イェーイめっちゃ鬼殺隊 作:あああ
前回のあらすじ。
黒死牟とのタイマンの末、惜敗し無惨の前に引っ張り出されたわたくし。この時点で黒死牟に気に入られた私は口の中にドバドバと血を入れられており、死。
そして「別にもう彼岸花とか要らんけど一応何で知ってるかは見といてやるわ」と頭を掴んで思考を読んでくるパワハラ上司を相手に現実逃避をするわたく死。
ああ、恋しや、深夜のラーメン、映画館のポップコーン、お父さんの味噌汁、温かいものを飲んでホッとする人の顔。鬼滅の漫画のことだけは思い出してはならないのでこれでも必死である。
それのどこが引っかかったか、私の目ん玉を急にほじくって捨て置く無惨。今になって思うと読心の精度次第では彼が見たのは未来の記憶である。店に漫画を一式揃えたいと古本屋の床で駄々捏ねてる時の記憶までで済んで良かったとホッと死。
しかしここから身体がずっとバキバキで悠長な事を言ってる場合ではなくなった。それはそう。今まさに鬼へと変化しているのだろう。
獪岳とポジションチェンジしたとしたら、私ってどうなっちゃうんだ?
身体中の水分が何かに吸い取られるような感覚、骨が軋んで筋繊維が脈を打ち、脳に深刻なダメージが発生する。
多分、本来なら体が勝手に人を襲い始めるおっかない状態になるんだろう。
空腹により意識障害のような、視界が狭まる感覚と暴れ出す衝動を冷静に感じる。冷や汗と身体の震えを自我で押し退けて、私は慣れたように身体の手綱を取った。
「これでも、燃費の悪い身体で、生きてきてるんでねっ」
目が回る、低血糖の時みたいな、吐き気と動悸がある。でもまぁ最終選別の三日目よりはマシかな。せめて水だけでも飲みたいけど、視界には畳と障子と行灯という無限城背景セットしか見受けられない。
さて、状況はかなり悪いぞ。
本音で言えば関わりたくもない上弦の鬼。黒死牟に単騎で挑んでみたは良いけれど、生存の中では最悪の次くらいに悪い。と言うか、最悪だろう。遺書は読んでもらえているだろうけど、あんな黒歴史みたいなの読まれない方が良かったに決まっている。
ホーントに悔しい。今まで何に一番打ち込んできたかって、実力で生き残ろうと思って"凪"をやっていたんだ。ゲームだったらもう投げてる。
想定していたシナリオを逸脱した上に望んでもないのに寝返ってしまった。で、ここからどうやって取り戻したものかな。
とりあえずなりかけではあるけれど、鬼なら血気術が使える筈だ。体感貧血で不安は残るが、運が良ければ超ご都合血気術が発動している場合がある!
えーと、とりあえず血を垂らして──
──獪岳とポジションチェンジしたとしたら、私ってどうなっちゃうんだ?
身体中の水分が何かに吸い取られるような感覚、骨が軋んで筋繊維が脈を打ち、脳に深刻なダメージが発生する。
空腹により意識障害のような、視界が狭まる感覚と暴れ出す衝動を冷静に感じる。冷や汗と身体の震えを自我で押し退けて、私は慣れたように身体の手綱を取った。
「これでも、燃費の悪い身体で……ん?」
目が回る、低血糖の時みたいな、吐き気と動悸がある。まぁ最終選別の三日目よりはマシか。せめて水だけでも飲みたいけど、視界には畳と障子と行灯という無限城背景セット。そして血で……正の描き途中か? まて、だとしたらもう4回もやってる事になる。
ええと、時間の感覚がわからないのが困りものだ。私が負けたのが秋で無限城が冬だから二、三ヶ月は時間の余裕がある。数えて90。鬼になるのに黒死牟は三日かかったんだっけか。
私が三日もかかるのか測定する術は無さそうだけども、このダイイングメッセージが回数なのか日付なのかで話が変わってくるな。ここで日付がわかる要素があるとすると……?
障子を開く、目指すは見晴らしの良い部屋。できれば個室が良い。多分だけど、移動するのがリスクだ。記憶が曖昧なのが怖い。とりあえず持てる行燈を抱えて、ふらつく身体を無理やり動かす。このデバフを持ってラスボス戦に挑むのはかなりキツい。
道中に少し鬼が居るが、おそらくそこまで強くはない。息を吐いて、いつから持っていたのかわからない刀でいなす。ああ、何かがおかしい。何を忘れているんだ……?
「大丈夫、大丈夫……」
よし、ここをブートキャンプ地とする。血を垂らして、正──
──獪岳とポジションチェンジしたとしたら、私ってどうなっちゃうんだ?
