最終兵器指揮官〜ソシャゲ名物の指揮官系主人公かと思ったら最終兵器指揮官でした〜 作:ソシャゲ風っていいな
「なぁ、相棒。」
「……。」
「そんな死んだ面すんなよ、おまえらしくねぇ。」
「……。」
「こんな身体になった俺を不幸だなんて思ってんのか?寧ろ俺はなんてスンバラシイ体にしてくれたんだって感謝したいね。」
「……。」
「お陰で、相棒をこんな風にした〈〈奴等〉〉を狩り尽くせるからな。」
「……。」
「返事、してくれよ。ハル。」
「……。」
「なぁ、覚えてるか?」
「……。」
「いつか、夢を見られるようになったら……俺は……」
―記録終了―
〈とある研究所における音声記録より〉
〈hr〉
空を斬る爆発音。
それによって、俺は眠りから目を覚ました……随分と懐かしい夢を見たが、何故だろう。その中身は全くもって思い出せない。
いや、そんな事よりも俺はやるべきことがあるのだろう。まわりの
「あの、指揮官。大丈夫ですか?」
「問題ない、今起きた。」
「今……」
俺を指揮官と呼ぶのは、少女の姿にしか見えない兵士だ。全身に防弾アーマーを纏った姿は、その柔肌を包みどんな年齢性別でも兵士だということを認識させられる。
対して俺はロングコートタイプの軍服と軍帽を背負った……明らかな後方で椅子を尻で拭くタイプの軍人だ。お陰で、周りの目が痛いことこの上ない……
きっと「常識知らずのボンボンが戦地に来た」とか思われているのだろう。周りからの目つきはそういう目だ。ボンボン……まぁ、金を掛けられて育ったと言う意味ではそうかも知れない。
だが、今はそんな事を考える隙ではない。これから始まるのは命がけの作戦だ……孤立した友軍を回収して連れ帰るという、忘れ物を持って帰るような任務の、な。
「指揮官殿、間もなく作戦区域に突入します。一応最後の作戦通達を。」
「分かった。」
指揮官……指揮官か。俺も偉くなったもんだ。そんな物は向いてないんだが……まぁ、首輪のようなものだと思えばいいか。
そんな事を考えながら、今回の作戦について、改めてこの場にいる面々に説明する。
「俺達の目的はこれから突入するエリアC4に取り残された友軍の回収だ。本来なら友軍からの救難信号付近で着陸し回収、撤収の手はずだが……」
俺は耳元のヘッドフォン型のデバイスから送られる情報に目を流す。そこにはマップの上に救難信号と、その信号地点に群がる無数の赤い点……敵勢力が映し出されていた。
「信号地点には敵勢力が多数襲来、降着は難しい。よって、突入隊が物資を持って自由落下による降着。先の敵勢力の少ない地点Bをランデブーポイントとして、ヘリに向かって貰い、そこで合流する。」
「ちょっちょっ!?ちょっと待って!?自由落下による降着!?敵がわんさか居る場所でパラシュートでも使って降りるの!?」
「突入隊と言っても、ここに居るのは四人だけです。全員で出るのは指揮官やヘリの守りも手薄になります。」
最もな疑問だ。だけど、問題ない。
「お前ら四人にはヘリに残っての火力支援、及びヘリの護衛を行ってもらう。」
「ま、待ってください!?言ってることがチグハグです!?なら突入隊は誰が!?」
誰が?ここに居るのはヘリの操縦士を除いて武装した少女四人+俺一人だ。その四人がヘリに残っての火力支援なら……決まってるだろ。
「……俺が行く。」
俺はそう言って、もはや意味すら理解できていない表情の彼女達を置いておいて、椅子に俺を縛り付けてあるベルトを外して立ち上がる。ヘッドフォンを操縦席に繋ぎ、声を掛ける。
「指揮官だ。信号地点まであと何秒だ?」
『このスピードならおよそ80秒で到達できる。』
「よし、そのまま進んでくれ。」
俺が通信を切ると、少女達からの抗議の甲高い声が俺の耳を劈く。
