魔法科高校の劣等生 ― 無限の境界 ―   作:ハヤオ

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第11章 境界の向こう側【前半】

1. 招待状

円環の事件から二週間。

第一高校では平穏な日々が戻ったかに見えたが、啓太はずっと胸の奥に重い感覚を抱えていた。

あの日、消滅直前の円環から響いた声――“次はお前が来い”――。

そしてある夜、自室で休んでいると、机の上に見覚えのない黒い封筒が置かれていた。

開封すると、中には複雑な魔法式と短い文章。

 

《招待状:境界の向こう側》

 

封筒から放たれる魔力波形は、あの円環と完全に一致していた。

 

2. エリカの決断

翌日、啓太は封筒を持ってエリカの元を訪れた。

エリカは封筒を一目見るなり、口元を引き締めた。

「……あの日の続き、ってわけね。」

 

「危険すぎる。お前まで巻き込むつもりは――」

 

「バカ。私、あんたの隣に立つって言ったじゃない。」

 

啓太は言葉を詰まらせたが、最終的に頷いた。

「分かった。準備を整えて、二日後に行く。」

 

3. 境界の門

二日後、啓太とエリカは人気のない倉庫街に立っていた。

封筒に刻まれた魔法式を展開すると、空間がひずみ、黒い円環が再び現れる。

円環の内部は暗黒の海のように揺らぎ、近づくほど冷たい圧迫感が強まった。

エリカは刀の柄を握り直す。

「戻れなくなるかもしれないね。」

 

「……あぁ。でも、行くしかない。」

 

二人は同時に一歩を踏み出し、円環の中へと消えた。

 

4. 異空間

次の瞬間、視界が開けた。

そこは空も地も曖昧な、無限の闇と光が混ざり合う空間。

重力は弱く、足元には透き通ったガラスのような平面が広がっている。

遠くに、巨大な塔のような構造物が見えた。

その表面には無数の魔法式が浮かび上がり、一定のリズムで脈動している。

 

「ここが……境界の向こう側……?」

 

啓太は無下限の術式を展開し、空間の構造を探る。

(これは……異界というより、現実と現実の間の層だ)

 

5. 迎撃者

塔へ向かおうとした瞬間、足元のガラス面が波打ち、三体の人影が現れた。

全員が銀色の鎧をまとい、顔は仮面で覆われている。

鎧には黒鉄連盟の紋章と、見慣れない古代文字が刻まれていた。

エリカが前に出る。

「来るよ!」

 

敵の一人が槍を突き出すと、空間が歪み、槍の先端が瞬間移動するように迫ってきた。

啓太は無下限でそれを遮断し、同時にカウンターとして衝撃波を放つ。

 

6. 共闘

三体のうち一体は啓太の攻撃で吹き飛ぶが、残り二体がエリカに迫る。

彼女は二撃目を紙一重で避け、鋭く斬り返した。

刃が鎧を裂き、魔力の火花が散る。

「啓太、こいつら速い!」

 

「防御は任せろ。お前は攻撃に集中しろ。」

 

啓太が無下限のバリアで全方位を覆い、その内側からエリカが連撃を叩き込む。

数分後、最後の敵が倒れ、鎧は霧のように消えた。

 

7. 塔の内部

二人は塔の入口に到着した。

扉は半透明の結界で閉ざされているが、啓太は封筒の魔法式を再構築して解除する。

内部は螺旋状の階段が上へと続き、壁には古代魔法の記録らしき浮彫が並んでいた。

それは、人類がまだ魔法を科学化する前――純粋な術式だけで世界を操作していた時代のものだった。

 

エリカが小声で呟く。

「……これ、私たちが知ってる魔法と全然違う。」

 

啓太は頷いた。

「無下限も、この理論から派生したのかもしれない。」

 

8. 頂上の男

階段を登りきると、広い円形の空間に出た。

中央には玉座があり、そこに一人の男が座っていた。

白銀の髪に、深紅の瞳。

「よく来たな、志賀啓太。」

 

その声は、あの日円環から響いたものと同じだった。

 

「俺は境界の番人――そして、お前の力を試す者だ。」

 

啓太は一歩前に出る。

「試す? 目的はなんだ。」

 

男は笑みを浮かべ、片手を上げた。

「力を証明しろ。さもなくば、この層はお前の現実を飲み込む。」

 

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