身体中の水分が何かに吸い取られるような感覚、骨が軋んで筋繊維が脈を打ち、脳に深刻なダメージが発生する。
空腹により意識障害のような、視界が狭まる感覚と暴れ出す衝動を冷静に感じる。冷や汗と身体の震えを自我で押し退けて、私は慣れたように身体の手綱を取った。そして、口を拭く。
「大丈夫、自分を信じろ。私は──」
目が回る、低血糖の時みたいな、吐き気と動悸がある。最終選別の三日目よりはマシ、と思って顔を上げて、喉がか細くヒュウと鳴る。
壁いっぱいに描かれた渦巻き、じゃないな。二重丸と、よほど余裕がなかったのか、描きかけの正がいくつか。日だったら私は太陽を残す。ならこれは回数だ。
すると次はなぜ「こんなにも繰り返したか」が疑問になる。必要があったのだろうか。いよいよ謎解きみたいになってきたな。
えーでは、通算30回目のわたくしはどこまでやれるでしょう。
それにしても部屋が荒れている。
血と切傷。戦ったような跡だ。これが全て私のものである事は祈るしかない。気合いで押し込めた筈の身体の震えが止まらないし、涎も止まらない。鏡でも持っていないかと思って自分の体を調べて回ると、師匠にもらった弟たちとお揃いの羽織の袖口から飴が落ちてきた。あ、
「善逸の口に詰める用のみぞれ玉」
不覚にも笑えてしまった。これが残っていると言うことは時間がそんなに経ったわけではないだろう。うーん、一日二日って所か。
包み紙を開いて口に突っ込む。甘い……気がする。食べれるってことはまだギリギリ人ってところか。つまりこのループは無惨の血を飲んで間もない、人から鬼への変換期の序盤まで戻っている。そこからは不可逆? 単なる燃料不足?
うん、大丈夫、ちゃんと進んでいる。この調子で90日間の内に現状把握と作戦を練ってここに書き記せ。諦めるな、折れるな……泣くな。
これでも茶柱。いや、柱合会議にもパワハラ会議にも出席した事があるってよく考えたら割と稀有じゃない? なんかレアなトロフィーとか貰ってそうだよ。
ていうかこれループ系の血気術だとしたらチ──
──身体中の水分が何かに吸い取られるような感覚、骨が軋んで筋繊維が脈を打ち、脳に深刻なダメージが発生し、視界が回って、頭が何かにぶつかる。泣き別れている。これ首落ちてるよ!
「ちょっと黒死牟さん!? 何で私、首が斬られてるんです!?」
「……戻った……のか」
何ッだこの最悪な歓迎。稽古だとしたら首取られてて最悪じゃねーか。初見でもここまでの無様晒した事ないわ!!
あーね、じゃあ血気術は使わざるをえなかった、と考えられる。鬼になる過程のどこかで意識がなくなるか、口の中に人でも突っ込まれかけたか……なんか男の人の腕を持ってて嫌すぎるな〜ペロッ(無味)これは後者!
グロさが天井を越すと現実味が欠けて造りものみたいにしか見えないらしい。死んだ人って急に物になるから、とっさに認識ができなくなる。知りたくなかったー!
ともあれ刀を拾い、首を迎えに行こう。鬼同士では死なないけど相手が鬼殺隊だったら死んでいた。怖い……怖くない!
殺すよりは殺される方がだいぶマシだ。戻ってこい現実味、どれだけの舐めプをしようともアホ上司のサブプランに組み込まれてるから殺されやしない。後回しにされているだけで価値はある……あるんだよね? あーちょっと記憶無くなってそうだ。ループ……時間戻し?にリスクがないと良いんだけど。
「黒死牟さん、私達が会うのって何回目ですか」
「……四回目だ」
「なるほど、どうも! さて、続きをしましょうか」
刀を構える。日輪刀じゃない、あれは折れた。
これは多分作った物。もっと言うなら黒死牟さんに教えられているんだな。何回目の時に弟子入りしたんだろう……?
まぁ意外に面倒見の良い黒死牟さんにバレないように書き残す内容は考えた方が良いに違いない。あ、だから改行してんのか。十二回目の私は頭が冴えてたんだな。いや、これ結構頻繁に来てるだろ。割と仲良しって書いとく?
「和の呼吸、雷ノ型──稲魂」
「月の呼吸、伍ノ型──月魄災渦」
「あっ、それずるいぞ」
いや、仲良しになったと思いすぎるとスッゲェ距離の詰め方しちゃうんだよな。私が下の名前しか言ってないのが悪いんだけど、相手のことも名前呼びにしてびっくりされたりとかね。
なのでこうしよう。
「あのねぇ、戦ってて常々思うけどそれはもう剣技じゃないのよ」
「……」
「それは弾幕ゲーなのよ。ジャンル違いなのよ」
レジギガスみてえな面しやがってよ!やーい生き恥!(悪口)
死なないうちに煽っておこう。案ずるな、精神攻撃は基本だ。茶化してこそ茶柱。これを熱心にお館様に訴えて苦笑された事があります。
「さっきまでの私はどうでした? 多分絶好調だったでしょう」
「……今は変化の最中。動けないのでは……無かったのか?」
「ふふ、見てみたらいいじゃないですか。その透き通る目で」
演じるのは苦手じゃない。だって人と話すのが嫌いだから。どいつもこいつも複雑な意識をしていて、気持ち悪いな全くもう。
身体は痛いけど、私は胃袋だけお母さんに似て一番力が強かった。だから納得している。兄弟の中なら私が一番どこでもやっていける。怖くても大丈夫。私で良かった〜と思えるから。
まぁここまで厳しいとホントに刃が立たないんだけどね!?
