デジモンクラッシャーズ!?   作:ヤトラ

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お久しぶりです。デジモンアニメ映画配信も今日で終わってしまいましたね。
デジカを始めようと色々な作品を見ようとしていますが、やはりいいよね初代。

ウォーグレイモンが出るぞ! 作者の個性が詰まったヤツがな!


国家権力からの頼み事って緊張するよね

「フムフム……デジモンを探していたら電子ドラック密造所を見つけてピストモンに襲われるだなんて災難でしたネ」

 

「まったくです」

 

 改めて思い返すと、まるでマンガやアニメみたいなエンカウントだよね。主人公はススム君ら中学生トリオで決まりでしょう。

 

 自身のデジヴァイスに浮かぶホログラフボートに集めた情報をメモするサリアさん。パートナーのリリモンはウッドモン達から詳しい経緯を聞いて回っている。

 サリアさんは対犯罪組織特化ヴァーチャル・エージェント……通称【デジモンクラッシャー】として暴君の森(タイラント・ランド)に電子ドラック密造所がある事を嗅ぎつけ、検挙または破壊しに来たらしい。

 んで駆けつけた所、私達が現地デジモンと協力して密造所を守っていたクワガーモン達を抑え、その首謀者であるピストモンを追い払った(というか逃げた)後だったと。

 

「特にピストモン……廃棄物の芸術街(ダスト・アート)にも現れたあのデジモンは、ヴァーチャル・エージェントどころか私達デジモン・クラッシャーでも面倒な犯罪デジモンなんデス。まぁ熟練コンビのトシゾウさんとスピノモンが居たのはホントに幸運(グッドラック)デシタね」

 

 サリアさんのデジバヴァイスから浮かび上がるピストモンのホログラムと「危険度:A」という文字……この危険度がどこからどこまであるか気になるが。

 

「やっぱ危ないんだ、あのピストモンって」

 

 傍迷惑な性格してたし人間へのダイレクトアタックも平然と行うデジモンには違いない。

 

 的確に人間(テイマー)を狙い打ちするデジモンは人間の脅威を知る歴戦の強者って相場が決まっているからねぇ。人間とあまり関わらない現地デジモンは「成長期デジモン以下の生き物」程度にしか認識していないからね。

 

 というかサリアさんも知っていたんだトシゾウさんとスピノモンの事……世間が狭いのかトシゾウさんとスピノモンが異様に強いのか……。

 

「サリア、ウッドモン達から話を聞いて来たよ。やっぱりだけど【薔薇の楽園(エデン・ブロッサム)】の逸れデジモンで、同郷同士だからとピストモンを信じたそうよ」

 

ワープゲート(・・・・・・)の中継点(・・・・)はどうでしたカ、リリモン?」

 

これまで同様(・・・・・・)、座標もアドレスも不明。通ったデジモン達の証言じゃ暗くてよく分からなかったって。今度の雇いデジモンはピストモンと同郷ってことで少しは解るかと思ったけど……」

 

「やはりダメでしたカ。徹底していますネ」

 

 がっくりと肩を落とすリリモンとサリアさん。あのピストモンが使っていたワープゲートは狙いすましたかのように出現していたし、相当高性能なんだろうね。そんな高級品をピストモンという機動力と行動力に秀でたデジモンに使わせ、誰にも分らない中継点を通じて各デジタルワールドで悪さしている……そりゃ探し出すのも苦労するわ。黒幕が居るとしたら相当な知恵者だよソイツ。

 

「ちゃんとヴァーチャル・エージェントしてまんなぁススムはんの母ちゃん」

 

「仕事の時は真面目なんだよ母さんって」

 

「リリモンもそうだけど、サリアさんっていざ行動すると空回りになるのよね」

 

 こら中学生トリオ、口に出しちゃダメでしょ。デジモントリオも「なるほどなー」って感じに頷くんじゃありません。

 

「やはり、より多くの協力者が必要になりますネ。ナインナインさん、ちょっといいデスカ?」

 

 はいはい、なんでしょう?

