おやおやイアスは可愛いですね 作:一般通過探索者
「おやおやイアスは可愛いですね」
01と数字が刻まれたスカーフを首に巻いた寸胴体型の兎の様な耳を持つロボットの頭部を撫でながらI字に怪しく光る仮面を被った黒衣の男がいた。
『ンナ!』
男に撫でられたイアスと呼ばれたロボットは心地よさそうに男の手に頭を押し当てる
「ボンドルドさん?そろそろイアスを撫でるのを止めて話を聞いて貰えるかな?」
灰色の髪の青年がイアスを撫でる黒衣の男、ボンドルドに声を掛けるとボンドルドは一瞬イアスを撫でる手を止めるも直ぐにイアスのつむじを堪能することを再開し口を開く。
「アキラ君、イアスは可愛いですよ?」
「それはそうだけど…って話をずらさないでくれ」
「おやおやそれで話とは何ですか?」
イアスを撫でるのを止め手袋をはめ直しながらアキラと呼んだ青年にI字に光る仮面の前面を向けるとアキラは一呼吸した後言葉を口にする。
「"サクリファイス"この名前に覚えはありますか?」
僅かに仮面のI字の光が揺らいだ
◆◆◆
『私はボンドルド
出会いは僕が先生に連れられて彼の研究室に訪れた時だった。
初めて彼の姿を見た時は不気味だった、妖しく耀く仮面に不気味な程規則正しく揺れる尻尾の様な何か
彼は自分を人間と言ったが僕はそれを今も信じてはいない
次に彼と出会ったのは旧都が陥落した次の日だった
妹を連れて2人で歩いている時に妹がお腹が減ったと駄々を捏ねていた時に彼は現れ言った
『こんにちはアキラ君、リン君どうしましたか?』
不気味だった旧都が陥落し多くの人々が対処に追われ絶望する中、あの人はまるで何時もの様に、天気が少し悪いと憂うかの様な何処か呑気な口調だった。
『おやおや彼女と逸れてしまったのですか可哀想に、もう大丈夫ですよ私が居ます』
彼がリンと僕を抱きしめた時、得体の知れない嫌悪感に襲われた。
その後暫くの間僕達は彼の世話になった。
リンはすっかり彼に気を許していたが僕は彼の元から離れるその時まで彼に打ち解ける事が出来なかった。
それから暫く経った後彼の元から離れビデオ屋を開いた時、彼は餞別に3つのカセットテープ渡して来た。
【10万回の鼓動】
【ラスト・フライト】
【ザ・カールズ】
どれも彼が何度も繰り返し僕達に見せていた作品だった。
カセットテープを渡す時に彼が言った言葉を今も鮮明に思い出せる。
『アキラ君 家族と云うものは何だと思いますか?』
その問いに僕は言葉が詰まった
『家族とは血の繋がりのみを指すのでしょうか 私はそうは考えていません』
その時初めて僕は彼の言葉に共感した。
先生もイアスも血は繋がっていないけれど僕にとっては何よりも大切な家族の様な存在だったからだ。
『慈しみ合う心がヒトを家族たらしめるのです 血はその助けに過ぎません』
彼はカセットテープを渡すと両手を広げて言った。
『愛です愛ですよ アキラ君 それに家族とは他人同士が出会って築き上げるモノなのですよ』
その時僕は何を言ったか覚えていない、けれど一つだけ分かることがある。
あの時に僕はボンドルドさんと戸籍上の家族ではなく本当の意味での"家族"になったんだと思う。
◆◆◆
薄暗い部屋の中でとある男がニュースサイトで対ホロウ六特別行動部第六課の写真を見ていた。
彼は写真を切り取り特殊なアプリを起動し写真をズームさせると隊員の1人の足下に1人のボンプを発見すると直ぐ様周囲をトリミングしボンプを切り抜きフォルダに切り抜いたボンプをしまい保存する。
そして称賛する文字列で溢れるコメント欄に文字を打ち込みEnterKeyを叩き送信する。
【ボンプは可愛いですね】
これは三度の飯よりボンプとホロウが好きな
未知なるボンプとホロウへの探求を止められない度し難い男の物語
エアプ…エアプボンドルドだから…許して…
感想くれると咽び喜びます