「不思議な気分。こんな大怪我した事ない」
「……体が人に戻ると共に、記憶まで戻っているのか」
「要らん事まで言ったわぁ」
フッフッフ、実力で生き残ってるんじゃない。
ちゃんとメタ知識だけで首の皮が繋がっている。さっき斬られたけど、まぁそれはそれよ。
「ねぇ、嬉しいですかぁ。沢山の技が使える剣士を保存できて」
「……才能に胡座をかいただろう」
「手厳しー。でも結構いい線行ってたでしょ?」
「始まりの呼吸には……程遠い」
「さいですか。じゃあ練習でもしましょうかね」
……どっちみちこの体に慣れなければいけない。どの辺がそうか知らないけど、体は戻る前のことを少し覚えている。ワンチャン月の呼吸って……いやこれ剣技じゃないから真似出来ないわ。自分のこと侍だと思っている異常鬼め。
型を確認する時、私は全部の呼吸を踊る。そもそも一部は最初から神楽として覚えていたもんだから、下手に一つだけ極める方が不格好だ。
ノーエフェクトの月の呼吸は隙が多いけどそれを補って格好良さがある。周りの星をかき消して空の主役になる、特別だと錯覚する……ような気がする。その起源は……いや、野暮なんだよなァ。オイタワシー!
──獪岳とポジションチェンジしたとしたら、私ってどうなっちゃうんだ?
身体中の水分が何かに吸い取られるような感覚、骨が軋んで筋繊維が脈を打ち、脳に深刻なダメージが発生する。
空腹により意識障害のような、視界が狭まる感覚と暴れ出す衝動を冷静に感じる。冷や汗と身体の震えを自我で押し退けて、目の焦点を合わせる。
「……こりゃ何回目か数えるのも億劫だな」
目が回る、低血糖の時みたいな、吐き気と動悸がある。でもまぁ、私が私だっただけずっとマシ。呼吸を整えながら視線だけで血気術の条件を覚えて、手慣れた動作で体から刀を生やす。
口を拭う。服を整える。姿見を見る。
あ、上限の伍なんだ。ちょっと昇進してんじゃねーよ勘弁してくれ。
とりあえず鬼らしくルーチン……型でもやるか。ぶっつけ本番のラスボス戦、どう転がって───何人死ぬと思う?
「……なんで、なんで」
無限に続く城を一陣の雷鳴が走り抜けていく。鮮やかに、ひたむきに。
「なんで、姉ちゃんの音があるんだ。そんなことってないよ……!」
信じたくなかった、死んだなんて。
信じたくない、鬼になっているなんて。
祈るように扉を開く。そこには──獪岳に羽交い締めにされながらネチネチと理詰めで言い訳を述べる姉弟子の姿があった。ウソでしょ!?
「あ、いらっしゃーい。散らかってるけど座って座って」
「ウソでしょ!? 正気!? こんな怖い部屋で会話から始まる事ある!?」
「ごめん獪岳、とりあえずあっちの方先に黙らせよう? 話が進まないからさ」
「クソ姉貴テメェ絶対日光で焼いてやる」
「あの……本当に驚かせてすみません……一回鬼っぽいことをしてみたかったんです……
──じゃなくて。ああもう、師範〜助けて〜」
獪岳に対して丁寧に、善逸に対してざっくばらんに説明をした末に、雷一門の無限城初見攻略が始まる。
「とりあえず義勇に預けたカエルの所に行こうと思うんだ」
「あ? 水柱にあのカエル押し付けたのかよ」
「だって一番指揮能力ありそうだもの。善逸なら鳴き声とか聞こえない? 何匹居るの?」
「え……一匹しか居ないみたいだけど」
「つーかいい加減鬱陶しかったから池に薬撒いて駆除したぞ」
「獪岳……人の遺品に対してもうちょっと情とかなかった? 結構長い事育ててたよね?」
「薬撒いたのは爺ちゃんだよ」
始まる……!
【分岐】冨岡義勇、カエルをどうした?
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胡蝶しのぶに預けておいた
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自分で持っている
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無惨に向けて投げている
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伊黒小芭内に持ち去られている