てか、それまでみんな見てくるのか?
まあ、コツコツ頑張ります。
いつも通りの朝。
縁壱は、自分に与えられた部屋で目を覚まして、朝食を食べてから散歩をする。その過程でコーヒーを飲んだりしながら平和な一時を過ごしビデオ屋に戻る。
ヴィジョンの引き起こした事件から、そこまで時間は経っていないが少し懐かしく感じる。
あの後、猫又は邪兎屋に入り楽しく生活しているだろう。
そんな事を思いながら、一階のいつもの部屋に入るとアキラとリンが話をしている。二人の顔には、楽しそうな表情はなくかなり深刻そうな顔をしていた。
「何かあったか?」
縁壱は、二人に近づき話かける。そんな疑問にアキラが答えた。
「次は、Fairyが原因で電気代が6倍に上がったんだ。」
縁壱は、驚いてしまう。多少電気代が上がったりもするだろうが6倍はいくらなんで上がりすぎだ。まあそれほどまでに有能ではあるが。
「今は、それについて話していてね。ついさっきインターノットを通じて高額指名依頼が舞い込んだ。」
内容がなく、詳しくDMで送ると言う話らしい。アキラは、詐欺か何かだと疑っているらしい。確かに今はアカウントのレベルが低いため指名依頼など確かにおかしいだろう。
「いっそ誰だか分かればいいけど、 そんなの無理だもんね。 だってインターノットは匿名フォーラムだし、ユーザーの個人情報なんてトップシークレットでしょ?」
『異議あり。 この指名依頼には、依頼人の身分に関する隠された情報がある可能性があります。』
リンの発言をFairyが否定する。曰く投稿前日に作られアイコンは、自分たちが撮影したものでありストリュートビューなどから旧都地下鉄プロジェクトの工事現場と合致したそうだ。縁壱は、Fairyの凄さ、万能性は凄まじい事を改めて実感する。これで、電気代さえなんとかなれば。
「ん?待てよ、 そういえば・・・ 僕たちがヴィジョンの悪事を暴いた後、地下鉄改修プロジェクトの競争入札は、 仕切り直しになったんだったね。今回の請負を勝ち取ったのは、確か「白祇重工」だったはずだ。」
「ふつうの市民が地下鉄の工事現場に行くってこともなさそうだし・・・ 依頼を出したのって、 もしかして白祇重工の人だったり?」
『マスター。 現在、 とあるチャンネルのテレビ番組にて 白祇重工の関係者がゲストとして出演しています。』
「わかったよリン。それなら…その番組を見てみよう。」
アキラは、テレビの前の机に置かれたリモコンを取り電源をつける。映像を流れだした。
数分後。
「やれやれ、 スタジオは大荒れだ。こんな番組がお茶の間に流れるなんてね。」
アキラがため息混じり呟く。
内容は、白祇重工とヴィジョンの建設プロジェクトのどちらかが優れているかどうかと言う議論だ。
最初は、白祇重工が優れていると話すが、途中で主催側のレオンと言うライオンの被り物をつけた男が、ヴィジョンが優れていると言いながら白祇重工にとっての地雷発言をし喧嘩沙汰になりかけると言う物。
確かにこんな番組が、家族団欒の時間に流れたら中々に気まずくるなるだろう。
「けど、意外だな。 白祇重工は世間からの評判もいいのに、未だに黒歴史を掘り起こされるなんて....。.この地下鉄改修プロジェクトを軸に、あと一、 二悶着はありそうだ。」
『マスター。指名のあった依頼人からDMが届きました。』
「なんて書いてある?」
『DMの中に『生きるか死ぬか』を迫られる内容を検出。ただいま読み上げます。』
(パエトーン。オレらに力を貸してくれ!恥を忍んで言うが......オレたちは今、生きるか死ぬかの瀬戸際だ。力を貸してくれ―――頼れる相手は、お前達しかいねぇんだ!事情が事情何でな。依頼内容をここに書けば一発でこっちの正体がバレちまう。つうことで、ここはひとつサシで会おうや。明日の朝5時に、六分街の交差点に来てくれ。頼む!)
