イェーイめっちゃ鬼殺隊 作:あああ
アンケートを考えてくれた皆様、ありがとうございました!
「めっちゃ聞くか迷ったけど、どちらが勝ったかは聞かないでおくね。鬼殺隊が全滅するか、円満解散するかの瀬戸際だから」
「あ、うん。それがいいと思う」
でっけえ舌打ちをする獪岳にそっと鴉からぶんどっ……拝借した愈史郎印の札を貼る。結構移動したのに愈史郎氏と合流できないので若干攻略に翳りが見えている。
さて、現在我々は聞き耳の善逸、視覚共有の獪岳、二人を両肩に担いで移動する私に役割分担をしながら作戦会議をしている所である。出たとこ勝負だが、ないよりはマシだ。
「私の血鬼術は生き物の時間を巻き戻したり進めたりする能力。なので死んでなければどんな致命傷でも治る、ただし制御が雑なのと戻した分の記憶もなくなる、OK?」
「お、おーけー」
「それとお姉ちゃんはこれでも鬼なので鬼は殺せません。盾にはなってあげるけど仮に死んでも恨みっこはなし! 暴れ始めたら首を切りなさい。いいね獪岳、返事!」
「わかった」
ところで結構移動してるけど、善逸の耳の良さに驚いたら良いのかカエルの行方に憂いたらいいのか。理想としては死人の出る童磨戦、体が覚えている黒死牟戦に出れたら有難いかな。
「よしじゃあ一旦時間をマーキングするよ。……指とかにしとくか」
「首でいい」「えー頬とか?」
「キスマークみたいでなんか嫌だな……」
とりあえずこの傷まで、という事が認識できればワンチャン制御ができると思いたい。だめだぁ、こういうことを言い始めると事故が起こる気がする。気をしっかり持って、単純な鬼の能力で比べたら意味わからないくらいチートでしょ!? これはもうやるしかないって!!
内心を悟られぬように善逸の後頭部から耳へ指を伸ばす。お、何か見つけたっぽいか?
「……あの、生娘みたいな反応するのやめて貰っていい?」
「じゃあ集中してるとこ触んないでェ!!」
「うっせえマジで……」
人口密集(三人)の弊害。落ち着かない善逸とイライラする獪岳と空気を読みすぎておかしくなる私。思春期か!馬鹿ッ!
むしゃくしゃしながら障子を蹴破って建物へ飛び移ると、隣を義勇が飛んでいった。スンと止まって善逸を地面に立たせる。背中に獪岳も乗せる。
「ウッワァ、猗窩座戦だ。最悪だ……」
カエルを持っていたのは義勇だったらしい。そりゃあ渡したからそうだよ。とりあえず弟弟子達には他へ行ってもらうことにして、ちょっと被害を軽くしに行こう。義勇……私と四連戦しないか? 猗窩座、黒死牟、童磨、無惨、全部のアトラクションを回りに行くんだ。
まぁとりあえず、真剣白刃取りを腕から切断するところから始めよう。
「あ、どうも猗窩座さん。チッスチッス」
「……貴様、仕事はどうした」
「鬼殺隊殲滅しろ的な指示が出てるんですか。まぁ知らないんですけど」
ここで炭治郎と善逸を引き合わせた場合、透き通る世界を思い出すまでにノイズが入る可能性があるのでタイムロスです(RTA並感)
とりあえず猗窩座さんがピッキピキなので戦闘体制には入っておきましょう。猗窩座さんはすぐキレる。なんで? 呼ぶ度に「去勢された役立たずのイッヌ……」って思ってるからか?
悲しい過去と鬼の間に出た多数の被害者は別の問題だ。勧誘してくる分なお悪いね!成敗!成敗!
