私の名前は
口数が少ない・鋭い目(父さん譲り)・黒髪のロングヘアもあってクラスメイトから「クール系美人」って呼ばれてる。幼馴染のススムからは「
隣にいる石みたいなデジモンはゴツモン。幼馴染と迷い込んだデジタルワールドで友達になった、スカポンタンながらもガッツ溢れるパートナーだ。
頭の中でそんな自己紹介をしてたのは、目に見えた存在から1秒でも長く意識を逸らしたかったから。
「「そこの黒髪が似合うお嬢さんとそのお友達さん♡」」
ーカササササササササ
「「ダスト・アートへようこそ。歓迎します♡」」
解ってた……ではご一緒にせーの。
「「ぎゃあああゴキモンんんんん(でゴンス)!!」」
私もゴツモンも、ゴキモンとGが大大大大の苦手なのぉぉぉ!
「
「どうやら迷い人と迷いデジモンのようですね弟。とりあえず離れてあげましょう」
ーササササササササカ
……あら? この間のゴキモンみたいに逆切れしてこない……どころか距離をとってくれた?
「あ……ありがとう」
「「どういたしましてー」」
「律儀なデジモンでゴンスね」
ゴツモンに同意。するとブラザーズ(兄弟っぽいのでそう仮称する)はヒソヒソしだした。
「しかしお兄さま、となると
「オレも同じ事を考えてます弟よ。しかし放っておくのも良心が痛みますし……さて……」
まさか誘拐の手筈かと思ったら私達を案じてた。複腕を組んでうんうん唸ってる。
「親切なゴキモンでゴンスね」
ほんとソレね。けど苦手なので近づきたくありません。ごめん。
「お嬢さんがたー! とりあえず街の中心にあるメタルグレイモン像を目指してみてくださーい! かなり目立ちますよ!」
「そこにナインナイン
「それとここは癖の強いデジモンが多いです! 話せば解るヤツらばかりなので落ち着いて対処してくださーい!」
「ダスト・アートは暴力的でないお客さんを歓迎します! グッドラック!」
一通り説明し終えたゴキモンブラザーズは親指を立て、颯爽と去っていった。ほっとした。
落ち着いた所で周りを見ると、ここは雑草だらけ。高所から落ちたけど雑草がクッションになって助かったみたい。
幼馴染とピコデビモンの姿は……無し。積み木みたいに詰まれた建物が沢山あって、薄っすらとだけどメタルグレイモン(実物は遠くから見た事がある。凄く怖かった。)……を模したガラクタで造った像が見えた。
あと今気づいたけど、こちらを不思議そうに見るヌメモンやゲレモンが沢山……けど襲い掛かる様子は全くないみたい。
どころか。
―ヌメ(こちらをどうぞ)
「あ、どうも……」
なんか地図みたいなのを手渡してくれた。
―ゲレゲレ(高い所から落ちてきたけど、大丈夫?)
「お気遣いどうもでゴンス、オデは石頭だから平気でゴンス。なんちって」
―ブフッ( ´艸`)
気遣ってくれたどころかゴツモンの寒いジョークで笑ってくれた。
「ちょっと何時まで乗ってんの、どいてちょうだいよ!」
「うわっ!? ご、ごめんなさい!?」
下から声がして思わず飛びのくと……雑草だと思ってたのは全部デジモンだった! ザッソーモンだっけ、ベジーモンの亜種的な。
どうやら日向ぼっこ兼お昼寝していたみたいで、怒らなかったけど文句を呟きながら何処かへ移動し始めた。ゴツモンが直撃しなくてよかったね……。
「……なんなのここ?」
とりあえず危険なデジタルワールドじゃないみたいで良かった……ススムとピコデビモン大丈夫かな。ヌメモン嫌いだったよねアイツら。
――
オレはヌメモンが嫌いだ。ピコデビモンもアイツらが嫌いだ。あいつら不気味だし、自分より弱いデジモンを苛めるし、ウン〇投げてくる汚いヤツらだし……。
「ねぇ、ゴツモンを連れた女の子見ていない? この子の幼馴染なんだけど」
―ヌメヌメヌ(知らないけど、あっちの空から何か落ちてきたのを見たよ)
「あ、それかも。ありがとー」
素直に教えてくれた。ナインナインお姉さんとは知り合いみたいだけど、それにしたって素直な返答だな。しかも初っ端から有力な情報を得られたし。
―ヌメヌメ、ヌメヌメ!(らっしゃい、焼き立て肉のケバブサンドだよー!)