「ま、待ってください!?指揮官が!?一人で!?」
「敵が集まってきている地点にですか!?」
「無謀が過ぎます!!貴方がどんなキャリアを積んでいるのかは分かりませんが!」
「それで作戦失敗したらどうするつもりなのよ!?責任も出されるのはコッチなのよ!?」
まぁ懸念は全て最もだ。だが、これが一番手っ取り早く……尚且つ、人死にが出る可能性が最も少ないやり方だ。死ぬ時は死ぬが……そういう話ではなく、確率として、だ。
「まぁ、任せろ。」
「任せられません!作戦を変更してください!直ぐに!」
「もう時間ないぞ、あと60秒で降下時間だ。配置につけ。」
「っ!!あんたの自殺につき合わされるこっちが迷惑だわ!勝算はあるの!?」
……たしかに、俺も逆の立場ならキレてる。だけど、俺は腐っても指揮官な訳で……自殺志願者でも、キチガイでも、脳足りんでもない。
「勝算があるから、やるんだろう。」
俺はヘッドフォンに手を触れて指示を出す。
「お前らも迎撃の準備をしろ……扉を開けろ。」
『了解、健闘を祈りますよ……ッと。』
操縦士の軽い一言を合図に、武装ヘリの扉が開く……眼下に見える景色は、無数の機械とムシを合わせた様な生命体が、信号地点に群がっている。
そして、その地点では二人の少女がそれぞれの武装を扱い、その生命体を撃退している姿だ。一人はアサルトライフル。もう一人は……巨大なビーム砲を背負って戦っているようだ。
「……確認した。時間を巻いて、出撃する。」
「ッッッ!!勝手にしなさい!!」
観念したのか、それぞれは持ち場について迫りくる異生命体達に弾丸を浴びせる。さて、ここまで無理をこじ開けて道理を蹴っ飛ばしたんだ。情けない格好は見せられなくなった訳だ。
「戦闘モード、起動。」
―戦闘状況確認……―
―確認完了―
―任務:眼前敵の排除、及び友軍救出―
―戦闘モード 起動―
そして俺は……意を決してヘリから、生身で飛び降りる。
「はっ!?」とか「ばかっ!?」とか、そんな言葉がわんさか聞こえてきたが……もう遅い。あとは、やるだけだ。
「行けるな。」
次の瞬間、俺の軍服を突き破って現れるのは、鉄で出来た機械の翼。右腕には様々な重火器がくっつき、ロングバレルのガトリング砲が飛び出した武器腕へと変化する。俺は背中の機械の翼をフレキシブルに動かして、信号地点へと飛ぶ。
「……!!」
当然、眼前の敵生命体には気付かれる……だが、いい。殲滅の任務の内だ。俺は妙に重いガトリング砲を突き出して、薙ぎ払うように縦断の弾幕をばらまく。
鉛玉を喰らえば、緑色後を吹き出しながらつぎつぎと倒れていく……貫通弾は痛いだろうな。
明らかに腕に仕込める量の弾薬以上の弾丸をばらまきながら、俺は救難信号の地点へとゆっくりと降りる。
さっきは遠目で見えなかったが、二人の少女の姿が漸く鮮明に見えた。アサルトライフルの方は黒髪のサイドテールの眼帯をつけたな女の子。もうひとりのデカいビーム砲をせおっている方は、オレンジ髪のツインテールだ。
二人の驚く表情……悪くない。
今の俺は、傍から見たらヒーローなのかな?それとも…、機械仕掛けの天使かな?どっちでもいいか。
俺はヘッドフォンデバイスから流れる情報に目を通して、地面に足をついて呟く。
「……お前らが救難信号を送ったんだな?登録番号AR-11:アリィ。BC-6:ビグル。」
すると、ヘッドフォンに、武装ヘリの操縦士の軽い言葉が聞こえてくる。
『降着確認!んじゃ、ランデブーポイントで待ってるぜ?……【最終兵器】さんよ。』
最終兵器……なんて仰々しい呼ばれ方は好きじゃ無い…、そもそも最終でもないしな。まぁ、そんな通り名も悪くはない。……混乱している二人に挨拶しておこうか。
「……改めて指揮官。現着した、これより指揮を取る。」