転生したので、たった一人で地球と貿易してみる:勝手に短編集   作:woodenface

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原作者のあかい先生と連絡が取れない為、この二次創作は完全な無許可の下に投稿されています。
原作者様からの取り下げ依頼があれば粛々と従うつもりですので、ご承知おきください。

……取り下げ依頼だとしても、原作者様の文が見たい。


メイクラ編① 建てろ!豆腐建築

 研究所のワープルームでフェルと一緒に地球へ行く準備をしていると、機器の調整をしているガレナさんが問いかけてきた。

 

「リナ、次に行くのは直接アメリカで良かったのか? 例のゲームの開発者はスウェーデン人だったはずだが」

 

「大丈夫です、その人はアメリカ在住のスウェーデン人らしいので」

 

「ふむ……マルデアで言えばネズム国在住のニャムル人のようなものか」

 

 そう言ってガレナさんは興味深そうな顔をしている。

 マルデアでは人種によってネズム人やニャムル人、ドワフ人のように姿や慣習が大きく違うから、それぞれの国から出て生活している人たちは少数派なんだよね。

 仕事の関係で他国に行かなくちゃいけなくても、ワープステーションを使えば毎日通勤するのも難しくはないし。

 地球では国ごとに種族が違うわけではないので別の国に住んでる他国籍の人も珍しくないけど、マルデア人の感覚としては理解しにくいところかもしれない。

 

 

 レトロゲームオールスター以外の新規ゲームをローカライズするにあたって、ついにあるゲームが候補に上がった。

 それに伴って、ローカライズの打ち合わせの前にぜひゲームの発端となった開発者とお会いしようって話になったんだ。

 

 そのゲームの名前は、『メイン・クラフト』。

 創られた世界の中で壊して、作って、冒険し……遊ぶ人の創造性をこれでもかと爆発させる圧倒的な自由度を誇るゲームだ。

 このタイトルは以前から外交官のスカール氏がすごくオススメしていたもので、今回ついにローカライズの候補として本格的に話が進むことになった。

 メイン・クラフトの権利を現在持っているのはミクロソフツ、アメリカ企業だからスカール氏が勧めてくるのは当然なんだけどね。

 

 現在は開発から離れてしまったらしいけれど、このゲームの基礎を築いた開発者のモッチさんには直接挨拶をしたかったから今回は彼が家を構えるアメリカの高級住宅街ビバリーヒルズへ訪問することになっている。

 ハリウッドスターやセレブの住む住宅街かぁ……、本当はキチンとした服装で行ったほうがいいのかもしれないけれど、私の服は銃撃を受けても傷一つ付かない特殊な魔術服だ。

 いくら場違いに見えたとしても、簡単にデザインを変えたりできないんだよね。

 

「それではワープ装置を動かすぞ。リナ、フェル、くれぐれも気を付けてな。健闘を祈る」

 

「がってんしょうち!」

 

「はい、行ってきます!」

 

 フェルと一緒に元気に返事をし、私たちはワープで地球へと向かった。

 

 

 

 

 

 ワープした場所は閑静な住宅街……ではなく鬱蒼とした森の中だった。

 ポンコツワープはまたしても私たちをズレた場所へと出現(スポーン)させたらしい。

 

「えっと、現在地は……カリフォルニア州の森林公園?」

 

 ワープのズレ対策にスカールさんから渡された衛星とリンクして現在地を表示できるスマホによれば、ここはカリフォルニア州のとある森林公園の中らしい。

 たしかビバリーヒルズもカリフォルニア州にあるから一応ニアミスかな?