「Fairy。 次からは「生きるか死ぬか」を迫られている対象を、しっかり説明してくれると嬉しいな。」
「ふむ....DMを見る限り、依頼人は本当に切羽詰まっているみたいだ。それに、正直に現状を吐露しているように感じる。けど、面会を要求してくるのは怪しいな、依頼内容を説明せず、直接プロキシにあいたがるなんて.....インターノット上ではあり得ない。ましてや、早朝の5時だ」
「ん?待てよ。このDMの一行目。「『パエトーン』。オレらに力を貸してくれ!」って。僕たち、このアカウントでパエトーンと名乗った事は一度どもないはずだ。どうしてこの人は知ってるんだ?」
『マスター。依頼人からもう一通DMが届きました――『報酬の20%を前金として振り込んだ。こいつは心ばかりの誠意ってやつだ。マジで頼んだからな!』インターノットのアカウントに振り込みを確認』
「リン、面会というのは罠かもしれない。この依頼は断っておかないか?『お金か命か』なんて二択を、天秤にかけるのはやめよう。やっぱり前金を依頼人に返すよう、『Fairy』に言ってくれないか」
『かしこまりました。マスター。振り込まれた金額は先月のインターノットにおける総収入の1.3倍に相当します。本当に返金しますか?』
「待ってくれ。いくらだって?」
『先月のインターノットにおける総収入の1.3倍です。』
「お兄ちゃん、やっぱり私が行ってこようか?ほら。縁壱も連れて行けば大丈夫だよ。」
「はあ。縁壱がいるとはいえ危険はゼロじゃないんだ。それにさっき、お金か命かの二択はやめようって言ったばかりだろう。」
「でも、君がどうしてもって言うなら明日の朝ランニングするフリでもして、こっそり様子を見てきたらどうかな。もちろん縁壱を連れてね。」
翌日、早朝。
指定の場所に、リンと共に行く。服装はいつもの変装衣装だ。と言っても最近は、この服装で出歩くため着慣れた物だ。リンは、なぜかスタンガンを持っていくらしい。なぜだろうか?
指定の場所に着くと、高身長の男性が立っていた。
ブーッ、ブーッ。
リンのスマホが鳴る。
「もしもし、リン、縁壱聞こえる?着いてたら、そっちの様子を教えてくれ。」
「なんか、怪しい人が独り言を言ってる.....」
「あの体の大きな彼のことだね。近くに行って、 何と言っているのか聞いてみよう。」
「....チクショウ。兄弟....オレは本当に、お前抜きでやれるんだろうか....?いやいや、漢の辞書には『勇往邁進』の四文字しかねぇんだ!....辞書にしちゃ、えらく内容が乏しい気がするが....だぁぁ!グダグダ考えたって始まんねぇ!こんなもん、正々堂々ぶつかってナンボだろうが!兄弟、お前がここにいたら、きっとそう言ったはずだ!」
「確かに『ちょっと』怪しい人だね。」
発言だけ聞くなら変な人と言われてもおかしくはないだろう。ましてや、高身長の男性だ。より怪しく見られてもおかしくはない。
「マスター、『怪しい人』『独り言』のキーワードで検索した結果、コーナーH・棚3・番号16-5にあるビデオテープの内容と酷似しています』
「こちらに、気づいたぞ。」
Fairyが、関係ない話を聞きなから縁壱は、リンにそう言うがアキラとの連絡に集中しているようだ。
怪しい人間は、こちらに気付き歩み寄る。
「よう、見つけたぜ!」
「く、くらえ!」
リンは、よほど驚いたのか持っていたスタンガンを振り回す。
「リン!」
縁壱が、リンの手にあったスタンガンを奪い取る。
「へ?」
「うおっ、嬢ちゃん!そんな物騒なもん振り回したら危ねえだろうが!....悪い悪い....通話が終わるまで待ちゃ良かったな。けどよ、お前があの『パエトーン』なんだろ?」
スタンガンを取られた事で、静止したリンは少し落ち着きを取り戻したようだ。なお、感覚的にはいつのまにか自分の手からスタンガンが消えていたと感じている。
「ん?....この人どこがで見たような....そうだ、昨日の『ボンプは知っている』にゲスト出演していた、白祇重工のアンドーさんじゃんないか。」
