イェーイめっちゃ鬼殺隊   作:あああ

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氷解手術

 

「しのぶさん生きてるよねェ!? まだ死んでないよね!?」

「大丈夫だ我妻少年!! それよりあまり大声で話していては肺に響くぞ!!」

「……」

 

炎柱の手前言えないが、煩さはどっちもどっちである。上弦の弍なだけあって厄介な血鬼術だった。特に氷で分裂した時なんか、この人数で死を覚悟したものだ。

伊之助とカナヲという隊員も静かなもので、うるさいのは弟弟子とカエルくらいだろう。けたたましく鳴き始めたカエルを鬼が凍らせようとした時は本当に肝が冷えた。そもそも池にクソ程いたんだから何百匹でも連れて建物中にばら撒いたら良かっただろ。なんで一匹しか持って来なかったんだ水柱は!

 

「そのうちウチの姉弟子が来ます。鬼ですが、人の治療ができます。見逃してやって貰えないでしょうか」

「そうか! 未来は鬼になっても自我を保てたか! 喜ばしいことだ!!」

「知り合いでしたか?」

「うむ! 俺が柱に推薦したからな!!」

 

そういえば、炎柱は一回引退の話が出ていた。あの事件はクソ姉貴が推薦されて間も無くのことだったのだろう。一体なにをそんなに見出したのか知らないが、酔狂な奴も居たものである。

 

「姉貴は、強かったんですか」

「秀才だな! しかし甘露寺のような体質だからもっと沢山食べた方が良いだろう! 柱は皆沢山食うぞ!!」

「は、はぁ……? 何で推薦を?」

 

「勘だ!! まぁ逃げられているんだがな!! ハッハッハ」

 

目が合っているが視線がどこを向いているかはよくわからない。獪岳は姉の愚痴を思い出した。事件の前、うどんが食べたいと言って三杯はおかわりしていたような気がする。相変わらず汁まで飲んでいた。

 

『獪岳はわかりやすいからいいよねぇ。世の中にはどこ見てるかわからないしなに考えてるかわからない人って居るのよ。めっちゃ怖かったんだよね……』

 

悪気はないんだろうけど、蛇に睨まれたカエルが脳裏を過ぎる。相性が悪かったんだろうな、と獪岳は思った。

 

 

さて、義勇と合流の後、再びカエルの声を頼りに動き出した我々は童磨戦の終わりがけへ合流した。合流した時、義勇は居なくなっていた。

マラソンで一緒に走ろうな!とか言ったのに先に行くやつだ。緊急の鳴き方だったので悪いことをしてしまったな。ソーリー。

 

しかしなにもしてないのに童磨戦終わってて最高だな。人助けはするもんだよ!!

いや前半遊んでたからベストではなかったんだけども、それでもやって良かった。もっと真面目にやった方が良かったんじゃないか、とか言ってはいけないよ。じゃあお前こんな状況になってふざけないで何年も真面目にやってられんの?

いや、やるタイプの人も居るし、鬼殺隊の大半が真面目にやるかも。私が悪かったですね。

 

「……治りますか」

「厳しい。どうやったら胸から食われることになるの?」

 

部位欠損っていうのは手とか足とかを想定しているのよ。クソッ、しのぶさんのおっぱいがもっと大きければ乳で済んだかもしれないのに、臓腑が持って行かれている。これじゃあ戻したって保たない。胸囲の格差社会とか言ってる場合じゃないんだけど?

泣き出しそうな声声でカナヲちゃんに言われるともう何が何でも何とかしなくちゃという気にしかならないが、内臓がないぞう。食われたものは時間では戻らないぞう!?

 

「しのぶさんと血液型が同じな人だけ残って、他の人はもう部屋から出て」

「……私!」

「死ぬ程痛いよ、外科手術とかやった事ないから。しかも自作のメスでやるしめっちゃ時間かかるし、失敗するかもしれない」

「大丈夫、私も手伝える。目が良いから、指示してあげる」

「助かる。獪岳も残って。最悪の場合は介錯して」

「そうか! 稲玉少年も残るなら安心だな!!」

「キメ学の苗字ってありなんだ……?」

 

血がずっと流れて戻ってを繰り返している。死んでないけど生き返るとも思えない。内臓を引きちぎったみたいな酷い状態で、一周回って骨格標本みたいになっている。こんなにグロテスクなもの医者でもないのに見ることってあるんですか。今腰が抜けて立てなくなっています。

 

てか内臓の移植って何時間かかるの? 映画一本くらい!?

助けて!お医者様! し、死んでる……縁起でもない冗談はさておき、マジの長丁場を想定した方が良さそう。誰ですか時間系の能力がチートだと言っていたのは。こんなの成功するまで手術をやり直すことにしか使えないじゃないですか!!

 

 

 

「イヤアアアア手術の成功を祈る係をやるからァァアアア!!!!」

「俺たちは俺たちの責務を全うする! 行こう、我妻少年、猪頭少年!」

「………ウン」

「ちょっとどうしちゃったの伊之助!? ……あーもう、ウチの姉貴と兄貴が居るんだ、何とかなるよ!! 大丈夫!!!」

 

さて、カエル移動担当改め、新生無限城攻略班。声のデカい煉獄杏寿郎、声のデカい我妻善逸、普段は声のデカい嘴平伊之助である。

治療はあまりしていないが肺の氷が溶ければ比較的怪我は少ないと言えた。しのぶが服薬していた毒のおかげである。

 

「作戦では鳴女が最優先だったが、状況が変わった! 俺たちはこれから黒死牟の元へ向かう!!」

「イヤアアアア怖いいいいいいいいいいそれ姉ちゃんの仇じゃんんんんんんんん」

「話によると無一郎と玄弥が死ぬらしい!!!」

「………ウソオオオオオ!?!!!!?? 早く行くよ!!!!!!!!」

「ウッッセェェエエエエ!!!!」

「うむ、元気があって結構!!!!!」

 

おそらくどこに居てもわかるようなパーティで安心である。しかし向かうと言って、素直に辿り着けるのだろうか?全ては時透の烏にかかっているだろう。

 

舞台は変わって、この男。

冨岡義勇の同期であり、類稀な天運で無限城をを無傷で生き残る事が書かれていたばっかりに、なにも悪いことをしていないのに柱合会議に呼び出された男。ヒノカミ血風譚2でプレイアブルになり、エフェクトが目に優しいと評判の良い男!

そう、村田さんである。

 

「ぁぁぁ、本当に俺が無惨の所に行かなきゃ行けないのかぁぁ」

「早く行け」

「くっそぉ、お前も頑張れよ愈史郎。俺も頑張るから」

「そんな事は当然だ。珠世様に当てたら許さん」

 

風が吹けば桶屋が儲かると言うが、ギャル文字ボンバーを受けた故お館様はもう一つ策を打ち立てることができた。時代は随分前から刀ではなく火薬なのである。

無限城が移動する室内戦だと分かったお館様は、指揮を取る息子には内緒で秘密兵器を投入することした。なに、そんなに難しいものではない。世は大正、第一次世界大戦が始まった頃。爆弾くらいは、珍しくはないはずだ。

 

「しっかし本当に俺一人か……心細いなぁ」

 

頑張れ、モブの星。頑張れ、無限城の火薬庫。

時代が時代だったらガソリンでも撒いて火をつけていそうな鬼殺隊である。ああ、鬼殺隊。異常者の集団よ。

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