群れが俺の周囲で盾になるように配置されている。
マザリィさんのネズミ魔術に似ているな……。
「リヒトさん、この子達はあなたの味方です。わたしはこれから前衛に加わります。な、何も怖い事はありません……だから、だから、えっと」
委員長さんの声はうわずっている。恐怖、いや、違う。
そうか、この子は──いや。
「うひゃ~! レナリア!! この魔物、強くない!! 水ビームが全部躱されるんだけどおおおおお~」
「大丈夫よ! ノーン 牽制にはなってる! そのまま続けて!」
「レナリアも集中して! アンタ、強化魔術の入りがいいからって無茶するんだから!」
「分かってるって! スッラ! そのまま強化よろしく! 委員長! リヒトのボディガード、頼むわ、よ!!」
「ホン!!??」
ごがっ!!
レナリアのハイキックがホンおばの側頭部に突き刺さる。
水路の水の上を水切り石のように跳ね滑りながら吹き飛ぶホンおば。
女が男を護る世界。
そうか、俺は今、彼女達に護られている。
「ホン!! ホンホンホンホンホンホンホンホン!!」
狂ったように2振りの斧を振り回すホンおば。
レナリアはそれを強化された肉体で紙一重で躱している。
「こいつ!! あっぶないわね!!」
この陣形の要はレナリアだ。
彼女が崩れると、全員が崩れる。
「うわあああ!! レナリア~頑張って~!!」
「くっそ、強化したレナリアでも斃せないとか、普通にヤバつよの魔物じゃん! 今日は、なんか異様に強化魔術の調子もいいのに!!」
苦戦の気配が見える。
俺の視線が恐怖か、心配に見えたのだろうか。
委員長が俺の手を握って。
「だ、大丈夫、リヒトさん。わ、わたし達、魔術師ですから──”魔術よ、民衆の為にあれ”、学長の教え通り、わたし達が、魔術の使えない人の代わりに戦います、から!」
委員長がうそほその体で俺を抱きしめてくれる。
この子も、ずっと俺を励まそうとしてくれているのか。
その時だった。
「ホン!!」
「!!」
ホンおばが斧をくるりと回転させ、大きく振りかぶる。
大きな横薙ぎ。
大技が来る。あれは、灰クソで見た動きだ。
レナリアはそれを最低限の動きで躱そうとして──ダメだ、その躱し方じゃ!!
その瞬間、正体ばれとかそういうのは全部頭から吹き飛んで。
「
「ッ!!」
レナリアは俺の声に即座に反応。
後ろに飛びのきながらぐっと地面に這うように頭を下げる。
その直後だった。
「ホン!!」
ガキン!!
ホンおばの斧、その持ち手が急に伸びてリーチが倍以上に代わった。
第二段階──ゲームでは一定の体力を削ると”ホンおば”斧を伸ばすのだ。
「え。え? い、今、リヒトさん、アイツが攻撃する前に……? な、なんで、動きが分かって……」
「委員長さん」
「え、ひゃ!」
「ありがとう、俺を護ろうとしてくれて」
「あひ」
委員長さんを少し抱きしめ、感謝の意を表する。
うっす、ほっそ。飯くわせたくなるな。
「リヒト、アンタ、今なんで……」
「聞いてくれ!! 皆! そいつの攻撃には法則がある!!」
「り、リヒト君?」
「お、男の子、だよね?」
「へ、ゥへへ、胸板、すっご……うおでっか」
戸惑う魔術師達。
しかし、その中で、レナリアさんだけが──一瞬面喰らった顔、しかし、すぐににかっと笑って。
「ええ! 分かった! リヒト、続きを!」
彼女は俺を、信用してくれている。
ゲーム知識の乱用による俺の不死バレ、今はそんな事を気にしてる場合じゃない。
この信用に応えるのだ。
俺は意を決して彼女達にほんおばの攻略方法を伝えた。
「ホンホンおばさんのホンホン攻撃は、ホン、ホンホンホンホンのホンが大振りでカウンターしやすい!! そこを狙うんだ!!」
「どこのホンよ!!!!!」
「ホン、ホンホンホンホンホンホン!! ──フン!!」
「フンとも言うんだけど!!??」
レナリアさんの元気な声が水路に響き渡った。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
書籍1巻発売中です!
既にご予約、ご購入頂きました皆様、誠にありがとうございます。
多数の購入報告、誠にありがとうございます。
WEBも読んでる方に買って頂けるのが一番ありがたい。
WEB版ここまで読んで頂いてる方にこそ、ぜひ書籍版も買って欲しいです。
引き続き更新していくのでぜひご覧ください。
アネ姉さまの有償特典、受注予約明日までです!!
・有償特典『アネ姉さまの超かわいい奴』
【挿絵表示】
出版社エックスでアステーラが万バズしてました。
特別SS書いたので是非ご覧下さい。
リポスト多かったらなんかいい事あるみたいです。抽選、アステーラ。
《link: https://x.com/ovl_bunko/status/2057763405034148183?s=46&t=a4fZx3N0HIiupCORGEFQMg》特別SS、アステーラ過去編《/link》
書泉様でフェアを行っています。
アネ様の超美麗なサイン色紙や、複製原画の抽選をしているのでぜひチェックして頂ければ。
書泉様フェア情報
また、書泉ブックタワー秋葉原様にてサイン本を取り扱って頂いています。
お近くの方はぜひ!
出版社様の特設サイトがオープンしました。
各キャラのデザインなども見れますのでおすすめです。
→特設サイトリンク
アマゾンキンドルでも販売中! レビューありがとうございます←サイトリンク
特典情報
★メロンブックス様
・通常特典『バッドエンド・アネスタシア【人か、魔王か】』
王都襲撃イベントでミアのみが死亡した場合のアネスタシアのバッドエンドです。しっとり可哀想。
→通販サイトリンク(限定版)受注予約24日まで!
→通販サイトリンク(通常版)
★オーバーラップストア様
・特典『ニア生存曇らせ・主人公死亡ルート』
カレル行商街のあの夜に、ニアが生き残ったルートです。
→通販サイトリンク
★アニメイト様
・特典『メリーバッドエンド・ミア【不死狩りの勇者】』
王都襲撃イベントでアネスタシアのみが死亡した場合のミアのメリバです。しっとりじっとり多め。
→出版社サイト
★ゲーマーズ様
・特典『IFルート:ニア&アネスタシア&ミア生存ルート』
逆にニアが生存した状態でミリタルナに行った場合のラブコメ
→出版社サイト
★三洋堂書店様
・特典『バッドエンド・アステーラ【魔族の休日】』
ゴリゴリバッドエンド、アステーラに飼われたい人向け
→通販サイトリンク
★カルチュア・コンビニエンス・クラブ様
・特典『ニア・リセラヴェルタは男が嫌い』
ニア推し向けです。
★書泉・芳林堂書店様
・特典『IFルート アステーラ・イン・ミリタルナ』
こっちは可愛いアステーラ。ブチ切れ王姉妹とふふふな大魔族。
→店頭でご確認下さい。
★全国の本屋さん
・特典『天使ちゃんねる ある不死について』
月の宮での天使達のネットワークのぞき見、掲示板コメディ回
→店頭でご確認下さい《/b》