アキラは、電話越しにそう言う。確かにこの男性は、昨日のテレビに出ていた人だ。
「あぁ、白祇重工のアンドーだ。ツラが割れてんなら、話が早え。『パエトーン』しょっぱなから、こんなふうに会うのは筋が通らねえかもしんねえが.....送った通り、わが社は今崖っぷちに立たされてんだ。事情が事情だけに、部外者に正体を知らされるわけにもいかねえ。これは、俺達なりに考えた結果だ.....いっそのことガチンコで、お互い秘密を握っちまうのが安全だってな。すまねえが、わかってもらいてえ。」
「なるほど、それも一理あるね。でも依頼の話をする前に、 こっちの質問に答えて。 あのアカウントが私たちのものだって、 どこで知ったの?」
「ハン、そいつぁ言えねえな。ただ、 情報提供者は胸を叩いて保証したぜ。あれが間違いなく、 名だたる 「パエトーン」のアカウントだってな。腕前は、 人間としても大したヤツだとよ!」
「あのニコにそれほどの評価をもらえるなんて、恐縮だね。」
「邪兎屋の連中、口を揃えて褒めちぎってたぜ。……ん?ま、 待った!なんで邪兎屋の紹介だってバレてんだ!?」
「十中八九、ニコから漏れたと思ってたけどやっぱりか。情報源について口止めしたってことは、見返りを貰ったことを僕たちに隠したかったのかな。それはさておき、 今は本題に集中しよう。アンドーさん。 白祇重工は一体、 僕たちに何をしてほしいんだ?」
「引き受けてくれんのか?そいつぁよかった!だがちょっといいか?こいつは誰なんだ?邪兎屋からの情報じゃあパエトーンは、男と女だと聞いてたがぁ。護衛か?」
アンドーは、縁壱を見る。電話でやりとりをするアキラに自ら出向いているリンをパエトーンだとわかっているらしい。恐らく容姿の特徴を聞いているのだろう。待ち合わせ場所付近にいたリンを、パエトーンだとわかったのもそのお陰だろう。
「あ。えっと。その。」
リンは、言い淀む。相手にはパエトーンだとバレているなら縁壱が日輪の剣士だと言ってもいいのでは?そう考えているようだ。
「ああ。紹介しておくよ。彼は縁壱。日輪の剣士と言えばわかるかい?」
言い淀むリンに変わり、アキラは縁壱を説明する。
「おお!!お前があの日輪の剣士かあ!」
「ちょっ!?お兄ちゃんっ!!」
リンは思わず、大声を出す。
「大丈夫だよ。リン。どうせニコから日輪の剣士の事は聞いてるだろ?」
「ああ、協力をお願いできるかもしれねーって言ってたが。まさか、一緒に来るとは思ってなかったぜ。」
「改めて、継国縁壱だ。よろしく頼む。」
「おう!」
縁壱は、自己紹介と共に握手を求めアンドーは生き生きと握り返す。なお、縁壱とアンドーは二人とも高身長のため少し目立っている。
「さてと、これで安心して案内できるぜ。来いよ。 今すぐ現場まで案内してやる!依頼の件は、 うちの社長が直々に説明してやっからよ!」
「現場って...白祇重工が最近請け負った、 地下鉄改修プロジェクトの?」
「ああ! ヴィジョンの手に落ちてたら、 あの辺りも木端微塵になってただろうが... 今は我が社の兄弟たちが汗水たらして働く、 漢の戦場だ! ハハハハッ!」
アンドーは、誇らしげに言う。
「アンドーさん。こっちも仕事で出かけるんだから、 準備は必要だ。妹と一緒に、うちの駐車場の近くで待っててくれないか?準備が整ったら、うちの妹が現場まで運転するよ。」
「おう、まあいいだろ。それじゃ、お言葉に甘えるとすっか!」
その会話を終えると3人は、ビデオ屋の裏手の駐車場に向かう。
縁壱、刀を没収。代わりにバットを振るよ!
ツール・ド・インフェルノカットしていい?
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いいよ。
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だめだ。