 

以前話した件(・・・・・・)についてコンドーさん(・・・・・・)が話したいそうデス。もしナインナインさんに会ったら連絡するよう言われてますが、今お時間大丈夫デスか?」

 

「あらコンドーさんに? 私は大丈夫だけど……」

 

「スマンがワシも立ち会わせてもらうぞい」

 

 さらっと混ざろうとするトシゾウさんに対し当然のように頷くサリアさん。一応ヴァーチャル・エージェントの上位的役職であるデジモン・クラッシャーが関わる話なんだけど……ほんと何者なんだこのお爺さん。

 

 まぁ依頼目的であるディノレクスモンには会えたわけだし、事情を説明して中学生トリオとそのパートナーデジモン達を先に現実世界へ帰ら(ログアウトさ)せる。因みに黒崎家の炊飯担当はススム君みたいで早い目に帰るようサリアさんに釘を刺しておいてた。サリアさんェ……。

 

 

 

 

「それでさ、なんでコイツらはフォークダンスなんかしてるの?」

 

 リリモンが指さした先には、恐竜型・昆虫型・植物型・そしてヌメモンといった色んなデジモン達が輪になって踊っています。アコーディオンを始めとした伝統的な楽器で演奏しているのはベジーモン達です。

 

「ダスト・アートでは改築祝いにダンスをするのがお決まりなんだよ」

 

 私が広めました。造ったお祝いぐらい風習にしたいなーって。

 

 クワガーモンやウッドモンと言ったエデン・ブロッサム出身のデジモン達の為に作った廃材の居住区の完成を祝ってね。親分ズのDJ・エテモンが居ればダンスフロアと化してました。

 いやー、タイラント・ランドのデジモン達のノリが良くてよかった。大小様々なデジモン達が手を取り合って楽しそうに踊る姿を眺めているとニッコリするね。

 

スカルグレイモン(ダチ公)のヤツ、余程オメーさんのレアモンを気に入ったみてーだなぁ」

 

「……どさくさにまぎれておっぱいに角捩じり込むんじゃない!!」

 

 べっしーっ! いっでーっ! 叩いた手が逆に痛むーっ! おのれグレイモン(青)め!

 

 

 

――

 

 シズカちゃんを見送って満足したディノレクスモンが帰巣した後、件の人がやってきた。

 

 黒のスーツにプレートキャリアという社会人と軍人を足して2で割ったようなデザイン。

 安全靴やゴーグルなど実用性に特化した装具も充実しているけど、鍛え抜かれたであろう鋼の肉体がそれらを押しのけて主張してくる。かといって太っていない細マッチョってやつだ。

 

 そしてウォーグレイモン*1! やっぱり通常個体より筋肉が厚い!

 

お久しぶりです(・・・・・・・)ナインナイン、そしてトシゾウさん。突然の訪問に応じてくれてありがとうございます」

 

「いえ、コンドーさんもお疲れ様です」

 

「うむ、良い筋肉だなスピノモン。日頃のトレーニングは怠っていないようだ」

 

「ゴリゴリマッチョのオメーに言われてもなぁ」

 

 こんなゴリゴリマッチョメンだけど、コンドーさんは礼儀正しくて優しいインテリ系なのだ。相方のウォーグレイモンは筋肉大好きな変わり者ポジションだけど……。

 

「サリアがまた何か粗相をしませんでしたか?」

 

「コンドーサン!?」

 

「今日は珍しくトラブルは無しよ。やったことは逸れデジモンへの事情聴取だったし」

 

「リリモン!?」

 

「コンドー、気になるだろうがナインナインへの用件が先だ。気になるだろうが」

 

「ウォーグレイモン!?」

 

 前もそうだったけど最初に聞く事がそれですかいコンドーさんや。ウォーグレイモンなんか二回も「気になるだろうが」って言っているし。

 

 以前サリアさんが落としたデジモン・クラッシャーの証であるバッジを拾ったことで襲われた後、紛失と誤襲撃の尻ぬぐいとして派遣されたのがコンドーさんだ。

 その時の丁寧な対応と謝罪、そしてサリアさんへの威圧感が凄いのなんの。任務成功率に比例して高くなる被害報告のおかげで日々胃薬を飲んでいるのだそう……デジモン・クラッシャーって大変なお仕事なんだなぁ。

 

「トシゾウさんもいらっしゃるのは幸運でした。彼は私達が新米の頃に幾度も助けてくれた熟練テイマーにして電脳冒険者だ、ぜひ同席しご意見を頂きたい」

 

「うむ」

 

 ウォーグレイモンに進化させた超一流テイマーであるコンドーさんだが、トシゾウさん&スピノモンという先見の知恵を得てこその結果なんだろう。良好な出会いと付き合いがあったご様子で。

 

 さて、折角だし私から切り出すとしましょう。

 

「ダスト・アートのワープゲートを貸し出す件、引き受けますよ~。現地デジモン達もコンドーさんなら任せてもいいと了承しました」

 

「おお、それはありがたい!」

 

 以前相談された内容とは……コンドーさんが所属するチーム限定とはいえ、国家電脳機関に、友人が作った私有のデジタルワールド専用回線「扉型ワープゲート」を有事に貸してくれないかというものだった。

 

 色んなデジタルワールドで色んな悪事を働く輩が年々増えていく今の世の中、広範囲にワープ先を繋げられるデジタルワールド及びワープゲートは、VAやDCが一つでも多く手元に残しておきたい。

