「そっかぁ……モモカのヤツが」
『恐怖の王』と呼称されるディノニクスモンの表情は、夕焼けに染まっていることもあってか、どこか哀愁と懐古を物語らせていた。
「ああ。大往生だったわい」
そんなディノニクスモンを見上げ、トシゾウさんは語り終えた。その傍ではシズカちゃんがひっそりと泣いていて、スピノモンは一歩下がった所で二人の後ろ姿を静かに見下ろしている。
探しデジモンことディノニクスモンを探していたのは、彼の長年のパートナー
去年90歳。夫のトシゾウさんや息子(シズカちゃんのお父さん)の尻を蹴飛ばす姐さん女房な方だったそうだ。シズカちゃんは、そんなお祖母ちゃんにそっくりなのだそう。
「ハハハ……アグモンだった頃のオレを、何度も蹴飛ばして勇気づけてくれたっけなぁ」
「あのビビリだったオメェが、今じゃこのタイラント・ランドの大ボスの片割れたぁなぁ」
「オメェらこそ『弱肉強食』ってワルガキぶってて、何度もモモカに蹴っ飛ばされてたじゃねぇか。ガイオウモンと出会えなかったら、あの時どうなってたことか」
「モモカ……ガイオウモン……ガンk、ウッ頭が」
「止めておくれスピノモン、それはワシにも響く……」
「お祖母ちゃんとお祖父ちゃん、昔何やってたんだろう……?」
まぁ私達にも想像できないぐらいの冒険の数々を送ってきたんでしょう。VA資格も持っている上に究極体に進化できる程のテイマーだったのは確かだし……シズカちゃんのお婆ちゃんに会ってみたかったなぁ。
「そんなスゲーテイマーも、いつか天国に行っちまうんだな……」
レディーデビモンを始め、スターモンとヨウコモンも、すすり泣くディノレクスモンを静かに見守っていた。いつか自分達にも訪れる結末を胸に刻む為に。
「……あのさ、離して、くんね?」
こんな時に言うのも難だろうけど、ススム君は意を決して口に出す……頭の上にレディーデビモンのIカップが乗っかったままだもんね。重くて柔らかくて大変だよね。
「トレーニングの成果で育ったデカパイだぜ~? 退化する前に堪能しろよホレホレ」
軽く上下運動すると、たぱんたぱんとススム君の上でパイが揺れる。このレディーデビモン、なんて妖艶な小悪魔的笑顔を浮かべてやがるんだ……「私、楽しんでます!」って気持ちを隠そうともしねぇ!
「レディーデビモンはんワイも、ワイも堪能させボハッ」
今まで見た事もないぐらいの形相を浮かべヨウコモンが尻尾ビンタ攻撃を繰り出し、タクヤをぶっ飛ばす。スターモンも慄く程の恐ろしいオーラだ。
「いいはなしだったのになー」
「なんだか知らねーが、オッパイってやっぱいいな!」
青グレイモン、ちょっと黙ろうか……漸く3匹とも成長期に退化したか。
「クカカカカ! 何はともあれアリガトな!」
陽気に笑っているのは、何故か私のレアモンを抱えているスカルグレイモン。後ろではトリケラモンコンビがニコニコ笑っている。スピノモンにボコボコにされたとはいえ、解放されて嬉しそうだ。
この3匹を操っていたパラサイモンはスピノモンによりデリートされ、ウッドモンやクワガーモンといった他所デジモンは懲らしめられた後、暴君の森でスピノモン監修の下ひっそり暮らすことにしたそうだ。
そういえばその時のクワガーモンの話によると。
「連中、えでんぶろっさむ?ってデジタルワールドがシュクショーしちまって住処を追われたらしいぜ? ここに来たのもピストモンに誘われたんだと」
「世知辛い世の中だねぇ」
私の発言にスカルグレイモンも少し悲しげに頷いた。骨だけのアンデッド型デジモンなのに感情豊かだね君って。
「……って
思わず出た大声に
「
「ンな事オレに言われても」
ポリポリと頭蓋骨を掻くスカルグレイモンを見て我に返る。あ、あまりにもショッキングな出来事だったからつい。
「ナインナインさんは行った事あるんですか?」
「そりゃもう、リアルもVRもデジワもね! あの芸術的に美しく管理された薔薇園は
シズカちゃんの質問に勢いよく答えちゃう。
選りすぐりの職人は勿論AIとロボも活用して徹底的に管理された植物はどれも美しく、特に薔薇園は世界中から……それこそ「VRでも見たい!」と言ってVRゴーグル越しに景色を眺める観光客が植物園VR世界に集まる程だ。それに比例して電脳世界に訪れ、その美しく巨大な庭園に魅了される人やデジモンも多いんだよ。
「ここ暫くは行ってないけど、VR評価もデジワ評価も高いままだし、問題ないと思ってたんだけどねぇ……?」
思わず呟いちゃった疑問にススム君達が首を傾げる。いつか3人も行ってみると良いよ。
「因みにじゃが
「ワープゲートのですか? 流石に無理ですねぇ。その時はバイトで稼いだお金で友達と旅行で行ってきましたし」
「まぁ流石にそうじゃな」
なんだいトシゾウさん、
「ところで、そろそろ私のレアモンを降ろしてあげてくんない?」
「恩デジを労わるぐらい、いいじゃんよ~」
ベトベトのレアモンに遠慮なく頬ずりするスカルグレイモン。妙なのに好かれたねレアモン。
ーーー
探しデジモンが見つかって用事も済んだし、スカルグレイモンとトリケラモンコンビも誘ってちょっとしたお楽しみタイム。場所はスピノモンが燃やして更地になった元電子ドラッグ栽培所。
ーここに……拠点を建てる!
せっかく空いた土地をとスピノモンからの報酬とし、周囲の現地デジモン達に許可を貰ってダスト・アートから伸びるワープゲートの出現位置兼タイラント・ランドの拠点としちゃうのだ。
せっかくだし、エデン・ブロッサムから来た昆虫型及び植物型デジモンの棲み処も兼ねて大々的に開拓。棲み処が得られるならと喜んで協力を約束してくれた。
材料? ワープゲートから運ばれるダスト・アートのジャンクデータなら幾らでもある!
ーヌメヌメヌメヌメヌメヌメヌメ
ついでに人手ならぬデジ手も幾らでもいます。
「すげー数のヌメモンとガラクタ」
「クカカ、面白いぐらいに家ができるな! ボロっちいけど!」
鉄筋やら板やらを抱える青グレイモンとスカルグレイモンが楽しそうに笑っている。
ヌメモンと侮るなかれ、ガラクタを組み立てる事に慣れ切った彼らは、昆虫・植物デジモン混合部隊にガラクタで拠点を作るノウハウを的確に伝え、テキパキと街っぽく造り上げるのだ!
勿論、私達人間やピコデビモン達もトンテンカンとマイハウス作り。トシゾウさんは後方支援面して腕組んで見守ってます、ガラクタもって腰痛めたから。
「この調子なら夕飯前には一通り完成するかな~」
「1~2時間で街っぽいものが出来るってマジかよ」
「ピコデビモン、深く考えちゃダメだ」
そうだよ、デジモンの力があれば小さな町一つお茶の子さいさいだもの。
「OH……コノ電脳世界にある秘密の電子ドラック栽培所を潰しにサンジョーしましたガ、このようなリトルシティにまでハッテンしちゃってましたカ!」
「いや
あ……本家デジモンクラッシャーこと、
もうちょっとだけタイラント・ランド編が続くんじゃ。