「……お前は鬼になって弱くなった。自分を守ることが出来なくなった。俺は失望したよ」
「なんだ、ループの何回かは君か? 心配しないでも私は追い込まれないと本気が出せないタイプだからそれは素の実力だよ」
「それが何故ここに来たんだ?」
「勿論、守るためだ。私は君とは違う」
鬼同士の戦いは不毛だ。首が落ちても復活する、腕がひしゃげても元に戻る。ただ血鬼術の修行には使える。体内に時計があるとして、怪我をした直前に戻り続けることができれば会話の記憶を持ったまま戦闘が続行できる。多分そっちにかまけて避けることをやめてたんだろう。鬼あるあるじゃないか。
戻す、進める、戻す、進める。呼吸に合わせて概念的に無敵の体ができる。今の体の状態は変化二日目の朝。活動可能時間は残り五時間ほど、こうやって調節をしておかないと終盤にリセットタイムになるかもしれない。ダイイングメッセージで寝起きガチャするのは今じゃない。
「──水車」
「あ、おかえり義勇」
三体一である。まぁもう負けないっしょ。
それはそれはもう完全に慢心しきっていた私は笑顔で相棒を見やった。拳が目の前にあった。
「んへっ」
「字が汚い!! 読めなかった!!」
「す、すみませんでした……?」
多分、口下手が変な方向に振り切れていたんだと思う。複雑なように見えて結構わかりやすい奴なんだ。しかしその、炭治郎も猗窩座も居るんですよ。
この時ほど弟弟子と別行動していて良かったと思ったことはないね。時間を巻き戻そうとして、流石にやめる。どのみちすぐ再生する怪我なのだが、不意に食らったせいですごく痛く感じた……。
時間を稼げば炭治郎が猗窩座の首を切ってくれる。二人居ると余裕がある。良いことか定かではないが、防御極振りの私は闘気がヘニョヘニョなので猗窩座に対してのみデバフとして機能する。
怪我をする度に炭治郎にギョッとされるのだが、血を見て舌を噛んで涎を我慢している私からしてみればそっちのケガの方がよっぽどやばい。頭が生えてきた猗窩座の事は私が殴っておいたので早く治療をさせて欲しい。……治療したら透き通る世界のこと忘れちゃわないですか!?!?
「かくかくしかじかで、治療をすると戦闘前に戻ってしまうんだ。重症な怪我をする前まででいいかなぁ」
「なら俺は痣が出た後までにしてくれ」
「義勇さん……」
痣を出したものは例外なく二十五歳で死ぬと言われている。しかしやむ追えない。こうやって覚悟がキマっちゃった人は誰にも止められやしない。切ねえ顔してっけど炭治郎くんもや!
「それで私が黒死牟にお持ち帰りされた後ってどうなった? 遺書は読んだ?」
「ああ。なんとか」
標準的なギャル文字なのにどうしてそんなにボロカスに言われなきゃならんのだ。
まぁしかし義勇の説明により柱にのみ共有されていること、対戦マッチは変えない、というかこれは鳴女の仕業なので変えられないこと、私の情報はお館様の判断により拡散しないことに決定した事などがわかった。鬼さん、頑張っていこうと思います。
「じゃあしのぶちゃんは!?」
「まだ生きている。煉獄がいる筈だ」
「居たわァ!!!!」
忘れてたんじゃないよ。ホントホント。
でもそう、片目なくなったとはいえ怪我自体は治る範疇だ。何故か一瞬私と交代しようとしたけどそうか、無限城には来てくれるんだ。これがバタフライエフェクト……!?
「それと、さっき金髪の少年にカエルを渡しておいた。おそらく、烏に案内されて上弦の元へ向かった筈だ」
「義勇……最高だぜ!! 回復したら黒死牟の所に行こう。行けるよね?」
「ああ。炭治郎は少し休んだ方がいいだろうが」
「よし、歩けるならついでに愈史郎くん探しといて! 炭治郎くんは多分どこに居ても無惨の前に出されるから」
「は、はい」
急に戦局に希望が見えてきた。私が一人だけ絶望していただけで、みんなそれぞれ頑張ってくれる。頑張って遺書書いておきて良かった〜!
会話は済んだので血鬼術で義勇を回復しよう。人に使うのは初めてだけど、生き物をある状態まで戻すだけなのでちゃんと出来る予感がする。そういえば名前を考えていなかったな。戻す……時計の針……捻る……うーん。
「血鬼術──逆命」
傷は無い、痣はある。数分の歪みが体に蓄積される。ふむ、なるほどね!
「よし、義勇。調子はいかが?」
「……字が、汚い!!」
「んぐぅ」
戦闘中だったから一度は捨て置かれた怒りを再度拾ってきた義勇は、不思議そうに辺りを見回した後に説教を再開した。立志編の1話やめろ、ふざけてんのか。
全てを見ていた炭治郎が慌てて諌めるが、二度も殴られた私は傷心で少し泣いた。鬼の間にも涙である。どうしよう、回復する度に初対面になる知り合いが殴ってきたら……。