 生産が追い付かない中、国家権力で強引に……とはいかないものの、「有事に使わせてくれ!」と色んな人やデジモンにお願いして回っているそうだ。何せネット犯罪者はそれを上回る速度で非合法のワープゲートを造りまくっているから……。

 

 んで度々話しているけど、ダスト・アートという電脳世界(デジタルワールド)が発生している電脳(サーバー)……つまり私が暮らす町の通信関連を支える巨大電波塔の電波状況はとても良く、ワープゲートは色んなデジタルワールドに繋げることができる。

 サリアさんの尻ぬぐいでやってきたとはいえ、ダスト・アートのワープゲートの存在を知ったコンドーさんは渡りに船と言わんばかりに私達に有事の際に使わせてくれないかとをお願いしてきた。

 

「ワープゲートの解析とお住いの地区への正式な訪問については後日に回すとして、早速だが依頼したいことがあります」

 

 ダストアートがどんな所か身振り手振りで説明するレアモンとハテナマークを浮かべているウォーグレイモン・リリモン・スピノモンを他所にコンドーさんがデジヴァイスからある情報を映し出す。

 

「……アドレス、ですよね?」

 

「このアドレスに記されたデジタルワールドに接続し、サリア及びリリモンと共に特定のデジモンと会って欲しいのです」

 

「それが依頼ですか? ぶっちゃけワープゲートを使う理由としては弱い気がしますが」

 

 そもそも座標が解っているのなら国家電脳機関が直接アクセスを―――。

 

 

 

「このデジタルワールドは特殊でしてね。ここに接続できる特別な(・・・)ワープゲート、尚且つ現地デジモンと対話できるだけの(・・・・・・・・)コミュニケーション能力(・・・・・・・・・・・)を持つ人材(・・・・・)が必要なんです」

 

 

 それを測る為のテストなんですよ、とコンドーさんは笑う―――なんか含みのある笑みだなぁ。

 

 

 

 

「ところで、その鍛え抜かれた筋肉を今度こそ触らせてもらえますか? できれば大胸筋*2

 

「キミは何を言っているんだ」

 

「前も言ったがオレは構わないぞコンドー。この日々の鍛錬で鍛えた芸術的肉体を存分にだな」

 

「オマエちょっと退化してろ」

 

 あ~んデジヴァイスでアグモンに強制退化させちゃった。じゃあコンドーさんのを。

 

「ナインナインさん目。目がちょっとヤバいデス」

 

 サリアさんとリリモンが引いてようがね、コンドーさんが悪いから仕方ないんだよ。

 

 なんだよその衣服にくっきり浮かぶ程の筋肉は! 誘ってんの!? アバターでこれなんだからリアルはもっとすごいんでしょうね、是非ナマで会いたい!

 

 この性癖クラッシャーめ! 私はマッチョな男性ってイケるって解っちゃったじゃない!

 

 

 

―――

 

「……ふむ」

 

 星一つない闇夜を見上げる。大きく赤い満月をぼんやりと眺めながら、湯気を上げるティーカップをソーサーへそっと置いた。

 

「アルケニモン*3

 

「ここに」

 

 呼びかけに応じたアルケニモンは、足音一つ立てず、月明かりを遮る黒い影から姿を現した。

 

「出迎えの準備と、あと良質な茶葉と茶菓子を用意してくれるとありがたいのだが」

 

「客人ですか?」

 

 この(・・)デジタルワールド(・・・・・・・・)へ来訪する「客人』は良い意味より悪い意味の方が強い。

 だがアルケニモンは知っている。()が歓迎の準備を命じたのなら、つまりそういうことだ。

 

「何……良い出会いがやって来る気がするのだよ」

 

 勘だがね、と彼―――ヴァンデモンは微笑んだ。

 

 

 

―――空気を震わす程の大絶叫が轟き渡ったのは、その直後だった。

*1
究極体/ワクチン種の竜人型デジモン。言わずと知れたアグモンの理想とする最終進化先にして、この世界で(・・・・・)5体のみ確認されているロイヤルナイツ型(・・・・・・・・)デジモンが一角オメガモンの半身(・・)でもある。

*2
つまりは雄っぱいである‼

*3
ウィルス種/完全体の魔獣型デジモン。上半身が女性で下半身が蜘蛛の怪物「アルケニー」がモチーフなのだが、昆虫型ではなく魔獣型のデジモンなのである。




ナインナイン、性癖クラッシャーされてマッチョ好きになる。いいよなぁ、マッチョはなぁ!

次回はススム視点。近頃の中学生とデジモンの関係についてチラホラ書きつつヴァンデモンが出る予定です。
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