嘘物語   作:嘘烏

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初めての物語シリーズ二次創作ですので稚拙な所もありますがご容赦ください。

更新情報
2025/08/14 次回予告編集
2025/10/05 次回豫告の挿絵追加
2025/10/28 章文字修正


嘘物語
第再話 でいしゅうリターン 其ノ壱


001

「恋物語」の衝撃のラストで俺が死んだと思い、うろたえた読者諸君、またもやお前達は一人残らず騙された。

この件からお前達が得るべき教訓は、詐欺師の語りなど信じるなということだ。

信じるな、疑え。

俺を勝手に殺すな。

ここで言う俺とは、つまり俺、「恋物語」にてヒロイン(戦場ヶ原ひたぎ)を差し置いて語り部を務めた詐欺師の貝木泥舟なのだが、それすらも疑うことを勧める。

案外、語り部を取られた事を恨んだ戦場ヶ原が俺の振りをしているということもあり得るからな。

まあアイツの性格を考えるとそんなことは天地がひっくり返ってもあり得ないのだが。

                

                                       

相変わらず人は真実を知りたがる。

知っていることを真実だと思いたがる。

最近の話だが、某漫画にて7月5日に日本大災害が起きるという予言が世間を席巻し、聞くところによればトカラ列島地震で気象庁が無関係であると会見まで開く事態になったという。

結局、蓋を開けてみれば、7月5日には何も起こらず、一部の人間が落胆し、多くの人間が安堵した。

しかし俺から言わせれば、どうして一漫画家の、それも夢の話を、そこまで信じることができたのかが謎であり、底抜けに興味深い点である。

人類永遠の謎と言ったらさすがに大袈裟ではあるが。

もっとも偽物の専門家である俺が予言のことについて一家言あるわけでもなく、もっと言うなら大騒ぎしていた連中も予言の真贋は分からないはずだ。

ではなぜ、そこまで予言を信じることができたのか。

それは――疑うことが面倒だからだ。

疑うことが。ストレスだからだ。

『目の前の情報が偽物かもしれない』なんて些末なことを疑いながら日々を過ごすことはストレスになる。

人間はストレスに弱い。

 

 

要するに、『疑わない』、『信じる』というより『疑いたくない』のだ。

今自分が立っているこの世界が信用に足るものだと思い込み、安心したいのだ。

だから、疑心暗鬼に陥らずに信じる。

疑うくらいなら騙される方がいいと考えている奴が今の社会には呆れ返るほどに溢れかえっているのだ。

もっとも俺としてはそんな今の社会の方が居心地が良いのだが。

いや、社会でもシステムでもなくあくまでも人か。

予言を信じるのも、理論を信じるのも、怪異を信じるのも、あくまで人か。

人の話か。

社会は変わるが人は変わらない。

人は人。

人間は人間。

変わらないし、変われない。

俺が詐欺師である事は変わらない。

俺は俺のままだ。

 

 

ではでは、読者たちが疑心暗鬼に陥ったところで虚実入り混じる描写、あること無いこと織り交ぜて、他でもないこの俺が臥煙の忘れ形見と遭遇するまでに何をしていたかについて語らせてもらおう。

相変わらず真実かどうかは保証しないが、クオリティは保証する。

もし、また騙されたと短腹を起こして小説を閉じていない根気強い読者諸君がいるとするならば、常に疑い、心に鬼を飼いながら読むことを勧めるし、こちらも皮膚呼吸さながらに嘘をつかせてもらう。

もちろんこれが俺の罠かもしれないし、それさえも嘘かもしれない。

卑怯千万ライアーマン精神にのっとって語らせてもらう。

否、騙らせてもらう。

それでは面白おかしく、この貝木泥舟の嘘で塗り固められた復活劇を始めよう。

もちろん、金は払ってもらうぞ。

 

 

002

場面は件の男子中学生の恨みのこもった一撃を、呪いのこもった一撃を喰らい雪原に倒れ伏した時に遡る。

神も仏も信じていない俺だが流石に地獄は信じている。

地獄の沙汰も金次第というし最後に小銭を稼げて良かった、なんてらしくないことを考えながら俺は意識を失った―――

 

 

 

こう締めくくり、「恋物語」は幕を下ろした訳だが、本当に俺が死んだかと思ったか?

そんなことで俺が死ぬと思ったのなら愚かだ。

今回の件からお前達が得るべき教訓は、頭は殴られたら実際のダメージ以上に出血するということだ。

血が想像以上に出て、焦った中学生がとっとと逃げ帰ったのだろう。

追い打ちを喰らうことなく、雪の上に倒れ込んだことで低体温症により仮死状態にでもなっていたのだろう。

なにはともあれ俺は助かった。

皮肉にも千石撫子に対してやろうとしていた死んだふりをしたことで、助かったのだ。

しかし、この状態では凍えるか出血多量で死んでしまう。

どうしたものか。

視界が暗転する。

 

 

 

「はっはー、これはこれは詐欺師にしてゴーストバスターの貝木泥舟さんじゃないですか。こんな冬の山道に倒れ込んで何か良いことでもあったのですか?」

叔父さんじゃないですが、と声がした気がしたのは嘘である。

 

しばらくして目を開けると、どうやら雪に埋もれているようだった。

体を起こして雪を払い、ふと辺りを見る。

俺がさっき襲われたのは、神様を騙すために1ヶ月間通った道、つまりは北白蛇神社の参道へと続く山道だったのだが、今目の前に広がる景色に見覚えはなかった。

知らない山道だった。

 

死にかけて 

     目覚めた先は 

            違う山

 

「どこだ…此処…?」




次回豫告
「火憐だぜー!」
「月火だよー」
「「二人合わせてファイヤーシスターズだぜー!」」
「突然ですが、ここで予告編豆知識!」
「急に新コーナー!」
「実はユーカリは燃えることで発芽する!」
「すごーい!」
「正義の炎に燃える私たちみたいな植物だよな!」
「ユーカリプタスじゃなくて、アララギプタスとこれから呼ぼう!」
「それは違う気がするぜ…」

「「次回、でいしゅうリターン其ノ弐!」」

「ファイヤーシスターズじゃなくてユーカリシスターズに改名しようかな…」
「それはもっと違う気がするぜ…」
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