「ススムくんとピコデビモンも食べる?*1奢るよ」
「あっと……じゃあ頂きます」
ヌメモンが屋台でケバブサンド売ってる……日本円で取引するのか。普通に美味そうだし。
「いらね~よヌメモンが作ったメシなんざ!」
―ゲレゲレゲレゲレ(じゃあこっちのフレッシュトマトのスムージーはいかがかな?)
「仕方ねぇ受け取ってやらぁ!」
掌ドリルすんなピコデビモン……掌じゃなくて翼だから良いって? んなわけねーよ。
他にも、掃き掃除をするゲレモン、アイスを売るヌメモン、ラジオを抱えて踊るレアモンとゲレモン、謎の廃材アートを前に唸るベジーモン等々。なんつーか……。
「人間じみた暮らししてんなこいつら」
挨拶すれば返事するし、尋ねれば素直に答えてくれる。デジタルワールドを冒険してまだ日が浅いけど、オレが知る「ハズレ進化デジモン*2」の常識を覆す姿だ。
お姉さんが拠点としているデジタルワールド「ダスト・アート」は、掘っ立て小屋の露店や家が積み木みたいに連なっていて、ゴチャゴチャしたスラム街そのものだ。
けど道はゴミ一つなくて、代わりにガラクタを使った芸術品やストリートアート、それに屋台が沢山あって見てて飽きない。
「そりゃあ私が3年かけて
ケバブを頬張るレアモンを撫でるナインナインお姉さんの顔は自信に満ちている。
すれ違うデジモンがナインナインお姉さんに声を掛けるのも、オレが知らない3年間に色々あったんだろう。皆して笑顔だった。
―いや、血相変えて走ってくるヌメモンが一匹来たわ。
「およよ、どうしたの」
―ヌメヌメヌメヌメ!(ここらでは見ないデケーデジモンが暴れてる!)
「あちゃー、さっきの轟音の主だね。
―ヌメヌメ……(みんな他所へお出かけ中……)
「タイミングわる~……ピコデビモンって進化できる?」
「出来るけどよぉ、オレらを追いかけてたのは完全体だぜ? エンドー…いやベントー…?「エントモンだ」…それだススム!」
「エントモン*3……ンな物騒なデジモン連れて来るなってー!?」
「好きで連れてきたわけじゃ……っ!」
ショベルみたいな腕で胸元掴まれるの怖いんすが!?
そもそもエントモンのヤツ、
「急げ〜! あの手のデジモンは
いつの間にかお姉さんがオレを解放して、レアモンを背負って走っていった。
この街に暮らす戦闘能力の低いデジモン達は、エントモンが放つ蟲の大群「ブラステッドディザスター」からすれば格好の餌だ。
この街とデジモン達を愛しているお姉さんからしたら、なんとしても追い払うか退治したい相手だろう。連れてきてしまったオレ達も、何かしなくちゃならない。
「オレ達も行くぞ!」
「え〜? 完全体相手は流石に無理だろ〜?」
「その無理に叛逆する! いいから行くぞピコデビモン!」
「……しゃ〜ね〜な、このピコデビモン様に任せろぉ!」
無理と言われて黙っているほど利口じゃないんでね!
懐中時計型の
現れたのは、細身でありながら大きな黒いデジモン。デビモンがドラモン系統になったような姿は残忍さと凶悪さを感じられる。
デビドラモンは何も言わずとも身を屈め、その背にしがみ付く。黒い翼を羽ばたけば近くにいたヌメモンが風圧で散り散りになり、オレを乗せて空を舞う。
上空から見下ろせば、街の中心でエントモンと
「見つけた! デビドラモン!」
「しっかり掴まってな!」
相棒の言う通りにしがみ付いた直後に急降下。
シズカとゴーレモン、それにナインナインお姉さんとレアモン大丈夫かな。
特に後者は、言っちゃ悪いが
―そんなナインナインの
デジアド02のゴキモンブラザーズ好きだったので。
幼馴染ちゃんにも将来を見越してゴツモンを添える。
クールね女の子にゴツいデジモンって組み合わせ良くない?