 それでも人の気配もない森の中に飛ばされるとは思っていなかったけど。

 

 森林公園とはいっても、日本の公園とかのサイズ感ではない。

 街が丸々入ってしまいそうな大規模な森だ。

 メイクラならまず木を切り倒すことから始めるところだけれど、ここで新生活を始めるわけじゃないので魔術を使って森から出る道を探そうとしたら、ポケットからフェルが飛び出した。

 

「リナ、なんか聞こえる」

 

「え、何の音?」

 

「こどもが泣いとる声! あっち!」

 

 フェルの言葉に探査魔術を集音魔術に切り替えると、たしかにフェルの指差す方向から女の子の泣いている声が聞こえてきた。

 急いでその方向に向かおうとするけれど、鬱蒼とした森の中では飛行魔術で空へ上がれば地上が見えなくなるし、加速魔術は足場がデコボコしていて使いにくい。

 仕方がないので跳躍魔術を使って木々を突き抜けない程度にジャンプしながら走ることにした。

 

「我が身を縛る重みを緩めよ」

 

 木々の間をぴょんぴょん跳びながら走っていくと、大きな木の下で泣きながらへたり込んでいる女の子を見つけた。

 

「大丈夫?」

 

「ひっぐ、……お姉ちゃん、だあれ?」

 

「私はリナ、リナ・マルデリタだよ」

 

 泣きながらこちらを見る女の子に、私は髪色を変えるヘアバンドを外してピンク色の髪を見せる。

 肩に乗っているフェルも合わせて私の正体に思い当たったのか、女の子は泣き止んで目を輝かせた。

 

「リナちゃん! 本物だ!」

 

「こんな森の中で一体どうしたの?」

 

 私が問いかけると、女の子は再び目を潤ませて震える声で答えた。

 

「お母さんとキャンプに来て……遊んでたらはぐれちゃったの」

 

「そっか……大丈夫! お母さんに会えるまでお姉ちゃんが一緒に居てあげるからね」

 

「わちしもおるぞ!」

 

 私たちがそう声をかけると、女の子は涙目ながらしっかりと頷いた。

 

 私は特製のスマホ経由で今の状況と現在地点、救助に来て欲しいことをスカールさんに連絡し、救助が来るまで出来ることをすることにした。

 

「さて、まずは拠点づくりだよね」

 

 救助を求めた以上、今の場所から闇雲に動くわけにはいかない。

 しかし、運が悪く一雨来そうな空模様であり、魔術服で防護している私はともかく女の子を濡れさせるのはかわいそうだ。

 

 とりあえず雨をしのげる場所を用意するべく、建築魔術を使って簡易的な建物を構築する。

 

「大地よ、雨風をしのぐ場所を形作れ」

 

 地面の土を材料にして、ズゴゴゴゴと建物がせり上がるように現れる。

 建築魔術は専門外だから、本来は強度を増すために丸くなるはずの建物が豆腐みたいに四角くなってしまったのはご愛嬌。

 材料のせいで壁から天井まで全部土で出来ているし、本職の仕事と違って住心地も考えられていない突貫工事だけど、救助が来るまでのつなぎができればそれでいいからね。

 

「すごいすごーい! メイクラみたい!」

 

 私の微妙な豆腐建築を喜ぶ女の子に苦笑しながら土の住居へ目印になるよう照明の魔術をいくつか付けて、秘密基地感のある簡易住居の中で一緒に迎えが来るのを待ったのだった。

 

 

 

 

 

「リナ・マルデリタ嬢、お迎えにあがりました!」

 

 1時間とかからず、降りしきる雨の中を屈強な男性たちが私たちを助けにやってきた。

 一応スマホからの座標で大体の位置は分かっていたものの、やはり見た目ですぐに分かる簡易拠点のおかげで捜索時間を短縮することが出来たらしい。

 

「ママ〜!」

 

「ああ……よかった、本当によかった……!」

 

 女の子も同行してきたお母さんに会えて一件落着。

 この簡易拠点は……まあ壊さなくてもそのうち土に帰るでしょ。

 材料は土しか使ってないしね。

 

「リナさん、本当にありがとうございました」

 

「リナお姉ちゃん、ありがとう!」

 

「いえいえ、もうはぐれないようにね?」

 

「はぐれるとすごいことになるぞ! わちしも知っとる!」

 

 母娘からお礼を言われて笑顔で返す。

 ……フェルは前科があるから全然冗談に聞こえないんだけど?

 

 とにかく無事になんとかなったので、私たちは護衛の人たちに連れられ改めて目的地であるビバリーヒルズへ向かうのだった。

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